関
精神保健福祉法
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2021/07/10 20:07:08」(JST)
[Wiki ja表示]
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。 免責事項もお読みください。
精神保健指定医 英名
略称
指定医 実施国
日本 資格種類
国家資格 分野
精神科 試験形式
ケースレポート・口頭試問(申請時) 認定団体
厚生労働省の医道審議会 後援
日本精神科病院協会 全国自治体病院協議会 日本総合病院精神医学会 認定開始年月日
1988年(昭和63年) 等級・称号
精神保健指定医 根拠法令
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 特記事項
申請時にはケースレポートの他、医師として5年以上診断または治療に従事し、かつ3年以上の精神科従事期間の証明が必要である。指定医の有効期間は5年間。 ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 テンプレートを表示
精神保健指定医 (せいしんほけんしていい)とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条に定める、医師の国家資格である。単に「指定医」とも。精神医療における非自発入院 の判定を独占的に行える者とされている[1] 。
精神科への入院[1]
自発入院 - 任意入院
非自発入院
措置入院 / 緊急措置入院
医療保護入院 / 応急入院
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律における入院処遇について、行動制限を要するときにも本法の資格によるものであり、学会認定専門医制度とは根本的に違う点である。
職務
精神科医療においては、患者に入院を強制したり(非自発入院)、身体拘束を含む行動制限を行わざるをえない場面が存在する。しかし、令状無しで人身の自由を奪い、対応を間違えれば人権蹂躙になってしまうから、これらの人権の侵襲が妥当なものかどうかの判断は、精神医療及び法制度に通暁した者によって、慎重になされなければならない。
10. 法の遵守。決定は現行法に沿ってなされるべきであり、その他の基準や裁量で行ってはならない。
— 世界保健機関 精神保健法:10の原則 [2]
指定医の職務は、勤務先の医療機関における職務と、非医療機関における職務(みなし公務員)に大別される。
医療機関における職務は、退院制限を要するか、措置入院の症状が消退しているか、医療保護入院や応急入院を要するか、隔離や身体拘束など行動制限を要するか、退院請求や処遇改善請求をした患者の診察、措置入院患者の仮退院が可能かどうか、の判断をすることなどである。また、医療機関内で著しく不適切な処遇がある場合には、管理者に報告などして改善する義務も課せられている。
非医療機関における職務としては、措置入院や緊急措置入院を要するか、医療機関への移送を要するか、退院請求や処遇改善請求、精神科医療機関への立ち入り調査に際して現在の処遇が適切か、精神障害者保健福祉手帳の返還を要するか、の判断をすることなどである。
認定基準
指定医の資格申請には、精神科3年以上を含む5年以上の臨床経験を有する精神科医が講習を受けた上で、措置入院または医療保護入院である症状性を含む器質性精神障害症例、精神作用物質使用による精神及び行動の障害症例、統合失調症圏症例、気分障害症例、神経症性障害や児童思春期症例等の症例、各1例、計5例のケースレポートを提出することが求められる。措置入院と医療保護入院のどちらの症例も含まれなければならない。このケースレポートに加えて口頭試問を経て、指定医の指定を受けることとなる。合格率は5~6割といわれる。
前身の精神衛生鑑定医(鑑定医)から移行した者(約6,000人)と合わせ、2015年(平成27年)7月時点で1万4793人が資格を取得している[3] 。
歴史
「精神保健の歴史#日本での歴史」も参照
1900年(明治33年)- 精神病者監護法
監護法施行規則第3条により、監置の申請には医師の診断書が必要。監護法施行手続き第2条および第3条により、警察医または警察医員より監置するか否かを決定される。監護本法第11条により、行政庁は必要に応じて、指定したる医師 による調査を行うことが可能[4] 。
