- 英
- droplet infection
- 関
- 感染経路、飛沫散布
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/23 00:18:27」(JST)
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感染経路(かんせんけいろ、英: route of infection)は、感染を生じた個体や環境中に存在する病原体が、未感染の個体に到達して新たに感染を起こす経路をいう。病原体によっては複数の感染経路を介して感染を生じる場合もある。伝染病をはじめとした集団感染や院内感染の予防など感染管理上は病原体を突き止め感染源を割り出すことも重要だが、何よりも感染経路を絶たなければ終息は図れない。
目次
- 1 主要な感染経路
- 1.1 接触感染(直接感染)
- 1.2 介達感染
- 1.3 飛沫感染
- 1.4 飛沫核感染(空気感染、塵埃感染)
- 1.5 唾液感染
- 1.6 経口感染(水系感染、水系流行)
- 1.7 ベクター感染(水平伝播)
- 1.8 血液感染(交差感染)
- 1.9 母子感染
- 2 感染経路の同定
- 2.1 病原体が同定できる場合
- 2.2 病原体が同定できない場合
- 3 関連項目
主要な感染経路
- 以下に感染経路における感染症の例が挙げられているが、感染経路が複数ある場合があり1対1の関係ではないことに注意が必要である。
接触感染(直接感染)
皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、その他手すりなど患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着し、その結果感染が成立するもの。
- 伝染性膿痂疹など皮膚疾患や流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的。
- 疥癬をはじめ、精液を介した性感染症(梅毒、風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、B型肝炎、AIDSなど)の多くも含まれる。
- 医療現場ではMRSAなどの薬剤耐性菌の伝染の主要な経路である。
- その他、狂犬病、鼡咬症、エボラ出血熱、破傷風、ガス壊疽など
介達感染
汚染されたものなどを媒介として感染するもの。食中毒、ジフテリア、B型肝炎、結核など
飛沫感染
患者の咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)は時に病原体を含んでいるが、これが他人の粘膜に付着することで感染が成立する。
- 5マイクロメートル以上と大きく重いものは3フィート未満しか到達しない。
- 風疹ウイルスを始め上気道炎症状を伴うウイルス感染症(エボラ出血熱、インフルエンザ、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的。
- SARSの原因となったコロナウイルスについてもこの経路が主体だと考えられている。
飛沫核感染(空気感染、塵埃感染)
飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート(約1m)以上の長距離を移動する。呼吸により粒子を吸い込むことにより感染を生じる。埃と一緒にウイルスを吸い込む場合でもなる。
飛沫感染と飛沫核感染は病室管理上、区別する必要がある。飛沫核感染する、治療法のない強感染性・強毒性の病原体に感染した患者はフィルターをもった独立した排気経路のある陰圧室での隔離が理想である。
- 麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・結核が代表的。
- コロナウイルスでも可能性が示唆されている。
唾液感染
唾液の中に生息する病原体が口移しやディープキスなどで唾液を介して感染が成立する。 臨床感染経路分類論では歯垢感染と呼気感染は経口感染に入るが、唾液感染は入らない。
経口感染(水系感染、水系流行)
感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取により感染が成立する。
- 前者の例としてBSE、後者の例として病原性大腸菌O157(ブドウ球菌)、好塩菌、ボツリヌス菌やサルモネラ、腸チフス、パラチフス、赤痢、コレラ、アメーバ赤痢、ポリオ、A型肝炎、ワイル病、角結膜炎など。
ベクター感染(水平伝播)
他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合(生物学的伝播)と、(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的伝播、機械的ベクター感染) とがある。
- (1) の例は、カによる日本脳炎やマラリアなどの昆虫媒介感染症、シラミによる発疹チフスの媒介、腸チフス、パラチフス、サルモネラ、コレラ、ポリオなど。
- (2) の例は、ハエによる病原大腸菌O157や赤痢菌の媒介、鳥インフルエンザの鶏舎間媒介。
血液感染(交差感染)
注射や輸血、歯科治療といった医療行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の病原体が感染を生じる。
