子宮体癌
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子宮体癌(しきゅうたいがん)は、子宮癌のうち子宮体部に発生する癌。
子宮腔側の上皮組織である子宮内膜に発生し、子宮内膜癌(しきゅうないまくがん、英: Endometrial cancer))と同義。なお、子宮体部の筋層に発生する悪性腫瘍は、子宮肉腫と呼ばれる。
組織学的には腺癌である。
目次
- 1 疫学
- 2 病因
- 3 症状
- 4 検査
- 5 肉眼分類
- 6 病期分類
- 7 治療
- 8 参考文献
- 9 関連項目
疫学
子宮頸癌の主因がヒトパピローマウイルス(HPV)への感染であるのとは異なり、子宮体癌の発生は女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)による影響の蓄積が大きい。そのため、中高年(50~60代で好発)・初経が早い・閉経が遅い・出産歴がない・肥満・糖尿病・高血圧・ゲスターゲン製剤を併用しないエストロゲン製剤の単独使用など、エストロゲンの影響が強い人はよりリスクが高くなる。子宮癌のうち子宮頸癌の比率が発展途上国で高いのに対し、欧米先進国では子宮体癌の比率が高まる傾向にある。日本でも、従来は子宮癌といえば子宮頸癌が大多数を占めていたが、食生活の高脂・高蛋白化や少子化・初産年齢の上昇といった要因から、子宮体癌の発生率が増加し、また若年での発症も増えてきている。
病因
一般に以下の二つがある。
- 多くは子宮内膜増殖症より発生する。
- 子宮内膜増殖症を経ないで発生する。
症状
主に閉経後の不正性器出血であることが多い。
検査
- 細胞診:子宮内膜の組織を吸引し細胞診で評価する。
- 組織診:子宮内膜の組織を掻爬して病理組織評価する。
現在、一般に「子宮がん検診」と称して、各種検診等で行われている検査は「子宮頸癌」の検査で、子宮体癌の検査ではなく、子宮体癌の検査は、産婦人科受診での診察等を受けてから行われている。
肉眼分類
病期分類
- 0期
- 子宮内膜の異型増殖を認めるもので、前癌状態(子宮内膜異型増殖症)。
- I期
- がんが子宮体部にのみ認められるもの。
- Ia期
- 子宮内膜にのみ認められるもの。
- Ib期
- 子宮筋層への浸潤が筋層の1/2以内のもの。
- Ic期
- 子宮筋層への浸潤が筋層の1/2を超えるもの。
- II期
- がんが子宮体部を越えて子宮頸部に拡がったもの。
- IIa期
- 頸管内の浸潤が粘膜内にあるもの。
- IIb期
- 頸管内の浸潤が粘膜を越えて深く浸潤しているもの。
- III期
- がんが子宮外に拡がっているが、骨盤を越えて外には拡がっていないもの。または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。
- IIIa期
- 子宮の外の膜や骨盤の腹膜あるいは卵巣卵管に転移しているもの、あるいは腹水の中にがん細胞の認められるもの。
- IIIb期
- 腟壁に転移を認めるもの。
- IIIc期
- 骨盤内、あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。もしくは、基靭帯(きじんたい)に浸潤を認めるもの。
- IV期
- がんが骨盤を越えて身体の他の部位へ拡がるか、または膀胱、あるいは腸の内腔を侵すもの。
- IVa期
- 膀胱あるいは腸の粘膜までがんの浸潤を認めるもの。
- IVb期
- 骨盤を越えた遠隔臓器転移を認めるもの。あるいは腹腔内や鼠径部のリンパ節に転移を認めるもの。
治療
病期や出産希望の有無により異なるが、子宮摘出が基本となる。
- ホルモン療法
- 0期~Ia期のごく早期で、挙児希望がある若年女性の場合。
- エストロゲンによる症状の進行作用に対して、がん細胞の増殖や転移を抑える作用のあるゲスターゲン(黄体ホルモン)製剤を高用量で使用する。子宮を温存してのホルモン療法を行う際は、異型の病巣を含む子宮内膜の全面掻爬が必要となる。
- 外科手術療法
-
- 単純子宮全摘出術
- 0期~Ia期のごく早期で、挙児希望がない場合。子宮を体部・頸部とも含めて全体を摘出する。通常、卵管・卵巣も併せて摘出する(両側付属器切除術)。開腹による「腹式」と、膣側から摘出を行う「膣式」とがあり、確実性の高い腹式が標準となるが、0期には傷跡が小さく術後の回復が早い膣式が選択されることもある。
- 準広汎子宮全摘術(拡大子宮全摘出術)
- I期~II期の場合。子宮、卵巣、卵管のほか、周囲の組織や膣の一部も切除する。骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行うこともある。
- 広汎子宮全摘出術
- II期の場合(及びIII期の一部)。子宮、卵巣、卵管のほか、周囲の組織も広い範囲で切除する。通常、骨盤内のリンパ節郭清も同時に行い、場合によっては腹部大動脈周囲のリンパ節郭清も行う。
- 放射線療法
- III期~IV期で、がんが子宮外に拡がり比較的狭い範囲に固まっている場合。あるいは、手術後にがんが再発した場合。
- X線や高エネルギー線を照射し、がん細胞を殺す。体外の機材から照射する方法(外照射)と、子宮腔内や腟内に小さな放射線源を入れる方法(腔内照射)がある。
- 手術と併せて行う場合と、高齢または他の病気による体の負担やがんの拡がり具合のため手術ができずに単独で行われる場合とがある。
- 化学療法
- III期~IV期で、がんが子宮外に拡がっていたり全身に転移のある場合。あるいは、手術後にがんが再発した場合。
- 抗がん剤を内服や点滴で投与し、がん細胞を殺す。
- 手術と併せて行う場合と、既に全身に転移していているなど手術ができずに単独で行われる場合とがある。
