出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/18 10:04:00」(JST)
電磁気学 | ||||||||||||
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電気 · 磁性 | ||||||||||||
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表・話・編・歴
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電磁波(でんじは)は、空間の電場と磁場の変化によって形成される波(波動)である。いわゆる光や電波は電磁波である。よくある「電界と磁界がお互いの電磁誘導によって交互に相手を発生させあう」という説明は誤りであり、何らかの原因(電荷の運動や電流の変化等)によって生じた電磁場の時間変動が空間を伝播していく、ということが電磁波の本質である。
電場と磁場は真空中にも存在するため、波を伝える媒体となる物質(媒質)が何も存在しない真空中でも電磁波は伝わる。電磁波の電場と磁場の振動方向はお互いに直角であり、また電磁波の進行方向もこれらと直角である。基本的には電磁波は空間中を直進するが、物質が存在する空間では、吸収・屈折・散乱・回折・干渉・反射などの現象が起こる。また、重力場などの空間の歪みによって進行方向が曲がることが観測されている。
電磁波は線型な波動であり, 従って重ね合わせの原理が成り立つ。そこで, 電磁波を特定方向に振動し, 特定方向のみに進む正弦波(平面波)の重ね合わせに分解して考えることが多い。そのような正弦波は、波長、振幅、伝播方向、偏光、位相という属性で完全に特徴付けられる。ある電磁波を多くの正弦波の重ね合わせとみなしたとき、波長ごとの成分をスペクトルという。
電磁波は, 特にその波長によって物体との相互作用が異なる。そこで、波長帯ごとに電磁波は違う呼び方をされることがある。すなわち, 波長の長い方から、電波・赤外線・可視光線・紫外線・X線・ガンマ線などと呼ばれる。我々の目で見えるのは可視光線のみだが、その範囲 (波長0.4 μm - 0.7 μm) は電磁波の中でも極めて狭い。
真空中を伝播する電磁波の速さは、観測者がどのような方向に、どのような速度で動きながら測定したとしても、一定値 299,792,458 m/s(約30万キロメートル毎秒)になる。これを光速度不変の原理という。これは様々な実験により, 確かめられている。この'真空中の光速度は、最も重要な物理定数のひとつである。この光速度不変の原理を基にしてアインシュタインが特殊相対性理論を構築し、それまでの時間と空間の概念を一変させたことはとりわけ有名である。一方、物質(媒質)中を伝播する電磁波の速度は、真空中の光速度を物質の屈折率で割った速度になる。例えば、屈折率が 2.417 のダイヤモンドの中を伝播する可視光の速度は、真空中の光速度の約41%に低下する。ところで、電磁波が、異なる屈折率の物質が接している境界を伝播するとき、その伝播速度が変化することから、屈折が起こる。これを利用したものにレンズがあり、メガネやカメラなどに使われている。なお、屈折する角度は、電磁波の波長に依存する。これを分散と呼ぶ。虹が7色に見えるのは、太陽光が霧などの微小な水滴を通るとき、波長が長い赤色光よりも、波長の短い紫色光の方が、分散によってより大きく屈折するためである。
目次
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1864年にジェームズ・クラーク・マクスウェルは、それまでに明らかにされていた、電磁気に関する次の4つの物理法則、1.ファラデーの電磁誘導の法則、2.アンペールの法則、3.電場に関するガウスの法則、4.磁場に関するガウスの法則を統合することによって、マクスウェルの方程式を完成させた。これは電磁気学の基本原理である。マクスウェルの方程式からは, 理論的に波動方程式が導出されるため, 電磁場に伝わる波が存在するということが予測され、それは1888年にハインリヒ・ヘルツによる実験で発見された。
20世紀初頭に登場した量子力学は、電磁波という空間が振動して生じた連続性を持ったエネルギーの波動と、物質という原子や分子で構成された不連続な粒子(パーティクル)の集合物の間でのエネルギーの授受は、一般の巨視的な波動現象とは異なり、ランダムな熱運動をしている物質側の共振周波数に依存するエネルギーの最小単位量子の整数倍でしか行われない、不連続性を示すことをマックス・プランクが発見したことから始まった。量子力学の世界では光(電磁波)はアルベルト・アインシュタインの光量子仮説に基づいて光子として量子化して扱われている。