- HIV、B型肝炎、C型肝炎、クロイツフェルト・ヤコブ病が代表的。
- 大量の曝露があれば梅毒も考慮される。
母子感染
垂直感染(垂直伝播)とも。さらに次の様に分類される。
- 胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): 胎盤を通る血液を通じて感染。風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルスなど。
- 産道感染(経膣感染): 出産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染。B型肝炎やHIVなど。
- 母乳感染: HIVや成人T細胞白血病ウイルスなど。
感染経路の同定
病原体が同定できる場合
患者が共用する手すりや医療機器などの表面を拭って培養し(環境スクリーニング)、病原体が検出されればその物体が感染経路の一つであると推定する。さらに細菌感染症の場合、パルスフィールドゲル電気泳動により遺伝子型の近似性を調べると、水平感染の時間的順序を推定することができるため、最初に集団内に病原体が持ち込まれた経緯が分かることも少なくない。
病原体が同定できない場合
初期のSARSの様に、病原体が同定できない場合は、有病者と健常者をまず隔離してそれぞれの行動パターンや生活背景、さらに他人との接触歴について詳細な情報収集を行う。その中から感染の有無と相関のある因子を疫学的に割り出すことで感染経路を推定する。
例:有病者から席の離れた同室者複数に発症が見られた場合、飛沫核感染(空気感染)が疑われる、など。
関連項目
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Japanese Journal
- 飛沫感染対策 (特集 肺炎の最新知識 医療・介護関連肺炎) -- (医療・介護関連肺炎の防止策)
- 伊藤 守弘イトウ モリヒロIto Morihiro,下方 薫シモカタ カオルShimokata Kaoru
- 生命健康科学研究所紀要 8, 16-18, 2012-03-00
- … さらに、患者情報および症状から、空気感染や飛沫感染、接触感染する感染症が疑われる場合には、すみやかに感染経路別予防策を実施すべきである。 …
- NAID 120004688227
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- ). 飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル 以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、 3 ...
- 2007年12月11日 ... 空気感染と飛沫感染の違いをおしえていただけないでしょうか?空気感染は、排出され た微生物が小さい飛沫粒子(5μm以下)の中に存在し、麻疹・水痘・結核が空気感染する ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 65歳の女性。前日からの右眼の眼脂、流涙および結膜充血を主訴に来院した。同居している7歳の孫に約1週前から同様の症状があった。羞明がある。右耳前リンパ節の腫脹と圧痛とを認める。前眼部写真を以下に示す。この疾患で正しいのはどれか。
- a. 飛沫感染する。
- b. 片眼のみの発症が多い。
- c. 発症後3~4日で自然治癒する。
- d. 病原体はヘルペスウイルスである。
- e. 特異的療法はない。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A037]←[国試_102]→[102A039]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103C006]←[国試_103]→[103C008]
[★]
- 麻疹の感染予防対策として最も重要な感染経路はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097G062]←[国試_097]→[097G064]
[★]
- 英
- cold syndrome, common cold syndrome
- 同
- 上気道症候群 upper airway syndrome、急性上気道炎 acute upper respiratory tract infection
- 関
概念
- 上気道粘膜の急性カタル性炎症(急性カタル性上気道炎)の総称
- 急性鼻炎や咽頭炎を呈し、全身症状は軽微。
- 予後良好、2-5日で軽快し予後は良好。
病因
-
- 環境要因:個体条件(アレルギー、免疫不全、脱水、疲労、飲酒など)、物理化学的刺激(乾燥、寒冷)
疫学
- 多くの人が1年に1回以上罹患。冬期に多い。
- 小児において罹患回数が多い → 成人になると記憶T細胞、記憶B細胞が増加するため、なんとなくウイルスに対して抵抗性が付与される、はず。
病理
- ウイルスの場合、上気道粘膜に付着して、粘膜上皮を冒す。上気道線毛円柱上皮(呼吸上皮)に付着し、上皮細胞は変性・脱落・壊死する。上皮を失った部位から細菌が侵入しやすくなる。
病型
症状
- 鼻かぜ:鼻汁、鼻閉などの鼻症状が主体
