- 英
- uterine sarcoma
- ラ
- sarcoma uteri
- 関
- 産婦人科学、子宮筋腫
概念
- 内膜間質から発生する悪性腫瘍で、予後不良(見つかったときには全身に進展している)
疫学
症状
- 不正性器出血、過多月経、腹痛、下腹部違和感(月経時以外)、腹部腫瘤間、子宮筋腫様、頻尿
診断
- MRI,CT,超音波検査 ← MRIが特に重要。しかし、子宮筋腫との鑑別はMRIで困難らしい(NGY.96)
- 子宮筋腫と異なり腫瘍内に壊死や出血が見られる
治療
- アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、タキソール、イフォマイド、オンコビン、黄体ホルモンなど
参考
- 1. 9)子宮肉腫:診療上の問題点 - 日産婦誌59巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-277.pdf
- 2. 7)クリニカルカンファレンス(5);婦人科難治性癌の治療戦略 2)子宮肉腫 - 日産婦誌58巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5809-253.pdf
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子宮肉腫(しきゅうにくしゅ、uterine sarcoma)は子宮の平滑筋や結合組織に生じる悪性腫瘍である。病変が子宮裏層の間質から発生していた場合は子宮内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma)、子宮の筋層から腫瘍が発生していた場合は子宮平滑筋肉腫(uterine leiomyosarcoma)と呼ばれる。上皮に由来する悪性腫瘍細胞を含む病変があった場合は子宮癌肉腫(uterine carcinosarcoma)と呼ばれる(以前は悪性中胚葉性・ミュラー管混合腫瘍 malignant mixed mesodermal/mullerian tumor と呼ばれていた)。
目次
- 1 分類
- 2 兆候と症状
- 3 診断
- 4 治療法
- 5 疫学的事項
- 6 関連事項
- 7 参照
- 8 外部リンク
分類
子宮肉腫は子宮内膜肉腫と同様に世界産婦人科連合(FIGO)のがん染色システムを用いた手術を行う際に進行度の分類がなされる。
- ステージIA: 腫瘍は子宮内膜に限られる
- ステージIB: 子宮筋層(myometrium)への浸潤が半分未満
- ステージIC: 子宮筋層への浸潤が半分以上
- ステージIIA: 子宮頸管内腺(endocervical glandular)への併発のみがみられる
- ステージIIB: 子宮頸部間質(cervical stromal)への浸潤がみられる
- ステージIIIA: 腫瘍が漿膜(serosa)やその付属器にみられる、あるいは細胞診断で悪性腹膜がみとめられる
- ステージIIIB: 膣への転移がみられる
- ステージIIIC: 骨盤または大動脈に沿うリンパ節への転移がみられる
- ステージIVA: 膀胱や腸への転移がみられる
- ステージIVB: 腹腔内や鼠蹊部のリンパ節を含む離れた場所への転移が見られる
子宮内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma)は低悪性度(LG)と高悪性度(HG)に分類され、それぞれLGESS,HGESSと略称される。
兆候と症状
異常時または閉経期の出血は子宮肉腫を含む悪性腫瘍の兆候である可能性があり、検査する必要がある。その他の兆候としては、骨盤の痛みや圧感、そして異常な分泌物が挙げられる。また、急速に大きくなる非妊娠時の子宮は異常の疑いがあるが、以上の兆候はいずれも悪性腫瘍独特の兆候という訳ではない。特異的に選別する検査方法はまだ確立されていない。Papスメア検査は子宮頚がんの選別検査に使われるが、これは子宮肉腫を検知するように作られていない。
診断
内科医によって行われる診断としては、画像診断(超音波、CTスキャン、MRI)に加え、可能ならば組織診による組織を採取しての診断、子宮鏡検査、子宮内容除去術(dilatation and curettage)があるが、最終的な診断は検体の組織学的検査によって行われる。通常の悪性の病変部は高倍率視野ごとに10を越える細胞分裂が見られるのに対し、良性の病変とされる子宮平滑筋腫では高倍率視野ごとに見られる細胞分裂数は5未満である。
子宮筋腫の疑いで手術し、病理検査の結果子宮肉腫と診断される場合がある。
治療法
治療はがんの進行度と患者の状態に基づき、次に記す1つ以上の治療方法が用いられる。中心となるのは手術だが、可能なら両側の卵管卵巣も含む腹部卵巣全体の摘出術も行われる。また他に放射線治療、化学療法、ホルモン療法がある。リンパ節への転移が疑われる場合などはリンパ節郭清が行われる場合がある。この場合リンパ浮腫の症状が出ることが予想されるが、必ずしもリンパ浮腫になるというものではない。
疫学的事項
10万人当たりの子宮体がん年齢調整死亡率(2004年)[1]
データなし
0.5未満
0.5-1
1-1.5
1.5-2
2-2.5
2.5-3
3-3.5
3.5-4
4-4.5
4.5-5
5-8
8以上
子宮体の悪性腫瘍の大半は子宮内膜の肉腫で、子宮肉腫は約4%にすぎない[2]。一般的な発症原因は分かっていないが、子宮への放射線を受けることはリスク上昇させる。大半の腫瘍は閉経後に発生する。タモキシフェン(Tamoxifen、乳がん等の治療に用いられる抗がん剤)を長期に渡って摂取した女性もリスクが高いとされる[3]。
関連事項
参照
- ^ “WHO Disease and injury country estimates”. World Health Organization (2009年). 2009年11月11日閲覧。
- ^ [1] アメリカがん協会(American Cancer Society)の情報、2006/11/03アクセス
- ^ [2] アメリカ国立がん研究所(National Cancer Institute)の情報、2006/11/03アクセス
外部リンク
- Leiomyosarcoma of the Uterus: A Review
- Uni-Bonn site with detailed information
- Leiomyosarcoma Direct Research Foundation
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Japanese Journal
- 症例 急速な進行を示した子宮原発の悪性間葉腫(Malignant mesenchymoma)の1例
- 子宮肉腫の診断と治療 (特集 婦人科悪性腫瘍の診断治療アップデート) -- (子宮体がん)
Related Links
