- 英
- sickle cell disease, SCD
- 同
- 鎌状赤血球貧血 sickle cell anemia、鎌状赤血球性貧血、鎌形赤血球症。ヘモグロビンS症 hemoglobin S disease
- 関
- ヘモグロビンS、HbSC症
治療
- 葉酸:有効らしい。 ← 葉酸は慢性溶血性貧血に対してルーチンに投与される。これは骨髄での需要が高まる(DNA合成の亢進)ため、と思われる。しかし、鎌状赤血球症に対するビタミンB12投与は前向きRCTにおいて有効性が示されなかった(WCH.1385 PMID 6347243)。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/23 02:25:57」(JST)
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鎌状赤血球症 |
分類及び外部参照情報 |
鎌状赤血球を含む血液の電子顕微鏡撮影像。
中央部が凹んだ円形の赤血球は正常なもの
|
ICD-10 |
D57. |
ICD-9 |
282.6 |
OMIM |
603903 |
DiseasesDB |
12069 |
MedlinePlus |
000527 |
eMedicine |
med/2126 oph/490 ped/2096 emerg/26 emerg/406 |
MeSH |
C15.378.071.141.150.150 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
鎌状赤血球症(かまじょうせっけっきゅうしょう)は遺伝性の貧血病で、赤血球の形状が鎌状になり酸素運搬機能が低下して起こる貧血症。鎌状赤血球貧血症ともいう。ICD-10分類ではD57。主にアフリカ、地中海沿岸、中近東、インド北部で見られる。
常染色体劣性遺伝をする。遺伝子型がホモ接合型の場合、常時発症しているのでたいていは成人前に死亡するが、遺伝子型がヘテロ接合型の場合、低酸素状態でのみ発症するので通常の日常生活は営める。
目次
- 1 原因
- 2 分布と適応的意味
- 3 症状
- 4 診断
- 5 治療法
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
原因[編集]
遺伝子突然変異により、11番染色体にあるヘモグロビンβ鎖の6番目のアミノ酸に置換が生じることが原因である。そこには本来はグルタミン酸が入るのだが、バリンがその代わりに入って合成が行われる。
正常型
DNA |
3'-GGA |
CTC |
CTCー5' |
mRNA |
CCU |
GAG |
GAG |
アミノ酸 |
Pro |
Glu |
Glu |
変異(鎌状赤血球貧血症)
DNA |
3'-GGA |
CAC |
CTC-5' |
mRNA |
CCU |
GUG |
GAG |
アミノ酸 |
Pro |
Val |
Glu |
ホモ接合体の場合は、90%のヘモグロビンがヘモグロビンSとなり重症の貧血症を起こす。 一方、ヘテロ接合の場合、40%程度なので、日常生活においては発症はしない。 酸素分圧が低下すると異常なβ鎖が凝縮する。
分布と適応的意味[編集]
鎌状赤血球遺伝子を持つ者は、日本にはほとんど見られないが、マラリアが比較的多く発症するアフリカにはかなり見られる。鎌状赤血球の遺伝子とマラリアの流行には深い関係がある。マラリアは幼児期にかかると、死に至る可能性が高い感染症である。つまり、鎌状赤血球症自体は保有者の生存に不利であるが、マラリア蔓延地域ではその遺伝子をヘテロに持つものは非保有者と比べて相対的に自然選択において有利であり(生存確率が高い)、この遺伝子が維持されていると考えられている。しかし保有者ばかりになれば、保有者同士の子にはホモで持つ者が増えるため、非保有者が頻度依存淘汰的に有利になり、非保有者の割合も一定に保たれていると考えられる。
ヘテロの遺伝子保因者は正常状態では60%が正常赤血球、40%が鎌状赤血球の状態である[1]。マラリア原虫は人体では赤血球内で増殖する[1]。マラリア原虫に感染すると赤血球のpHは約0.4低下する[1]。pHが低下するとボーア効果により赤血球の鎌状化が進み、全身の赤血球の鎌状赤血球の割合が増加する[1]。マラリア感染初期ではマラリア原虫が感染し鎌状化した赤血球は脾臓で優先的に除去される[1]。感染後期では鎌状化した赤血球によりマラリア原虫は機械的に壊される[1]。これらの機序によりヘテロ保因者はマラリアに対し耐性を発揮する。
症状[編集]
ホモ接合体の患者が重篤な溶血性貧血症状を示す。 骨壊死、下腿潰瘍、細菌感染、脾臓の萎縮による激痛発作、微小血管の閉塞、脳卒中による神経系損傷
診断[編集]
黒人の若者で、腹痛、骨の痛み、吐き気の時に、疑われる疾患の一つ。鎌状赤血球試験、顕微鏡、電気泳動でこの疾患の診断がつく。
治療法[編集]