参考文献
- 『子宮体癌治療ガイドライン 2009年版』 日本産婦人科腫瘍学会 (Minds医療情報サービス)
- 『子宮体癌治療ガイドライン 2006年版』 日本産婦人科腫瘍学会 (Minds医療情報サービス)
関連項目
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 子宮内膜癌の発生・進展とhMLH1蛋白発現に関しての免疫組織学的検討
- 子宮内膜癌 (特集 ホルモン補充療法の最新知識 : リスク・ベネフィットを今,どう考えるか)
- P1-11-4 CaMKI,IIを標的とした子宮内膜癌,卵巣癌の治療(Group11 婦人科腫瘍全般・症例3,一般演題,第64回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 高井 教行,吉良 尚子,石井 照和,西田 正和,奈須家 栄,楢原 久司
- 日本産科婦人科學會雜誌 64(2), 452, 2012-02-01
- NAID 110009582702
Related Links
- 2006年10月1日 ... 婦人科のがんで最も多いのは子宮がんです。子宮がんは子宮頸がんと子宮体がんに分け られます。子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれるように、胎児を育てる子宮の内側に ある子宮内膜から発生する病気です。一方、子宮腟部や頸管の上皮から ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 34歳の2回経産婦。不正出血を訴えて来院した。分娩2か月後から月経は回復していたが、5か月目から少量の不正出血を認めた。内診では子宮は正常よりやや大きく、付属器に異常はなかった。経膣超音波検査で子宮体部に子宮筋腫様の腫瘤がみられ、子宮体部細胞診では異常細胞を認めた。ヒステロスコピィ下の組織生検を行い、そのH-E染色標本を以下に示す。尿中hCGは120IU/l、血清hCG-βは5ng/mlであった。本人および家族と相談の結果、単純子宮全摘術を行った。摘出子宮標本の写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D040]←[国試_097]→[097D042]
[★]
- 38歳の女性。3回経妊3回経産婦。月経痛を主訴に来院した。30歳ごろから徐々に月経時の下腹部痛と腰痛が強くなってきた。月経周期は28日型、整、持続 7日間。内診で子宮は腫大、弾性硬で圧痛はない。Douglas窩に圧痛を認めない。身長 156cm、体重 55kg。体温 36.5℃。脈拍 72/分、整。血圧 110/58mmHg。血液所見:赤血球 350万、Hb 9.1g/dL、白血球 5,500、血小板 22万。骨盤部MRIのT2強調矢状断像(別冊No. 3)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D019]←[国試_111]→[111D021]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [112F030]←[国試_112]→[112F032]
[★]
- 英
- uterine corpus cancer, carcinoma of uterine corpus, cancer of the uterine body
- ラ
- carcinoma corporis uteri
- 同
- 子宮内膜癌 endometrial carcinoma endometrial cancer
- 関
- 子宮、腫瘍、産婦人科学、子宮内膜増殖症(前癌病変)
定義
疫学
- 発生頻度は欧米に多く、日本では少ない(女性人口10万当たり4)→高齢化、生活習慣との関連
- 発症年齢は50歳代が最も多く、閉経後が7割を占める。40歳以下の婦人は5%程度。
- 妊娠中および分娩後5年以内に体癌が発見されることはほとんどない。
- 日本では近年増加傾向。子宮癌全体の30%を占める(みえる9.150)
リスクファクター
- プロゲステロンに拮抗されずに、エストロゲンに長期暴露されることによる
- 典型像:60歳くらいの太った未産の女性
- 未婚、不妊、閉経後、高い初婚・初妊年齢、少ない妊娠・出産回数、卵胞ホルモン服用歴、肥満
- 卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOSなどの既往) → 正常量のエストロゲンが存在するものの、これに拮抗するプロゲステロンが欠乏する
- 出典不明
症状
- ほとんどの場合に症状がある。
- 9割で不正性器出血がみられる。そのほか過多月経、異常帯下、下腹部痛など。
子宮体癌の組織的分類
- ()内の頻度はG9M.155
-
G9M.155
- 類内膜癌(80-90%) → 類内膜腺癌(60-70%)、扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌(20-30%)
- 細胞異型が強い場合にはGradeを上げる。
- Grade1(高分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の5%以下。プロゲステロン受容体陽性率高。予後良好
- Grade2(中分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の6-50%。プロゲステロン受容体陽性率中。予後中等度
- Grade3(低分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の50%超。プロゲステロン受容体陽性率低。予後不良
