- 関
- 精神保健福祉法
入院制度
名称
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強制/非強制
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退院制限
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患者条件
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診察医
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入院の命令者
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保護者の同意
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入院期間
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医療保護入院
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強制
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医師の判断で可能
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医療と保護の必要性
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精神保健指定医1名
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病院管理者
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必要
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制限なし
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医療保護入院にかかる費用
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/07/12 22:24:03」(JST)
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医療保護入院(いりょうほごにゅういん)は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律33条に定められている精神障害者の入院形態の1つ。
入院を要する精神障害者は、その性質上、自ら必要な医療にアクセスする判断ができないことがある。自傷他害のおそれがある場合は措置入院または緊急措置入院として強制入院となりうるが、そこまでの症状がなくとも強制入院させることが必要であると判断されるときに適用される。強制入院制度としては、自傷他害のおそれを要求しないこと、公権力の責任で行うものではなく病院と家族の意思に基づくこと、及び入院期間に制限がないことが比較法的にも特異である。
目次
- 1 要件
- 2 効果
- 2.1 医療保護入院の成立
- 2.2 入院の継続、終了
- 3 移送制度(34条)
- 4 制度の変遷
- 4.1 平成26年から
- 4.2 昭和62年から平成26年
- 4.3 昭和25年から62年
- 4.4 昭和25年以前
- 5 問題点等
- 6 脚注
- 7 関連項目
要件
- 精神保健指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために任意入院が行われる状態にないと判定されたものであること(33条1項1号)または34条1項の規定により移送された者であること(33条1項2号)
- 2号については#移送制度(34条)を参照のこと。
- 1号については、精神障害者に医療及び保護のため入院の必要があることを要する。当該精神障害の治療でなくともよく、例えば統合失調症患者に癌の手術を受けさせるために総合病院の精神病床に医療保護入院させることもできる。医療又は保護のいずれかの必要があるだけでは入院させられないが、これらの区別を含め、どのような場合が医療及び保護のため入院の必要があるといえるかについては具体化された基準に乏しい。
- 唯一、認知症の入院適応については、「認知症患者について認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会報告書(案)」が、措置症状のほかは妄想、幻覚、落ち込み、苛立ちが目立つか些細な事で怒り出し暴力につながるといったことで、本人・家族の生活が阻害され非薬物療法で改善せず拒薬や治療拒否があり薬剤調整など認知症を専門とする医師による入院治療が必要とされる場合、と明確化しているのみである。
- 当該精神障害のために任意入院が行われる状態にないとは、単に任意入院に同意しないことを指すのではなく、病識がないとか判断力が低下しているといった、入院治療の当否を自己決定するについての能力不足を必要とする。逆に、こうした能力不足があれば、たとえ表面的に同意ととれる行動があっても任意入院を行うことはできない。
- これらについては、全て精神保健指定医の判定に係らしめて可及的に医学的正確性を担保するようにしている。ただし緊急やむを得ない時は特定医師の判定であっても12時間を限り入院可能としている(33条4項後段)。
