- 関
- 水質基準、水質汚濁防止法施行令、環境基本法
法令
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO138.html
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水質汚濁防止法 |
日本の法令 |
通称・略称 |
水濁法 |
法令番号 |
昭和45年12月25日法律第138号 |
効力 |
現行法 |
種類 |
環境法 |
主な内容 |
水質汚濁の防止など |
関連法令 |
下水道法、湖沼水質保全特別措置法、瀬戸内海環境保全特別措置法など |
条文リンク |
総務省法令データ提供システム |
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水質汚濁防止法(すいしつおだくぼうしほう、昭和45年12月25日法律第138号)は、1970年(昭和45年)12月25日に公布され、1971年(昭和46年)6月24日に施行された公共用水域の水質汚濁の防止に関する日本の法律。最終改正は、2011年(平成23年)8月30日。
1958年(昭和33年)に制定された前身の公共用水域の水質の保全に関する法律(水質保全法)および工場排水等の規制に関する法律(工場排水規制法)は、この法律施行に伴い廃止された。
目次
- 1 目的
- 2 内容
- 2.1 規制項目
- 2.1.1 (1) 健康項目(令2条)
- 2.1.2 (2) 生活環境項目(令3条)
- 2.1.3 (3) 総量規制
- 2.1.4 (4) 地下浸透水の規制
- 2.2 刑事・行政上の措置
- 2.3 民事上の措置
- 2.3.1 「無過失責任主義」の導入(19 - 20条)
- 2.4 条例との関係
- 3 水質汚濁防止法の性格
- 4 制定の背景
- 5 排水監視の徹底と新たな公害防止体制
- 6 構成
- 7 所轄官庁
- 8 引用
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
目的[編集]
工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ)の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする(第1条)。
内容[編集]
水質汚濁防止法では、水質汚濁防止法施行令で指定された「特定施設」を設置している「特定事業場」からの公共用水域への排出、及び地下水への浸透を規制している。
規制項目[編集]
(1) 健康項目(令2条)[編集]
「特定施設」(施行令別表第一)の、人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質(重金属、有機化学物質など)
- カドミウム及びその化合物 - シアン化合物
- 有機リン化合物(ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名パラチオン)、ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名メチルパラチオン)、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト(別名メチルジメトン)及びエチルパラニトロフエニルチオノベンゼンホスホネイト(別名EPN)に限る)
- 鉛及びその化合物 - 六価クロム化合物 - ヒ素及びその化合物
- 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
- ポリ塩化ビフェニル - トリクロロエチレン - テトラクロロエチレン - ジクロロメタン - 四塩化炭素
- 1,2-ジクロロエタン - 1,1-ジクロロエチレン - シス-1,2-ジクロロエチレン - 1,1,1-トリクロロエタン - 1,1,2-トリクロロエタン - 1,3-ジクロロプロペン
- テトラメチルチウラムジスルフイド(別名チウラム)
- 2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-S-トリアジン(別名シマジン)
- S-(4-クロロベンジルメチル)=N,N-ジエチルチオカルバマート(別名チオベンカルブ)
- ベンゼン
- セレン及びその化合物 - ホウ素及びその化合物 - フッ素及びその化合物
- アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
(2) 生活環境項目(令3条)[編集]
「特定施設」(施行令別表第一)の、水の汚染状態を示す項目(pH、BOD、COD、浮遊物質量、大腸菌群数など)、ただし規制対象は排水量が一日平均50m3以上
(3) 総量規制[編集]
「指定地域特定施設」からの排水(東京湾・伊勢湾・瀬戸内海と関係のある地域)
(4) 地下浸透水の規制[編集]
「特定施設」からの排水に関して、「健康項目」に定める有害物質の地下への浸透の禁止
刑事・行政上の措置[編集]
- 規制事業者の排水基準(「排水基準を定める省令」-S46内閣府令35号)順守義務 → 罰則(31条)
- 規制事業者の排水測定、記録の3年間保管義務(14条) → 罰則(33条)
- 都道府県知事の排水監視義務(15条)
- 都道府県知事の改善命令、排水停止命令(13条) → 命令違反の罰則(30条)
民事上の措置[編集]
「無過失責任主義」の導入(19 - 20条)[編集]
元来、加害者に故意又は過失がなければ、民事上の不法行為は成立しない(過失責任主義)が、本法においては、被害の甚大さを重く見、被害者の保護を図るため、例外的に加害者の故意・過失を問わず加害者の法的責任を追及できる「無過失責任」を規定している。言い換えればその分、加害者となり得る事業者は、特に重い管理責任を課されていると言える。
