- 英
- frontotemporal dementia FTD
- 同
- 前頭側頭型痴呆
- 関
- 認知症、Pick病、前頭側頭葉変性症
- 初期には近時記憶の障害は目立たない (PSY.334)
- 側頭葉および前頭葉の葉状萎縮。 (PSY.334)
- 前頭葉優位型:周囲の状況に無関心で自らの慣習的行動に固執する常同行動が目立つ
- 左側頭葉優位型:言語的意味情報を貯蔵する部位の機能が脱落するために、語彙項目そのものが次第に減少して、音読や復唱が可能な単語の意味が分からない語義失語が特徴的に現れる
- 右側頭葉優位型:非言語的意味情報が同様に脱落するため、親しい人物の顔を見ても声を聞いても誰だか分からない人物同定の障害、ものを見てもさわっても分からない物品同定の障害が現れる。
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Japanese Journal
- 前頭側頭型認知症 (特集 認知症) -- (診断・治療の実際)
- 老年期に発症した前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)の臨床的特徴の検討
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- 次の文を読み、53~55 の問いに答えよ。
- 78歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴:2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を30分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。
- 既往歴:75歳時に両側の白内障手術。
- 家族歴:父親が脳梗塞。母親が胃癌。
- 生活歴:喫煙は65歳まで10本/日を45年間。13年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76歳の妻と長女夫婦と同居している。
- 現症:意識は清明。身長 168cm、体重 62kg。体温 36.3℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール12点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)14点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
- 検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、白血球 6,300、血小板 23万、PT 78%(基準 80~120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 22IU/L、ALT 38IU/L、LD 328IU/L(基準 176~353)、ALP 254IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 26IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 95IU/L(基準 37~160)、CK 96IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 102mg/dL、HbA1c 5.8%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、TSH 3.8μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT3 2.6pg/mL(基準 2.5~4.5)、FT4 1.0ng/dL(基準 0.8~2.2)。CRP 0.4mg/dL。脳血流SPECT(別冊No. 10A)とドパミントランスポーターSPECT(別冊No. 10B)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B053]←[国試_110]→[110B055]
[★]
- 65歳の女性。2年前から物の名前や言葉が思い浮かばず、ろれつも回りづらくなり、会話がたどたどしくなってきた。年前から徐々に右手の動きがぎこちなくなり、ボタン掛けや箸使いが困難になってきた。最近、右手が勝手に動き、自分の意志では制御できなくなってきたため受診した。意識は清明。身長 153cm、体重 43kg。体温 36.1℃。脈拍 72/分、整。血圧 118/68mmHg。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 19点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE) 22点(30点満点)。発語は努力性で非流暢であり、発音も明瞭ではないが、言語理解は保たれている。右上肢には衣服をまさぐるような動きが断続的にみられ、制止を指示すると自らの左手で右手を抑制する。右上肢には高度の筋強剛がみられるが、左上下肢の筋緊張は正常である。筋萎縮や振戦は認めない。四肢の腱反射は正常で、Babinski徴候を認めない。歩行では右下肢の振り出しに遅れがみられる。頭部MRIのT1強調冠状断像(別冊No.10)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D031]←[国試_113]→[113D033]
[★]
- 65歳の女性。健忘を主訴に家族に連れられて来院した。3か月前から家に引きこもりがちになり、倦怠感と不安とを訴えて外出しようとしなくなった。2週前からぼんやりして物忘れが目立つようになり、動作も緩慢になった。昨夜、誰もいないのに誰かを激しく叱っているところを家族が目撃した。意識レベルはJCSⅠ-1。活動性の低下を認める。身長 154cm、体重 67kg。体温 35.4℃。脈拍 52/分、整。血圧 94/48mmHg。呼吸数 12/分。顔面と両側の下腿とに浮腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは18点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)は20点(30点満点)である。四肢の近位部に徒手筋力テストで4の筋力低下を認め、大腿四頭筋を叩打すると筋腹の膨隆が生じる。腱反射は打腱後の筋弛緩遅延を認め、Babinski徴候は陰性である。
- 原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A020]←[国試_110]→[110A022]
[★]
- 72歳の女性。幻視を主訴に長女に伴われて受診した。1週前に「家に来ていた孫が急にいなくなった」と長女に電話した。長女によれば孫が来ているはずはないが「朝起きて居間に行くと、孫が黙って座っている姿が見えた。一生懸命勉強をしているようなので声をかけずにそっとしておいた。孫が家の中を歩いているのを見たが、こちらから呼ぶといなくなっていた」と述べた。数年前から長女の家に泊まった際に、夜中に寝言を言ったり笑ったりするのに気付かれていた。本人は「夢を見ていた」と述べることが多かった。半年ほど前から動作の緩慢が目立つようになっていたという。問診時の感情表出は自然であり礼節は保たれ、時間や場所の見当識に問題はなかった。血液検査と脳波検査とに異常を認めない。頭部MRIでは軽度の脳萎縮を認める以外に異常所見は認めない。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D046]←[国試_114]→[114D048]