発生機序による分類
- type I:エストロゲン依存性。発症は遺伝子変異とエストロゲンの長期持続刺激による子宮内膜細胞の異常増殖
- type II:エストロゲン非依存性。子宮内膜異型増殖症を介さないで癌化する
検査
超音波エコー(経膣超音波)
腫瘍マーカー
MRI
- T2画像が有用。
- junctional zoneの菲薄化・欠損
- 子宮内膜>腫瘍>筋層>junctional zone
診断
- 子宮腔内の吸引あるいは擦過細胞診による検出率:90%以上
- 子宮頚・腟部からの細胞採取による検出率:50%以下
手術進行期分類 (日産婦 1995,FIGO1998)
- 原則として手術進行期分類を用い、手術を行っていない例では臨床進行期分類を用いる
体 → 頚 → 骨盤内 → 骨盤外
- 0期: 子宮内膜異型増殖症
- I期: 子宮体部に限局
- Ia期: 子宮内膜に限局
- Ib期: 浸潤が子宮筋層1/2以内
- Ic期: 浸潤が子宮筋層1/2を越える
- II期: 子宮頸部に及ぶ
- IIa期: 頸管腺のみ
- IIb期: 頸部間質浸潤
- III期: 子宮外に広がるが小骨盤腔を越えない、または所属リンパ節転移
- IIIa期: 漿膜浸潤、付属器浸潤、腹膜細胞診陽性
- IIIb期: 膣転移
- IIIc期: 所属リンパ節転移(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節)
- IV期: 小骨盤腔を越える、または明らかな膀胱または腸粘膜を侵す
- IVa期: 膀胱、腸粘膜へ浸潤
- IVb期: 遠隔転移(腹腔内リンパ節、鼠径リンパ節転移を含む)
転移
症状
治療
- 手術療法、放射線療法、薬物療法(抗ガン剤、ホルモン療法)
- 治療法の基本は手術療法(単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術)。
- 補助的に摘出術を追加することがある:両側付属器切除術、リンパ節郭清、部分大網切除術
- 薬物療法・放射線療法:手術不能例、再発例、術後の補助療法
薬物療法
抗悪性腫瘍薬
- シスプラチン、アドリアマイシン、タキサン系の多剤併用療法
化学療法のレジメン
- 参考:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200702/502818.htm
ガイドライン的には「アンスラサイクリン系とプラチナ製剤を含む薬剤の選択が薦められている(グレードB)。タキサン系製剤も併用さているが、その十分な根拠は得られていない(グレードC)。(子宮体癌の治療ガイドライン2006年)
一般的な抗腫瘍薬による副作用
ホルモン療法
- ホルモン療法単体:挙児希望のGrade1のIa期:高用量MPA
- 術後補助療法:再発リスクの低い場合、高用量黄体ホルモン療法は非推奨(グレードD)(参考2)
手術療法
-
- MRIや肉眼で明らかな頸部間質浸潤が認められるとき。
- 骨盤リンパ節郭清:基本的に施行。省略するのは、類内膜癌Grade1で、画像診断で病変が子宮内膜に限局すると推定される場合のみ。
- 傍大動脈リンパ節郭清
- 鼠径リンパ節郭清
傍大動脈リンパ節郭清術と部分大網切除術の適応
- 転移リスクが高いため
- 1. 骨盤リンパ節転移例
- 2. 付属器転移例
- 3. 筋層浸潤が1/2を超す例
- 4. 予後不良例(組織型が類内膜癌Grade3、漿液性腺癌、明細胞腺癌、癌肉腫など)。太字の物は特に大網転移率が高い。
放射線療法
- 子宮頚癌(扁平上皮癌)より放射線は有効ではない。 → 放射線療法は腺癌に奏効しづらい!!!
子宮温存を希望する若年性子宮体癌
- 根治治療ではなく、いずれは子宮全摘が必要。
- 再発例では子宮全摘
適応
治療
予後
予後規定因子
- 筋層浸潤の深さ、頚部浸潤、子宮外進展、リンパ節転移、病理組織型、組織学的分化度、血管・リンパ管侵襲
5年生存率
臨床進行期
|
5年生存率(%)
|
出典不明(相対)
|
NGY.229
|
I
|
86
|
79
|
II
|
68
|
66.8
|
III
|
42
|
37.5
|
IV
|
16
|
8.5
|
国試
症例
- 55歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。未経妊、閉経51歳。不妊治療をした経験がある。子宮は鶏卵大で卵巣は両側とも触知しない。経膣超音波で子宮内膜の肥厚が見られる。
子宮体癌治療ガイドライン(2006年)
- 1)進行期決定のために手術術式の選択が必要である。
- 2)子宮体癌は放射線感受性が低く、抗ガン剤の標準治療の確立が遅れている。
- このことから子宮体癌では手術療法が第一選択。高齢や内科的合併症などの理由で、放射線療法が選択される場合もある。
参考
- http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d2b6.html
- 2. 子宮体がん治療ガイドライン2009年版:(金原出版)
- http://www.jsgo.gr.jp/guideline/taigan.html
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0050/1/0050_G0000135_GL.html
[★]
- 英
- hereditary nonpolyposis colorectal cancer, HNPCC
- 同
- リンチ症候群 Lynch syndrome
- 関
- 大腸癌、家族性大腸ポリポーシス