主に発作を抑えることが主体となる。脱水症状や細菌感染を防ぐことが第一。発作時は、生理食塩水の大量点滴、輸血、酸素投与が行われる。また、ヒドロキシ尿素は、胎児型ヘモグロビンの産生を増加させるので、これが投与されることもある。骨髄移植などが行われることもあるが、免疫抑制剤を生涯にわたり飲まなければいけなくなるので、リスクファクターもある。現在は遺伝子治療も研究が行われている。
脚注[編集]
- ^ a b c d e f ヴォート 基礎生化学 東京化学同人社発行 ISBN 978-4807907120
関連項目[編集]
- 突然変異
- 赤血球
- ミスセンス突然変異
- 点突然変異
- ツタンカーメン
- グルコース6リン酸脱水素酵素欠損症-鎌状赤血球と同じくマラリアに抵抗性をもつ疾患
外部リンク[編集]
- メルクマニュアル 鎌状赤血球症
- Sickle cell anaemia (eMedicine)
- SCA clinical trials (ClinicalTrials.gov)
- Sickle Cell Anemia (University of Maryland Medical Center)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 相馬 広明,大沢 洋之,木村 正博,小川 博和,吉浜 勲,峯尾 松一郎
- 日本産婦人科・新生児血液学会誌 = The Japanese journal of obstetrical, gynecological & neonatal hematology 16(2), 27-32, 2007-03-01
- NAID 10029377628
- 複数の不規則抗体により適合血確保に難渋した鎌状赤血球症の1例
- 丸山 美津子,田中 由美,中川 泰久,藤井 忍,森口 洋子,葛西 千枝子,信田 憲行,藤枝 敦史,和田 英夫,登 勉,今井 重美,内川 誠,桝屋 正浩
- 日本輸血細胞治療学会誌 52(4), 501-506, 2006-09-01
- NAID 10018786015
- 柴田 由加,小板 功,岸 孝彦,木澤 仙次,廣岡 良文
- 医学検査 : 日本臨床衛生検査技師会誌 = The Japanese journal of medical technology 55(6), 744-748, 2006-06-25
- NAID 10019603236
- 藤田 真紀,上杉 健哲,石井 譲,坂本 建彦,脇田 久,松浦 康弘,服部 幸夫
- 日本産婦人科・新生児血液学会誌 = The Japanese journal of obstetrical, gynecological & neonatal hematology 13(1), "S-27"-"S-28", 2003-05-01
- NAID 10012806308
Related Links
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- 鎌状赤血球症は、鎌状(三日月形)の赤血球と、赤血球の過剰破壊による慢性貧血を 特徴とする遺伝性の病気です。 鎌状赤血球症は、 ... 米国では、黒人の約10%が鎌状 赤血球症の遺伝子を1つもち、鎌状赤血球の形質を受け継いでいます。こうした人は、尿 に ...
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★リンクテーブル★
[★]
- parvo
- 英
- parvovirus B19
- 同
- human parbovirus B19, B19 virus、ヒトパルボウイルスB19、B19型ヒトパルボウイルス
- ヒトに感染するパルボウイルスを特にヒトパルボウイルスと呼ぶが、本wikiではヒト以外のウイルスについては対象外。
- 関
- ウイルス
- first aid step1 2006 p.151,152,154,299
ウイルス学
- エンベロープ無し
- DNAウイルス最小
- 赤血球系前駆細胞で増殖。
潜伏期間
感染経路
疫学
- 成人の40%が既感染
- 4-5年ごとに流行
- 春に多い
感染症
症状
- SMB.541-542
- 伝染性紅斑
- 急性熱性疾患
- 関節炎
- 成人の伝染性紅斑では関節痛を伴う2-4週間継続する関節炎を呈する。
- 免疫複合体の形成が原因
- 妊婦の感染→胎児の感染→肝臓での造血能低下→重症の貧血→胎児水腫(非免疫性胎児水腫)、流産、死産
- 経胎盤感染による感染率33%。胎児死亡の危険率は9%
合併症
経過
- 骨髄機能は10-14日で回復 → 症状は出ない。
治療
検査
予防
参考
- http://en.wikipedia.org/wiki/Parvovirus_B19
- 同
- HPV-B19
[★]
- 英
- central retinal artery occlusion
- 関
- 網膜動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症
概念
病因
- 参考1
- SOP.134
- (1)血栓塞栓子、(2)乳頭内での粥状硬化、あるいは動脈炎による血管攣縮による動脈の閉塞、(3)緑内障や外力による高眼圧
症状
身体所見
検査
