プロプラノロール
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プロプラノロール
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臨床データ |
ライセンス |
US FDA:link |
胎児危険度分類 |
C(AU) C(US) |
法的規制 |
Prescription Only (S4) (AU) POM (UK) ℞-only (US) |
識別 |
ATCコード |
C07AA05 |
KEGG |
D08443 |
化学的データ |
化学式 |
C16H21NO2 |
プロプラノロール(英: propranolol)は、アドレナリン作動性効果遮断薬の1つ。β1受容体とβ2受容体を遮断する。プロプラノロールはキニジン様作用も有する。不整脈、高血圧、心筋梗塞、緑内障、偏頭痛の治療に使用される。副作用として喘息を悪化させたり,頭痛,倦怠,めまい,徐脈などが発生することがあげられる。日本での代表的な商品名は「インデラル」(アストラ・ゼネカ販売)。
目次
- 1 効能・効果
- 2 関連項目
- 3 研究報告
- 4 脚注
- 5 参考文献
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効能・効果
- 本態性高血圧症
- 狭心症
- 頻拍を伴う不整脈・心房細動
- 片頭痛発作の発症抑制 (2013年2月28日承認)
- 日本の慢性頭痛治療ガイドラインで推奨グレードA(強く行うように勧められる)とされている。
関連項目
研究報告
カナダのマギル大学の研究者たちの報告によると、トラウマ的な出来事を思い出した直後にプロプラノロールを投与すると記憶の辛さが緩和されるという研究報告がなされている[1]。
脚注
- ^ Scientists find drug to banish bad memories
参考文献
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
心血管疾患 |
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疾患 |
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心疾患
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不整脈
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徐脈性
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洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
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頻脈性
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上室性
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洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
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心室性
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心室細動 | 心室頻拍
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虚血性心疾患
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狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
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心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
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心内膜・心筋
・心膜疾患
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心内膜疾患
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心臓腫瘍 | 心臓神経症 | 心臓性喘息 | 肺性心
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血管疾患
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静脈
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静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
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病態・症候 |
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左心不全 | 右心不全
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血圧異常
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高血圧
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本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
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低血圧
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所見・検査 |
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血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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循環器系の正常構造・生理 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P4-8-2 減汗性コリン性蕁麻疹とアドレナリン性蕁麻疹を合併し,インデラルが有効であった1例(P4-8皮膚アレルギー(アトピー性皮膚炎を除く),一般演題,第22回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 大久保 真由美,山川 和宣,蔵本 和彦,坂東 正章,石田 志朗,岡野 善郎
- 小松島赤十字病院医学雑誌 = Komatushima Red Cross Hospital Medical Journal 6(1), 10-12, 2001-03-01
- … 当院における心臓手術の際使用している心筋保護剤(GIH)[5%ブドウ糖液中に塩酸パパベリン、インデラル、ヘパリンナトリウム、KCL(リン酸リボフラビン含有)の注射液を含む]を緊急時に備えて予め院内製剤として薬剤部で調整するにあたり、GIKの製剤学的安定性について検討してみた。 …
- NAID 120005273689
- 上野 和行,和田 恭一
- 病院薬学 11(4), 359-362, 1985-08-20
- The quality test of a commercial propranolol hydrochloride sustained-release preparation (Inderal LA) was conducted from 3 directions: weight variation, content uniformity and dissolution. The weight …
- NAID 110001798094
Related Links
- インデラルとは?プロプラノロールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:薬事典版)
- 2013年4月13日 ... 効能・効果, 本態性高血圧症<軽症~中等症>、狭心症、(期外収縮<上室性>、期外 収縮<心室性>)、発作性頻拍の予防、(新鮮心房細動、洞性頻脈、頻拍性心房細動< 徐脈効果>)、発作性心房細動の予防、褐色細胞腫の手術時、片 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