- 家族等のうちいずれかの者の同意があること(33条1項柱書、33条2項)または居住地の市町村長の同意があること(33条3項)
- 行方不明、能力喪失、利益相反等の一定の欠格事由がある者を除く配偶者、親権行使者、扶養義務者、後見人または保佐人のいずれかが同意することが要件とされている。これらの者を家族等と呼ぶ。家族等がないか家族等の全員が意思を表示することができないときは、居住地の市町村長が同意権を有する。
- 家族等がいて連絡可能であり、かつ同意をしないときは医療保護入院できないことになる(このときは応急入院もできない)。これには、本人への関与の拒否を示したり何らの応答もしようとしない場合を含む。
効果
医療保護入院の成立
- 要件を満たした場合であっても、最終的に入院させるかは病院管理者(通常は、その権限を委任された主治医)の裁量による。
- 管理者は、入院後10日以内に、同意した家族等の同意書を添えた入院届(通常、薄黄色のA3版書式が用いられるために「黄紙」と称されることがある。)を都道府県知事に提出しなければならない(33条7項)。平成25年改正では、医療保護入院の入院届には退院後生活環境相談員の氏名や入院期間をも記載した入院診療計画書を添付することとされた(施行規則13条の4第1号ヲ)。
入院の継続、終了
- 33条1項の反対解釈として、「医療及び保護のために入院の必要がある」といえなくなるか、これがあるとしても任意入院が行える状態になるか(実際に任意入院を行うかとは関係がない)のいずれかを満たせば退院させなければならない。いずれも満たさなければ、原則として無期限に入院を継続することができるが、33条1項の「入院させることができる」との表現から、管理者は裁量で退院させることもできる。
- 入院時や措置入院の解除と異なり、指定医の判断を介在させる必要はない。従来は同意者(保護者)が退院を要求すれば退院させなければならないと考えられてきたが、平成25年改正の頃から、同意者の退院要求があっても管理者は入院継続できるとの行政解釈がされるようになった。
- その他、定期病状報告の審査(38条の3)や退院請求の審査(38条の5)、職権(38条の7)で退院を命じられることがある。
- 管理者は退院後10日以内に退院届を提出しなければならない(33条の2)。
- 医療保護入院による社会的入院(下記#問題点等参照)を抑止し、退院を促進するため、平成25年改正で、管理者は、退院後生活環境相談員を選任し(33条の4)、1年未満の入院者で入院届へ添付した入院診療計画書に記載の入院予定期間を経過する場合、1年未満の入院者で以前の審議で決定した入院期間を経過する場合又は1年以上の入院者で必要と認める場合に、退院支援委員会を開催して入院継続の必要性、予定入院期間、退院への取り組みを審議する(33条の6、平成26年障発124号)こととされた。
- 管理者は、入院継続中12か月毎に、定期病状報告書を提出しなければならない(38条の2第2項、施行規則20条)。これには、直近の退院支援委員会の審議記録を添付することとされた。
移送制度(34条)
- 従前、病院受診へ本人が抵抗するために医療保護入院が困難であるときに、家族が搬送業者や警備会社へ依頼して拉致同然に病院へ搬送することがあった。こうした事態へ対応するために、医療保護入院等のための移送の制度が整備された。通常、家族が保健所や病院に事前相談し、嘱託の指定医が居宅で診察し、移送を決定して病院へ移動する、という流れが想定されている。移送の要件としては、本人の症状が応急入院相当に緊急かつ重大であることを要するほか、入院先も応急入院指定病院でなければならない。
- 本条が整備された後も、本条によらず民間業者により搬送する例が多く本条による搬送は低調である。これは、適用すべき事態が、救急を要する場合なのか、他の手段を尽くしても受診できないときの最終手段であるのかといったことについて立案時から趣旨不明であった結果、各自治体が運用を控えていることや、移送先が応急入院指定病院に限られていることが理由に挙げられる。
- 移送制度の整備後に、民間搬送業者による搬送が違法であるとして損害賠償請求が認容された裁判例[1]がある。
制度の変遷
平成26年から
- 保護者制度廃止し家族等の同意による入院へ変更、退院促進制度の創設。
昭和62年から平成26年
- 任意入院、応急入院を規定、同意入院は医療保護入院に名称変更し指定医の判定を必須としたうえ、保護義務者の同意による入院(33条1項の「1項入院」)と保護義務者の選任を受けていない扶養義務者の同意による4週間を限る入院(33条2項の「2項入院」)の設定、仮入院は入院期間短縮のち廃止、保護義務者を保護者に名称変更、義務の縮小。
昭和25年から62年
- 精神病者監護法の廃止、精神衛生法に基づき措置入院と同意入院・仮入院が規定され、後者は家族のうち保護義務者が同意することとされた。
昭和25年以前
- 精神病者監護法に基づき、家族から監護義務者が定められ監置の任に当たっていた。
問題点等
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律#行政監査」も参照
家族等による悪用
真実は家族が自己の利益を図るため、本人への治療協力を装って、本人の収容を企図して医療保護入院を依頼する事例がある。医療保護入院の診察に際し、本人の陳述のほか家族の陳述以外に客観的な資料が乏しいことが殆どであることから、甚だしきは本人の言動を脚色して陳述し、精神保健指定医に病状が悪いような印象を与えることがありうる。実際、上記判例[1]では、家族自身の異常な言動に反応した本人の言動を、家族がその本人の言動のみ取り出して伝えたこと等が認定されている。
