ハンチントン病
WordNet
- United States railroad executive who built the western section of the first United States transcontinental railroad (1821-1900) (同)Collis Potter Huntington
- United States physician who first described Huntingtons chorea (同)George Huntington
- American revolutionary leader who signed the Declaration of Independence and was president of the Continental Congress (1731-1796) (同)Samuel Huntington
- a city of western West Virginia on the Ohio river at the mouth of the Kanawha
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ハンチントン病(はんちんとんびょう、英: Huntington's disease)は、大脳中心部にある線条体尾状核の神経細胞が変性・脱落することにより進行性の不随意運動(舞踏様運動、chorea(ギリシャ語で踊りの意))、認識力低下、情動障害等の症状が現れる常染色体優性遺伝病。日本では特定疾患に認定された指定難病である。
一般にハンチントン舞踏病(Huntington's chorea)として知られている。
目次
- 1 名称
- 2 疫学
- 3 原因
- 4 病態
- 5 アフリカーナーとハンチントン病
- 6 臨床像
- 7 治療
- 8 出典
- 9 参考文献
- 10 外部リンク
名称
かつて「ハンチントン舞踏病」(Huntington's Chorea)と呼ばれていたこともあるが、全身の不随意運動のみが着目されてしまうため、1980年代から欧米では「ハンチントン病」(Huntington's Disease)と呼ばれるようになった。日本でも2001年から「ハンチントン病」の名称を用いている。
疫学
原因となる変異をもつ場合には、高い確率で40歳前後に発症し、10~20年かけて進行する。世代を経るごとにその発症年齢が早くなること、父親から原因遺伝子を受け継いだときにそれが顕著になる現象も知られている。2006年現在では治療する方法は知られていない。1872年に米国ロングアイランドの医師ジョージ・ハンチントン(George Huntington)によって報告され、人種により異なるが白人での発生率は5-10/100,000、アジア人、アフリカ人ではその数10分の1となる。
原因
原因遺伝子として、第4染色体短腕上にあるhuntingtin遺伝子が同定されている[1]。huntingtin遺伝子の第1エクソンには、CAG(グルタミンをコード)の繰り返し配列が存在する。これは非病原性の場合では11~34コピーの反復であるが、病原性遺伝子では37~876コピーにもなる。繰り返し配列は系代する際に伸長し、特に父方の患者から受け継ぐときには原因不明の機構により大きく増加する。
病態
huntingtin遺伝子は3145アミノ酸残基のHuntingtin(ハンチンチン)タンパク質をコードする。このタンパク質は様々な組織で発現し全長タンパク質は主に細胞質に存在する。他のタンパク質とはとくに明確なアミノ酸配列類似性は無いが、ある種の神経栄養因子の発現量上昇に、転写抑制因子の抑制を通して機能しているという報告がなされている[2][3]。このことから神経栄養因子の量を増加させる何らかの手法が治療法になる可能性もあるかもしれないが、単純な機能喪失変異ではなく優性に作用することからそうではない可能性も高い。
CAG の繰り返しが増加した遺伝子からはアミノ末端のグルタミンの連続が長くなったタンパク質が作られ、このような Huntingtinタンパク質はより凝集を起こしやすくなっている。また長いポリグルタミンは他のタンパク質との相互作用に影響すること、Huntingtinタンパク質自身の切断を促進することなどが報告された。切断されたタンパク質は核に多く存在し、このことが細胞に対する毒性を発揮するさいに必要と考えられている。神経変性を引き起こす詳細な機構はいまだはっきりとはしないが、患者の脳でのミトコンドリアの呼吸鎖の異常やミトコンドリアDNAの欠失率の上昇、アポトーシス機構の関連、転写制御との関連などが指摘されている。 平均的に女児に多い。
アフリカーナーとハンチントン病
南アフリカの「アフリカーナー」と呼ばれる250万人程の集団のうち、100万人は20種類の姓に限られており、これらは20家族の子孫と考えられる。この20家族のうちにハンチントン病の患者が居たために、アフリカーナーの集団にそれが好発することは、遺伝の専門家の間では有名である。本来ならば10万人に1人が見つかるレベルの病気であるが、高い頻度で見つかる。
臨床像
治療
遺伝性疾患の為に、根本的な治療法や進行を防止する治療法は現在のところ確立されていない。
ハンチントン病はHuntingtinと呼ばれる特定タンパク質の変異によって起こる病であるが、その病変部位を染色するために使われる色素のコンゴーレッドに変異したタンパク質の凝集を遅らせる効果があることが報告され、神経障害の軽減や病状の進行を遅らせることが出来る可能性が示唆されている[4]。
他に胆汁から抽出した物質が持つ神経機能防護作用の利用[5][6]や胎児の脳細胞を移植する治療法[7][8]が提案されている。
出典
- ^ The Huntington's Disease Collaborative Research Group. (1993). "A novel gene containing a trinucleotide repeat that is expanded and unstable on Huntington's disease chromosomes.". Cell 72 (6): 971–983. PMID 8458085.
- ^ Zuccato C, Ciammola A, Rigamonti D, Leavitt BR, Goffredo D, Conti L, MacDonald ME, Friedlander RM, Silani V, Hayden MR, Timmusk T, Sipione S, Cattaneo E. (2001). "Loss of huntingtin-mediated BDNF gene transcription in Huntington's disease.". Science 293 (5529): 493–8. PMID 11408619.