実際に無過失責任の規定が適用される状況としては、有害物質を含む水を、1)公共用水域(河川・湖沼・沿岸等)に排出した場合、2)地下に浸透させた場合、が考えられる。現在では排水の監視等が厳しく、それによる健康被害の発生もほとんどないと考えられる。よって現実的には、監視の目が行き届きにくい状況である地下浸透による地下水汚染について、特に強く無過失責任の規定が適用されると考えられる。なお水質事故(河川に有害物質が流出する)を誤って発生させた場合も、当然ながら無過失責任が適用される。水質事故の場合、河川管理者や関係機関が行った対策・処理について、原因者に費用負担を求めることができるとしている(河川法第67条) 。
無過失責任とは、「損害が発生した場合には、故意または過失がなくても賠償責任を負うという原則」。この無過失責任は、民法の過失責任の原則の例外となるものであり、私法の法体系全体にかかわる問題である。しかしながら私法的な面においても、事業者の責任を強化して、被害者の円滑な救済ができるような措置、すなわち事業者の無過失損害賠償責任制度を創設すべきであるという強い社会的背景をうけ、「大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律」(昭和47年法律84号)により無過失責任を制定した。本改正法により制定された内容は以下のとおりである。
- 工場または事業場における事業活動に伴って人の健康に有害な一定の物質が大気中に、または水域等に排出されたことにより、人の生命または身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、故意または過失がない場合であっても、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずることとした。この場合の有害物質とは、大気汚染防止法および水質汚濁防止法において人の健康に被害が生ずるおそれがある物質として規制の対象とされているもので、硫黄酸化物等複合汚染を常態とする物質をも含めることとした。
- 損害が2つ以上の事業者の共同不法行為によって生じた場合において、その損害の原因となった程度が著しく小さい事業者があるときは、裁判所は、その者の損害賠償の額を定めるについて、その事情を斟酌することができる途を開いた。
- 無過失責任は、この法律の施行の日以後における有害な物質の排出による損害について適用することとし、遡及はさせないこととした。
条例との関係[編集]
本法は適用対象で施設や排水量に条件があるなど、限定的な規制であるため、地方自治体の条例による「横出し規制」を認めている。また、全国一律で最低限の規制を定める趣旨であるため、同様に地方自治体の条例による「上乗せ規制」も認めている。実際、何らかの「横出し規制」「上乗せ規制」「脚きり規制」を定めている地方自治体は多い。
なお、下水道への排出水は、下水道法で規制している。
水質汚濁防止法の性格[編集]
水質汚濁防止法は、その名前から水質汚濁防止の基本法のように誤解されることが多いが、規制対象の施設や排水量等により、限定的に適用される規制である。ゆえに、規制値を大きく超過した排水が放流し続けられていても、水質汚濁防止法の条文における特定施設に該当しない等の理由で水質汚濁防止法は適用されないということもある。そのような規制のもれについては、法の趣旨に鑑み、先述のとおり自治体条例の横出し規制などで補完が試みられていることが多い。また、排水方法によっては、下水道法や浄化槽法等の規制対象となることもある。水質汚濁防止のための規制体系は、これらの複数の方法の組み合わせによる複雑で総合的な規制となっている。
制定の背景[編集]
水質汚濁防止法が制定されるまでは、昭和33年(1958年)に制定された公共用水域の水質の保全に関する法律(水質保全法)、工場排水等の規制に関する法律(工場排水規制法)によって、規制が行われていた。これらの法律は、1950年代初期から問題となっていた水俣病及びイタイイタイ病への対策として制定された。しかし、規制水域や規制対象業種を個別に指定するため、実効性が不十分であり、1960年代になっても、第二水俣病のような公害が発生し、水質汚濁の未然防止ができなかった。このため、排水規制のしくみを全般的に強化するため、昭和45年に制定されたのが、水質汚濁防止法である。
昭和45年の水質汚濁防止法では、水質保全法、工場排水規制法を一体化し、これらの法律で行ってきた個別に水域指定をすることを廃止し、全水域を対象とする一律の排水基準の設定をおこなった。また、地方自治体の権限強化を行い、条例による上乗せ排水基準の設定、排水基準違反に対する直罰等を盛り込んだ内容となった。
排水監視の徹底と新たな公害防止体制[編集]
- 平成17年3月環境省は、JFEスチール東日本製鉄所と昭和電工千葉事業所の2社の水濁法違反事件発生を受け、都道府県と水質汚濁防止法上の政令市に対し、水濁法に基づく事業所への立入り検査を行う場合の監視指導徹底を図るよう通知[1]した。これら2社は、長期間にわたり違法排水を流すとともに、排水分析データの虚偽記載・報告を行い、悪質な公害の隠蔽工作を行っていた。今回の通知ではこれらの企業犯罪を踏まえ、以下の点を確認することとした。
- 複数の人間が測定結果をチェックする体制になっているか
- 排出水測定結果の原簿と届け出値の差異
- 自動計測器指示値と届け出値の差異
- JFEスチール東日本製鉄所で見られたようなスラグ堆積場浸出水管理不備の有無
- 平成18年4月環境省は、JFEスチール・昭和電工の悪質な水濁法違反を受け、自治体が水質汚濁防止法に基づく立入検査を行う際の参考となるように、基本的な考え方や具体的な留意事項をまとめた「水質汚濁防止法に基づく立入検査マニュアル策定の手引き」を作成し公表[2]した。手引きの内容は、平成17年3月の立入検査の留意点通知に対する対応、また立入検査計画作成時・検査の事前準備時・検査実施時・検査後の各段階の業務の基本的な考え方・留意事項に加え、携行品・書類上で確認すべき事項・特定施設・排水処理施設・排水口・排水経路のチェックポイントが具体的に示されている。
