出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/03 09:44:22」(JST)
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交通事故(こうつうじこ)とは交通機関における事故のことをさす。広義では鉄道・船舶・航空機などにおける事故を含むが、一般的には道路における自動車・自転車・歩行者などの間に発生した道路交通事故を指すことが多い。
また、旅客自動車において旅客が転倒したり、車内設備と接触したりして負傷する車内人身事故も交通事故として取り扱われる。
以下では基本的に道路交通事故について記述する。踏切事故を含めた鉄道の事故は鉄道事故、船舶の事故は海難事故・水難事故(川下りなど)、航空機の事故は航空事故の項をそれぞれ参照。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
交通事故の定義を定める根拠法令等には、
などがある。一般的に「交通事故」といえば道路交通法上の交通事故を指す。
なお、以下の場合は、道路交通法上の交通事故とはされない。(また、一部は任意の自動車保険の保険金の支払い対象にならない事もあるが、詳細条件は異にする。)
刑事上の責任は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)違反、道路交通法違反(行政処分ではなく特別刑法として罰則に定められているもの - 刑事罰)による責任である。
交通事故の定義とは関係なく、車両等の運転者が人を死傷させた場合は、行為の様態に応じて次の罪に問われる可能性がある。
反則行為の結果として交通事故を引き起こした場合には交通反則通告制度の適用はない(道路交通法125条2項)。
自動車等を利用して故意に人の死傷や物の損壊を起こした場合には自動車等を利用した故意犯となり刑法上の殺人罪、傷害罪、器物損壊罪等に問われる。人身事故および建造物損壊事故を除く、過失の物損事故の場合は、行為者に刑事罰が科されることはない。
交通事故を含む事故において故意または過失により他人の権利(生命、身体または財産)を侵害した場合、それによって発生した損害賠償する責任を負う(民法の不法行為原則)。人身事故、建造物損壊事故および物損事故の全てが該当する。
自動車または原動機付自転車の運行により人の生命または身体を侵害した場合には、加害者側で被害者の過失を立証しなければこれによって生じた損害(他人の生命、身体に対するものに限る)についてその責めを負い、重大な賠償責任を負担する事が殆どである(詳しくは交通事故の過失割合を参照)。
行政法上の責任として道路交通法上の運転免許に関する行政処分があり、事故や責任の重さに応じて運転免許証の取り消し、停止などがある。
人身事故における行政処分では、加害者の過失が少しでも認められた場合、安全運転義務違反(2点)および人身に係る交通事故の付加点数(最低2点、最大20点)で最低でも合計4点の付加点数が付くこととなる。
なお、人身事故および建造物損壊事故を除く、物損事故の場合は、運転者が行政処分を受けることはない。
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芸能人やスポーツ選手が事故を引き起こすことは、イメージダウンにつながりCMやドラマを降板しなければならなくなったりと芸能活動において大きく支障が生じる。もちろん、芸能人らが事故の被害者となるケースもある。
かつては女優などは事務所が用意した運転手付きの車に送迎させていたのが多かったが、近年では経費削減のため少なくなり、仕事場へ向かうのもプライベートでも自ら運転するというケースが増えている[1]。また、芸能リポーターの梨元勝は「付き人もいて送迎が当たり前だったスターが今や不在となり実力のないタレントが芸能界に多くなっていることの表れ」と分析している[2]。
交通事故の心身への影響は最も軽い場合には無傷(外傷・骨折等がないだけでなく、むち打ち症などの後遺障害さえない)のこともあるが、最悪の場合走行中の車両との衝突は衝撃が大きく、はねられた場合、全身あるいは頭部を強打して即死するケースが発生する。はねられず車両に轢かれた場合は、車輪に巻き込まれたり、踏みつけられたりするなどで体の至る所が切断、圧迫され、内臓破裂、または脳や内臓や血管が飛び出したり、人身事故現場に散乱するなど、原型をとどめない状態になることもあり、凄惨な状態での死に至ることもある。
事故直後に精神的に受ける負傷者の不安感など傷以外の精神的後遺症の問題も大きくなり、救命救急医の指導資格制度、ドクターヘリなど最近は充実してきたが、交通事故の多発が問題視された愛知県(後述の表にも記載)において春日井市が「ドクターカー」モデルとして全国初でテスト実施、負傷者のバイタルサインを電波で飛ばしながら基幹病院の待機医とのやり取りを推し進め、その場で除細動器(アンビュレーター)を使用できる消防士を中心にした救急救命士の国家資格を制定した。車は(株)トヨタと共同開発。医療関係の資格なしで行えるAED設置の発展に寄与した。負傷者の体だけでなく心、精神への配慮が推し進められているが、人的・機材的・予算的な壁も多い。一般的認知はNHKをはじめとする報道機関などマスコミとの啓発・協力体制が必要であった。
重傷度の高い順に挙げれば、頸髄損傷、胸部外傷、気道閉塞(顔面損傷や頚部外傷など)、腹腔内・骨盤損傷などである。これらに比べれば、四肢の損傷のみによって死に至ることは少ない。