1919年(大正8年)- 精神病院法
精神疾患者の保護治療と公安上の理由を目的として制定され、内務省通牒に明記されている。病院法本法には規定がない。入院について病院法本法第2条には「命令ノ定ムル所ニ依リ、医師ノ診断アルコトヲ要ス」とあり、病院法施行規則第4条では診断を行う医師の条件に「地方長官ノ指定シタル医師 」とある。この条件を満たす医師は内務省通牒第3に明記されており、警察医または精神病に関する学識経験者、とある[4] 。
1950年(昭和25年)- 精神衛生法
精神障害者が定義され、目的は、精神障害者の医療および保護、と規定される。精神病院法(1919年)に明記されていた「公安上の目的」はなくなった。入院形態には、措置入院(精神病院法から引き継ぐ)、同意入院(精神病者監護法から引き継ぐ)、仮入院がある。第38条で行動制限条項を規定する。自傷他害の可能性がある精神疾患者の措置入院の判定は厚生大臣に指定された精神衛生鑑定医 (鑑定医)が行う。鑑定医は措置入院の判定以外には係らず、他の法的責任は病院管理者が負う[5] 。
1988年(昭和63年)- 精神保健法
宇都宮病院事件後、精神保健指定医 が規定され、鑑定医と比較すると、措置鑑定のほか措置解除、医療保護入院、応急入院の入院適応判定、身体的拘束及び12時間を超える隔離といった行動制限の適応判定等、非指定医に許されない判断を独占的に行うものとされ、かつ一部の業務は公務員として行うものとされ、判断の厳格化、権限の明確化に資するようになった。
2006年(平成18年)- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
精神保健指定医資格不正取得事件
神奈川県川崎市宮前区の「聖マリアンナ医科大学病院」で、精神保健指定医の資格不正取得問題が発覚し、2015年(平成27年)4月15日、厚生労働省医道審議会が不正取得に関わった精神科医師20人(不正取得医師11人と指導医師9人)の精神保健指定医資格を取り消す「異例の事態」となった。不正取得した精神科医は、統合失調症や依存症など8症例のケースレポートを「コピー&ペースト」で、同じ医局の精神科医師が書いた症例を使い回し、あたかも自分が担当医となった様に装っていた[6] 。
同年6月19日には、さらに聖マリアンナ医科大学所属の准教授2人と講師1人の指導医3人の精神保健指定医の追加取り消し処分を決定したと発表した。この処分で合計23人(内訳:医師11人、指導医師12人)の精神保健指定医資格が取り消された。聖マリアンナ医科大学は、大学組織ぐるみでの不正については、これを否認している[7] 。
これを踏まえて、厚生労働省が2016年(平成28年)に実施した実態調査で、日本国内の精神科医師のうち数10人が、患者の診療歴を偽るなどの手口で、精神保健指定医の資格を不正取得していた疑いがあることが判明している。この中には、聖マリアンナ医科大学の精神科医師2人と[8] 、相模原障害者施設殺傷事件の被疑者に対する措置入院に関わった北里大学東病院の精神科医も含まれていた[9] 。
2016年(平成28年)10月26日、厚生労働省は、精神保健指定医49人とその指導医師40人を資格取り消し処分にしたと発表した[10] 。厚生労働省医道審議会は、処分が出る前に、指定医の辞退届を出した6人と、指定医資格申請中の4人を合わせた99人を、不正取得と認定した[11] 。ただし後述の通りこの処分の正当性には疑問も多い。
2019年(令和元年)5月15日、東京地方裁判所(古田孝夫裁判長)は、資格取り消し処分を不当と訴えていた医師1人の処分が違法であるとして、処分の取消を厚生労働省に命じた[12] 。
脚注
^ a b 『精神科救急ガイドライン2015』 一般社団法人日本精神科救急学会、2016年、Chapt.1.V。ISBN 978-4892698798。http://www.jaep.jp/gl_2015.html 。
^ MENTAL HEALTH CARE LAW: TEN BASIC PRINCIPLES author=Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse (Report). World Health Organization. (1996). WHO/MNH/MND/96.9. http://www.who.int/mental_health/media/en/75.pdf .