- first aid step1 2006 p.277
概念
- 若年~中年で大腸癌を発症する疾患
- ミスマッチ修復遺伝子の変異と関係がある。
疫学
- 日本の全大腸癌に対するHNPCCの割合は0.2-4% (YN.A-85)
- 50歳ごろに発症。
病因
- HNPCCの素因のある人は50歳までに大腸癌を発症する。女性では子宮体癌、卵巣癌のリスクもある。
- 90%の症例でミスマッチ遺伝子の変異と関係がある。
- hMSH2、hMLH1、hPSM1、hPMS2、hMSH6など
- G2期でミスマッチ修復に関わる、HNPCCの腫瘍細胞では、塩基の反復の不安定性が特徴的である。
- 浸透率:約80%。腺腫の合併:約10%。
遺伝形式
病態
合併症
予後
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E6%80%A7%E9%9D%9E%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9%E5%A4%A7%E8%85%B8%E7%99%8C
uptodate
- 1. [charged] 大腸癌の分子遺伝学 - uptodate [1]
- 2. [charged] リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)の臨床的特徴および診断 - uptodate [2]
- 3. [charged] リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸癌):患者および家族のスクリーニングおよび管理 - uptodate [3]
- 4. [charged] リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸癌)の女性における子宮体癌および卵巣癌のスクリーニングおよび予防 - uptodate [4]
国試
[★]
- 英
- tumor
- 同
- 新生物 neoplasm new growth NG
- 関
分類(EPT.65)
悪性度
細胞と間質の割合
発生学的由来
組織学的分類
上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
非上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
-
臓器別分類
外陰部(女性)
子宮
卵巣
- 表層上皮性・間質性腫瘍 Surface epithelial-stromal tumors
- 性索間質性腫瘍 Sex cord/stromal tumors
- 胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
腫瘍と関連する疾患 first aid step1 2006 p.294
[★]
- 英
- hypermenorrhea
- 同
- 月経過多症、月経過多 menorrhagia
- 関
- 月経異常、過少月経、月経
病因
[★]
子宮内膜癌、子宮内膜がん
- 関
- endometrial cancer、endometrial carcinoma、endometrial neoplasm
[★]
- 英
- cancer
- 関
- 悪性腫瘍
種類
- 癌腫(carcinoma):上皮性
- 肉腫(sarcoma):間葉系
- carcinoma:腺癌(adenocarcinma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、移行上皮癌(transitional cell carcinoma)
- sarcoma:骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫
Neoplasm
|
Causes
|
Effect
|
Small cell lung carcinoma
|
ACTH or ACTH-like peptide
|
Cushing’s syndrome
|
Small cell lung carcinoma and intracranial neoplasms
|
ADH
|
SIADH
|
Squamous cell lung carcinoma, renal cell carcinoma, breast carcinoma, multiple myeloma, and bone metastasis (lysed bone)
|
PTH-related peptide, TGF-β, TNF-α, IL-1
|
Hypercalcemia
|
Renal cell carcinoma, hemangioblastoma
|
Erythropoietin
|
Polycythemia
|
Thymoma, small cell lung carcinoma
|
Antibodies against presynaptic Ca2+ channels at neuromuscular junction
|
Lambert-Eaton syndrome (muscle weakness)
|
Leukemias and lymphomas
|
Hyperuricemia due to excess nucleic acid turnover (i.e., cytotoxic therapy)
|
Gout, urate nephropathy
|
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
●2005年の死亡数が多い部位は順に
|
|
1位
|
2位
|
