- 英
- digitalis intoxication
- 関
- 強心配糖体中毒、ジギタリス、ジギタリス効果
- ジギタリス投与中に心室性期外収縮による二段脈、三段脈、
- ジギタリス中毒(早期では胃腸症状(嘔吐・下痢)、循環器症状(二連脈、三連脈、ブロックを伴う心房頻拍、心室細動))
- also see GOO.922
原因
誘発する要因と阻止する要因
- 主要な要因:低カリウム血症(利尿剤の投与で誘発) (PHD)
誘発
- 低K血症 細胞外にKがないからNa+K+-ATPaseが働けない
- 低Mg血症 Na+K+-ATPaseはMgを欲しがります。
- 高Ca血症 (多分)細胞内のCa2+濃度を上昇させます。(病態生理(2)) ← あるいはNa-Ca exchangeでCaの移動が妨げられるのか。
- 腎不全 ジギタリスの血中濃度が上がります。
- 薬物相互作用 ex.キニジン
病態生理
高濃度のジギタリスによる作用 PHD.399
- 3+1つの機序がジギタリス中毒の病態生理に関わる
- 1. 膜静止電位が上昇(less negative resting potential)
- Na+K+-ATPaseの阻害 → 静止膜電位が浅くなる(より0に近づく) → 0相の脱分極速度が低下、刺激伝導速度の低下(もし、伝導速度が低下した組織がまだら状に存在したら、リエントリ性の不整脈が起こりやすくなるよね)
- 2. 活動電位持続時間の減少(decreased action potential duration)。2相の短縮。
- a. 細胞内Ca2+↑ → Ca2+依存性K+チャネル活性↑ → K+の流入が亢進 → 脱分極時間↓
- b. 細胞内Ca2+↑ → Ca2+チャネル活性↓ → Ca2+電流による脱分極↓ → 脱分極時間↓
- 活動電位持続時間↓ + 不応期の短縮 → 外部の刺激に反応する時間が増え、不整脈を起こすリスクが上がる
- a. 静止膜電位が浅くなる(0に近づく) → ペースメーカーでない細胞でも4相における脱分極を起こしやすくなる
- b. 細胞内Ca2+濃度↑ → 遅延後脱分極(delayed afterdepolarization)が起こりやすくなる
- (1)遅延後脱分極が閾値に達することもあるし、(2)ectopic beat + 遅延後脱分極で閾値に達することがある。そしてVTとかのself-sustaining arrhythmiasを起こす。
症状
- 早期の心外症状:胃腸症状(嘔吐・下痢)(悪心・嘔吐・食欲不振) → 第四脳室底(菱形窩)の下方に位置する最後野(血液脳関門がない)の化学受容器に作用して起こるらしい。
- 循環器症状:心室性期外収縮(病態生理(2))、心ブロック(病態生理(1))、上室性頻拍(病態生理(3))
検査
心電図
- 1. 心室性期外収縮(PVC) :多原性の二段脈・三段脈、
- 2. 上室性頻拍 :ブロックを伴うことが多い(ブロックを伴う心房頻拍・心室細動(PAT with block))
- 3. 房室ブロック :
治療
- カリウム(低カリウム血症に対して)
- リドカイン(心室性期外収縮に対して)
- 体外式/一時的ペーシング(心ブロックに対して)
- 抗ジギタリス抗体のFabフラグメント
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- ジゴシン過剰投与でジギタリス中毒となり体外式ペースメーカー挿入に至った事例
- 78) 高Ca血症による腎不全からジギタリス中毒及び心肺停止を来たした原発性副甲状腺機能亢進症の1例(第207回日本循環器学会関東甲信越地方会)
- 押田 裕喜,丹下 正一,宇居 吾郎,庭前 野菊,西村 茂
- Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society 72(Supplement_III), 1017, 2008-10-20
- NAID 110007010661
- 温井 剛史,遠山 信幸,宮崎 国久,住永 佳久,山田 茂樹,小西 文雄
- 自治医科大学医学部紀要 28, 109-115, 2005-12-01
- … その後77歳時に眩暈,嘔気がありジギタリス中毒の診断にて当院入院となる。 …
- NAID 110006452480
- 藤本 雅彦,木内 良明,原田 純,中村 孝夫,恵美 和幸
- 日本眼科紀要 = Folia ophthalmologica Japonica 56(3), 205-208, 2005-03-28
