- 英
- palivizumab
- 商
- シナジス Synagis
- 関
- RSウイルス
添付文書
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/07 20:30:23」(JST)
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パリビズマブ ?
モノクローナル抗体 |
種類 |
全長抗体 |
原料 |
ヒト化 (マウスより) |
抗原 |
RSウイルスの融合タンパク質 |
臨床データ |
商品名 |
Synagis |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a698034 |
胎児危険度分類 |
C |
法的規制 |
? |
投与方法 |
筋肉注射 |
薬物動態的データ |
半減期 |
18-20日 |
識別 |
CAS登録番号 |
188039-54-5 |
ATCコード |
J06BB16 |
DrugBank |
BTD00097 |
ChemSpider |
NA |
UNII |
DQ448MW7KS |
ChEMBL |
CHEMBL1201586 |
化学的データ |
化学式 |
? |
パリビズマブ(Palivizumab、米MedImmue社の商品名:シナジス )は遺伝子組み換え技術によって作られるモノクローナル抗体である。RSウイルスの感染予防に用いられる。早産児や、先天的な心臓病などの理由で感染後の危険性が高い幼児への投与が推奨される。
パリビズマブはRSウイルスの融合タンパク質のA抗原部位中のエピトープを標的としたヒト化モノクローナル抗体である。 小児科における第Ⅲ相試験では、RSウイルス感染による入院率を減少させることが確認された。パリビズマブはRSウイルスの流行期の間、月に一度筋肉注射によって投薬する。[1]
パリビズマブはRSウイルスの融合タンパク質を標的とし[2]、RSウイルスが細胞へ侵入するのを抑制することによって感染を予防する。
使用に関する提言[編集]
米国小児科学会はパリビズマブの使用に関する提言[3]を公表した。最新版は2009年に出版された。[4] パリビズマブは治療ではなく予防にのみ使われるべきで、RSウイルスが流行(通常11月から3月)したときには流行期中ずっと投薬を続けるべきであるという。
パリビズマブによる予防を検討する理由には以下のものがある:
- 早産
-
- 在胎28週以下の生後12ヶ月未満の子: 流行開始時
- 在胎29~32週の生後6ヶ月未満の子: 流行開始時
- 在胎32~35週の生後3ヶ月未満の子でリスク要因(子の小児保育への出席または5歳未満の兄弟)がある場合: 流行開始時
- 慢性の肺病を持つ早産児
-
- 酸素または薬物投与が必要な慢性の肺疾患の子: 最初の流行期の6ヶ月前と、最初と2度目の流行期
- 先天性心疾患
-
- チアノーゼ性心疾患の子: 生後の24ヶ月間
- 中度から重度の肺高血圧の子: 生後の24ヶ月間
- 薬物投与が必要なうっ血性心不全: 生後の24ヶ月間
- 流行期に心臓切開手術を経験した子: 心肺バイパス後に1回投与量追加(この他の基準を満たす場合のみ)
その他、不十分なデータしかないが予防の検討が必要かもしれない状態:
-
注目すべきは、パリビズマブによる予防は非常に費用のかかること、そして上記の提言はRSウイルスによる重度の疾患を防ぐための、総合的な費用対効果の評価に基づいて書かれていることである。しかしながら、費用対効果の課題は依然として研究と議論の領域を出ない。
参考文献[編集]
- ^ http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2002/palimed102302LB.pdf
- ^ Levinson, Wilson. "Medical Microbiology and Immunology, 8th ed." Lange: 2004. p. 430.
- ^ American Academy of Pediatrics. "Red Book: 2006 Report of the Committee on Infectious Diseases, 27th ed." pp 562-565.
- ^ American Academy of Pediatrics. "Red Book: 2009 Report of the Committee on Infectious Diseases, 28th ed." pp 562-569.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 集中治療を必要としたRSウイルス感染とパリビズマブとの関連について
- RSウイルス感染症 (特集 これが大切! 1カ月以内の新生児疾患) -- (見落としてはならない重症疾患・対応に迷う疾患)
Related Links
- なお、予防接種(ワクチン)ではありませんが、抗RSウイルスヒト化モノクローナル 抗体のパリビズマブ(遺伝子組み換え)という注射薬が、アメリカ合衆国では1998年から 、日本では2002年から、承認・市販されています(商品名:シナジス)。 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
シナジス筋注用50mg
組成
有効成分
含量
添加物
- L-ヒスチジン 5.2mg
グリシン 0.16mg
D-マンニトール 40.5mg
- 本剤はマウスミエローマ細胞を使用して製造されている.製造工程における培地成分の一部にウシ血液由来成分(トランスフェリン,リポプロテイン,アルブミン)及び羊毛由来成分(濃縮リピッド)を使用している.
