- 英
- proteoglycan
- 同
- ムコ多糖蛋白質複合体 mucopolysaccharide-protein complex
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/23 10:31:44」(JST)
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プロテオグリカン(Proteoglycan)は、糖とタンパク質の複合体で、糖タンパク質の一種である。「プロテオ」はプロテイン、つまりタンパク質、「グリカン」は多糖類を意味する。
動物成分の多糖(グリコサミノグリカン:glycosaminoglycan)の研究中に見つけ出された成分である。グリコサミノグリカンとしては、ムコ多糖として全身に存在するヒアルロン酸や軟骨から分離されたコンドロイチン硫酸(1889)などが有名であるが、これらのグリコサミノグリカンの構造解析を行っている中で、1970年にグリコサミノグリカンとコアタンパク質(CoreProtein)が一定の結合様式で結合した糖タンパク質が発見され、プロテオグリカンと命名された。
目次
- 1 構造
- 2 構成グリコサミノグリカンの種類
- 3 脚注
- 4 参考文献
構造
プロテオグリカンは、一定の結合様式を持った分子の総称で、コアタンパク質のアミノ酸であるセリンと糖質のキシロース←ガラクトース←ガラクトース←グルクロン酸が結合しコンドロイチン硫酸などの2糖単位で連続する多糖体が結合した化合物である。
その後、コンドロイチン硫酸は、プロテオグリカンの部分構造であることがわかってきている。 生体成分として多様な機能性を持つと考えられるプロテオグリカンは、もっとも重要な生体成分であり、主要な各種臓器、脳、皮膚を始めとした体全体の組織中の細胞外マトリックスや細胞表面に存在するほか、関節軟骨の主成分としても存在している。 プロテオグリカンは、組織形成や伝達物質としての役割など、組織維持修復に関係する成分である。また、プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸とマトリックスを作ることで身体組織や皮膚組織を維持している。
神経系や免疫系などと共に高等多細胞動物にしか存在しない組織であり、プロテオグリカンが多細胞動物以外で認められることは無いと考えられる。
各組織のプロテオグリカンは、その組織細胞で合成される。組織の細胞外マトリックス成分であるヒアルロン酸は、細胞膜で合成されるが、プロテオグリカンは、ゴルジ体内で生合成される。細胞外に放出されたコラーゲンやヒアルロン酸、プロテオグリカンは会合構造をとることで組織を維持する。巨大なプロテオグリカンが分子単体で存在することは難しい [1]。
構造上のプロテオグリカンの定義は、コアタンパクを持ち40万ダルトン以上の高分子であり、少なくても1つ以上の末端活性部位を保有していることである。プロテオグリカンとコンドロイチン硫酸(分子量が7万ダルトン以下)の構造上の違いは、分子量と末端活性部位の有無である。 プロテオグリカンは、コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカンと混同されやすいので注意が必要である。
構成グリコサミノグリカンの種類
プロテオグリカンは、いくつかのグリコサミノグリカンから成り立ち、そのグリコサミノグリカンの例はアグリカンやバーシカン等を含み、スモールロイシンリッチプロテオグリカンはデコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン等を含む。
- コンドロイチン硫酸(関連するデルマタン硫酸を含む)
- アグリカン、バーシカン、ニューロカン、ブレビカン、デコリン、ビグリカン、セルグリシンなど。
- ヘパラン硫酸(ヘパリンを含む)
- パールカン、セルグリシン、シンデカン、グリピカンなど。
- ケラタン硫酸
- ルミカン、ケラトカン、アグリカンなど。
- デルマタン硫酸
- デコリンなど。
- ヒアルロン酸
脚注
- ^ プロテオグリカンとは-弘前大学プロテオグリカン応用研究プロジェクト
参考文献
- 新生化学実験講座,糖質Ⅱ,第1版(1991),第3巻
- 渡辺秀人,木全弘治,蛋白質核酸酵素,48(8),916-922(2003)
- KristianPrydz1,KnutTomasDalen,JournalofCellScience,113,193-205(2000)
- 久保俊一、高橋謙二、理学療法学,28(3),70-75(2001)
- P.J.Roughley,EuropeanCellsandMaterials,12.92-101(2006)
- 浦野昌子ら,YAKUGAKUZASSHI,128(3),365-375(2008)
- MellisaLyet.al.,NatureChemicalBiology,7,827–833(2011)
- 高垣啓一ら,特許第3731150号,軟骨型プロテオグリカンの精製方法
- MitsuoMajimaet.al.,InternationalCongressSeries,1223,221-224(2001)
- 大鹿周佐,石橋恭之,高垣啓一,日本整形外科スポーツ医学会雑誌,24(4),386-393(2005)
- HiroshiSashinami,KeiichiTakagaki,AkioNakane,BBRC,351,1005-1010(2006)
- SashinamiHiroshi,TakagakiKeiichi,NakaneAkio,HirosakiMed.J.,59,S235-S243(2007)
- 藤田沙耶花,石川孝,七島直樹,高垣啓一,中村敏也,第80回日本生化学会大会講演要旨集,366(2007)
- 藤田沙耶花,石川孝,七島直樹,高垣啓一,中村敏也,生化学,79(7),716(2007)