3位
|
4位
|
5位
|
|
男性
|
肺
|
胃
|
肝臓
|
結腸
|
膵臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は4位
|
女性
|
胃
|
肺
|
結腸
|
肝臓
|
乳房
|
結腸と直腸を合わせた大腸は1位
|
男女計
|
肺
|
胃
|
肝臓
|
結腸
|
膵臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は3位
|
|
●2001年の罹患数が多い部位は順に
|
|
1位
|
2位
|
3位
|
4位
|
5位
|
|
男性
|
胃
|
肺
|
結腸
|
肝臓
|
前立腺
|
結腸と直腸を合わせた大腸は2位
|
女性
|
乳房*1
|
胃
|
結腸
|
子宮*1
|
肺
|
結腸と直腸を合わせた大腸は1位
|
男女計
|
胃
|
肺
|
結腸
|
乳房*1
|
肝臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は2位
|
*1上皮内がんを含む。
|
癌の素因となる遺伝子
- HIM.494
Table 79-1 Cancer Predisposition Syndromes and Associated Genes
|
Syndrome
|
Gene
|
Chromosome
|
Inheritance
|
Tumors
|
ataxia telangiectasia
|
ATM
|
11q22-q23
|
AR
|
breast cancer
|
autoimmune lymphoproliferative syndrome
|
FAS
|
10q24
|
AD
|
lymphomas
|
FASL
|
1q23
|
|
Bloom syndrome
|
BLM
|
15q26.1
|
AR
|
cancer of all types
|
Cowden syndrome
|
PTEN
|
10q23
|
AD
|
breast, thyroid
|
familial adenomatous polyposis
|
APC
|
5q21
|
AD
|
intestinal adenoma, colorectal cancer
|
familial melanoma
|
p16INK4
|
9p21
|
AD
|
melanoma, pancreatic cancer
|
familial Wilms tumor
|
WT1
|
11p13
|
AD
|
pediatric kidney cancer
|
hereditary breast/ovarian cancer
|
BRCA1
|
17q21
|
AD
|
breast, ovarian, colon, prostate
|
BRCA2
|
13q12.3
|
|
hereditary diffuse gastric cancer
|
CDH1
|
16q22
|
AD
|
stomach cancers
|
hereditary multiple exostoses
|
EXT1
|
8q24
|
AD
|
exostoses, chondrosarcoma
|
EXT2
|
11p11-12
|
|
hereditary prostate cancer
|
HPC1
|
1q24-25
|
AD
|
prostate carcinoma
|
hereditary retinoblastoma
|
RB1
|
13q14.2
|
AD
|
retinoblastoma, osteosarcoma
|
hereditary nonpolyposis colon cancer (HNPCC)
|
MSH2
|
2p16
|
AD
|
colon, endometrial, ovarian, stomach, small bowel, ureter carcinoma
|
MLH1
|
3p21.3
|
|
MSH6
|
2p16
|
|
PMS2
|
7p22
|
|
hereditary papillary renal carcinoma
|
MET
|
7q31
|
AD
|
papillary renal tumor
|
juvenile polyposis
|
SMAD4
|
18q21
|
AD
|
gastrointestinal, pancreatic cancers
|
Li-Fraumeni
|
TP53
|
17p13.1
|
AD
|
sarcoma, breast cancer
|
multiple endocrine neoplasia type 1
|
MEN1
|
11q13
|
AD
|
parathyroid, endocrine, pancreas, and pituitary
|
multiple endocrine neoplasia type 2a
|
RET
|
10q11.2
|
AD
|
medullary thyroid carcinoma, pheochromocytoma
|
neurofibromatosis type 1
|
NF1
|
17q11.2
|
AD
|
neurofibroma, neurofibrosarcoma, brain tumor
|
neurofibromatosis type 2
|
NF2
|
22q12.2
|
AD
|
vestibular schwannoma, meningioma, spine
|
nevoid basal cell carcinoma syndrome (Gorlin's syndrome)
|
PTCH
|
9q22.3
|
AD
|