- ^ Zuccato C, Tartari M, Crotti A, Goffredo D, Valenza M, Conti L, Cataudella T, Leavitt BR, Hayden MR, Timmusk T, Rigamonti D, Cattaneo E. (2003). "Huntingtin interacts with REST/NRSF to modulate the transcription of NRSE-controlled neuronal genes.". Nat. Genet. 35 (1): 76–83. PMID 12881722.
- ^ Frid P, Anisimov SV, Popovic N. (2007). "Congo red and protein aggregation in neurodegenerative diseases". Brain Res Rev. 53 (1): 135–60. PMID 16959325.
- ^ Keene CD, Rodrigues CM, Eich T, Linehan-Stieers C, Abt A, Kren BT, Steer CJ, Low WC. (2001). "A bile acid protects against motor and cognitive deficits and reduces striatal degeneration in the 3-nitropropionic acid model of Huntington's disease.". Exp Neurol. 171 (2): 351–360. PMID 11573988.
- ^ Keene CD, Rodrigues CM, Eich T, Chhabra MS, Steer CJ, Low WC. (2002). "Tauroursodeoxycholic acid, a bile acid, is neuroprotective in a transgenic animal model of Huntington's disease.". Proc Natl Acad Sci U S A. 99 (16): 10671–10676. PMID 12149470.
- ^ Bachoud-Lévi AC, Rémy P, Nguyen JP, Brugières P, Lefaucheur JP, Bourdet C, Baudic S, Gaura V, Maison P, Haddad B, Boissé MF, Grandmougin T, Jény R, Bartolomeo P, Dalla Barba G, Degos JD, Lisovoski F, Ergis AM, Pailhous E, Cesaro P, Hantraye P, Peschanski M. (2000). "Motor and cognitive improvements in patients with Huntington's disease after neural transplantation.". Lancet 356 (9246): 1975–1979. PMID 11130527.
- ^ Freeman TB, Cicchetti F, Hauser RA, Deacon TW, Li XJ, Hersch SM, Nauert GM, Sanberg PR, Kordower JH, Saporta S, Isacson O. (2000). "Transplanted fetal striatum in Huntington's disease: phenotypic development and lack of pathology.". Proc Natl Acad Sci U S A. 97 (25): 13877–13882. PMID 11106399.
参考文献
- 日本ハンチントン病ネットワーク編「ハンチントン病を理解していただくために」,2003.
- 『遺伝Q&A』, 中込弥男/著, 裳華房, 2000.9, ISBN 4-7853-8723-8
外部リンク
ハンチントン病 - 脳科学辞典
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精神と行動の障害(ICD-F - 290-319) |
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器質性 / 症状性 |
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認知症
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- 軽度認知症
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- 多発性脳梗塞認知症
- ピック病
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- ハンチントン病
- パーキンソン病
- AIDS認知症症候群
- 前頭側頭型認知症
- 日没症候群
- 認知症徘徊
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その他
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- せん妄
- 脳振盪後症候群
- 器質脳症候群
- 他の症状性を含む器質性精神障害
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精神作用物質使用、薬物乱用による障害 |
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- 薬物中毒 / オーバードース
- 身体依存
- 薬物依存症
- 反跳作用
- 二重反跳
- 離脱
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気分障害(感情障害) |
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- 躁病
- 双極性障害(I型 - II型 - 気分循環症)
- 抑うつ症状(大うつ病性障害 - 気分変調症 - 季節性情動障害 - 非定型うつ病 - メランコリー型うつ病)
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神経症 - ストレス関連 - 身体表現性障害 |
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不安障害
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恐怖症
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- 広場恐怖症
- 社会恐怖 / 社交不安障害(対人恐怖)
- 特定の恐怖症(閉所恐怖症)
- 単一社会恐怖
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その他
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- パニック障害
- 全般性不安障害
- 強迫性障害
- ストレス(急性ストレス障害 - PTSD)
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適応障害
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身体表現性障害
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- 身体化障害
- 身体醜形障害
- 心気症
- 疾病恐怖
- ダ・コスタ症候群
- 疼痛性障害
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- Mass Psychogenic Illness
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解離性障害
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- 解離性同一性障害
- 解離性健忘
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生理的・身体的 |
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摂食障害
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- 神経性無食欲症
- 神経性大食症
- 反芻性障害
- 特定不能の摂食障害
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非器質性睡眠障害
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性機能障害
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- 疼痛(膣痙 - 性交疼痛)
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産後
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成人のパーソナリティと行動 |
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性と性同一性
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その他
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小児の精神障害 |
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精神遅滞
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未分類 |
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Japanese Journal
- 舞踏運動がみられず,長期にわたり精神疾患と誤診されたHuntington病の1例
- 神経変性疾患とオートファジー (AYUMI オートファジーと疾患)
- 精神症状が先行し,統合失調症として治療していたHuntington病の1症例 (特集 症状性を含む器質性精神障害の症例)
Related Links
- 常染色体優性遺伝型式を示す遺伝性の神経変性疾患で、舞踏運動などの不随意運動、精神症状、行動異常、認知障害などを臨床像の特徴とします。これらの症状はいつのまにか始まり、ゆっくり進行します。舞踏運動というのは、体が ...
- GRJ top > 遺伝子疾患情報リスト ハンチントン病 (Huntington Disease) [HD, Huntington Chorea] GeneReview 著者 :Simon C Warby, PhD, Rona K Graham, PhD, Michael R Hayden, MB, ChB, PhD, FRCP(C), FRSC. 日本語訳者: 窪田 ...
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