[★]
- 65歳の女性。物忘れを主訴に家族に伴われて来院した。5か月前から歩行時のふらつきを自覚した。4か月前から物忘れがひどくなり、怒りっぽくなった。3週前から拒食傾向となり体重が減少した。意識レベルはJCSI-1。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧120/80mmHg。胸腹部に異常を認めない。改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールは16点(満点30)である。四肢に軽度の固縮を認め、右上肢に律動的な素早い不随意運動を認める。四肢の腱反射は両側で亢進している。Babinski反射は陰性。歩行は失調性で易転倒性である。血液所見と尿所見とに異常を認めない。頭部CTで軽度の脳萎縮を認める。脳波を以下に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
E
- 前頭葉障害、錐体外路障害、ミオクローヌス、錐体路障害、小脳失調、周期性同期性放電
※国試ナビ4※ [103D043]←[国試_103]→[103D045]
[★]
- 61歳の女性。無表情、無関心で元気がなくなったことを心配した家族に伴われて来院した。半年前から毎日、同じ時間に寝て起き、必ず同じ経路を散歩し、同じ料理しか作らず、他の家事をしなくなってきた。夫が注意しても平気な態度を示す。夫は「些細なことで急に怒り出すこともあって、人が変わってしまったようだ」と言う。診察室に入った途端に、自分では困ったことはないと挨拶もせず帰ろうとする。問題行動についての質問には返答しない。明らかな記銘力の低下を認めない。神経学的所見を含め身体所見に異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I042]←[国試_109]→[109I044]
[★]
- 75歳の男性。コミュニケーションが取れないため家族に連れられて来院した。2年前から会話が指示代名詞ばかりとなり、次第に言葉数が少なくなった。周囲に対して関心を示さず、部屋に閉じこもるようになり、最近は目的もなく毎日決まった時刻に全く同じルートを徘徊し、制止しても言うことをきかないという。神経学的所見に異常を認めない。改訂長谷川式簡易知能検査は協力が得られない。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A045]←[国試_111]→[111A047]
[★]
- 60歳の男性。従来は周囲に対する配慮ができていたが、最近は著しく自己中心的な言動が目立つようになったことを心配した家族に伴われて来院した。 1年前から気力がなくなり、ぽーつとたたずんでいることが多くなった。自室内には、数か月前から収集し続けているペットボトルが山積みになっているという。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D021]←[国試_105]→[105D023]
[★]
- 脳血流SPECT(別冊No. 1A、B)を別に示す。最も当てはまるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D001]←[国試_109]→[109D003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106I013]←[国試_106]→[106I015]
[★]
- 高齢者で初発するてんかんの原因として最も頻度が高い変性疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D007]←[国試_111]→[111D009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107A001]←[国試_107]→[107A003]
[★]
- 英
- progressive supranuclear palsy PSP
- 同
- 進行性核上麻痺、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群 スティール-リチャードソン-オルシェウスキィ症候群 Steele-Richardson-Olszewski syndrome
- 関
- パーキンソン症候群
[show details]
概念
- 難病であり、特定疾患治療研究事業の対象疾患である。
- 大脳基底核や脳幹が障害され、核上性注視麻痺とパーキンソニズムを中核症状として呈する慢性進行性変性疾患
- 中年期以降男性に好発し、易転倒性、核上性注視麻痺、パーキンソニズム、認知症などを特徴とする原因不明の疾患である。病理学的には淡蒼球、視床下核、小脳歯状核、赤核、黒質、脳幹被蓋の神経細胞が脱落し、異常リン酸化タウ蛋白が神経細胞内およびグリア細胞内に蓄積が見られる。(参考1)
症状
- 後方への転倒傾向(歩行障害。姿勢反射障害に基づく) が特徴
- 1. 項筋の緊張亢進:頭部背屈(項部ジストニア)
- 2 垂直性核上性眼球運動障害(垂直方向、特に下方への眼球運動制限)
- 下方注視障害により階段を降りることが困難。末期には水平運動も障害される。
- 3 パーキンソニズム:筋強剛が前景に出る(振戦は稀)。動作緩徐、姿勢反射障害
- 4 精神障害:皮質下性認知症(前頭側頭型認知症に類似)
- 5 偽性球麻痺:構音障害、嚥下障害
- ※ すくみ足が前景に出る場合はpure akinesia またはPSP-Pと呼ぶ
検査
治療
- L-ドーパやドパミンアゴニストなどのドパミン作動薬は無効
- 三環系抗うつ薬が有効であるという報告がある。アミトリプチリン
参考
- 1. パーキンソン病関連疾患 (1)進行性核上性麻痺 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/276
- http://www.jsnp.jp/cerebral_14.htm
<youtube>https://www.youtube.com/watch?v=BPt3pTzbcXc</youtube>
[★]
- 英
- Pick disease, Pick's disease
- 同
- Pick病
- 関
- 前頭側頭型認知症、認知症
概念
症状
ピック病とアルツハイマー型認知症
- 参考1より引用
|
アルツハイマー型認知症
|
ピック病
|
病気部位
|
側頭葉、頭頂葉
|
前頭葉、側頭葉
|
症状
|
「記憶の障害」
|
「行動の障害」
|
昼食を摂ったことを忘れるなど
|
同じことを同じ時間に繰り返すなど
|
診断治療
|
100年ほど前に発見され、原因の究明や治療の開発が不十分ながらも進んでいる
|
100年ほど前に発見されるが、世界共通の診断基準すらなく、発生頻度も不明
|
発病年齢
|
高齢になるほど増える
|
40代以降65歳頃までに発病することが多い
|
性差
|
女性にやや多い
|
性差なし
|
参考
- http://www.ninchisho.jp/kind/04.html
- http://emedicine.medscape.com/article/1135504-overview
- http://en.wikipedia.org/wiki/Pick's_disease
[★]
- 英
- frontotemporal lobar degeneration
- 同
- 前頭側頭型認知症?