- NAID 10016446819
Related Links
- じぎたりすちゅうどく。 ジギタリス中毒とは、ジギタリス製剤の過剰摂取が原因で現れる、中毒症状を指す。 ジギタリス製剤とは、心不全や心房細動、頻脈の治療に用いられる薬で、具体的な医薬品としては、ジゴシン
- ジギタリス中毒の特徴・作用機序・服薬指導内容など。 ... 調剤薬局に勤務している薬剤師が薬の効能・効果・副作用・作用機序などを説明します。 新薬や薬価の情報も載せています。
- ジギタリス中毒の症状 吐き気が重要な初期症状です 脈拍の乱れ・脈拍数の著しい減少は中毒症状です それ以外に下痢・不整脈・めまい・嘔吐・錯乱・視覚異常・失見当識・食欲不振などがあります 治療有効濃度範囲:
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
[★]
- 英
- hypokalemia, hypopotassemia
- 同
- 低K血症
- 関
- カリウム。高カリウム血症。電解質異常
定義
- 血清カリウム <3.5mEq/l ⇔ 基準範囲:3.4-4.5 mEq/l (臨床検査法提要第32版)
原因
- 周期性四肢麻痺発作時、インスリン・グルコースの投与(細胞のNa-K ATPaseを活性化するため)
-
-
病因
- ぽけめ
- アルカレミア、インスリン使用、カテコラミン使用、低下リウム性周期性四肢麻痺、急激な造血(VB12で治療中の巨赤芽球性貧血、AMLの急性転化)、低体温
- 消化管からのK喪失:(Uk<25mEq/日または15mEq/L、またはTTKG<3)
- 消化管からの喪失+代謝性アシドーシス:下痢、緩下薬乱用、絨毛腺腫
- 嘔吐とNGTドレナージによるカリウム喪失
- 腎性K喪失:(Uk>30mEq/日または15mEq/L、またはTTKG>7)
-
- アシドーシス:DKA、RTA(近位RTA(2型)と多くの遠位RTA(1型))
- アルカローシス
- 利尿薬、嘔吐、NGTドレナージ(続発性高アルドステロン症)
- Bartter症候群(HHenleのループ機能異常:フロセミド様効果)
- Gitelmann症候群(遠位曲尿細管の機能異常:サイアザイド様効果)
- Mg欠乏:遠位でのK分泌亢進が原因の可能性
- 原発性高アルドステロン症:Conn症候群など
- 続発性高アルドステロン症:腎血管性疾患、レニン分泌性腫瘍
- 非アルドステロン性ミネラルコルチコイド(Cushing症候群、Liddle症候群、外因性ミネラルコルチコイド、肝臓)
病態生理
検査
鑑別診断のために
- 検査としては尿検査(Uk,UCl,Uosm),血液検査(Bosm,Mg,K),血ガス
心電図
- ECGの変化は心室の再分極が遅延し、心筋細胞内のK+濃度をうまく補正できないことによる。
- QT延長:細胞外K濃度が低い→静止膜電位が低下→再分極に時間がかかる?
- QRS幅延長
- T波の平低化、U波出現
- ST低下
- 期外収縮
- (最初に)T平坦,U出現,ST低下,QT延長 → (重度になれば)PR延長, QRS減高, QRS幅拡大 → VFリスク↑
症状
- <3mEq/Lでなければ症状が出現することはほとんどない。(HIM.282)
- 神経系:感覚鈍麻、傾眠傾向、無関心
- 心血管系:心筋壊死、心筋線維症、、末梢血管収縮
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、イレウス
- 筋骨格:筋力低下、呼吸筋麻痺
- impaired muscle metabolism and the blunted hyperemic response to exercise associated with profound K+ depletion increase the risk of rhabdomyolysis.(HIM.282)
- 泌尿器:多尿、腎濃縮力低下、糸球体濾過量・腎血漿流量低下、尿細管間質性腎炎、慢性腎盂腎炎
- 内分泌:糖忍容力低下(インスリンと共にカリウムが細胞に入っていかない、インスリン分泌能↓+インスリン抵抗性↑(HIM.282))、その他の代謝異常(負の窒素バランス、代謝性アルカローシス)
低カリウム血症による腎機能不全
- uptodateより