- 2004年12月2日 ... 子宮は、膣に近い子宮頸部(けいぶ)、その奥の子宮体部に分かれます。そして子宮体 部にできる悪性腫瘍には、がんの他に肉腫があります。また、子宮体部にできる良性 腫瘍には子宮筋腫があります。子宮筋腫は良性であるので命を落とす ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 38歳の女性。3回経妊3回経産婦。月経痛を主訴に来院した。30歳ごろから徐々に月経時の下腹部痛と腰痛が強くなってきた。月経周期は28日型、整、持続 7日間。内診で子宮は腫大、弾性硬で圧痛はない。Douglas窩に圧痛を認めない。身長 156cm、体重 55kg。体温 36.5℃。脈拍 72/分、整。血圧 110/58mmHg。血液所見:赤血球 350万、Hb 9.1g/dL、白血球 5,500、血小板 22万。骨盤部MRIのT2強調矢状断像(別冊No. 3)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D019]←[国試_111]→[111D021]
[★]
- 32歳の女性。月経痛と不妊とを主訴に来院した。3年前に結婚。以前から過多月経があり、健康診断で貧血を指摘されている。月経痛は著明で、非ステロイド性抗炎症薬を服用しても痛みが軽減しない。身長162cm、体重50kg。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球324万、Hb8.4g/dl、Ht28%、白血球6,000、血小板18万。骨盤部単純MRI矢状断のT1強調像とT2強調像とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G039]←[国試_101]→[101G041]
[★]
- 35歳の女性。 3回経妊、 2回経産。月経痛と過多月経とを主訴に来院した。子宮は硬(手拳大に腫大し、付属器は触知しない。CA125 150U/ml(基準35以下)。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像(別冊No. 17)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A037]←[国試_104]→[104A039]
[★]
- 35歳の女性。1回経妊、1回経産。月経痛と挙児希望とを主訴に来院した。
- 子宮は硬く手拳大に腫大し、付臓器は触知しない。血中CA125値124単位(基準35以下)。
- 骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像を以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A038]←[国試_099]→[099A040]
[★]
- 英
- gynecology
婦人科学 類腫瘍病変
婦人科学 外陰の腫瘍
婦人科学 膣の腫瘍
婦人科学 子宮の腫瘍
婦人科学 卵管腫瘍
婦人科学 絨毛性疾患
[★]
- 英
- atypical genital bleeding
定義
時期別鑑別疾患
非妊娠時
妊娠期間中
閉経後
[★]
- 英
- uterus (Z), womb, metra
- 関
- 内性器
発生学的由来
解剖
支持構造
組織
子宮
子宮の大きさ
- 鶏卵大。(非妊娠時)逆位の前後にやや扁平な西洋梨状で長さ約7cm、幅約4cm、厚さ約2.5cm、重さ30~40g。
妊娠と子宮の大きさ、子宮底の高さ、恥骨結合上縁から子宮底までの長さ
妊娠月数
|
子宮の大きさ
|
子宮底の高さ
|
恥骨結合上縁から子宮底までの長さ
|
第1月末
|
鶏卵大
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|
|
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第2月末
|
鵞卵大
|
|
|
|
第3月末
|
手拳大
|
|
|
|
第4月末
|
小児頭大
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恥骨結合上2-3横指
|
12cm
|
(妊娠月数x3)
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第5月末
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成人頭大
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恥骨結合と臍との中央
|
15cm
|
第6月末
|
|
臍高
|
21cm
|
(妊娠月数x3+3)
|
第7月末
|
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臍上2-3横指
|
24cm
|
第8月末
|
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剣状突起と臍との中央
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27cm
|
第9月末
|
|
剣状突起下2-3横指
|
30cm
|
第10月末
|
|
剣状突起と臍との中央
|
33cm
|
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産褥0日分娩直後
|
|
臍下3横指
|
11cm
|
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産褥0日12時間後
|
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臍高(右に傾く)
|
15cm
|
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産褥1-2日
|
|
臍下1-2横指
|
12cm
|
|
産褥3日
|
|
臍下3横指
|
10cm
|
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産褥5日
|
|
臍高と恥骨結合上縁との中間
|
9cm
|
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産褥7日(産褥1週)
|
手拳大
|
恥骨結合上縁
|
|
|
産褥10日
|
|
腹壁から触れない
|
|
|
(産褥6週)
|
鶏卵大
|
|
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臨床関連
-
[★]
- 英
- sarcoma
- 関
- 癌腫 carcinoma、悪性非上皮性腫瘍
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物