社会的入院
詳細は「社会的入院」を参照
脚注
- ^ a b 大阪地裁平成25・7・5 LLI/DB 06850393
関連項目
- 日本の精神保健
- 精神疾患
- 任意入院
- 措置入院
- 緊急措置入院
- 応急入院
- 精神科病院
- 精神保健指定医
- 精神科医
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Japanese Journal
- 医療保護入院者が医師に任意入院への切り替えを要請した場合の自治体別解釈について
- 桐原 尚之
- 病院・地域精神医学 = The Japanese journal of hospital and community psychiatry 54(1), 44-45, 2011-09-30
- NAID 10029759988
- 移送制度のあり方 (特集 これからの精神科地域ケア--統合失調症を中心に) -- (地域におけるネットワーキング)
- 精神科医療現場での人権侵害を問う--鳥取地方裁判所での不当判決と医療保護入院の違憲性について
Related Links
- 4 意による入院)」の制度が創設された。 昭和62年改正において、「意入院」の呼称が、患者本人の 意がある入院と誤解されるおそれがあったため、入院の基本 的な目的が「医療及び保護のため」という点にあることにかん
- 精神病院の管理者は、医療保護入院により入院している患者を退院させたときは、10日以内にその旨を保健所長を経て知事へ「医療保護入院者退院届」を届け出なければなりません。 この「退院」は医療保護入院の終了を意味しており ...
- 精神障害者になると、医療機関への入院についてさまざまな規則がありますが、「医療保護入院」もそのひとつです。具体的にどんな内容なのか、詳しく知りたいときはこちらの情報が参考になるかもしれません。
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★リンクテーブル★
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- 次の文を読み、13~15の問いに答えよ。
- 56歳の男性。言動の異常を心配した妻に伴われて来院した。担当医の要請で精神保健指定医が診察した。
- 現病歴 : 1週前に全身倦怠感を訴え内科を受診したところ、肝機能異常の悪化を指摘され、自宅療養と断酒とを指示された。毎日欠かさなかった焼酎4~6合/日の晩酌を止め、安静に専念していたが、数日前から頭痛、発汗および不眠を訴え始め、ついで精神的に焦燥感が強く不機嫌になってきた。昨日、部屋の中に虫がたくさんいて、おそってくる。」と大声をあげておびえ、虫を身体から払う動作を繰り返したり、家の外に逃げだそうとした。家族がいくら否定しても聞き入れない。夜になってますます不穏となり、昨夜は全く眠っていない。
- 既往歴 : 肝障害のため2年前に投薬を受けたことがある。
- 生活歴 : 妻と息子2人の4人家族。20歳時からの大酒家であるが、仕事には真面目な家具職人として現在に至る。
- 現症 : 身長165cm、体重65kg。体温36.5℃。脈拍110/分、整。血圧140/80mmHg。全身の発汗が著明。神経学的診察では細かな手指振戦を認める他は異常を認めない。いろいろ質問しても注意が散漫で何度も聞き直す。時には質問の内容にそぐわない答えが返ってくる。時間や場所に開する見当識や記銘カは明らかに障害されている。診察中にも、「虫がいる。」と言って何度も診察室から逃げだそうとする。入院を勧めても、「こんな恐ろしいところにいたくない。」と頑として入院を拒否する。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球400万、Hb 11.0g/dl、Ht38%、白血球9,600、血小板17万。血清生化学所見:空腹時血糖110mg/dl、総蛋白6.0g/dl、アンモニア30μg/dl(基準18~48)、総ビリルビン1.0mg/dl、AST(GOT)150単位(基準40以下)、ALT(GPT)60単位(基準35以下)、LDH 430単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ 260単位(基準260以下)、γ-GTP240単位(基準8~50)。
- a. 本人の意志を尊重してそのまま帰宅させる。
- b. 1週後の再受診を指示する。
- c. 直ちに応急入院させる。
- d. 妻の同意を得て医療保護入院させる。
- e. 措置入院のための手続きをとる。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C013]←[国試_096]→[096C015]
[★]
- 次の文を読み、16~18の問いに答えよ。
- 75歳の女性。家族では介護しきれないために夫と妹が入院を希望し、拒否する本人を連れて来院した。
- 現病歴 : 裕福な家庭に育ち有名女学校を首席で卒業した。20歳で結婚し24歳で長男を出産。以後専業主婦として現在に至る。多趣味で俳句、書道をたしなみ、師範の免許も多い。夫と2人暮らし。長男は独立して家庭を持っている。2年前心臓疾患で2か月入院して帰宅した後から「もらい物が見当たらない。」、「冷蔵庫の中身が変わっている。」と夫を責めるようなことがあった。1年前には長男の嫁に対して財産を狙っていると責めるようになり、3か月前からは最も世話になって信頼していた妹にも「絵のコレクションを盗む。」、「貯金通帳を隠した。」と一方的に攻撃して警察に通報するようになり、親族と断絶してしまった。高齢の夫のみとの生活になったが、メモ帳を捨てたなどと夫にも攻撃が及ぶようになり、夫は介護不能と判断した。
