- 英
- Narcotic and Psychotropic Drugs Control Law
- 関
- 医師が関与する法律、薬物濫用
第3条
(免許)
- 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者の免許は厚生労働大臣が、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者の免許は都道府県知事が、それぞれ麻薬業務所ごとに行う。
- 2 次に掲げる者でなければ、免許を受けることができない。
- 一 麻薬輸入業者の免許については、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定により医薬品の製造販売業の許可を受けている者
- 二 麻薬輸出業者の免許については、薬事法の規定により医薬品の製造販売業又は販売業の許可を受けている者であつて、自ら薬剤師であるか又は薬剤師を使用しているもの
- 三 麻薬製造業者又は麻薬製剤業者の免許については、薬事法の規定により医薬品の製造販売業及び製造業の許可を受けている者
- 四 家庭麻薬製造業者の免許については、薬事法の規定により医薬品の製造業の許可を受けている者
- 五 麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者の免許については、薬事法の規定により薬局開設の許可を受けている者又は同法の規定により医薬品の販売業の許可を受けている者であつて、自ら薬剤師であるか若しくは薬剤師を使用しているもの
- 六 麻薬小売業者の免許については、薬事法の規定により薬局開設の許可を受けている者
- 七 麻薬施用者の免許については、医師、歯科医師又は獣医師
- 八 麻薬管理者の免許については、医師、歯科医師、獣医師又は薬剤師
- 九 麻薬研究者の免許については、学術研究上麻薬原料植物を栽培し、麻薬を製造し、又は麻薬、あへん若しくはけしがらを使用することを必要とする者
第27条
(施用、施用のための交付及び麻薬処方せん)
- 麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。
- 一 麻薬研究者が、研究のため施用する場合
- 二 麻薬施用者から施用のため麻薬の交付を受けた者が、その麻薬を施用する場合
- 三 麻薬小売業者から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた者が、その麻薬を施用する場合
- 2 前項ただし書の規定は、麻薬施用者から交付された麻薬又は麻薬処方せんが第三項又は第四項の規定に違反して交付されたものであるときは、適用しない。
- 3 麻薬施用者は、疾病の治療以外の目的で、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。ただし、精神保健指定医が、第五十八条の六第一項の規定による診察を行うため、N―アリルノルモルヒネ、その塩類及びこれらを含有する麻薬その他政令で定める麻薬を施用するときは、この限りでない。
- 4 麻薬施用者は、前項の規定にかかわらず、麻薬又はあへんの中毒者の中毒症状を緩和するため、その他その中毒の治療の目的で、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。ただし、第五十八条の八第一項の規定に基づく厚生労働省令で定める病院において診療に従事する麻薬施用者が、同条の規定により当該病院に入院している者について、六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノン、その塩類及びこれらを含有する麻薬その他政令で定める麻薬を施用するときは、この限りでない。
- 5 何人も、第一項、第三項又は第四項の規定により禁止される麻薬の施用を受けてはならない。
- 6 麻薬施用者は、麻薬を記載した処方せんを交付するときは、その処方せんに、患者の氏名(患畜にあつては、その種類並びにその所有者又は管理者の氏名又は名称)、麻薬の品名、分量、用法用量、自己の氏名、免許証の番号その他厚生労働省令で定める事項を記載して、記名押印又は署名をしなければならない。
第58条の二
(医師の届出等)
- 医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに、その者の氏名、住所、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項をその者の居住地(居住地がないか、又は居住地が明らかでない者については、現在地とする。以下この章において同じ。)の都道府県知事に届け出なければならない。
別表
別表第一(第二条関係)
- 一 三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名アセチルメタドール)及びその塩類
- 二 α―三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名アルファアセチルメタドール)及びその塩類
- 三 β―三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名ベータアセチルメタドール)及びその塩類
- 四 α―三―アセトキシ―六―メチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名ノルアシメタドール)及びその塩類
- 五 一―〔二―(四―アミノフェニル)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名アニレリジン)及びその塩類