電磁波は波長によって様々な分類がされており、波長の長い方から電波・光・X線・ガンマ線などと呼ばれる。
なお、これらの境界は統一的に定められたものではない。学問分野等によって多少の違いがある。
電磁波は波長によって様々な特徴をもつ。
最も波長の長い電波は、進行方向に多少の障害物があっても進行することができる。このため、通信や放送などの長距離の情報送信に使用されることが多い。テレビやラジオ、携帯電話などが代表的である。
電波よりも波長の短い光は、物質に吸収されて化学反応や発熱などの相互作用を生じることがある。この現象は眼が見える理由でもあるが、他に植物の光合成やリソグラフィーなどが該当する。
さらに波長が短いX線になると、物質との相互作用が減少し、透過するようになる。この現象を利用することで、レントゲン写真やX線CTを撮影することができる。
紫外線・X線・ガンマ線などの電離放射線は、遺伝子に損傷を与えるため発癌性を持つ。これらの電磁波については年間許容被曝量が法律によって決められている。
家庭で接することの多いのは 50 Hz あるいは 60 Hz 程度の電磁波(電磁界)である。50 Hz あるいは 60 Hz 程度の電磁波(電磁界)はこの観点非電離放射線であるから遺伝子に直接影響を与えはしないともいわれる。[要出典]しかし、電界や磁界を変化させてプラズマ化した物体を原子や分子の単位で制御する技術を応用して、生体を構成するたんぱく質や遺伝子などの高分子の構造を、細かく変化させて、リボザイムなどが生成されていったRNAワールドの生命誕生の過程を探る研究を行っている人々の間では、電界や磁界が低い周波数でも生体を構成する高分子にさまざまな作用を及ぼすことが知られている。[要出典]
国際がん研究機関 (IARC) が2001年に行った発癌性評価では、送電線などから発生する低周波磁場には「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」 (Possibly carcinogenic to humans) と分類した[1]。これは「コーヒー」や「ガソリンエンジン排ガス」と同じレベルにあたる。なお、静的電磁界と超低周波電界については「ヒトに対して発がん性を分類できない」 (cannot be classified as to carcinogenicity in humans) と分類された。これは「カフェイン、水銀、お茶、コレステロール」等と同じレベルにあたる。
また、国立環境研究所が平成9 - 11年度に「超低周波電磁界による健康リスクの評価に関する研究」[8]を行った。
高強度のマイクロ波には、電子レンジと同様に熱を生じるため生体に影響を与える可能性がある。このため、携帯電話などの無線機器などでは、人体の電力比吸収率(SAR: Specific Absorption Rate 単位は[W/kg])を用いた規定値が欧州(国際非電離放射線防護委員会)やアメリカ(連邦通信委員会)などでは決められている[2]ほか、日本では国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の電波防護ガイドラインに基づき300GHzまでの電波について、人体への影響を評価している[3]。学会などでも比吸収率の計算(FDTD法)や人体を模した人体ファントムの組成の決定などが行われている。
電磁波の健康への影響は調査自体が非常に難しい。一例を挙げると、米国で公的機関NIEHSでRAPID計画という国家単位での電磁波の健康に対する影響の研究が行われた。この機関が作成したパンフレットでは、臨床研究、細胞を用いた実験室での研究、動物を使用した研究、疫学研究の各分野を組み合わせ検証した結果でないと全体像が見えないと解説されている。 1995年、電磁波問題に関する調査報告書をアメリカ物理学会が発表。「癌と送電線の電磁波に関係があるという憶測には、何ら科学的実証が見られない」と声明。
1996年、全米科学アカデミーは「1. 細胞、組織そして生物(人を含む)への商用周波電磁界の影響に関して公表されている研究の総合評価に基づき、現在の主要な証拠は、これらの電磁界への曝露が人の健康への障害となることを示していないと結論する。」「2.特に、居住環境での電磁界の曝露が、ガン、神経や行動への有害な影響、あるいは生殖・成長への影響を生じさせることを示す決定的で一貫した証拠は何もない。」という結論を出した[4][5]。