- 現症 : 上品な老婦人。診察室では攻撃性は一見みられない。身長150cm、体重48kg。脈拍84/分、整。血圧148/84mmHg。神経学的には深部反射が両下肢とも軽度亢進。左上肢で歯車様筋固縮を軽度に認める。本人拒否のまま入院としたが、入院時には頑強に抵抗し、「人権侵害です。訴えますよ。」と大騒ぎした。
- 入院後経過 : 意に反して入院させられたことを厳しく追及するが、入院の必要についての説明に納得して機嫌よくしていることもあり、まったく相反する態度が交互に現れる。会話しているとしばらく前に話した内容がそっくりそのまま何度も出てきて、本人はそのことに気付いていない。病棟内で迷子になることはない。改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールでは30点満点中25点である。入院10日目の頭部単純MRIを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [098C017]←[国試_098]→[098C019]
[★]
- 次の文を読み、13~15の問いに答えよ。
- 60歳の女性。言動の異常を心配した長男夫婦に達れられて来院した。
- 現病歴 : 2か月前から徐々に家にとじこもり横になっていることが多く、おかしなことを言うようになった。家族によれば、心配することは何もないのに、「今年の所得税が払えない。自宅が抵当に入ったので立ち退かねばならない。」と悩み、「そうなったのも昨年のお盆で先祖供養が不十分だったから。」と自分を責め、いくら言っても聞き入れない。食事もとろうとせず、入浴は無理やりでないと入らない。体重がこの3か月で3kg減少した。夜間はほとんど眠らないまま、何かぶつぶつ言ってはお経を唱えている。「きっかけとしては、昨年新築した自宅の建築費についての税務署からの問い合わせが関係しているかもしれない。」と長男は言う。この問い合わせは通常のもので問題は何もなかった。
- 既往歴 : 高血圧症のため10年前から投薬を受けている。
- 生活歴 : 夫と長男夫婦、孫2人の6人家族。元来きれい好きで働き者であった。
- 現症 : 身長150cm、体重55kg。脈拍74/分、整。血圧166/92mmHg。神経学的身体診察では異常を認めない。医師がいろいろ質問しても患者はうつむいてほとんど答えないか、小声で二言三言答える程度である。しかし意識ははっきりしており、現在の状況もわかっている。このままではいけないからと入院を勧めても、「貧乏で入院費が払えないから。」と頑として入院を拒否する。改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールで23点(基準21以上)。
- a. 本人の意志を尊重しそのまま帰宅させる。
- b. 1週後の再受診を指示する。
- c. 夫の同意を得て医療保護入院させる。
- d. 直ちに応急入院させる。
- e. 措置入院のための手続きをとる。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H013]←[国試_095]→[095H015]
[★]
- 次の文を読み、61-63の問いに答えよ。
- 17歳の男子。言動の変化を心配した両親に伴われて来院した。
- 現病歴: 1年ほど前から高校を休みがちになり、1日中自分の部屋で過ごすことが多くなった。朝はなかなか起きず、昼過ぎになりやつと起きてくる。母親が声をかけると「うるせえな」と反抗的になった。1か月前から、わけもなくニヤニヤすることや、「ちくしょう」、「ばかやろー」などと急に叫ぶことが増えてきた。身なりも不潔になり、入浴もしなくなった。
- 既往歴[ 特記すべきことはない。
- 生活歴: 同胞2人の二男として出生。精神運動発達に異常を認めず、手のかからない子供であった。中学校までは明るい生徒で成績も優秀だった。高校入学後は課外活動をせず、成績は徐々に下がってきた。
- 家族歴: 母方の叔父が精神科病院に入院中である。
- 現症 : 意識は清明。身長175cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/68mmHg。表情は硬く、緊張が強い。自発的に話をすることはなく、質問に対する返答に時間がかかり、答えも短い。時々一点を見つめたまま反応がなくなることがある。また、聞き耳を立てるような動作も認める。神経学的所見に異常を認めない。
- 入院治療を勧めると、「死んだほうがましだ」と叫んで興奮し入院を拒否して帰宅を申し出た。
- a 直ちに応急入院させる。
- b 患者の意思を尊重して帰宅させる。
- c 任意入院の手続きをとり入院させる。
- d 両親の同意を得て医療保護入院させる。
- e 裁判官の判断に基づいて措置入院させる。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E060]←[国試_104]→[104E062]
[★]
- 45歳の男性。精神科閉鎖病棟を含む複数の診療科のある病院内で、廊下に座り込んでいるところを保護された。病院事務員が話を聞くと、その病院の精神科に通院している患者であること、統合失調症と診断されていること、単身で生活しており、すぐ連絡のとれる家族はいないことが分かった。患者は「自分は病気ではない。『しばらくこの病院の廊下で寝泊まりするようにJという声が聞こえてきたから、廊下で寝る場所を探していた」と述べた。患者から話を聴いている現場には内科当直医、精神保健指定医の資格をもつ精神科医、当直の事務員がいる。精神科医の診察の結果、入院が必要であると判断された。精神科医が入院治療の必要性について繰り返し説明したが、患者は拒否し「このまま病院の廊下で寝泊まりする」と主張し譲らなかった。
