出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/01 02:27:11」(JST)
扁桃炎 | |
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分類及び外部参照情報 | |
膿栓と腫大・発赤した扁桃が認められる
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ICD-10 | J03, J35.0 |
ICD-9 | 463 |
DiseasesDB | 13165 |
eMedicine | ent/314 |
Patient UK | 扁桃炎 |
MeSH | D014069 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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扁桃炎(へんとうえん)は扁桃上の常在菌が活動して炎症を起こす病気である。扁桃腺炎ともいわれる[注釈 1]。常在菌には溶連菌やブドウ球菌、肺炎球菌などがあり、溶連菌感染の場合は合併症を起こしやすい。他にウイルス感染で起こることもある。主に小児期に起こりやすいが、大人になっても感染する例もあり、また常在菌であるため、体力が低下した際などに再発することもある。治療には主に抗生物質が用いられる。再発頻度が高い(年に3-4回以上)場合は扁桃摘出の手術が行われることもある。
扁桃には免疫細胞が多く[1]、鼻や口から気管や肺へ侵入する病原体やウイルス、細菌に対しての防御機能を果たす。一方で[1]、表面に腺窩が多いため細菌の巣になりやすく、感染源となってしまうこともある。扁桃が病原体に感染し、炎症が起きた状態が扁桃炎(急性扁桃炎)である。扁桃を腫らし始めるのは2-3歳ごろからで、6-9歳でピークを迎える。扁桃は口の奥にあり、ここが炎症を起こすと赤くなり、白い膿栓が付くこともある[1]。
口蓋扁桃は4歳から8歳の時期に最も活発になり、大きさも最大になるが、その後、徐々に小さくなり。大人ではほとんどわからなくなる。大人になっても扁桃が小さくならずに炎症が続き、ある程度の大きさを保っているのを、慢性扁桃炎と呼ぶ。この場合、扁桃に病原菌が常在していると、抵抗力が弱った時や、新たに細菌の侵入を受けた時などに、扁桃にある病原菌の力が体の抵抗力を上回るため、扁桃炎が起きる。
主な症状としては38度以上の発熱、咽頭の痛み、悪寒戦慄、 倦怠感、頭痛、関節痛に加え[1]、顎の下や頚部のリンパ節の腫れなどで、痛みが耳や側頭部に広がることもある[2]。高熱を出すため、高熱に特徴的な症状が多い[1]。扁桃炎は鼻かぜから起こることもあり、また、扁桃炎がもとで鼻や喉頭、気管などに炎症が起こって、結果的に風邪の症状となるため、扁桃を腫らす傾向のある人は風邪をひきやすい、あるいは、風邪をひくとすぐ咽頭が腫れるとみなされがちである。また関節痛が出ることもある>。風邪に続いて起こることが多い。また膿栓が広がって、扁桃の表面にある陰窩を白色の膜で覆うようになる。これを陰窩性扁桃炎という。原因となるのは溶連菌、ブドウ球菌、肺炎球菌等があげられる。しかし事前に風邪を引いている段階で抗生物質が用いられると、原因が特定できない場合も多い[2]。
急性扁桃炎で、さらに奥にある扁桃に炎症が及ぶと扁桃周囲炎となる。扁桃周囲炎は、急性扁桃炎が治りかけたころに手当てを怠り、悪化した結果の症状で、高熱と激しい咽頭の痛みがある。片側の口蓋扁桃の上に膿瘍ができ、赤く腫れて化膿するため口臭が強くなる[2]。
[1]
溶連菌感染の場合の合併症として、下記の3つがあげられる。
[1]
慢性扁桃炎は、年に何回も扁桃炎を繰り返して高熱を出す。扁桃のくぼみに細菌が蓄積され、これが原因で全身感染を起こすこともある。また、扁桃腺周囲炎の状態で膿がたまると扁桃腺周囲膿瘍になる。このような症状は溶連菌感染によるものが多いとされるが、他に黄色ぶどう球菌や肺炎球菌、およびウイルスによるものがある。暴飲暴食や過労、咽頭の乾燥などが主な原因で、血液検査をすると、白血球数の増加とCRP値(炎症の程度を示す検査値)の上昇が認められる。また、細菌検査をすれば発生原因となる菌が検出される。他にワンサン・アンギーナ、単核細胞性アンギーナ、無顆粒細胞性アンギーナがあり、単核細胞性アンギーナは、骨髄の病気である伝染性単核症によって引き起こされる[2]。
