- 英
- strychnine
- ラ
- strychninum
- 同
- ストリキニン
- 化
- 硝酸ストリキニーネ strychnini nitras
- 商
- ホミカエキス
- 関
薬理作用
- SPC.210
- グリシン受容体の拮抗阻害薬
- 脊髄の抑制物質であるグリシンに拮抗することで、Renshaw細胞のネガティブフィードバックを解除する→興奮↑
中毒症状
- SPC.210
- 運動ニューロンの興奮により後弓反張をきたす
- 知覚神経刺激に過敏。軽い刺激でけいれんを誘発
- 意識は清明であるが、痛みに敏感で不安と恐怖を伴う
- 呼吸麻痺と乳酸アシドーシスで死亡
治療
- 隔離
- 気道確保
- ジアゼパムの投与
- 全身麻酔
- 神経筋接合部遮断薬の投与
薬効薬理
- ホミカエキス散「ホエイ」として
- エキスを単純胃瘻管造設イヌの胃内に投与するとき胃液分泌にほとんど変化は認められないが、コンズランゴ冷浸エキスを同時に適用するとき胃液分泌増加し酸度も上昇する。更にエキス又はチンキを単純胃瘻管造設イヌの口内又は胃内に投与するとき胃液分泌、酸度に変化を与えないし、胃、小腸に恒久性瘻管造設イヌになめさせるか胃内投与するとき、バルーン法で胃運動に著しい変化は認められない。
なおstrychnineをヒト、イヌの口内又は胃内に投与すると、ゲンチアナチンキとほぼ同様の効果があるという。また脊髄において抑制性シナプス後電位を減弱させてけいれんを引き起こすが、グリシン受容体に特異的に結合することが知られている。ペントバルビタールなどで麻酔したイヌに静脈内投与すると血圧上昇と心拍数増加が現れる。
参考
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2333005B1104_2_02/2333005B1104_2_02?view=body
WordNet
- an alkaloid plant toxin extracted chiefly from nux vomica; formerly used as a stimulant
PrepTutorEJDIC
- ストリキニーネ(有毒の結晶で中枢神経の興奮剤)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/20 23:44:31」(JST)
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(−)-ストリキニーネ |
|
IUPAC名
strychnidin-10-one
2,4a,5,5a,7,8,15,15a,15b,15c-decahydro-4,6-methano-6h,14h-indolo[3,2,1-ij]oxep
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
57-24-9 |
PubChem |
441071 |
日化辞番号 |
J4.576D |
KEGG |
C06522 |
- [H][C@]([C@@](C
(C=CC=C7)=C7N34)5[C@H]6N(CC5)C2)3[C@@]1([H])[C@@H](C6)[C@]2=CCO[C@H]1CC4=O
|
特性 |
化学式 |
C21H22N2O2 |
モル質量 |
334.41 g mol−1 |
外観 |
無色結晶 |
密度 |
1.36 |
融点 |
275–285 ºC
|
水への溶解度 |
不溶 |
log POW |
1.68 |
危険性 |
EU分類 |
T+ 猛毒
N 環境への危険性 |
Rフレーズ |
R27/28 R50/53 |
Sフレーズ |
S(1/2) S36/37 S45 S60 S61 |
半数致死量 LD50 |
2.35 mg/kg(ラット、経口) |
出典 |
ICSC Sigma Aldrich |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ストリキニーネ (strychnine) はインドールアルカロイドの一種。非常に毒性が強い。IUPAC許容慣用名はストリキニジン-10-オン strychnidin-10-one。ドイツ語ではストリキニン (Strychnin)。化学式はC21H22N2O2、CAS登録番号は57-24-9。1948年にロバート・バーンズ・ウッドワードにより構造が決定され[1]、1954年に同じくウッドワードにより全合成された[2]。化合物の絶対配置は1956年にX線結晶構造解析により決定された[3]。
主にマチン科の樹木マチンの種子から得られ、1819年にマチンの学名 Strychinos nux-vomica にちなみ命名された。主に齧歯類(げっしるい)のような小動物を殺すのに用いられる。名称が似るが、キニーネとは全くの別物である。
単体は無色柱状結晶で、熱湯に溶けやすくアルコール、クロロホルムに少し溶ける。極めて強い苦味を持つ(1ppm程度でも苦味が認識できる)ため、医学においては苦味健胃薬として用いられる。
ストリキニーネは天然ではトリプトファンから生合成されている。ストリキニーネの2,3位にメトキシ基 (CH3O−) が付いた化合物はブルシン (brucine) といい、同じくマチンに含まれるが、毒性はストリキニーネの約20から30分の1とされる。
ストリキニーネは、 脊髄や脳に存在するリガンド作動性Cl-チャネルであるグリシンレセプター (GlyR) に対してアンタゴニストとして作用する[4]。
目次
- 1 中毒症状
- 2 文化
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
中毒症状[編集]
ストリキニーネは脊髄に対する強力な中枢興奮作用を持つ(抑制系シナプスの抑制による)。摂取から30分ほどで激しい強直性痙攣、後弓反張(体が弓形に反る)、痙笑(顔筋の痙攣により笑ったような顔になる)が起こるが、これは破傷風の症状に類似している。また、刺激により痙攣が誘発されるのが特徴。最悪の場合、呼吸麻痺で死に至る。なお、心循環系、消化器系には影響を与えない。痙攣に伴い、横紋筋融解によりミオグロビン尿が出る。ヒトの致死量には個人差があり、成人の最小致死量は 30-120mg だが、3.75g 摂取して生存したケースも報告されている[5]。
治療においては、まず患者に刺激を与えないようにして鎮静剤(ジアゼパムなど)、筋弛緩剤を投与し、痙攣の防止と気道の確保を行う。ストリキニーネの体内での分解は早いので、中毒から24時間を過ぎれば予後の生存率は高くなる。
文化[編集]
過去、マラリアの治療に使われていたような記述がいくつかの文献で散見される(ジュール・ヴェルヌ作『神秘の島』等)が、これらは著者、もしくは訳者がストリキニーネとキニーネを混同したものではないかと思われる。上述のとおり、この二者は全くの別物であり、ストリキニーネはマラリアに対する薬効を有しないばかりか、その毒性のために投与した場合は被投与者に重篤な影響を与えることが明白である。[要出典]実際のところ往時はキニーネとストリキニーネの合剤がマラリア治療薬として発売されていた。[6]
脚注[編集]
- ^ Woodward, R. B.; Brehm, W. J. (1948). "The structure of strychnine. Formulation of the neo bases." J. Am. Chem. Soc. 70: 2107–2115. doi:10.1021/ja01186a034.