- のどかぜ:咽頭痛、嗄声など咽頭症状が主体
- 気管支かぜ:咳、痰などの気管支症状が主体
共通の症状
- まず、鼻炎症状が緩徐に発現し、鼻咽頭不快感・乾燥感、くしゃみ、鼻閉、水様鼻汁を呈する。
病原体に特異的な症状
診断
- 臨床的診断
- 検査はほとんどの場合行わないが、インフルエンザ、溶連菌などを鑑別する場合には迅速診断キットを使う。 → つかえる迅速診断キットがあればのはなし
検査
- 血液検査:ウイルス感染の場合、WBCやCRPは動かないが、細菌感染があれば上昇する。
- ウイルス分離は一般臨床では行われない。 → 高コストだし、培養している内に治癒する。
- 血清抗体価測定ではペア血清で 4 倍以上の上昇で陽性とする。 → 高コストだし、ペア血清を取った時点で治癒する。
- 細菌感染を疑ったら、喀痰検査(培養は時間がかかるので検鏡でしょう?)、血液検査(血算)のちに、培養して薬物感受性検査を行う(けど時間がどのくらいかかるのやら)
治療
- 一般療法(安静、保温・保湿、栄養補給、脱水予防、入浴制限)
- 対症療法:解熱・鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、蛋白分解酵素製剤、含嗽薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬
- 細菌感染が疑われるときのみ、抗生物質を使用する。予防的に使うのはいかがな最中
予後
予防
- RSウイルス:適応が限られるが、ワクチンを使うことができる。
[★]
- 英
- influenza, Flu, flu
- 同
- 流行性感冒、epidemic catarrh
- 関
- インフルエンザウイルス。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ
[show details]
概念
病原体
潜伏期間
感染経路
疫学
症状
合併症
- 気道粘膜の抵抗性低下、貪食細胞の機能低下による。
- 起炎菌:黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖菌、インフルエンザ桿菌。
- 中枢神経合併症で小児に見られる。インフルエンザ及び水痘感染に際してみられる重篤な合併症。新形態射精疾患(急性非炎症性脳炎、脂肪肝から肝機能障害も起こす)。解熱剤として使われたアスピリンとの因果関係がある、らしい。このため、インフルエンザの解熱、とりわけ小児についてはアセトアミノフェンを使うこととなっている。
- A型インフルエンザウイルスによる上気道炎回復後2-3週間に発症。脳炎タイプは一過性で予後はよい。脳症タイプは予後が悪い。
経過
- 全身症状(発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛)→局所症状(咳、咽頭痛)→鼻汁、結膜充血、流涙→局所症状の始まりから2-3日で回復
- 感染力は発症直前から発症後3日までが最も強い。発症から7日間はウイルスを排出する。
治療
治療薬
検査
- ウイルス分離:MDCK細胞に接種しCPEの観察。発育鶏卵を利用した羊膜amniotic cavity内接種。尿膜allantoic cavity内培養
- ウイルス粒子検出:PCR
- 血清診断:ペア血清を用いて、赤血球凝集抑制試験、補体結合反応、中和試験で診断
予防
- 香港A型、ソ連A型、およびB型のウイルスが含まれる
- 精製ウイルスからエーテル処理により脂質を除去したもの
- →表面抗原に対する抗体は誘導されない→感染時に症状を軽減する効果
法令
[★]
- 英
- respiratory syncytial virus infection RSV infection, RS virus infection
- 同
- RSウイルス肺炎 respiratory syncytial viral pneumonia、呼吸器合胞体ウイルス感染症、呼吸器多核体ウイルス感染症、RSウイルス感染
- 関
- RSウイルス
病原体
疫学
- 11-12月/冬期から春期に流行。
- 新生児の50%が冬期に感染するらしい。
- 乳児で重症化。
- 生後2-3年の間にほぼ全ての人が感染。
感染経路
潜伏期間
症状
合併症
経過
治療
検査
予防
- 予防ワクチンはない。再感染を繰り返す。成人では罹患しにくくなる。
- 重症化を抑制するワクチンは存在する
- パリビズマブ:高リスク群(生後数ヶ月以内の低出生体重児、慢性肺疾患、先天性心疾患の乳幼児)で適応のあるヒト化モノクローナル抗体。重篤な下気道疾患の発症抑制。11-3月の間で月1回筋肉注射。
[★]
- 英
- aerosol transmission, air-borne infection
- 関
- 感染経路
定義
- 何らかの経路で空気中に放出されたウイルスが宿主に吸引、吸着されることで感染が成立する様式
空気感染
-
- 1-2μm
- 結核・ウイルス
[★]
- 英
- infection
- 関
- 定着、感染症、不顕性感染、顕性感染。サブクリニカル感染
- 細菌が宿主の体表面、体内や組織内に付着して増殖し、定着している状態。
- 感染の成立には微生物(定着能、増殖能、細胞内進入能、毒素産生能などを総合した病原性)と宿主(排除能、殺菌能などの生体防御機構)の力関係が崩れたときに生じる