- 六 N―アリルノルモルヒネ(別名ナロルフィン)、そのエステル及びこれらの塩類
- 七 三―アリル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アリルプロジン)及びその塩類
- 八 エクゴニン及びその塩類
- 九 三―(N―エチル―N―メチルアミノ)―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―ブテン(別名エチルメチルチアンプテン)及びその塩類
- 十 α―三―エチル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アルファメプロジン)及びその塩類
- 十一 β―三―エチル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名ペータメプロジン)及びその塩類
- 十二 二―(四―クロロベンジル)―一―(ジエチルアミノ)エチル―五―ニトロベンズイミダゾール(別名クロニタゼン)及びその塩類
- 十三 コカインその他エクゴニンのエステル及びその塩類
- 十四 コカ葉
- 十五 コデイン、エチルモルヒネその他モルヒネのエーテル及びその塩類
- 十六 ジアセチルモルヒネ(別名ヘロイン)その他モルヒネのエステル及びその塩類
- 十七 一―(三―シアノ―三・三―ジフェニルプロピル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ジフェノキシレート)及びその塩類
- 十八 四―シアノ―二―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルプタン(別名メサドン中間体)及びその塩類
- 十九 四―シアノ―一―メチル―四―フェニルピペリジン(別名ペチジン中間体A)及びその塩類
- 二十 一―(ジエチルアミノ)エチル―二―(四―エトキシベンジル)―五―ニトロベンズイミダゾール(別名エトニタゼン)及びその塩類
- 二十一 三―ジエチルアミノ―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―プテン(別名ジエチルチアンプテン)及びその塩類
- 二十二 ジヒドロコデイノン(別名ヒドロコドン)、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十三 ジヒドロコデイン、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十四 ジヒドロデオキシモルヒネ(別名デソモルヒネ)、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十五 ジヒドロヒドロキシコデイノン(別名オキシコドン)、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十六 ジヒドロヒドロキシモルヒノン(別名オキシモルフォン)及びその塩類
- 二十七 ジヒドロモルヒネ、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十八 ジヒドロモルヒノン(別名ヒドロモルフォン)、そのエステル及びこれらの塩類
- 二十九 四・四―ジフェニル―六―ビペリジノ―三―ヘプタノン(別名ジピパノン)及びその塩類
- 三十 (二―ジメチルアミノ)エチル 一―エトキシ―一・一―ジフェニルアセテート(別名ジメノキサドール)及びその塩類
- 三十一 三―ジメチルアミノ―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―ブテン(別名ジメチルチアンブテン)及びその塩類
- 三十二 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘキサノン(別名ノルメサドン)及びその塩類
- 三十三 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名ジメフェプタノール)及びその塩類
- 三十四 α―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名アルファメタドール)及びその塩類
- 三十五 β―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名ベータメタドール)及びその塩類
- 三十六 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノン(別名メサドン)及びその塩類
- 三十七 四―ジメチルアミノ―三―メチル―一・二―ジフェニル―二―(プロピオニルオキシ)ブタン(別名プロポキシフェン)及びその塩類
- 三十八 六―ジメチルアミノ―五―メチル―四・四―ジフェニル―三―ヘキサノン(別名イソメサドン)及びその塩類
- 三十九 一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)アザシクロヘプタン(別名プロヘプタジン)及びその塩類
- 四十 α―一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アルファプロジン)及びその塩類
- 四十一 β―一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名ベータプロジン)及びその塩類
- 四十二 テバイン及びその塩類