- SakaeOta,ShuichiYoshihara,KeinosukeIshido,MasanoriTanaka,KeiichiTakagaki,MutsuoSasaki,DigDisSci53,3176-3183(2008)
- RyokoUesato,YasuyukiIshibashi,ShusaOhshika,TakuyaNaraoka,SatoshiTih,HirosakiMed.J.,59,98-103(2008)
- 弘前大学プロテオグリカンネットワークス,奇跡の新素材プロテオグリカン,初版,小学館,119-145(2012)
- 高橋達治,松原順子,若松香苗,田中清隆,桝谷晃明,藤田幸子,田中友香,坪井誠,日本食品科学工学会第57回大会講演集,147(2010)
- 松原順子,津田友香,藤田幸子,高橋達治,児島薫,ArunasiriIddamalgoda,坪井誠,第3回食品薬学シンポジウム講演要旨集,228-230(2011)
- JunkoMatsubara,YukaTsuda,KanaeWakamatsu,YukikoFujita,TatsujiTakahashi,TeruakiMasutani,ArunasiriIddamalgoda,MakotoTsuboi,10thASCSConferenceSeoulKorea,Abstracts,128-129,fullpaper1-5(2011)
- 高橋達治,桝谷晃明,朝長昭仁,渡邉景太,山本哲郎,坪井誠,山口英世,長岡功,第65回日本栄養・食糧学会大会要旨集,250(2011)
- 桝谷晃明,高橋達治,坪井誠,第28回日本骨代謝学会学術集会抄録集,268(2010)
- 坪井誠,FoodStyle21,15(5),65-67(2011)
- 坪井誠,COSMETECHJAPAN,2(6),46-51(2012)
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- P2-1-6 ヒト子宮内膜上皮細胞においてコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるaggrecanの発現はプロゲステロンにより誘導される(Group73 生殖医学(症例)1,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-23-2 切迫早産新規治療としてのプロテオグリカン,プロゲステロンの可能性に関する基礎研究(Group51 妊娠・分娩・産褥の生理・病理16 早産,一般演題,第63回日本産婦人科学会学術講演会)
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- 英
- glycosaminoglycan
- 同
- ムコ多糖 mucopolysaccharide
- 関
- プロテオグリカン proteoglycan、コンドロイチン硫酸、酸性ムコ多糖体症、多糖、デルマタン硫酸
概念
- グリコサミノグリカン + 蛋白質 = プロテオグリカン
グリコサミノグリカン
|
ウロン酸
|
ヘキソサミン残基
|
結合
|
局在
|
-COO-
|
-SO3-
|
ヒアルロン酸
|
D-グルクロン酸
|
N-アセチル-D-グルコサミン
|
GlcUA
|
β1-3
|
GlcNAc
|
硝子体、関節液、臍帯
|
1
|
0
|
コンドロイチン4-硫酸
|
D-グルクロン酸
|
N-アセチル-D-ガラクトサミン 4-硫酸
|
GlcUA
|
β1-3
|
GalNAc
|
骨、象牙質、軟骨
|
1
|
1
|
コンドロイチン6-硫酸
|
D-グルクロン酸
|
N-アセチル-D-ガラクトサミン 6-硫酸
|
GlcUA
|
β1-3
|
GalNAc
|
1
|
1
|
デルマタン硫酸
|
L-イズロン酸
|
N-アセチル-D-ガラクトサミン 4-硫酸
|
IdoA
|
β1-3
|
GalNAc
|
皮膚、動脈壁、腱、骨、象牙質
|
1
|
1
|
ケラタン硫酸
|
D-ガラクトース
|
N-アセチル-D-グルコサミン 6-硫酸
|
Gal
|
β1-4
|
GlcNAc
|
軟骨、椎間板、角膜
|
0
|
1
|
ヘパリン
|
L-イズロン酸 2-硫酸
|
N-スルホ-D-グルコサミン 6-硫酸
|
IdoA
|
α1-4
|
GlcNAc
|
小腸、筋肉、肺、脾、腱、肝、肥満細胞
|
1
|
3
|
臨床関連
[★]
- 英
- intima, intimal (adj.), inner membrane, internal tunic
- ラ
- tunica intima (Z)
- 関
- 中膜、血管
組織
病理
血管の損傷
粥状硬化症
- 内皮下結合組織に粥腫ができる。
- necroticcenterはfibrous capにかこまれる
- fibrous cap
- 平滑筋、マクロファージ、泡沫細胞、リンパ球、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、血管新生
- necrotic center
- 壊死組織、コレステロールの血漿、泡沫細胞、カルシウム
梗塞
[★]
- 英
- extracellular matrix, ECM
- 同
- 細胞外基質、細胞外間質物質、細胞間マトリックス intercellular matrix
- 関
- 細胞間質
種類
- 結合組織や上皮細胞の間、血管や平滑筋の支持構造に存在
- など
- 上皮細胞と間質細胞の間にあって、それぞれの細胞が合成している。
[★]
- ラ
- tunica media (Z)
- 関
- 血管、内膜、外膜
[★]
- 英
- chondroitin sulfate proteoglycan
- 関
- プロテオコンドロイチン硫酸
[★]
- 英
- proteoglycan I, PG-I
- 関
- ビグリカン
[★]
- 英
- heparan sulfate proteoglycan HSPG
[★]
- 英
- glycan
- 関
- 多糖
[★]
- 英
- pro