^ “「精神指定医」不正疑惑、聖マリアンナ医大でさらに2人…大学「調査に限界」”. 読売新聞 (読売新聞東京本社). (2016年9月4日). https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160904-OYTET50008/ 2016年2月16日 閲覧。
^ a b 『東大病院精神科の30年』(p281)
^ 『東大病院精神科の30年』(p282,p283)
^ 佐藤光展 (2015年4月28日). “放置された指定医の暴走”. 読売新聞 (読売新聞社). http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=117820 2015年9月1日 閲覧。
^ 成相通子 (2015年6月18日). “聖マリ「ゆるみきっていた」、指導医3人を追加取消”. m3.com編集部 (エムスリー株式会社). https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/331712/ 2015年9月6日 閲覧。
^ “「精神指定医」不正疑惑、聖マリアンナ医大でさらに2人…大学「調査に限界」”. 読売新聞 (読売新聞東京本社). (2016年9月4日). https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160904-OYTET50008/ 2016年2月16日 閲覧。
^ “精神保健指定医 数十人が資格不正取得か 診療歴偽る”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2016年9月3日). http://mainichi.jp/articles/20160903/k00/00m/040/098000c 2016年10月26日 閲覧。
^ “前代未聞の“コピペ医師”大量資格取り消し…措置入院の判断どうする”. 産経新聞 (産経新聞社). (2016年11月8日). http://www.sankei.com/life/news/161108/lif1611080002-n6.html 2017年6月27日 閲覧。
^ 熊谷豪 (2016年10月27日). “精神保健指定医 厚労省、不正認定99人 リポート使い回し”. 毎日新聞 (毎日新聞社). http://mainichi.jp/articles/20161027/ddm/041/040/128000c 2016年12月26日 閲覧。
^ “■NEWS 精神保健指定医の資格不正、国の取消処分は「違法」―東京地裁判決”. Web医事新報 (日本医事新報社). (2019年5月20日). https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=12350 2019年9月7日 閲覧。
参考文献
出版物
富田三樹生 『東大病院精神科の30年 - 宇都宮病院事件・精神衛生法改正・処遇困難者専門病棟問題』 青弓社〈クリティーク叢書(18)〉、2000年1月。 ISBN 978-4787231680。
関連項目
外部リンク
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(最終改正:平成一八年六月二三日法律第九四号)、第五章 医療及び保護、第三節 指定医の診察及び措置入院、第27条
この項目は、医学に関連した書きかけの項目 です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
1. COVID-19: Occupational health issues for health care workers covid 19 occupational health issues for health care workers [show details] … resources to help HCWs address these mental health challenges . A more detailed discussion of the mental health impact of COVID-19 in HCWs is discussed… the World Health Organization (WHO) to declare a public health emergency in late January 2020 and characterize it as a pandemic in March 2020. The virus that causes COVID-19 is designated severe…
2. 人身売買:医療現場での発見および評価 human trafficking identification and evaluation in the health care setting [show details] … that nonmedical personnel can easily understand the issues. Protected health information is not discussed. Both medical and mental health follow-up is arranged when possible. Providers educated in trauma-informed …
3. 重度の精神障害を来す患者への雇用支援 supported employment for patients with severe mental illness [show details] …services. It is important to address mental health needs that may interfere with being able to function in a competitive work environment. In conventional mental health clinics with a multidisciplinary treatment …
4. 性別に違和感を持つ小児や青年の性・性意識の発達と臨床症状 gender development and clinical presentation of gender diversity in children and adolescents [show details] … behavior, and sexual maturation may develop functional or mental health problems . Stigma and discrimination have significant impacts on mental health and social opportunities . In a cohort of TGD adolescents …
5. 特別な医療が必要な小児を含めた未成年者 children and youth with special health care needs [show details] … Behavior and mental health problems – CYSHCN should be screened at least annually for behavioral or mental health problems and referred to mental health specialists for further… incorporating designated office staff, family members, and community partners, is essential for successful assessment of needs and care integration . Routine health care maintenance…
Japanese Journal
精神保健指定医 の指定取消処分三高裁確定判決に見る厚生労働行政について
野木 渡
日本精神科病院協会雑誌 = Journal of Japanese Association of Psychiatric Hospitals 39(5), 426-429, 2020-05
NAID 40022257684
あしたのマネジメントを考えるヒント,このひとに聞く(10)臨済宗建長寺派林香寺住職/RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長 精神保健指定医 ,日本精神神経学会認定精神科専門医,医師会認定産業医 川野泰周氏
Related Links
精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領の制定について(平成30年12月6日障発1206第3号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知) New. 別紙1(ケースレポートの対象となる診療期間の条件). 別紙2(ケースレポート及び口頭試問の評価基準 ...