- 四十三 一・二・五―トリメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名トリメペリジン)及びその塩類
- 四十四 六―ニコチニルコデイン(別名ニココジン)及びその塩類
- 四十五 ノルモルヒネ(別名デメチルモルヒネ)、そのエーテル及びこれらの塩類
- 四十六 一―〔二―(二―ヒドロキシエトキシ)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名エトキセリジン)及びその塩類
- 四十七 十四―ヒドロキシジヒドロモルヒネ(別名ヒドロモルヒノール)及びその塩類
- 四十八 三―ヒドロキシ―N―フェナシルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
- 四十九 一―(三―ヒドロキシ―三―フェニルプロピル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名フェノペリジン)及びその塩類
- 五十 四―(三―ヒドロキシフェニル)―一―メチル―四―ピペリジルエチルケトン(別名ケトベミドン)及びその塩類
- 五十一 四―(三―ヒドロキシフェニル)―一―メチルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ヒドロキシペチジン)及びその塩類
- 五十二 三―ヒドロキシ―N―フェネチルモルヒナン(別名フェノモルファン)及びその塩類
- 五十三 三―ヒドロキシ―N―メチルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
- 五十四 三―ヒドロキシモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
- 五十五 四―フェニル―一―〔二―(テトラヒドロフルフリルオキシ)エチル〕ピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名フレチジン)及びその塩類
- 五十六 四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ペチジン中間体B)及びその塩類
- 五十七 四―フェニル―一―(三―フェニルアミノプロピル)ピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ピミノジン)及びその塩類
- 五十八 一・二・三・四・五・六―ヘキサヒドロ―八―ヒドロキシ―六・十一―ジメチル―三―フェネチル―二・六―メタノ―三―ベンザゾシン(別名フェナゾシン)及びその塩類
- 五十九 一・二・三・四・五・六―ヘキサヒドロ―八―ヒドロキシ―三・六・十一―トリメチル―二・六―メタノ―三―ペンザゾシン(別名メタゾシン)及びその塩類
- 六十 一―〔二―(ベンジルオキシ)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ベンゼチジン)及びその塩類
- 六十一 六―メチルジヒドロモルヒネ(別名メチルジヒドロモルヒネ)及びその塩類
- 六十二 メチルジヒドロモルヒノン(別名メトポン)、そのエステル及びこれらの塩類
- 六十三 六―メチル―⊿六―デオキシモルヒネ(別名メチルデソルフィン)及びその塩類
- 六十四 N―(一―メチル―二―ピペリジノエチル)プロピオンアニリド(別名フェナンプロミド)及びその塩類
- 六十五 一―メチル―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エステル及びその塩類
- 六十六 N―〔二―(メチルフェネチルアミノ)プロピル〕プロピオンアニリド(別名ジアンプロミド)及びその塩類
- 六十七 〔(三―メチル―四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル)プチリル〕ピロリジン及びその塩類
- 六十八 三―メチル―四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル酪酸(別名モラミド中間体)及びその塩類
- 六十九 三―メトキシ―N―メチルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
- 七十 モルヒネ及びその塩類
- 七十一 モルヒネ―N―オキシドその他五価窒素モルヒネ及びその誘導体
- 七十二 一―(二―モルフォリノエチル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名モルフェリジン)及びその塩類
- 七十三 六―モルフォリノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノン(別名フェナドキソン)及びその塩類
- 七十四 四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル酪酸エチルエステル(別名ジオキサフェチルプチレート)及びその塩類
- 七十五 前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの
- 七十六 前各号に掲げる物のいずれかを含有する物であつて、あへん以外のもの。ただし、次に掲げるものを除く。
- イ 千分中十分以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有する物であつて、これら以外の前各号に掲げる物を含有しないもの
- ロ 麻薬原料植物以外の植物(その一部分を含む。)
法令