- 環境省と経済産業省は、JFEスチール・昭和電工など[3]の企業により不適正な公害防止の実態が判明したことや、企業の社会的責任(CSR)の関心が高まっている現状を踏まえ、平成18年度に「環境管理における公害防止体制の整備の在り方に関する検討会」を新たに立ち上げ、新たな公害防止体制の方向性を検討[4]した。
- このような事業者の公害防止管理体制に綻びが生じている事例がみられたため、環境省は平成21年8月19日に中央環境審議会に対して、「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」諮問し、平成22年1月29日に答申がなされた。この答申において、『水質事故に対する迅速な対応を推進するとともに適正に事故原因を究明し再発防止を図るため、事業場における事故について「水質汚濁防止法」の事故時の措置の対象物質・施設を拡大することが必要』とされた。この答申を受け、水質汚濁防止法の改正が行われ、事業者の責務規定が平成22年8月10日に施行、排出水等の測定結果の改ざん等に対する罰則の創設及び事故時の措置の対象の追加が平成23年4月1日に施行された。
構成[編集]
- 第1章 - 総則(第1条 - 第2条)
- 第2章 - 排出水の排出の規制等(第3条 - 第14条の3)
- 第2章の2 - 生活排水対策の推進(第14条の4 - 第14条の11)
- 第3章 - 水質の汚濁の状況の監視等(第15条 - 第18条)
- 第4章 - 損害賠償(第19条 - 第20条の5)
- 第5章 - 雑則(第21条 - 第29条)
- 第6章 - 罰則(第30条 - 第35条)
所轄官庁[編集]
引用[編集]
- ^ 水質汚濁防止の徹底に関する通知について(平成17年3月18日):環境省
- ^ 「水質汚濁防止法に基づく立入検査マニュアル策定の手引き」等について(平成18年4月20日):環境省
- ^ 2005 - 2006年に発覚したデータ改ざん等の水濁法違反による公害隠蔽企業はJFEスチール・昭和電工の他に、神戸製鋼所・三菱マテリアル・日本ハム・東急リネンサプライ、王子製紙などがある。
- ^ 「公害防止に関する環境管理の在り方」に関する報告書:環境省
関連項目[編集]
- 環境基準
- 下水道法
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
- 水質汚濁防止法施行令
- 土壌汚染対策法
- 水俣病 - イタイイタイ病
- 汚染者負担原則
- 地下水汚染 - 土壌汚染 - 底質 - 底質汚染
- 閉鎖性水域
- 環境法 - 日本の環境と環境政策 - 環境法令一覧
外部リンク[編集]
- 水質汚濁防止法施行令 昭和46年
- 水質汚濁防止法施行規則 昭和46年 総理府・通商産業省令2号
- 水質汚濁防止法の施行について 昭和46年 環水管24号
- 水質汚濁防止法の施行の徹底について 昭和50年 環水規102号
- 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律(衆議院):昭和47年法律84号(通称:無過失責任法)
- 環境基準について(環境省)
- 水質汚濁防止法等の施行状況(環境省)
河川 |
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関連する自然地形 |
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法令等 |
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学問 |
地理学 - 地学 - 土木工学 - 河川工学 - 水理学 - 水文学 - 環境工学 - 生態学 - 農業工学 - 農業土木
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生活 |
漁撈 - 釣り - 利水 - 水の危機 - 水利権 - 水争い - 水郷 - 川遊び - カヌー - 渡し船 - 高瀬舟 - 沢登り - リバーサーフィン(英語版) - リバーボーディング(英語版)
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現象 |
洪水 - 氾濫 - 鉄砲水 - 土石流 - 海嘯
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災害と治水 |
治水 - 水害 - 洪水被害 - 洪水予報 - 土石流被害 - 水死 - 水難事故 - 水不足 - ダム - 堤防
|
|
団体 |
日本河川協会 - 水資源機構 - 国土交通省( > 水管理・国土保全局)
|
|
信仰 |
水神 - 川神
|
|
Japanese Journal
- 田中 徹,松山 祐介
- Electric power civil engineering = 電力土木 (377), 70-72, 2015-05
- NAID 40020482054
- 神奈川県における水質汚濁防止法改正への対応 (特集 水質汚濁防止法改正 最新動向)
- 神奈川県環境農政局環境部大気水質課
- 環境管理 = Environmental management 51(3), 42-48, 2015-03
- NAID 40020391124
- 地下水汚染未然防止のための構造等規制制度の概要とその対応 (特集 水質汚濁防止法改正 最新動向)
Related Links
- )又は水質汚濁防止法第三条第二項に規定する有害物質のこの法律の施行前の排出(地下へのしみ込みを含む。)によるものであることを当該 3 ...