- 関
- 痴呆、家族性痴呆症、意味性痴呆
HBN.930
- 広義のピック病
- 前頭葉・側頭葉が神経細胞脱落によって萎縮する疾患群。Pick小体の有無を問わない。
臨床型
[★]
- 英
- degenerative dementia, degenerative dementia
- 関
- 認知症
-
[★]
[★]
- 英
- familial frontotemporal dementia
- 関
- 前頭側頭型認知症
- 第17 染色体遺伝子に連鎖しパーキンソニズムを伴う家族性前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia and parkinsonism linked to chromosome 17)(FTDP-17)の病因はMAPT遺伝子の変異。
[★]
- 英
- dementia
- 同
- 痴呆、痴呆症、器質痴呆 organic dementia
- 関
- amyotrophic lateral sclerosis、ハチンスキー虚血スコア
定義
- いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたすようになった状態。(参考1)
- 1. 知的機能が脳の器質性障害によって低下
- 2. 認知機能が選択的に障害された状態(PSY.312)
- 3. 記憶と判断力の障害を基本とする症候群(PSY.312)
認知症の概念
- 1. 記憶障害
- 2. 記憶以外の認知機能の障害
- 3. それらによる日常生活や職業生活の障害
- 4. 意識障害によらないこと
認知症と区別すべき病態
など
認知症の分類
-
-
- ピック病:行動の障害、人格変化。Pick球やPick細胞が存在
原因疾患
原因
- KPS.369
認知症症状
1. 中核症状
- 記憶障害:初期には記銘力、短期記憶から障害される。早期:エピソード記憶 → 重症:意味記憶
- 判断力低下
- 見当識障害
- 言語障害(失語)
- 失行
- 失認
2. 周辺症状
認知症と老化現象との違い
- 老化現象
- 体験の一部を忘れる ← ヒントを与えられると思い出せる
- 名前や日付などをとっさに思い出せる
- 日常生活に支障はない
- 物忘れに対して自覚がある
- 体験した全てを忘れる。最近の記憶がない ← ヒントを与えられてても思い出せない
- 時間や自分のいる場所が分からない
- 日常生活を営むことが困難
- 物忘れに対して自覚がない
検査
診断
|
アルツハイマー病
|
脳血管性認知症
|
ピック病
|
認知症
|
全般的認知症
|
まだら認知症
|
アルツハイマー病に類似。 早期には人格、注意力が障害され、 次第に記憶力も障害される。
|
人格
|
晩期に人格障害
|
保たれる
|
早期に人格障害
|
病識
|
なし(初期にはあり)
|
あり
|
なし
|
経過
|
進行性
|
動揺性、階段状に進行性
|
進行性
|
基礎疾患
|
特になし
|
高血圧、糖尿病、心疾患
|
特になし
|
画像検査
|
対称性の脳溝開大
|
脳実質内に脳梗塞巣
|
側頭葉と前頭葉の萎縮
|
機能画像検査
|
側頭葉、頭頂葉での代謝低下
|
前頭葉を中心とした多発性の脳代謝低下
|
前頭葉、側頭葉での代謝低下
|
treatable dementia
- 治療可能な認知症を診断しておく。根本的な治療が可能で、認知機能は可逆的である。
- → 治療できる認知症
治療
認知症高齢者を対象とした事業・施設
国試
[★]
- 英
- cognition
- 同
- 認識 recognition
- 関
- 認知症
二次感覚野
↓
判断:感覚連合野
| ↓
| 記憶:辺縁系・扁桃核
| ↓
意志:運動連合野
↓
二次運動野
- 認知症ではこの認知が傷害される
[★]
- 英
- rostral、cranial、cephalad、cephalad
- 関
- 頭蓋、吻側、尾側
[★]
- 英
- forehead、frontal
- 関
- 前額、先端、前面、前頭部、額
[★]
- 英
- sis, pathy