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年三月十七日法律第十四号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO014.html
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麻薬及び向精神薬取締法 |
日本の法令 |
通称・略称 |
麻向法、麻薬取締法 |
法令番号 |
昭和28年法律第14号 |
効力 |
現行法 |
種類 |
特別刑法 |
主な内容 |
麻薬及び向精神薬の取扱規制など |
関連法令 |
社会法 |
条文リンク |
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日本の刑法 |
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刑事法 |
刑法 |
刑法学 ・ 犯罪 ・ 刑罰 |
罪刑法定主義 |
犯罪論 |
構成要件 ・ 実行行為 ・ 不作為犯 |
間接正犯 ・ 未遂 ・ 既遂 ・ 中止犯 |
不能犯 ・ 因果関係 |
違法性 ・ 違法性阻却事由 |
正当行為 ・ 正当防衛 ・ 緊急避難 |
責任 ・ 責任主義 |
責任能力 ・ 心神喪失 ・ 心神耗弱 |
故意 ・ 故意犯 ・ 錯誤 |
過失 ・ 過失犯 |
期待可能性 |
誤想防衛 ・ 過剰防衛 |
共犯 ・ 正犯 ・ 共同正犯 |
共謀共同正犯 ・ 教唆犯 ・ 幇助犯 |
罪数 |
観念的競合 ・ 牽連犯 ・ 併合罪 |
刑罰論 |
死刑 ・ 懲役 ・ 禁錮 |
罰金 ・ 拘留 ・ 科料 ・ 没収 ・ 牢死 |
法定刑 ・ 処断刑 ・ 宣告刑 |
自首 ・ 酌量減軽 ・ 執行猶予 |
刑事訴訟法 ・ 刑事政策 |
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麻薬及び向精神薬取締法(まやくおよびこうせいしんやくとりしまりほう、昭和28年法律第14号、英語: Narcotics and Psychotropics Control Law[1])は、麻薬と向精神薬の乱用を防止し、中毒者に必要な医療を行うなどの措置を講じ、生産や流通について必要な規制を執り行うことによって、公共の福祉の増進を図ることを目的としている(同法1条)。制定時の題名は「麻薬取締法」であったが、1990年(平成2年)の法改正で現在の題名となり、今では通称として使われる。主務官庁は厚生労働省。
大麻取締法、覚せい剤取締法、あへん法と合わせて薬物四法を構成する。麻薬特例法は比較的新しい法律であるため、薬物四法の中には組み入れられていない。
目次
- 1 制定
- 2 取締り対象
- 3 中毒者に対する措置
- 4 以降の構成
- 5 免許・資格
- 6 法律の前後関係
- 6.1 麻薬取締規則
- 6.2 麻薬取締法と大麻取締法
- 6.3 向精神薬の規制強化
- 6.3.1 覚せい剤取締法
- 6.3.2 習慣性医薬品
- 6.3.3 麻薬を指定する政令
- 7 関連法令・項目
- 8 脚注
- 9 参考文献
- 10 外部リンク
制定
先には、麻薬取締法があった。乱用された睡眠薬などは、薬事法における習慣性医薬品に指定し対処した[2]。しかし、日本が向精神薬に関する条約への批准に遅れた理由には、バルビツール酸系薬や抗不安薬の規制の難しさがあったと推察される。1987年の国際会議にて、6月26日を「国際麻薬乱用撲滅デー[4]」としたことが薬物の規制条約への批准を促進した。
1989年(平成元年)の中央薬事審議会にて「向精神薬乱用防止対策の在り方」が議論された。1988年に公布された国際条約である麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約に批准するためであったことが、野村一成の発言よりうかがえる。
それから、やはり先ほど私答弁申し上げましたが、このたびの条約は、麻薬単一条約、それから向精神薬条約を強化、補完するという目的のものでございまして、我が国の場合向精神薬条約をまだ批准していなかったということで、まずそれを昨年の国会で御承認いただきまして、それでこの新しい条約に取り組んだということでございまして、そういう意味でいわば二年がかりのこの麻薬についての締結作業であった、そういうことでございます。
— 野村一成 - “衆議院外務委員会”. 12. 第120回国会. (1991-04-25). http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/120/0110/12004250110012a.html
1990年に、まだ批准していなかった1971年の向精神薬に関する条約に批准し、麻薬取締法の一部改正案が提出され、新法の麻薬及び向精神薬取締法となった。
取締り対象
同法の第2条がこの法律においての定義であり、1項が「麻薬」が別表第1に示したものであることを規定し、6項で「向精神薬」別表第3に示したものであることを規定している。
- 麻薬
- モルヒネ、コカインなど麻薬に関する単一条約にて規制されるもののうち大麻を除く。それに加えて、向精神薬に関する条約の付表Iに対応したもの。ほとんどが幻覚剤である。
- 第1種向精神薬
- メチルフェニデートのような精神刺激薬やバルビツール酸系薬。向精神薬に関する条約の付表IIに対応し、アンフェタミン類を除くもの。
- 第2種向精神薬
- バルビツール酸系や、ベンゾジアゼピン系のフルニトラゼパムなど。向精神薬に関する条約の付表IIIに対応。