basal cell carcinoma, medulloblastoma, jaw cysts
|
tuberous sclerosis
|
TSC1
|
9q34
|
AD
|
angiofibroma, renal angiomyolipoma
|
TSC2
|
16p13.3
|
|
von Hippel–Lindau
|
VHL
|
3p25-26
|
AD
|
kidney, cerebellum, pheochromocytoma
|
- 癌遺伝子、癌抑制遺伝子
癌の危険因子
- 生活習慣病#生活習慣病などのリスクファクターを改変
[★]
- 英
- uterus (Z), womb, metra
- 関
- 内性器
発生学的由来
解剖
支持構造
組織
子宮
子宮の大きさ
- 鶏卵大。(非妊娠時)逆位の前後にやや扁平な西洋梨状で長さ約7cm、幅約4cm、厚さ約2.5cm、重さ30~40g。
妊娠と子宮の大きさ、子宮底の高さ、恥骨結合上縁から子宮底までの長さ
妊娠月数
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子宮の大きさ
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子宮底の高さ
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恥骨結合上縁から子宮底までの長さ
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第1月末
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鶏卵大
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第2月末
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鵞卵大
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第3月末
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手拳大
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第4月末
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小児頭大
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恥骨結合上2-3横指
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12cm
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(妊娠月数x3)
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第5月末
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成人頭大
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恥骨結合と臍との中央
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15cm
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第6月末
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臍高
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21cm
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(妊娠月数x3+3)
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第7月末
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臍上2-3横指
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24cm
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第8月末
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剣状突起と臍との中央
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27cm
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第9月末
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剣状突起下2-3横指
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30cm
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第10月末
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剣状突起と臍との中央
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33cm