「精神保健指定医 研修会」の講習が3日間の日程で行われ、この講習への参加が要件となります。精神保健指定医研修会では、精神保健福祉法などの法制度を中心に学習します。 受講料は45,000円ほどです。 なお、申請前1年以内に ...
「精神保健指定医」の指定要件は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条において明記されています(後述)。 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第19条4に定められた措置入院、緊急措置入院、医療保護入院など、任意入院以外の判断を職務として遂行できる法的な資格 です。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
19歳の男性。「ご飯に毒が入っている」と言い、食事をしない状態が続いているため両親に伴われて来院した。3か月前から自室に閉じこもりがちになった。両親ともあまり接触しようとせず、ときに独り言が聞かれ、興奮して大声を出すこともあった。入院治療の必要性を説明したが、患者はかたくなに入院を拒否している。両親は入院を希望している。
この患者に適用される入院形態に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
a 保護者 の同意が必要である。
b 知事への届出が必要である。
c 治療費は全額公費負担となる。
d 入院期間 は72時間を超えることができない。
e 2名以上の精神保健指定医 の診察が必要である。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G055 ]←[国試_105 ]→[105G057 ]
[★]
21歳の男性。引きこもりを心配した両親に伴われて来院した。 1年前から大学の講義を休んで自室に引きこもり、独り言を言うようになった。患者は「外に出ると、誰もいないのに自分への悪口が聴こえる」と言う。応対は穏やかであるが、 「自分は病気ではない」と治療を拒否した。両親は入院治療を希望している。
この患者に通用される入院形態で正しいのはどれか。 2つ選べ。
a 保護者 の同意が必要である。
b 入院期間 には72時間以内という制限がある。
c 精神保健指定医 の診察に基づいて判断される。
d 人権擁護に関する行政機関の職員との面会を制限できる。
e 患者 が手紙を出したり受け取ったりすることを制限できる。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B046 ]←[国試_106 ]→[106B048 ]
[★]
精神障害者 の保健・医療・福祉について誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G027 ]←[国試_100 ]→[100G029 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G017 ]←[国試_098 ]→[098G019 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D026 ]←[国試_099 ]→[099D028 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113C007 ]←[国試_113 ]→[113C009 ]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102B011 ]←[国試_102 ]→[102B013 ]
[★]
英
Mental Health and Welfare Law
同
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
関
法令 、障害者自立支援法
歴史
入院制度の比較
PSY.163改変
名称
強制/非強制
退院制限
患者条件
診察医
入院の命令者
保護者の同意
入院期間
知事への届出
任意入院
非強制
なし。ただし72時間に限り精神保健指定医 による制限可能
特になし
非指定医でも可
なし
不要
制限なし
不要
措置入院
強制
医師の判断で可能
自傷、他傷の事実、 あるいは恐れ
精神保健指定医 2名の合意
都道府県知事、政令指定都市市長
必要
緊急措置入院
精神保健指定医 1名
72時間
医療保護入院
医療と保護の必要性
病院管理者
必要
制限なし
応急入院
緊急の入院が必要
不要
72時間
第一章 総則
(この法律の目的)
第1条
この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法 (平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
第二章 精神保健福祉センター
(精神保健福祉センター )
第6条
都道府県 は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関 (以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。
2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
二 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
三 精神医療審査会の事務を行うこと。
四 第四十五条第一項の申請に対する決定及び障害者自立支援法第五十二条第一項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
五 障害者自立支援法第二十二条第二項の規定により、市町村が同条第一項に規定する支給要否決定を行うに当たり意見を述べること。
六 障害者自立支援法第二十六条第一項の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。
第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神科病院
第一節 精神保健指定医
(精神保健指定医 )
第18条
厚生労働大臣は、その申請に基づき、次に該当する医師のうち第十九条の四に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医(以下「指定医」という。)に指定する。
一 五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。
二 三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。
三 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。
四 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。
2 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、第十九条の二第一項又は第二項の規定により指定医の指定を取り消された後五年を経過していない者その他指定医として著しく不適当と認められる者については、前項の指定をしないことができる。