- 眼底検査:網膜は混濁、白濁。cherry-red spot(黄斑部は正常の赤色の色調を残し、それ以外の網膜は乳白色の混濁を認める)。
予後
- 1時間以内に血行が改善しないと網膜機能の回復は期待できない。
- 視力予後は不良
治療
参考
- 1. [charged] Central and branch retinal artery occlusion - uptodate [1]
[★]
- 英
- hemoglobinopathy, abnormal hemoglobin disease
- 同
- ヘモグロビノパシー、異常血色素症
- グロビン自体の蛋白質のしての質的異常により引き起こされる異常 ⇔ グロビンの量的なバランスの異常により引き起こされるのはサラセミアであろう。
分類
- IMD.960
- Hb Geneva , β鎖
- Hb Hammersmith , β鎖
- Hb Tochigi , β鎖
- Hb Bristol , β鎖
- Hb Mizuno , β鎖
- Hb Koln , β鎖*低酸素親和性ヘモグロビン症
- Hb Kansas
- Hb Yoshizuka
- Hb Rahere
- Hb Province
- Hb Chesapeake
- Hb SanDiego
- Hb Hiroshima
- Hb M Boston
- Hb M Iwate
- Hb M Saskatoon
- Hb M Hyde Park
症状
[★]
- 英
- extramedullary hematopoiesis extramedullary hemopoiesis
- 同
- 髄様化生 myeloid metaplasia
- 関
- 骨髄外造血
- 脾臓(YN.G-55) → 脾腫大をきたす
- 肝臓、リンパ節
- 副腎、軟骨、靱帯、脂肪組織、胸腔、腎、骨膜
-
- 乳幼児:持続的かつ高度な血球産生、胎児赤芽球症(胎児溶血性疾患)
- 成人 :慢性骨髄増殖性疾患(骨髄線維症)
- 幼若細胞を造血部位にとどめておくことができないため、末梢血に幼弱な細胞が出現する。
- 赤芽球、幼若顆粒球、巨核球など
[★]
- 英
- erythrocyte osmotic fragility test
- 同
- 赤血球浸透圧脆弱性試験、赤血球浸透圧抵抗検査
- 関
- 赤血球浸透圧抵抗性、赤血球浸透圧抵抗
[show details]
[★]
- 英
- hemocyte, blood corpuscle, hematocyte
- ラ
- hemocytus
- 同
- 血液細胞 blood cell
- 関
- 血液
血球の割合
|
個数(/ul)
|
|
個数(/ul)
|
個数(%)
|
赤血球
|
男:500万 女:450万
|
|
5000000
|
95.1
|
白血球
|
5000-10000
|
|
7500
|
0.1
|
血小板
|
15万-35万
|
|
250000
|
4.8
|
寿命
- 赤血球:120日
- 好中球:6-8時間
- 血小板:10日
- 形質細胞:1-3日
- メモリー細胞:数年
血球の特徴
|
|
赤血球
|
単球
|
好酸球
|
好中球
|
好塩基球
|
リンパ球
|
大きさ
|
7~8μm
|
12~20μm
|
10~15μm
|
10~13μm
|
9~12μm
|
7~15μm
|
赤血球と比べた大きさ
|
------
|
かなり大きい
|
2倍以上
|
約2倍
|
2倍弱
|
小リンパ球は同じ程度
|
細胞質
|
|
アズール顆粒。 広く不規則な突起
|
橙赤色の粗大円形顆粒
|
暗紫色に染まる微細な顆粒 アズール顆粒
|
赤紫色の大小不同の顆粒
|
狭く淡い青色
|
核
|
|
くびれ有り
|
2葉、眼鏡型
|
桿状好中球 分葉好中球
|
格の上にも顆粒あり
|
球形
|
[★]
- 英
- erythrocyte (Z), red blood cell (Z), RBC
- 関
- 血液、貧血、血液像
- 直径:7.62±0.61μm → 7-8μm
- 厚さ:1.0-2.0μm
- 容積:90μm3
- 表面積:130μm2
- 比重:1.097
分化
基準値
2007前期解剖学授業プリント
♂:420万 - 570万 (/μl) 495万±75万 x 10^6 (/μl)
♀:380万 - 550万 (/μl) 465万±85万 x 10^6 (/μl)
-2007前期生理学授業プリント
♂:450万 - 610万 /μl
♀:380万 - 530万 /μl
-PT.233
♂:500万 /mm3
♀:450万 /mm3
-異常値の出るメカニズム第5版 p.79
男:400万-700万/ul
女:350万-600万/ul
-HIM
男:430–560 x 10^4/μl
女:400–520 x 10^4/μl
寿命
赤血球の増加
- テストステロン、低酸素、コルチゾール、エリスロポエチン
[★]
- 英
- sickle cell
- 同
- 鎌形赤血球
- 関
- ヘモグロビンS、鎌状赤血球症
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- sickle、falciform