- 現時点で最も適切な入院形態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112F045]←[国試_112]→[112F047]
[★]
- 75歳の女性。抑うつ気分を訴えるのを心配した隣人に付き添われて来院した。約3年前から徐々に物忘れが進行し、2年前にAlzheimer型認知症と診断され、ドネペジルを服用している。5か月前に長男が交通事故で死亡し、その直後から著明な抑うつ傾向を認め、「生きていても仕方がない」と頻繁に口にするようになった。夫は10年前に死亡し、現在は一人暮らしである。診察時、「死んだ長男のことばかり考えているだけなので、治療は受けなくていい。家族にも連絡しないで欲しい」と述べる。身体診察では異常所見を認めない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは19点(30点満点)。
- 対応として適切なのはどれか。
- a ドネペジルを増量する。
- b できるだけ安静にするよう指示する。
- c 家族への連絡の承諾を得られるよう説得する。
- d 病状を地域の精神保健福祉センターに連絡する。
- e 付き添ってきた隣人の同意を得て医療保護入院とする。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D045]←[国試_112]→[112D047]
[★]
- 48歳の男性。警察官に伴われて来院した。2週前から公園で寝泊まりしているところを目撃されていた。2日前から意味不明の言動が認められるようになったが、他人に危害を加える様子はなかった。公園の管理者が通報し受診となった。受診時、幻覚妄想状態を示し、十分な疎通性が得られず、入院加療が必要と考えられた。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧136/88mmHg。入院の必要性を説明したが了解を得られない。所持品から遠隔地にある医療機関の診察券が発見され身元は判明した。配偶者がいるようだが連絡がとれない。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づく入院として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G039]←[国試_107]→[107G041]
[★]
- 19歳の男性。「ご飯に毒が入っている」と言い、食事をしない状態が続いているため両親に伴われて来院した。3か月前から自室に閉じこもりがちになった。両親ともあまり接触しようとせず、ときに独り言が聞かれ、興奮して大声を出すこともあった。入院治療の必要性を説明したが、患者はかたくなに入院を拒否している。両親は入院を希望している。
- この患者に適用される入院形態に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
- a 保護者の同意が必要である。
- b 知事への届出が必要である。
- c 治療費は全額公費負担となる。
- d 入院期間は72時間を超えることができない。
- e 2名以上の精神保健指定医の診察が必要である。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G055]←[国試_105]→[105G057]
[★]
- 81歳の女性。路上でうずくまって動けなくなっているところを近隣住民に発見されて搬入された。皮膚に外傷を認めない。認知機能の低下、低栄養および脱水状態を認める。着衣は汚く、不潔な状況である。近隣住民によると、息子との2人暮らしであるが、近所付き合いはほとんどないという。息子とは連絡がとれない。
- 診療と並行して行うべき対応で適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106F022]←[国試_106]→[106F024]
[★]
- a. 中学生の患者では患者の代わりに保護者からインフォームドコンセントを得る。
- b. 精神分裂病の患者では保護者の要請で入院させる。
- c. 進行癌の患者では病名はまず患者の男性の親族に告げる。
- d. 手術予定の患者では手術前に告訴をしないとの誓約書を書いてもらう。
- e. 身元がわからない意識不明の救急患者では医師の判断で救命手術を行う。
[正答]
※国試ナビ4※ [095E002]←[国試_095]→[095E004]
[★]
- 25歳の男性。幻聴を主訴に兄に連れられて来院した。昨日から「そばに人がいないのに、考えていることを批判し動作を命令する声が聞こえてくる。つらくて仕方がない」と苦痛を伴った幻聴を訴えるようになったため、精神科病院を受診した。この病院で3年前に統合失調症と診断され、通院中であった。患者はこの声が聞こえなくなるよう入院の上で治療して欲しいと訴えている。
- 適切な入院形式はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F040]←[国試_114]→[114F042]
[★]
- 19歳の男性。奇妙な言動がみられるため、両親に伴われて来院した。