- 水質汚濁防止法の改正~地下水汚染の未然防止のための実効ある取組制度の創設~(平成24年6月1日施行) 水質汚濁防止法の一部を改正する法律が平成23年6月14日に成立、平成23年6月22日に公布され、平成24年6月1日に施行 ...
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[★]
テンプレート:日本の法令
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(とくていかがくぶっしつのかんきょうへのはいしゅつりょうのはあくとうおよびかんりのかいぜんのそくしんにかんするほうりつ;平成11年法律第86号)は、日本の法律。略称は、化学物質排出把握管理促進法、化管法、PRTR法。1999年7月13日公布、一部の規定を除き2000年3月30日施行。
目的
環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする(第1条)。
内容
この法律は、政令で指定された化学物質を取り扱う事業者が、指定化学物質の環境への排出量・移動量を把握し、国に届け出ることにより、環境あるいは人体に有害な化学物質がどのような発生源からどのくらい環境へ排出・移動されたか、というデータを集計し、公表する仕組みである。PRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register 制度)、PRTR法、化管法などとも呼称される制度である。
指定化学物質を製造、移動あるいは使用する事業者は毎年一回、都道府県を窓口にして国へ報告する義務を負っている。この届出の対象になるのは政令で定められた、「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」のうち、「第一種指定化学物質」の354物質である(2004年11月現在)。
また、当該製品を販売する場合には販売先にMSDS (Material Safety Data Sheet) を添付することも義務付けられている。この対象となるのは、政令で定められた、「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の合わせて435物質である。
対称物質は特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律における特定化学物質の一覧を参照。
制定の背景
1974年にオランダで開始されたIEI制度がその原型であり、1986年にはアメリカ合衆国でTRI制度として、整備が進められた。
1992年の環境と開発に関する国際連合会議において採択された、アジェンダ21には、各国政府が化学物質の管理において果たすべき役割が述べられている。この中の一つが、PRTR制度である。
1996年に経済協力開発機構(OECD)は、アジェンダ21をうけて、加盟各国政府にPRTR制度の導入についての勧告を行った。
日本においては、OECD勧告を受け、環境庁(現:環境省)及び通商産業省(現:経済産業省)が共同して法制化し、1999年(平成11年)に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)を成立させた。
構成
- 第1章 - 総則(第1条~第4条)
- 第2章 - 第一種指定化学物質の排出量等の把握等(第5条~第13条)
- 第3章 - 指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等(第14条~第16条)
- 第4章 - 雑則(第17条~第23条)
- 第5章 - 罰則(第24条)
- 附則
主務官庁
経済産業省 環境省
内閣府 財務省 (日本) 文部科学省 厚生労働省 農林水産省 国土交通省
主な業務は、経済産業省及び環境省でおこなっているが、化学物質を取扱う事業者の行う事業を所管する官庁も所轄している。
外部リンク
他の主要な化学物質規制法令
[★]
- 英
- Basic Law for Environmental Pollution Control
(定義)
第2条
- この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
- 2 この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
- 3 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第十六条第一項を除き、以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
第三節 環境基準
第16条
- 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
- 2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあっては政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県の知事が、それぞれ行うものとする。
- 3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