- 第3種向精神薬
- ここに指定されているもののうち、日本にて医薬品として流通するものの多くは、ベンゾジアゼピン系である。向精神薬に関する条約の付表IVに対応。
日本法の薬物の指定と、国際条約の薬物の指定は異なるため、「日本の法律における麻薬」のように称される。
国際条約と日本法の照合
国際条約 |
規制物質 |
日本法 |
麻薬に関する単一条約 |
あへん |
あへん |
あへん法 |
大麻 |
大麻 |
大麻取締法 |
麻薬 |
麻薬 |
麻薬取締法 |
向精神薬に関する条約 |
向精神薬 付表I |
(日本法の)麻薬 |
向精神薬 付表II |
第1種向精神薬 |
付表II一部の覚醒剤 |
(日本法の)覚せい剤 |
覚せい剤取締法 |
向精神薬 付表III |
第2種向精神薬 |
麻薬取締法 |
向精神薬 付表IV |
第3種向精神薬 |
対象外 |
タバコ、アルコール、カフェイン |
麻薬の取締り
同法の第2章「麻薬に関する取締り(第3条〜第49条)」は麻薬を取り扱う者の規定である。第3章は、免許等、数量などの記録義務と続く。
向精神薬の取締り
同法の第3章「向精神薬に関する取締り(第50条〜第50条の26)」であり、免許や数量などの記録義務が続く。
第四章は「監督(第50条の38〜第58条)」の内容である。
中毒者に対する措置
第5章が「麻薬中毒者に対する措置等(第58条の2〜第58条の19) 」である。同法の第2条24項25項にて、麻薬中毒と、麻薬中毒者が規定されている。
- 麻薬中毒
- 麻薬、大麻又はあへんの慢性中毒
- 麻薬中毒者
- 麻薬中毒の状態にある者
麻薬中毒者に対する措置入院や麻薬相談員によるケア制度が存在する。中毒の場合には、大麻も麻薬中毒に含まれている。向精神薬と覚醒剤はこの対象ではない[8]。
この日本の法律上の中毒の語は薬物がやめられないという嗜癖に近い概念であり、現在の医学的な定義とは異なる。医学的に中毒とは、主として過剰摂取した場合などの有害作用である[9]。
「嗜癖」も参照
以降の構成
- 第6章 - 雑則(第59条〜第63条)
- 第7章 - 罰則(第64条〜第76条)
- 附則
- 別表
- 別表第1(第2条関係)
- 別表第2(第2条関係)
- 別表第3(第2条関係)
- 別表第4(第2条関係)
免許・資格
- 麻薬取扱者(麻薬営業者、麻薬施用者・麻薬管理者・麻薬研究者) - 医師、歯科医師、獣医師、薬剤師又は学術研究者が麻薬を疾病治療や学術研究のために施用、管理又は使用する等取り扱うための免許
- 向精神薬取扱者
法律の前後関係
麻薬取締規則
麻薬取締規則は、昭和5年5月の内務省令第17号である。第1条にて、モルヒネ類、コデイン類、コカイン、印度大麻草及びその樹脂を規定し、数量の帳簿など流通に関する取り締まりを加えた。
麻薬ノ中毒防止ニ関スル件は、昭和9年11月26日のもので、麻薬の慢性中毒患者を帳簿することや、治療保護施設の整備、甚だしいものは精神病院にて治療し、医師は使用にあたって患者の慢性中毒にならないよう注意する件などが盛り込まれた。昭和8年には、麻薬中毒者救護会が設立されている。
麻薬取締法と大麻取締法
第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)1月22日には、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)からの麻薬統制の指令を受けての、麻薬取締規則(ポツダム命令)を制定する[10]。
1948年(昭和23年)には旧麻薬取締法が制定され、1953年に新麻薬取締法となった。大麻は、麻繊維の産業があることから、1948年に大麻取締法として別個の法律として制定された。
向精神薬の規制強化
覚せい剤取締法
「覚せい剤取締法」も参照
1950年代初頭には[11]、戦時中に工場などで使われた覚醒剤が[2]大量に市場に放出され、国際的にも最も著名だとされているようなメタンフェタミンの乱用が流行した[11]。これに対して1951年に覚せい剤取締法が制定された。
習慣性医薬品
詳細は「習慣性医薬品」を参照
1960年代前後には、睡眠薬遊びが流行した[12]。未成年者において乱用された睡眠薬などは、薬事法における習慣性医薬品に指定して、未成年者への販売を禁じ、医師による処方を必要とすることで対処した[2]。
麻薬を指定する政令
初の麻薬を指定する政令は1953年9月16日に公布された。のちに麻薬に幻覚剤のLSDなどを追加していき、これは現行の脱法薬物の規制に通じる方法である。
関連法令・項目
- 大麻取締法
- あへん法
- 覚せい剤取締法
- 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)
- 毒物及び劇物取締法
- 化学物質排出把握管理促進法
- 麻薬取締部
- 麻薬取締官
- 麻薬取締員
- 麻薬取扱者
- 向精神薬取扱者
脚注
- ^ 法務省刑事局 『法律用語対訳集-英語編』 商事法務研究会、1995年、改訂版、19頁。ISBN 4785707135。
- ^ a b c Masamutsu Nagahama (1968). “A review of drug abuse and counter measures in Japan since World War II”. U.N. Bulletin on Narcotics 20 (3): 19-24. https://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/bulletin/bulletin_1968-01-01_3_page004.html.