- 尿濃縮能の低下:impaired urinary concentrating ability:≦3.0mEq/Lの低カリウム血症が慢性的に持続すると中等度の腎機能低下が起こる。集合管におけるADHに対する反応性低下と関連づけられている(The concentrating defect is associated with decreased collecting tubule responsiveness to antidiuretic hormone)が、完全によく分かっていない。2つのことは少なくとも寄与している;アクアポリン2の発現の減少、Na-K-2Cl共輸送対の活性の低下。
- increased ammonia production
- increased bicarbonate reabsorption
- altered sodium reabsorption
- hypokalemic nephropathy
合併症
治療
国試
[★]
- 英
- hypomagnesemia
- 関
- マグネシウム、高マグネシウム血症、電解質異常
定義
- 血清中のマグネシウム値低下による症状。
- 正常範囲以下(1.5mg/dl以下)となった病態 正常範囲は 1.5-2.3 mg/dl
病因
- 食事摂取量不足
- 消化管(腸管)からの吸収障害:飢餓状態、嘔吐、長期の胃腸液吸引、吸収不良症候群*、急性膵炎*、肝硬変
- 腎からの排泄増加
病態生理
症状
- 神経筋機能の異常:テタニー、振戦、てんかん発作、筋脱力、運動失行、眼振、めまい、感情鈍麻、うつ、易刺激性、譫妄(delirium)、精神症状 (HIM.2373)
- 心血管系:不整脈(洞性頻脈、上室性頻拍、心室性不整脈)、PR/QT延長、T波平坦化/陰性T波、ST straightening (HIM.2373)
- 電解質:低カルシウム血症、低カリウム血症 ← 個別に治療しても無駄。マグネシウムを補正する必要がある。1,25(OH)2Dの産生を阻害、細胞にPTHへの耐性をもたせ、さらに<1mg/dLではPTHの分泌を阻害する。 (HIM.2373) また、低マグネシウム血症では尿細管でのカリウム再吸収が低下するらしい。
- その他:ジギタリス毒性上昇(MgはATPaseの補酵素だからね)
低マグネシウム血症と高マグネシウム血症の比較
検査
心電図
- HIM.2373
合併症
[★]
- 英
- loop diuretic, loop diuretics
- 関
- 利尿薬
- sodium-potassium-chloride symporter inhibitor
概念
種類 (SP.790)
作用機序
血清電解質の変化
|
Na
|
K
|
Cl
|
H
|
Ca
|
Mg
|
血清
|
↓
|
↓
|
|
↓
|
↓
|
↓
|
副作用
- GOO.752
- 過剰の投与によりナトリウムを喪失 → 低ナトリウム血症、細胞外液量減少 → 低血圧、GFR低下、循環虚脱、血栓塞栓の発生、(肝臓疾患が存在する場合)肝性脳症
- 過剰のナトリウムが遠位尿細管に到達する結果、(特にRAA系が体液喪失のために亢進していると)カリウムと水素イオンの排泄が亢進し、低Cl性アルカローシス(代謝性アシドーシス)を生じる。
- もともと体内にKが欠乏していれば、不整脈が誘発される。特に強心配糖体を摂取していれば顕著となる(ジギタリス中毒)。
- 骨粗鬆症を呈する閉経女性への投与は、骨代謝を悪化させうる。
- その他:耳毒性(難聴、眩暈、耳鳴)、高尿酸血症、高血糖、LDL上昇、TG上昇、HDL低下、皮疹、光過敏性、錯感覚、骨髄抑制、胃腸症状
禁忌
所属するループ利尿薬
等価量
- フロセミド 40mg
- アゾセミド 60mg
- トラセミド 8mg
臨床関連
[★]
- 英
- QT interval
- 関
- QT、補正QT、QT延長症候群
概念
- 心電図のQ波の開始点からT波の終了点までの時間。
- 生理:心室筋の収縮(脱分極)~心室筋の弛緩(再分極)
- おおまかには、僧帽弁が閉じる少し前から大動脈弁が閉鎖するあたりまで。
- QTが長いと言うことは、心筋活動電図上で、0,1,2,3相が延長していると言うこと。大抵は2相だけど。抗不整脈薬class IAはQT延長させるが、Class IBはQTの延長はない(PHD.425)。
- 心拍数によって変動するため、バゼットの式で補正した補正QT時間(QTc)がしばしば用いられる。
- QTc = QT時間 / ( (R-R間隔)^(1/2) )
基準範囲
- 乳児期:400±20 ms
- 思春期~成人:420±20 ms
- 健常人の99パーセンタイルQTc値:460 ms(思春期前)、470 ms(思春期後の男性)、480 ms(思春期後の女性) (Acquired long QT syndrome: Definitions, causes, and pathophysiology - uptodate)
