黄体形成ホルモン
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/29 15:19:56」(JST)
[Wiki ja表示]
黄体形成ホルモンまたは黄体化ホルモン(Luteinizing hormone, LH)は下垂体前葉の性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌される性腺刺激ホルモンである。その他の性腺刺激ホルモンには卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone, FSH)がある。
目次
- 1 構造
- 2 遺伝子
- 3 活性
- 4 LH活性の欠乏
- 5 LH活性の過多
- 6 市販
構造
LHは糖タンパク質で、タンパク質サブユニットの二量体のそれぞれが糖と結合している。この構造はFSH、TSHやhCGと類似している。そのタンパク質二量体にはα及びβサブユニットと呼ばれる2つのポリペプチドユニットが含まれる。このαサブユニットはLH、FSH、TSH及びhCGにおいて同一で92のアミノ酸を含む。βサブユニットは違っており、LHでは121のアミノ酸があり、これが特異的な生物学的作用を与え、LH受容体との相互作用の元となる。ホルモンの糖の部分はフルクトース、ガラクトース、マンノース、ガラクトサミン、グルコサミン、そしてLHの生物学的半減期に重大であるシアル酸からなる。LHの半減期はたったの20分である。
遺伝子
αサブユニットの遺伝子は染色体の6p21.1-23に位置しており、異なった種類の細胞で発現する。LHのβサブユニットは19q13.3に位置しており、下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞で発現し、GnRHによりコントロールされる。
活性
男女両方でLHは性腺からの性ホルモンの産生を刺激する。精巣のライディッヒ細胞はLHに反応してテストステロンを産生、一方卵巣の顆粒膜細胞ではLHに反応してエストロゲンやプロゲステロンが産生される。
女性では月経周期の途中のLHサージが排卵の開始を誘起する。LHはまた排卵後の卵胞が、プロゲステロンを分泌する黄体になることも誘引する。
LHの水準は通常子供の頃には低く、女性では閉経後に高くなる。
LH活性の欠乏
- カルマン症候群
- 視床下部抑制
- 下垂体機能障害
- 高プロラクチン血症
- 性腺刺激ホルモン欠損症
- 性腺抑制療法
- GnRHアンタゴニスト
- GnRHアゴニスト(ダウンレギュレーション)
LH活性の過多
- 下垂体腫瘍(性腺刺激ホルモン産生細胞)
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 性腺機能不全
市販
LHはFSHと混合されパーゴナルという名で、また尿中の性腺刺激ホルモンの製剤として、または組換えLHの形で純粋なものが手に入る。
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
|
視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
|
GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
|
|
脳下垂体後葉
|
バソプレッシン - OXT
|
|
脳下垂体中葉
|
MSH(インテルメジン)
|
|
脳下垂体前葉
|
αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
|
|
|
副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
|
|
副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
|
|
甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
|
|
副甲状腺
|
PTH
|
|
|
生殖腺 |
精巣
|
テストステロン - AMH - インヒビン
|
|
卵巣
|
エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
|
|
|
その他の内分泌器 |
膵臓
|
グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
|
|
松果体
|
メラトニン
|
|
|
内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 生殖内分泌学研究の最前線 : 視床下部-下垂体-性腺系 (第1土曜特集 生殖医学・医療の最前線) -- (生殖医学研究の最前線)
- P2-4-9 ヒト顆粒膜細胞における黄体化ホルモンレセプターの発現制御(Group42 生殖医学2,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第66回学術講演会)
- 下垂体前葉に於ける濾胞星細胞の役割 : 下垂体門脈系と並走する情報伝達系の存在の提言
Related Links
- 黄体形成ホルモンまたは黄体化ホルモン(Luteinizing hormone, LH)は下垂体前葉の 性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌される性腺刺激ホルモンである。その他の性腺 刺激ホルモンには卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone, FSH)がある。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109G032]←[国試_109]→[109G034]
[★]
- 英
- luteinizing hormone, LH
- 同
- 黄体化ホルモン、ルトロピン lutropin
- 関
- 卵胞刺激ホルモン FSH、ホルモン、gonadotropin
[show details]
分類
性状
産生組織
標的組織
生理作用
作用機序
分泌調節
月経・性周期との関連
- 卵胞期に漸増
- エストロゲンのピークに引き続いて、排卵期にピークを示す。
- 黄体期は低値のままとなる。
基準値
HIM.A-7
女性
- 卵胞期:2.0-15.0 U/L
- 排卵期:22.0-105.0 U/L
- 黄体期:0.6-19.0 U/L
男性
[★]
- 英
- luteinizing hormone/human chorionic gonadotropin receptor LH/hCG-R
- 関
- 黄体化ホルモン, ヒト絨毛性ゴナドトロピン
[★]
- 英
- gonadotropin secretion discrepancy
- 関
- 多嚢胞卵巣症候群、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモン
[★]
- 英
- isolated luteinizing-hormone deficiency, isolated LH deficiency
- 関
- 黄体化ホルモン
[★]
- 英
- mutation of luteinizing hormone β subunit gene
- 関
- 黄体化ホルモン
[★]
- 英
- luteinizing hormone-releasing hormoneagonist
- 同
- LHRH作動薬 LHRH agonist
- 関
- ゴセレリン、リュープロレリン
[★]
- 英
- luteinizing hormone-releasing hormone-independent precocious puberty
- 関
- 偽性思春期早発症
[★]
黄体形成ホルモン放出ホルモン負荷試験
[★]
- 英
- luteinizing hormone receptor, LH receptor
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- yellow body
- ラ
- corpus luteum(Z), (pl.)corpora lutea
概念
- NGY 11,17改変
- 排卵後、卵胞の裂孔が血液で満たされ赤体となった後に血液が吸収され、リポイド色素によって肉眼的に黄色に見える黄体が形成される。排卵後1-4ないし2-3日で形成される。組織的には卵胞の顆粒膜細胞、内莢膜細胞が黄体化ホルモンの作用を受けて大型化した顆粒膜ルテイン細胞と比較的小さめの莢膜ルテイン細胞にそれぞれ変化した細胞から構成される。
分類
- 月経黄体:妊娠しない場合に形成され、約12日間持続した後に退縮し白体となる
- 妊娠黄体:妊娠が成立した場合に形成され、黄体機能は妊娠10~12週がピークとなり、出産後に退縮して白体となる。
機能
[★]
- 英
- luteinization
- 同
- 黄体形成