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産褥0日分娩直後
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臍下3横指
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11cm
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産褥0日12時間後
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臍高(右に傾く)
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15cm
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産褥1-2日
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臍下1-2横指
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12cm
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産褥3日
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臍下3横指
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10cm
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産褥5日
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臍高と恥骨結合上縁との中間
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9cm
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産褥7日(産褥1週)
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手拳大
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恥骨結合上縁
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産褥10日
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腹壁から触れない
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(産褥6週)
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鶏卵大
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臨床関連
-
[★]
- 英
- endometrium (Z,HIS)
- ラ
- tunica mucosa uteri
- 同
- 子宮粘膜
- 関
- 子宮、子宮内膜肥厚
- 子宮の内面を覆う粘膜の別名。厚さや性状は月経周期の時期により大差がある。
- 子宮腺を有する
組織
- 単層円柱上皮
- 上皮は無線毛分泌細胞と線毛細胞からなる
- 上皮が粘膜固有層に落ち込み単一管状腺の形態を取る子宮腺を形成
- 機能層:月経が起こるとはげ落ちる。ラセン動脈を有する
厚さ
- 閉経後の患者において内膜細胞診を行うcut-off値は4-6mm。これ以下であれば、子宮内膜癌は除外診断できる。肥厚が認められた場合、子宮内膜癌、子宮内膜増殖症、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫を鑑別する(エコーでは区別しづらい)。ただし、辺縁が明瞭な結節があれば、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫が疑われる。subendometrial haloの中断があれば、子宮内膜癌の筋膜浸潤が示唆される。(SRA.573)
超音波エコー所見
- QB.Q-15 SRA.573 G9M.17(写真)
- 増殖期:早期では薄く高輝度。中期では中央に線状エコーを伴う低輝度「木の葉状」、後期では厚さを増し7-14mmとなる。排卵が近くなると壁側が幾分高輝度。筋層よりも低輝度である。排卵直前には厚さは10mm程度となる。
- 排卵 :内腔エコー消失
- 分泌期:(子宮内膜の輪郭は楕円形となり、)子宮内膜全体が均一な高輝度
MRI所見
- 水と同じようなかんじ。みずみずしい?
臨床関連
[★]
- 英
- intima, intimal (adj.), inner membrane, internal tunic
- ラ
- tunica intima (Z)
- 関
- 中膜、血管
組織
病理
血管の損傷
粥状硬化症
- 内皮下結合組織に粥腫ができる。
- necroticcenterはfibrous capにかこまれる
- fibrous cap
- 平滑筋、マクロファージ、泡沫細胞、リンパ球、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、血管新生
- necrotic center
- 壊死組織、コレステロールの血漿、泡沫細胞、カルシウム
梗塞
[★]
- 英
- in utero、intrauterine、in utero