- PHD.94
- ジギタリス中毒(心電図の読み方パーフェクトマニュアル.208):PQ延長、QT短縮
- QT短縮:ジギタリスが作用している状態では、細胞内のCa2+濃度が上昇する。これにより、(1)Ca2+依存性K+チャネルの活性が亢進し速やかに再分極に至る。あるいは、(2)Ca2+チャネル活性が低下しており、Ca2+による脱分極の持続時間が短い。この2点によりQTが短縮するらしい。(PHD.399)
- PHD.94
臨床関連
- QT延長症候群:心筋細胞のイオンチャネルをコードする遺伝子の異常や薬剤などでQTcが異常に延長すると、不整脈を起こしやすくなる。
[★]
- 英
- digoxin
- 商
- Lanoxin、ジゴシン、ジゴシンエリキシル、ジゴハン、ハーフジゴキシン、メチルジゴキシン、ラニラピッド
- 関
- ジギトキシン、ジギタリス、強心薬、抗不整脈薬
- 強心剤
- first aid step1 2006 p.84,241,244
薬理作用
- 心筋収縮力の増強、心拍数の抑制および刺激伝導速度の低下
- 心電図の変化
- ↑PR、↓QT、↓ST(盆状低下, scooping of ST segment)、陰性T波
動態
適応
注意
- β遮断薬:房室伝導を抑制するので(陰性変伝導作用)、完全ブロックを起こす危険が高まる
- カルシウム拮抗薬:β遮断薬とカルシウム拮抗薬は、心筋の収縮力をさげ、ジギタリスの作用を増強しうる
- K+-wasting diuretics:低カリウム血症からジギタリス中毒を引き越しやすくなる
禁忌
副作用
- 消化器症状(nausea, vomiting, diarrhea)
- 循環器症状(不整脈)
- blurry yellow vision
-
- 低カリウム血症では、Na-K ATPaseがリン酸化され、ジゴキシンはリン酸化されたNa-K ATPaseと親和性が高いため(PPC.338)
[★]
- 英
- digitalis
- 関
- 強心薬、強心配糖体, cardiac glycosides、ジギタリス効果。メチルジゴキシン、ジゴキシン、ジギトキシン
|
effect expression
|
max ffect
|
sustain
|
half-time
|
absorbance
|
excertion
|
治療域血中濃度
|
ジゴキシン
|
-1hr
|
3-6hr
|
2-6day
|
36hr
|
60-85%
|
kidney
|
1-2 ng/ml
|
ジギトキシン
|
1-4hr
|
5-10hr
|
2-3week
|
4-5day
|
90-100%
|
liver
|
10-25 ng/ml
|
特徴
構造
薬理作用
- 1. 心筋収縮の増強 (mechanical effect)
- 2. 房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- 洞房結節での伝導速度が低下し、不応期が延長する → だから上室性頻拍のおいて心拍数を下げることができるし、リエントリー性の上室性頻拍を洞調律に戻すことができる。
作用機序
房室結節で不応期を延長 (mechanical effect)
- →心筋収縮を増強する
房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- →房室結節をブロックする。
- 1. 心臓組織に直接作用
- 2. 自律神経に作用し、副交感神経の緊張亢進、交感神経の活動性抑制
動態
- ジゴキシンは腎代謝で半減期が短い。治療濃度 1-2ng/ml
- ジギトキシンは肝代謝で半減期が長い。
適応
- 心不全患者の心不全入院を減らす。予後は改善しない。
- AFを伴うHFでは、心室レートをコントロールし十分な心室充満圧を得るためにジギタリスが用いられる。(ジゴキシンは1-2ng/mlで用いる)
注意
- 低カルシウム血症、腎機能低下例、薬物相互作用に注意
禁忌
YN.C-59
副作用
- also see GOO.922
[★]
- 英
- poisoning, intoxication
- 関
中毒の早期発見のための検査
- SUB.403
重金属
有機溶剤
中毒一覧
[★]
- 英
- toxin、poison、poison
- 関
- 毒素、毒物、毒を入れる、トキシン
[★]
- 英
- squirrel
- 関
- シマリス、リス科、ジリス属、プレーリードッグ