- ^ Woodward, R. B.; Cava, M. P.; Ollis, W. D.; Hunger, A.; Daeniker, H. U.; Schenker, K. (1954). "The total synthesis of strychnine." J. Am. Chem. Soc. 76: 4749–4751. doi:10.1021/ja01647a088.
- ^ Peerdeman, A. F. The absolute configuration of natural strychnine. Acta Cryst. 1956, 9, 824. DOI: 10.1107/S0365110X56002266.
- ^ Purves, Dale, George J. Augustine, David Fitzpatrick, William C. Hall, Anthony-Samuel LaMantia, James O. McNamara, and Leonard E. White (2008). Neuroscience. 4th ed.. Sinauer Associates. pp. 137–8. ISBN 978-0-87893-697-7.
- ^ INCHEM: Chemical Safety Information from Intergovernmental Organizations:Strychnine. http://www.inchem.org/documents/pims/chemical/pim507.htm
- ^ 精神神経学雑誌(1943)に掲載の広告「キナポン」 http://psychodoc.eek.jp/abare/gallery/gallery1.html
関連項目[編集]
- en:Strychnine total synthesis
- en:Strychnine poisoning
- 埼玉愛犬家連続殺人事件
- 吹き矢
- スタイルズ荘の怪事件
外部リンク[編集]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 茂里 康,島本 啓子
- 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 127(4), 279-287, 2006-04-01
- GABA(gamma-aminobutyric acid)は中枢神経系に高濃度存在する抑制性の神経伝達物質として,高次神経機能に密接に関与している.シナプス間隙に放出されたGABAはイオンチャネル型GABAA受容体,GTP結合タンパク質共役型GABAB受容体を活性化し,GABAA受容体自身のCl-チャネルの開口,GABAB受容体を介したプレシナプスの膜電位依存性Ca2+チャネルの開口阻害やポストシ …
- NAID 10019252312
- 36(D-6) (-)-ストリキニーネの全合成(口頭発表の部)
- 鏑木 洋介,徳山 英利,福山 透
- 天然有機化合物討論会講演要旨集 (46), 191-196, 2004-10-01
- Strychnine (1), a well-known poison first isolated in 1818, has generated considerable attention among synthetic chemists due mainly to its architecturally complex structural features including the un …
- NAID 110006682417
- リガンド作働性チャネル シナプス前神経終末部上のGABAA受容体とストリキニーネ感受性グリシン受容体活性による伝達調節--活動電位依存性および自発性の伝達物質放出を指標として (〔2002年〕6月第5土曜特集 イオンチャネルの最前線) -- (細胞膜イオンチャネル)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ホミカエキス散「ホエイ」
組成
成分・含量(1g中)
- 日本薬局方 ホミカエキス100mgを含有
〔ストリキニーネ(C21H22N2O2:334.41)0.61〜0.68%を含む〕
添加物
効能または効果
- 通常、成人1回0.2g、1日0.5gを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬効薬理
- エキスを単純胃瘻管造設イヌの胃内に投与するとき胃液分泌にほとんど変化は認められないが、コンズランゴ冷浸エキスを同時に適用するとき胃液分泌増加し酸度も上昇する。更にエキス又はチンキを単純胃瘻管造設イヌの口内又は胃内に投与するとき胃液分泌、酸度に変化を与えないし、胃、小腸に恒久性瘻管造設イヌになめさせるか胃内投与するとき、バルーン法で胃運動に著しい変化は認められない。
なおstrychnineをヒト、イヌの口内又は胃内に投与すると、ゲンチアナチンキとほぼ同様の効果があるという。また脊髄において抑制性シナプス後電位を減弱させてけいれんを引き起こすが、グリシン受容体に特異的に結合することが知られている。ペントバルビタールなどで麻酔したイヌに静脈内投与すると血圧上昇と心拍数増加が現れる。
★リンクテーブル★
[★]
[★]
- 英
- glycine receptor
- 関
- グリシン
- グリシンをリガンドとする
- イオンチャネル型受容体
- 3個のαサブユニットと2個のβサブユニットからなる五量体
- リガンドの結合によりCl-を細胞内に流入させる。
- Br-,I-,F-も流入させる
[★]
ストリキニーネ。硝酸ストリキニーネ
[★]
ストリキニーネ
[★]
- 英
- strychnine poisoning, strychninism
- 同
- ストリキニン中毒
- 関
- ストリキニーネ
[★]
- ラ
- Strychnos nux-vomica
- 関
- マチン、ストリキニーネ
[★]
- 英
- quinine
- 化
- 硫酸キニーネ quinine sulphate、塩酸キニーネ quinine hydrochloride
- 商
- ホミカエキス
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類