禁忌
効能または効果
- 下記の新生児,乳児及び幼児におけるRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染による重篤な下気道疾患の発症抑制
RSウイルス感染流行初期において
- ・在胎期間28週以下の早産で,12ヵ月齢以下の新生児及び乳児
- ・在胎期間29週?35週の早産で,6ヵ月齢以下の新生児及び乳児
- ・過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児,乳児及び幼児
- ・24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児,乳児及び幼児
- パリビズマブ(遺伝子組換え)として体重1kgあたり15mgをRSウイルス流行期を通して月1回筋肉内に投与する.なお,注射量が1mLを超える場合には分割して投与する.
- 添付の日局注射用水で50mg製剤は0.6mL,100mg製剤は1.0mLに溶解(100mg/mL)する.溶解後の投与液量は以下による.
1回投与液量(mL)=体重(kg)× 15mg/kg÷100mg/mL
(調製方法は「適用上の注意」の項参照).
- 本剤投与中に患者がRSウイルスに感染した場合においても,再感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制するためにRSウイルスの流行期間中は本剤を継続投与することが推奨される.
- 心肺バイパス施行により本剤の血中濃度が低下するので,心肺バイパス施行後は前回投与から1ヵ月を経過していなくても速やかに本剤の投与を行うことが望ましい.以後,その投与を基点とし,通常どおりの間隔で投与すること(「薬物動態」の項参照).
慎重投与
- 血小板減少症あるいはその他の凝固障害等により出血傾向のある患者.[出血により重篤な状態を招くおそれがある.止血を確認できるまで投与部位を押さえるなど慎重に投与すること.]
重大な副作用
ショック,アナフィラキシー様症状
頻度不明注)
- ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがある.観察を十分行い,チアノーゼ,冷汗,血圧低下,呼吸困難,喘鳴,頻脈等があらわれた場合には投与を中止し,エピネフリン(1:1000)の投与による保存的治療等の適切な処置を行うこと.
薬効薬理
作用機序
- 本剤はRSウイルスのFたん白質上の抗原部位A領域に対する特異的ヒト化モノクローナル抗体である.本剤はRSウイルスが宿主細胞に接着・侵入する際に重要な役割を果たすFたん白質に結合してウイルスの感染性を中和し,ウイルスの複製及び増殖を抑制する.
臨床分離株に対する作用
- 米国で得られたRSウイルスのサブタイプA及びBを含む臨床分離株の57株(サブタイプA:34株,B:23株 )すべてに対して本剤は中和活性を示した3).
さらに,米国,ヨーロッパ及び南アメリカより計491株のRSウイルス臨床分離株に対する結合性を検討した結果,全株に対して本剤は結合した.
国内で得られたRSウイルス臨床分離株の23株(サブタイプA:13株,B:9株,不明:1株 )すべてに対して本剤は結合した.
RSウイルス感染予防試験
- コットンラットを用いたRSウイルス感染予防試験において,ウイルス感染前に本剤2.5mg/kgを静脈内投与した場合,本剤を投与したラットにおける肺組織中のRSウイルス量は本剤を投与しなかったラットの100分の1以下に減少した.また,このときの本剤の平均血清中濃度は約30μg/mLであった3).
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- パリビズマブ(遺伝子組換え)
Palivizumab (genetical recombination) [JAN]
本質
- マウス抗RSウイルスモノクローナル抗体4)の相補性決定部位,ならびにヒトIgG1定常部及び可変部フレーム配列5,6,7)からなる抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体であり,アミノ酸213個の軽鎖2分子とアミノ酸450個の重鎖2分子からなる糖たん白質である.
分子式
- 軽鎖(C1026H1589N269O329S8)
重鎖(C2209H3439N581O675S17)
分子量
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- respiratory syncytial virus infection RSV infection, RS virus infection
- 同
- RSウイルス肺炎 respiratory syncytial viral pneumonia、呼吸器合胞体ウイルス感染症、呼吸器多核体ウイルス感染症、RSウイルス感染
- 関
- RSウイルス
病原体
疫学
- 11-12月/冬期から春期に流行。
- 新生児の50%が冬期に感染するらしい。
- 乳児で重症化。
- 生後2-3年の間にほぼ全ての人が感染。
感染経路
潜伏期間
症状
合併症
経過
治療
検査
予防
- 予防ワクチンはない。再感染を繰り返す。成人では罹患しにくくなる。
- 重症化を抑制するワクチンは存在する
- パリビズマブ:高リスク群(生後数ヶ月以内の低出生体重児、慢性肺疾患、先天性心疾患の乳幼児)で適応のあるヒト化モノクローナル抗体。重篤な下気道疾患の発症抑制。11-3月の間で月1回筋肉注射。
[★]
- 英
- respiratory syncytial virus vaccine
- →パリビズマブ
[★]
パリビズマブ
Synagis