1997年、アメリカの国立癌研究所 (NCI) が7年をかけた疫学調査の結果を「小児急性リンパ芽球性白血病と磁場との関係は検知するにも懸念するにも微弱」であると発表。この調査の過程で、白血病患者の家庭と送電線の近隣での居住、双方に全く関係が見られなかった事が判明。これにより「関係がある」とされてきた統計学的分析結果は全てエラーデータとなり、1979年に疫学者ナンシー・ヴェアサイマーが作成した論文「小児白血病と送電線の磁場には関係がある」の主張が完全な間違いであることが証明される。この研究所の調査結果は医学専門誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載。
それまでの送電線騒動の研究に費やされた予算は、送電線の移転、不動産価値の下落を含め250億ドル超とホワイトハウス科学事務局が概算を出した。
1999年、カナダの5つの州において調査された結果が発表され上記にある研究所の結果と酷似する結論が出される。
疫学調査の正確性に対し疑問が投げかけられることもたびたびある。日本の場合、上記「生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究」(国立環境研究所)に至っては、2003年に長妻昭によって「税金のむだ使い」として国会で取りあげられ、政府も「『優れた研究ではなかった』との評価がなされたところである」ということを認めた[6]。
現在のエレクトロニクス機器は、低電圧の信号を高インピーダンスで扱うことが普通であるため、環境中に強い電磁波が存在すると誤動作を生じやすい。その機器が誤動作を生じやすいか生じ難いかを測る指標としてイミュニティ (Immunity) がある。特に携帯電話からは比較的強い電磁波が発せられるため、航空機や医療機器などへの影響が多数報告されている。
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航空機に関しては、携帯電話、携帯型ゲーム機等の電磁波の影響による運行計器の誤作動が多数報告され、その中には大惨事になりかねない事態を引き起こした例もあったため、まず各航空会社で規制が行われるようになった。2004年には改正航空法によって禁止される機器が定められた。2007年3月に同法は改正され、携帯電話、パソコン、携帯情報端末など電波を発する状態にあるものは常時使用禁止、電波を発しない状態のものでも離着陸時使用禁止とし、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、テレビ、ラジオ等も離着陸時使用禁止と定められた。
ゲーム機に関しては、「ニンテンドーDS」や「プレイステーション・ポータブル (PSP) 」といった無線LAN内蔵の製品が存在しており機内での使用も増えているにもかかわらず、それらが2004年の改正航空法および航空法施行規則では「離着陸時のみ作動させてはならない電子機器」として指定されてしまっていて仮に無線LANの電波を発射させていても法律上取り締まれないという危険な状態であったが、各航空会社が規制を行い、その後2007年の改正で解消された。
2007年3月「航空機内における安全阻害行為等に関する有識者懇談会」の報告書では次のような症状が報告されている。
原因と推測されているのは携帯電話が6割強と最も多い。次いでパソコンが1割強。「障害が発生したケースの約9割において、電子機器を使用する者の存在が確認されている」とされ、「障害発生時に電子機器の使用を控えるようアナウンスしたところ、約5割で障害が復旧した」と報告されている。
医療機器に関しては、平成14年の総務省調査では、携帯電話から 11cm 離れると医療機器への影響はほぼ認められなくなる、とし、安全のためにペースメーカーから 22 cm 以上離して使用すべき等の指針を発表している[9]
公正取引委員会は、電磁波によるネズミ撃退器について、効果が認められないとして排除命令を出した事がある[10]
アメリカ軍は、電磁波を利用した非致死性兵器の研究を行っている(詳細はアクティブ・ディナイアル・システムを参照)。
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リンク元 | 「紫外線」「放射線」「照射」「電磁放射線」「赤外線」 |
関連記事 | 「電磁」 |
種類(波長) | 地上への到達度 | 生物影響 |
UV-A (315~400nm) |
地表まで到達する。 | UV-Bほど有害ではないが、長期間曝露された場合の健康影響が懸念される。 |
UV-B (280~315nm) |
ほとんどは成層圏オゾン層などに吸収されるが、一部は地表へ到達する。 | 皮膚や眼に非常に有害である。日焼けを起こしたり、皮膚がんの原因になる。一般に、有害紫外線と呼ばれる。 |
UV-C (100~280nm) |
大気や成層圏オゾン層に吸収されて、地表には到達しない。 | 非常に有害である。 |
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