急性扁桃炎が慢性化したのが慢性扁桃炎である。慢性扁桃炎には突然急性化する場合があり、急性の症状を、1年に3回から5回にわたり繰り返す場合を特に習慣性扁桃炎と呼ぶ。習慣性扁桃炎では、病巣感染といって関節や腎臓、皮膚など、ほかの部位にも病気が起こることがある。
慢性扁桃腺炎は「習慣性扁桃炎」、「慢性単純性扁桃炎」、そして「扁桃病巣感染症」の3種類に分けられる。
子供に多い。3歳頃から発症が始まり、6歳位がピークとなる。通常成人するまでには納まるが、大人になってから発症することもある。
<症状>
ただし、安定期に症状が出ることはない。
ほとんどの場合、大人が感染する。原因は飲酒・喫煙などで、急性扁桃腺炎からそのまま移行することもある。
<症状>
腎臓、皮膚、関節などの病気を併発する。
<症状>
合併症を避けるためにも、医師の治療を受ける方がいい。安静、うがい、湿布、口内錠やトローチなどに加え、水分や、抗体の産生が促されるビタミンCが必要である。薬物としては抗生物質に加え、炎症を抑える抗プラスミン剤、非ステロイド系抗炎症剤が用いられる。他にルゴール液の塗布もある[2]。日頃はよくうがいをし、不規則な生活を慎むことが大事である。またのどの痛みがある場合は、入浴、飲酒、喫煙は避けるべきである。
ウイルスが原因の場合は、単純ヘルペス以外は特効薬がないので、抗生物質を使用せずに、症状に応じた治療が行われる。単純ヘルペスの場合は、水疱瘡と同じ薬アシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)などを用いる。EBウイルスが原因の伝染性単核症による扁桃炎は、肝炎を起こしたり肝臓が腫れたりすることがあり、また発熱が続いたりもする。発熱に対しては解熱剤、関節痛には痛み止めの内服薬や湿布薬などが用いられる[1]。
細菌が原因で起こる扁桃炎は、抗生物質による治療が行われる。当該の細菌にもっとも効果の高い抗生物質を使用するために、綿棒でノドをこすり、その綿棒を培地に入れて、3日間ほど細菌を繁殖させるが、溶血性連鎖球菌(溶連菌)では、迅速審査により15分程度で判ることがある。溶連菌による扁桃炎の場合は、除菌が望ましく、ペニシリン系抗生物質を10日間、またはセフェム系抗生物質を5日間使う[1]。またアジスロマイシン(ジスロマック)を用いることもある。
また、扁桃を腫らす頻度が高い場合は扁桃摘出術を行うことがある。これは病巣感染を防ぐためである。病巣感染で要注意なのは、関節では関節リューマチ、腎臓では腎炎やIgA腎症などの合併症である。扁桃摘出の手術については、習慣性扁桃炎で、1年に4回以上扁桃腺を腫らすような場合<、第三度肥大くらいでものを飲み込みにくい、あるいは呼吸がしづらい場合は受けた方がいい。この時にアデノイドも摘出することがある。手術は全身麻酔または局所麻酔で行われ、術後1週間は安静にして、1か月ほど経ってから元の生活に戻して行く[2]。
扁桃膿瘍の場合は、膿汁の排泄が目的となる。膿瘍がどこにあるか、どのような状態であるかを考慮したうえで、注射針で穿刺吸引する場合と、局所麻酔後にメスで切開する場合とがある[3]。
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扁桃 | 表面 | 深部 | 特徴 |
咽頭扁桃 | 多列線毛上皮 非角化重層扁平上皮 |
薄い皮膜で境界 | 重層するヒダを有し、基部に混合線が開口 |
口蓋扁桃 | 非角化重層扁平上皮 |
被膜で境界 | 上皮が10-12個陥入して陰窩を形成 |
舌扁桃 | 非角化重層扁平上皮 |
被膜で境界 | 個々の扁桃は1個の陰窩を有する |
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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