- 3か月前から「皆が自分の悪口を言っている。」、「ご飯に毒が入っている。」などと訴え、大学を休んでいる。精神保健指定医が診察を行い、統合失調症を疑い入院が必要と判断したが、「自分は病気ではない。」と強く入院を拒否している。両親は入院を希望している。
- この場合に適用される精神保健福祉法に基づく入院形態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I003]←[国試_098]→[098I005]
[★]
- 50歳の男性。2週前から公園で寝泊まりしていることが目撃されている。2日前からせん妄状態に陥っており、意味不明の言動が認められる。脱水状態で衰弱しており、他人に危害を加える様子はない,所持品から遠隔地にある精神病院の診察券が発見され身元が判明した。配偶者がいるようであるが、連絡がつかない。この男性を精神保健福祉法に基づいて入院させる形態として正しいのはどれか。]]
[正答]
※国試ナビ4※ [095C004]←[国試_095]→[095C006]
[★]
- 27歳の男性。言動の変化を心配した妻に伴われて来院した。半月前から「盗聴されている」と言って部屋にこもり、仕事に行かない。時折、興奮し、食事もあまりとらないことがある。精神保健指定医が診察し入院が必要であると診断したが、本人は入院を拒んでいる。妻は入院の必要性をよく理解している。
[正答]
※国試ナビ4※ [103E045]←[国試_103]→[103E047]
[★]
- 精神障害者の保健・医療・福祉について誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G027]←[国試_100]→[100G029]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102B011]←[国試_102]→[102B013]
[★]
- 精神障害者の入院に際して保護者の同意を必要とするのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096B003]←[国試_096]→[096B005]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097G012]←[国試_097]→[097G014]
[★]
- 英
- Mental Health and Welfare Law
- 同
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
- 関
- 法令、障害者自立支援法
歴史
入院制度の比較
- PSY.163改変
名称
|
強制/非強制
|
退院制限
|
患者条件
|
診察医
|
入院の命令者
|
保護者の同意
|
入院期間
|
知事への届出
|
任意入院
|
非強制
|
なし。ただし72時間に限り 精神保健指定医による制限可能
|
特になし
|
非指定医でも可
|
なし
|
不要
|
制限なし
|
不要
|
措置入院
|
強制
|
医師の判断で可能
|
自傷、他傷の事実、 あるいは恐れ
|
精神保健指定医2名の合意
|
都道府県知事、政令指定都市市長
|
必要
|
緊急措置入院
|
精神保健指定医1名
|
72時間
|
医療保護入院
|
医療と保護の必要性
|
病院管理者
|
必要
|
制限なし
|
応急入院
|
緊急の入院が必要
|
不要
|
72時間
|
第一章 総則
(この法律の目的)
第1条
- この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法 (平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
第二章 精神保健福祉センター
(精神保健福祉センター)
第6条
- 都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。
- 2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
- 一 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
- 二 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
- 三 精神医療審査会の事務を行うこと。
- 四 第四十五条第一項の申請に対する決定及び障害者自立支援法第五十二条第一項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
- 五 障害者自立支援法第二十二条第二項の規定により、市町村が同条第一項に規定する支給要否決定を行うに当たり意見を述べること。
- 六 障害者自立支援法第二十六条第一項の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。
第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神科病院
第一節 精神保健指定医
(精神保健指定医)
第18条
- 厚生労働大臣は、その申請に基づき、次に該当する医師のうち第十九条の四に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医(以下「指定医」という。)に指定する。
- 一 五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 二 三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 三 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 四 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。