3 厚生労働大臣は、第一項第三号に規定する精神障害及びその診断又は治療に従事した経験の程度を定めようとするとき、同項の規定により指定医の指定をしようとするとき又は前項の規定により指定医の指定をしないものとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(措置入院 に関して規定している)
第29条
都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
(費用の負担) → 措置入院 の入院に要する費用は都道府県(間接的に国が)負担する。
第30条
第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。
2 国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。
第五節 精神科病院における処遇等
(処遇)
第36条
精神科病院の管理者 は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる 。 → 精神科病院に限り行動制限可能
2 精神科病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。
(身体拘束 )
3 第一項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
(精神保健福祉相談員 )
第48条
都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター 及び保健所 その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員(次項において「精神保健福祉相談員」という。)を置くことができる。
2 精神保健福祉相談員 は、精神保健福祉士 その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。
(精神障害者社会適応訓練事業 )
第50条
都道府県は、精神障害者の社会復帰の促進及び社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会適応訓練事業(通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者を精神障害者の社会経済活動への参加の促進に熱意のある者に委託して、職業を与えるとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。
第七章 精神障害者社会復帰促進センター
(指定等)
第51条の二
厚生労働大臣は、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと等により精神障害者の社会復帰を促進することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、精神障害者社会復帰促進センター(以下「センター」という。)として指定することができる。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
法令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO123.html
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和二十五年五月二十三日政令第百五十五号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25SE155.html
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和二十五年六月二十四日厚生省令第三十一号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000031.html
[★]
英
involuntary admission by the prefectural
関
(1995年)精神保健福祉法 、(1987年)精神保健法
まとめ
精神保健福祉法#入院制度の比較
精神保健福祉法 第二十九条による強制入院 である。都道府県知事、政令指定都市市長の命令 により精神保健指定医 二名 以上の診察を受けさせ、その者が精神障害者であり、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるという診断が一致すれば、そのものを精神科病院または指定病院に入院させることができる。この際、保護者の同意は不要 である。入院期間に制限はなく、退院は医師の判断で可能となる。
緊急措置入院 は措置入院 と違って精神保健指定医一名の診察のみで入院させることができるが、入院期間は72時間以内に制限される。
入院制度
精神保健福祉法#入院制度の比較
名称
強制/非強制
退院制限
患者条件
診察医
入院の命令者
保護者の同意
入院期間
措置入院
強制
医師の判断で可能
自傷、他傷の事実、 あるいは恐れ
精神保健指定医 2名の合意
都道府県知事、政令指定都市市長
不要
制限なし
都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
措置入院にかかる費用
[★]
関
法令
医師が関与する法律
医師が間接的に関与する法律
コメディカルが関する法律
参考
[★]
関
精神保健福祉法
入院制度
精神保健福祉法#入院制度の比較
名称
強制/非強制
退院制限
患者条件
診察医
入院の命令者
保護者の同意
入院期間
任意入院
非強制
なし。ただし72時間に限り精神保健指定医 による制限可能
特になし
非指定医でも可
なし
不要
制限なし
第二十二条の四
精神障害者が自ら入院する場合においては、精神科病院の管理者は、その入院に際し、当該精神障害者に対して第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせ、当該精神障害者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。
2 精神科病院の管理者は、自ら入院した精神障害者(以下「任意入院者」という。)から退院の申出があつた場合においては、その者を退院させなければならない。
(退院の制限)
3 前項に規定する場合において、精神科病院の管理者は、指定医による診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは 、同項の規定にかかわらず、七十二時間を限り、その者を退院させないことができる 。
[★]
関
精神保健福祉法
入院制度
名称
強制/非強制
退院制限
患者条件
診察医
入院の命令者
保護者の同意
入院期間
医療保護入院
強制
医師の判断で可能
医療と保護の必要性
精神保健指定医 1名
病院管理者
必要
制限なし
医療保護入院にかかる費用
国試
[★]
英
assignment 、assign
関
充てる 、割当 、割り当てる 、帰属
[★]
英
health , health supervision
関
衛生 、健康
[★]
英
mental health
関
地域精神医療