- 4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。
法令
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html
[★]
- 英
- water quality standards
水質基準に関連する法令
- 健康に係る有害物質についての排水基準:全水域共通、有害物質
- 生活環境に係る汚染状態についての排水基準:全水域共通、汚染指標
[★]
- 同
- Cl-
- 関
- 環境基本法、水質汚濁防止法、水質汚濁防止法施行令、水質汚濁防止法施行規則
参考
[★]
- 英
- water emission standard, quality standard of discharge water, waste water standards
- 同
- 放流基準 effluent standard
- 関
- 下水、水質汚濁防止法
[★]
- 関
- 環境基本法、水質汚濁防止法、水質汚濁防止法施行令、水質汚濁防止法施行規則
- 最終改正:平成一九年四月二〇日環境省令第一一号
別表 (第九条の三関係)
有害物質の種類
|
基準値
|
カドミウム及びその化合物
|
一リットルにつきカドミウム〇・〇一ミリグラム
|
シアン化合物
|
検出されないこと。
|
有機燐化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る。)
|
検出されないこと。
|
鉛及びその化合物
|
一リットルにつき鉛〇・〇一ミリグラム
|
六価クロム化合物
|
一リットルにつき六価クロム〇・〇五ミリグラム
|
砒素及びその化合物
|
一リットルにつき砒素〇・〇一ミリグラム
|
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
|
一リットルにつき水銀〇・〇〇〇五ミリグラム
|
アルキル水銀化合物
|
検出されないこと。
|
ポリ塩化ビフェニル
|
検出されないこと。
|
トリクロロエチレン
|
一リットルにつき〇・〇三ミリグラム
|
テトラクロロエチレン
|
一リットルにつき〇・〇一ミリグラム
|
ジクロロメタン
|
一リットルにつき〇・〇二ミリグラム
|
四塩化炭素
|
一リットルにつき〇・〇〇二ミリグラム
|
一・二―ジクロロエタン
|
一リットルにつき〇・〇〇四ミリグラム
|
一・一―ジクロロエチレン
|
一リットルにつき〇・〇二ミリグラム
|
シス―一・二―ジクロロエチレン
|
一リットルにつき〇・〇四ミリグラム
|
一・一・一―トリクロロエタン
|
一リットルにつき一ミリグラム
|
一・一・二―トリクロロエタン
|
一リットルにつき〇・〇〇六ミリグラム
|
一・三―ジクロロプロペン
|
一リットルにつき〇・〇〇二ミリグラム
|
チウラム
|
一リットルにつき〇・〇〇六ミリグラム
|
シマジン
|
一リットルにつき〇・〇〇三ミリグラム
|
チオベンカルブ
|
一リットルにつき〇・〇二ミリグラム
|
ベンゼン
|
一リットルにつき〇・〇一ミリグラム
|
セレン及びその化合物
|
一リットルにつきセレン〇・〇一ミリグラム
|
ほう素及びその化合物
|
一リットルにつきほう素一ミリグラム
|
ふつ素及びその化合物
|
一リットルにつきふつ素〇・八ミリグラム
|
アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
|
一リットルにつき亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量一〇ミリグラム
|
備考「検出されないこと。」とは、第九条の四の規定に基づき環境大臣が定める方法により地下水の汚染状態を測定した場合において、その結果が当該測定方法の定量限界を下回ることをいう。
|
- 検出されないこと:シアン化合物、有機燐化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る。)、アルキル水銀化合物、ポリ塩化ビフェニル
- 有害物質に関する基準
- 全公共用水域に一律に適用される。
- 大腸菌は検出されてはならない
- 残留塩素は塩素消毒が行われている指標
- 塩化物イオンは屎尿汚染の指標
- 塩素消毒により発ガン性のあるトリハロメタンが生じる
法令
[★]
- 関
- 環境基本法、水質汚濁防止法、水質汚濁防止法施行規則
- 水質汚濁防止法で「健康にかかる有害物質についての排水基準」「生活環境にかかる汚染状態についての排水基準」について、規制される物質を具体的に指し示している。
- 「健康にかかる有害物質についての排水基準」については引用により、中毒をきたす物質が指定されていると考えられる(銅、鉛、水銀、カドミウム)。スズは指定されていない。
- 水質汚濁防止法施行規則に具体的な規制値が定められている。
法令
[★]
- 英
- prevention、preclusion、prevent、preclude、discourage
- 関
- 阻止、防ぐ、妨害、予防、妨げる、落胆
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- 英
- method、law
- 関
- 測定法、測定方法、訴訟、方法、法律学、手法、方式、法律
[★]
- 英
- water pollution
- 関
- 水質汚染