- 2 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、第十九条の二第一項又は第二項の規定により指定医の指定を取り消された後五年を経過していない者その他指定医として著しく不適当と認められる者については、前項の指定をしないことができる。
- 3 厚生労働大臣は、第一項第三号に規定する精神障害及びその診断又は治療に従事した経験の程度を定めようとするとき、同項の規定により指定医の指定をしようとするとき又は前項の規定により指定医の指定をしないものとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(措置入院に関して規定している)
第29条
- 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
- 2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
(費用の負担) → 措置入院の入院に要する費用は都道府県(間接的に国が)負担する。
第30条
- 第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。
- 2 国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。
第五節 精神科病院における処遇等
(処遇)
第36条
- 精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。 → 精神科病院に限り行動制限可能
- 2 精神科病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。
(身体拘束)
- 3 第一項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
(精神保健福祉相談員)
第48条
- 都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター及び保健所その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員(次項において「精神保健福祉相談員」という。)を置くことができる。
- 2 精神保健福祉相談員は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。
(精神障害者社会適応訓練事業)
第50条
- 都道府県は、精神障害者の社会復帰の促進及び社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会適応訓練事業(通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者を精神障害者の社会経済活動への参加の促進に熱意のある者に委託して、職業を与えるとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。
第七章 精神障害者社会復帰促進センター
(指定等)
第51条の二
- 厚生労働大臣は、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと等により精神障害者の社会復帰を促進することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、精神障害者社会復帰促進センター(以下「センター」という。)として指定することができる。
- 2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
- 3 センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
- 4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
法令
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO123.html
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和二十五年五月二十三日政令第百五十五号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25SE155.html
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和二十五年六月二十四日厚生省令第三十一号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000031.html
[★]
- 関
- 法令
医師が関与する法律
医師が間接的に関与する法律
コメディカルが関する法律
参考
[★]
- 英
-
- 関
- 入れる、承認、入院患者、認める、了承、入場
精神科における入院
- 英
- admission
[★]
- 英
- protection、conservation、safeguard、protect、conserve、safeguard、guardian
- 関
- 保存、保護作用、保護者
[★]
- 英
- health care、medical care
- 関
- 健康管理、診療、保健医療、ヘルスケア