- ^ International Day against Drug Abuse and Illict Trafficking
- ^ 上島国利・平島奈津子・上別府圭子(編集) 『知っておきたい精神医学の基礎知識』 誠信書房、2007年、400-401頁。ISBN 9784414428605。
- ^ (編集)日本緩和医療学会、緩和医療ガイドライン作成委員会 「薬理学的知識」『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』 金原出版、2010年6月20日、第1版;2010年。ISBN 978-4-307-10149-3。
- ^ “麻薬は免許制に”. 読売新聞: p. 2面. (1946年6月23日)
- ^ a b Smart RG (1976). “Effects of legal restraint on the use of drugs: a review of empirical studies”. U.N. Bulletin on Narcotics 28 (1): 55–65. PMID 1046373. http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/bulletin/bulletin_1976-01-01_1_page006.html.
- ^ “睡眠薬遊び流行”. 毎日新聞. (1961年11月12日). http://showa.mainichi.jp/news/1961/11/post-3005.html 2013年3月10日閲覧。
参考文献
- 松下正明(総編集) 『薬物・アルコール関連障害』 編集:牛島定信、小山司、三好功峰、浅井昌弘、倉知正佳、中根允文、中山書店〈臨床精神医学講座8〉、1999年6月。ISBN 978-4521492018。
外部リンク
- 麻薬及び向精神薬取締法 (総務省法令データ提供システム)
- 麻薬及び向精神薬取締法で定められた麻薬一覧 (日本法医学会 法医中毒学ワーキンググループ)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 刑事関係 平成20.4.22,3小判 薬物犯罪の幇助犯から「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」11条1項,13条1項により没収・追徴できる薬物犯罪収益等の範囲 (最高裁判所判例解説--平成20年4,7,8月分 平成21年12月分 平成22年1月分)
- 告知欄 麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令の制定についての一部改正について
- 実践ヘルスプロモーション 地域医療のための公衆衛生(第28回)薬事関係法令
- 薬物犯罪の幇助犯から「国際的な強力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」11条1項、および13条1項により、没収・追徴できる薬物犯罪収益等の範囲
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- 番号 物質名 一般名(J) 一般名(E) 入手先 麻薬及び向精神薬取締法で定められた麻薬 1 3-アセトキシ-6-ジメチルアミノ-4・4-ジフェニルヘプタン(別名アセチルメタドール)及びその塩類 アセチルメタドール Acety lmethadol 2 α-3-アセトキシ-6 ...
- ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医薬品・医療機器 > 薬物乱用防止に関する情報 > 薬物関連の通知集(麻薬向精神薬原料含む) > 麻薬及び向精神薬取締法関係(平成23年度) 麻薬及び向精神薬取締法関係 ...