インデラル錠10mg
組成
成分・含量(1錠中)
添加物
- D-マンニトール、ゼラチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支を収縮し、喘息症状が誘発又は悪化するおそれがある。]
- 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
- 高度又は症状を呈する徐脈、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
- 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
- 肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
- うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
- 低血圧症の患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
- 長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクし、発見を遅らせる危険性がある。]
- 重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)[症状が悪化するおそれがある。]
- 未治療の褐色細胞腫の患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
- 異型狭心症の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- チオリダジンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 安息香酸リザトリプタンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- 本態性高血圧症(軽症〜中等症)
- 狭心症
- 期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防
- 褐色細胞腫手術時
- 小児等に、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防を目的に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。
本態性高血圧症(軽症〜中等症)に使用する場合
- 通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30〜60mgより投与をはじめ、効果不十分な場合は120mgまで漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
狭心症、褐色細胞腫手術時に使用する場合通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防に使用する場合成人通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。小児通常、小児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5〜2mg/kgを、低用量から開始し、1日3〜4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができるが、1日投与量として90mgを超えないこと。
- 褐色細胞腫の患者では、本剤投与により急激に血圧が上昇することがあるので本剤を単独で投与しないこと。褐色細胞腫の患者に投与する場合には、α遮断剤で初期治療を行った後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。
慎重投与
- うっ血性心不全のおそれのある患者[心機能を抑制し、うっ血性心不全が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、ジギタリス剤を併用するなど、慎重に投与すること。]
- 甲状腺中毒症の患者[中毒症状をマスクするおそれがある。]
- 特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態(手術前後等)の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]
- 重篤な肝、腎機能障害のある患者[薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。]
- 重度でない末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)[症状が悪化するおそれがある。]
- 徐脈のある患者(「禁忌」の項参照)[徐脈が悪化するおそれがある。]
- 房室ブロック(I度)のある患者[房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。]
- 高齢者(「重要な基本的注意」及び「高齢者への投与」の項参照)
- 小児等 [痙攣や昏睡を伴う重度の低血糖を起こすことがある。]
重大な副作用
- うっ血性心不全(又はその悪化)、徐脈、末梢性虚血(レイノー様症状等)、房室ブロック(0.1〜5%未満);失神を伴う起立性低血圧(0.1%未満):このような症状があらわれた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
- 無顆粒球症、血小板減少症、紫斑病(0.1%未満):このような症状があらわれた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
- 気管支痙攣(0.1〜5%未満);呼吸困難、喘鳴(0.1%未満):このような症状があらわれた場合には、減量又は中止し、必要に応じてβ2作動薬を用いるなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
交感神経β受容体遮断作用
- 健康成人男子9),10)及び健康成人女子9)にプロプラノロール塩酸塩を経口投与した場合、イソプレナリン負荷9)及び運動負荷10)による心拍数の増加を抑制し、心仕事量を減少させ、交感神経β受容体遮断作用を示した。
降圧作用
- プロプラノロール塩酸塩は本態性高血圧症患者に対し連続経口投与により降圧作用を示すが、その作用機序については、心拍出量に対する作用11)、レニン分泌抑制作用12)、末梢血管抵抗減少作用13)が高血圧症患者において認められているほか、ネコを用いた実験で中枢作用14)、モルモット心房標本を用いたin vitroの実験で交感神経末梢からのノルアドレナリン遊離減少作用15)等が示されている。
膜安定化作用16)
- プロプラノロール塩酸塩はウサギ心房筋標本を用いた電気生理学的実験において膜安定化作用を示した。
内因性交感神経刺激作用17)
- プロプラノロール塩酸塩はラットを用いた実験で内因性交感神経刺激作用を示さなかった。
有効成分に関する理化学的知見
- 一般名:プロプラノロール塩酸塩(Propranolol Hydrochloride)(JAN)(日局)
- 化学名:(2RS)-1-(1-Methylethyl)amino-3-(naphthalen-1-yloxy)propan-2-ol monohydrochloride
- 構造式:
- 分子式:C16H21NO2・HCl
- 分子量:295.80
- 融点 :163〜166℃
- 性状 :白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。メタノール溶液(1→40)は旋光性を示さない。光によって徐々に帯黄白色〜淡褐色になる。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗不整脈薬
商品
[★]
- 英
- drug-induced hypoglycemia
- 同
- 薬剤性低血糖症
- 関
- 低血糖
低血糖を引きおこす薬剤
- DMR.295
[★]
急性期治療
トリプタン系薬
エルゴタミン系薬
アセトアミノフェン
NSAIDs
鎮吐薬
予防薬
カルシウム拮抗薬
三環系抗うつ薬
β遮断薬
抗てんかん薬
[★]
- 英
- propranolol
- ラ
- propranololum
- 化
- 塩酸プロプラノロール propranolol hydrochloride
- 商
- アイデイトロール、インデラル Inderal、サワタール、ソラシロール、ノルモテンス、ヘルツベース、メントリース
- 関
- 血圧降下剤
- 非選択的β受容体遮断薬 (β1受容体=β2受容体)
- 競合的
- 内因性交感神経刺激作用:無
- 膜安定化作用:有
- 脳血管関門:通過
- レニン分泌抑制作用:有
- 降圧作用を示す
- 作用
- 抗狭心作用
- 抗不整脈作用