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- 29歳の女性。不安と不眠とを主訴に来院した。2年前に結婚した。それまで優しく見えた夫は家庭内ではちょっとしたことで激昂し、しばしば殴られ体中があざだらけになった。とうとう耐え切れず、半年前から別居している。しかし、別居後も別居前の生活を思い出して寝付けず、酒と睡眠薬とに頗るようになった。最近、夫が自分の職場に出入りする可能性が生じた。それを知って以来、体重が激減し、睡眠薬の量が増えてきた。電話の音にびくっとし、仕事に出る気力もなくなった。 入院を希望している。
- 入院治療にあたり考慮すべき法律はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102B041]←[国試_102]→[102B043]
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テンプレート:日本の法令
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(とくていかがくぶっしつのかんきょうへのはいしゅつりょうのはあくとうおよびかんりのかいぜんのそくしんにかんするほうりつ;平成11年法律第86号)は、日本の法律。略称は、化学物質排出把握管理促進法、化管法、PRTR法。1999年7月13日公布、一部の規定を除き2000年3月30日施行。
目的
環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする(第1条)。
内容
この法律は、政令で指定された化学物質を取り扱う事業者が、指定化学物質の環境への排出量・移動量を把握し、国に届け出ることにより、環境あるいは人体に有害な化学物質がどのような発生源からどのくらい環境へ排出・移動されたか、というデータを集計し、公表する仕組みである。PRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register 制度)、PRTR法、化管法などとも呼称される制度である。
指定化学物質を製造、移動あるいは使用する事業者は毎年一回、都道府県を窓口にして国へ報告する義務を負っている。この届出の対象になるのは政令で定められた、「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」のうち、「第一種指定化学物質」の354物質である(2004年11月現在)。
また、当該製品を販売する場合には販売先にMSDS (Material Safety Data Sheet) を添付することも義務付けられている。この対象となるのは、政令で定められた、「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の合わせて435物質である。
対称物質は特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律における特定化学物質の一覧を参照。
制定の背景
1974年にオランダで開始されたIEI制度がその原型であり、1986年にはアメリカ合衆国でTRI制度として、整備が進められた。
1992年の環境と開発に関する国際連合会議において採択された、アジェンダ21には、各国政府が化学物質の管理において果たすべき役割が述べられている。この中の一つが、PRTR制度である。
1996年に経済協力開発機構(OECD)は、アジェンダ21をうけて、加盟各国政府にPRTR制度の導入についての勧告を行った。
日本においては、OECD勧告を受け、環境庁(現:環境省)及び通商産業省(現:経済産業省)が共同して法制化し、1999年(平成11年)に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)を成立させた。
構成
- 第1章 - 総則(第1条~第4条)
- 第2章 - 第一種指定化学物質の排出量等の把握等(第5条~第13条)
- 第3章 - 指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等(第14条~第16条)
- 第4章 - 雑則(第17条~第23条)
- 第5章 - 罰則(第24条)
- 附則
主務官庁
経済産業省 環境省
内閣府 財務省 (日本) 文部科学省 厚生労働省 農林水産省 国土交通省
主な業務は、経済産業省及び環境省でおこなっているが、化学物質を取扱う事業者の行う事業を所管する官庁も所轄している。
外部リンク
他の主要な化学物質規制法令
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- 英
- publicly funded health care service
乳幼児対象の公費負担医療
- SUB12.219
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%B2%BB%E8%B2%A0%E6%8B%85%E5%8C%BB%E7%99%82
- http://www.ssk.or.jp/iryoseido.html
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- 関
- 法令
医師が関与する法律
医師が間接的に関与する法律
コメディカルが関する法律
参考
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- addiction
- 英
- narcotic addiction, narcomania
- 関
- 麻薬、麻薬嗜癖、依存、麻薬取締法、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法
- ICD-10
- F11.2
- アヘン類使用による精神及び行動の障害,依存症候群
[★]
- 英
- narcotic narcotics, narcotic drugs
- ラ
- narcotica
- 関
日本の法医学上の定義
分類
- SLE.62
麻薬性鎮痛薬 narcotic analgesics
- 1. アヘンアルカロイド系 opium alkaloids (いわゆるオピオイド)
-
- アヘン opium:複数のアルカロイドが含まれている
中枢神経興奮薬 stimulants
- 3. コカアルカロイド系 coca alkaloids
ニュース
- レディー・ガガの麻薬使用発言に批判集中!音楽制作では「麻薬が刺激になった」
- 2010年8月29日 1時22分
- シネマトゥデイ映画ニュース
- 奇抜な衣装と大胆なパフォーマンスが人気のスター、レディー・ガガが、自身の創造性について「麻薬が刺激を与えてくれた」と発言した。
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- 英
- psychotropic drug, psychotropic drugs, psychotropic agent, psychoactive drug, psychotropic, psychotropics
- 関
- 精神疾患
- 中枢神経系に作用して精神機能に影響を及ぼす薬物の総称
向精神薬に含まれる薬物
-
[★]
- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- psychotropic、psychoactive
- 関
- 向精神薬、精神賦活性、向精神剤