殊に頸髄損傷は、仮に生き残ったとしてもクオリティ・オブ・ライフを著しく低下させる。受傷直後は損傷が無くても、傷病者が不用意に首を動かすことによっても発症し易い。「交通事故に遭ったら、不用意に頭・首・肩を動かさない」事を徹底することが必要である。(JPTEC・JATECの項も参照のこと)
衝突状況やそのときの被害者の持ち物・状態・心身の状態、天候などによって、類似した状況下の事故でも大きく異なる。歩行者・自転車に乗った人などと、ごく低速の自動車・オートバイなどがぶつかった時、歩行者が大きなかばんを持っていてそのかばんにぶつかった場合などは、人的被害が皆無かまたそれに近い場合もある。
労働災害や自然災害といった他の要因による事故と比較して、被害者が頭部や腰部に激しい衝撃を受ける蓋然性が高いことから、被害者に遷延性意識障害を始めとする重度後遺障害が残る例が少なからず見られる。また、脳に強い衝撃を受けた場合には、頭部に外傷がなくとも高次脳機能障害に至る場合がある(頭部外傷、外傷性脳損傷の項も参照のこと)。
歩行者は自転車との衝突、あるいは歩行者同士の衝突でさえ、路面に頭部を打ち付けて死亡事故になることがある。
近年、自動車メーカーは歩行者に対する安全性も考慮し以下のような対策がなされている。
シートベルト未装着や携帯電話使用への取り締まり、エアバッグの装備、合わせガラスの採用、クラッシャブルゾーンの採用、モノコックボディの高剛性化、ABSの普及など、安全装備を採用した自動車が増え、搭乗者の死亡減少に役立っている。 しかし、いかなる安全装備を以てしても致命傷を予防することは不可能である。例えば胸郭内で心臓・大動脈が動揺することによる大動脈解離や、頭部への衝撃による脳挫傷・外傷性クモ膜下出血は、エアバッグの効果にも限度があり、速度の超過や薬物の使用、飲酒運転は大きな事故を招く。
オートバイの交通事故は、ボディに覆われていない事から大きな事故になる場合がある。詳細はオートバイの事故を参照のこと。
自転車にも同様の危険があり、専用ヘルメットなどの安全装備が奨励されている。
松岡ら[3]によれば、交通事故を経験した人間の多くが、気分障害、不安障害、強迫性障害など何らかの精神医学的後遺症を来たすとしている。
事故死亡者の統計は、警察が集計した、事故による被害者が事故発生から24時間以内に死亡した場合のものが主に用いられており、下記の人数も基本的には24時間以内死者数である。警察の統計としては、そのほかに30日以内に死亡した場合のものもあり、厚生労働省の統計としては、1年以内に死亡した場合のものもある。
交通事故死亡者数は、戦後の高度経済成長期に自動車保有率の上昇と呼応して増加し、年間1万人以上が死亡する事態となった。戦争でもないのに膨大な人数が犠牲となることから、「交通戦争」と比喩される事となった。特に1970年は、交通事故で年間で1万6765人(1年以内死者数では約2万2千人)が死亡し、史上最悪の年となった。警察や道路管理者などが教育と対策に取り組んだこと、シートベルトの普及等の自動車の安全性が向上したこと、また、2度のオイルショックなどで経済の伸びが鈍化したことなどによる影響で、事故数、被害ともいったん減少した。その後1980年代に再び増加し、バブル経済真っ只中の1988年に1万人を超えたが、1993年以降減少に転じている。1970年代の減少と合わせ、経済の盛衰が交通事故犠牲者の増減との相関を示している。
1970年代後半からの車両台数の増加と共に交通事故犠牲者は運転中の乗員が主なものとなり、1990年代には乗車中死者数は歩行者死者数の約1.7倍にまで増加して第二次交通戦争の要因となったが、1990年代に自動車アセスメントが開始され、エアバッグ、プリテンショナー(衝突時締付け)機能つきシートベルト、衝撃吸収ボディなどといった車両側の安全装備の向上の取り組みが行われ、2008年から歩行者の死者数を下回っている [4]。
2013年の24時間以内死者数は4373人で、これは2013年の国内の車両台数が約7962万台なのと比較して車両台数が3000万台に届いていなかった頃の1951年の4429人より少なく[5]、いかに死者が激減したかを物語っている。また、救急医療の発達によって24時間以上生存しているだけで死者数はあまり減少していないという誤った認識が存在するが、2012年の30日以内死者数は4571人、1年以内死者数は6277人とどちらも24時間以内死者数と同様に減少している。30日以内死者数は統計を取り始めた1993年以降、1年以内死者数は統計を取り始めた1965年以降もっとも少ない人数となっている。
2013年の交通事故死者数は前年より38人減の4373人と13年連続で減少した一方、65歳以上の高齢者の死者数は2303人で12年ぶりに増加に転じた。死者数のうち高齢者が占める割合も、10年前の2003年は40.4%だったが、2013年は52.7%に上昇している。全体として交通事故が減少する中で、高齢人口、高齢ドライバーの増加と共に交通事故増加要因となっており対策が求められている[6]。
2013年の交通事故による人口10万人当たりの1年以内死者数は5人であり、これは他の死亡原因と比較すると、地震の5人(阪神淡路大震災のあった1995年の数値)と同等、火事の1.7人、他殺の0.52人より多いが、自殺の24人よりは少ない[7]。
国内の自動車保有台数の増加により交通事故も比例して増加し、2004年には95万2191件と過去最悪を記録した。その後は国内の自動車保有台数も7900万台程度で安定し[8]、ガソリン高騰による交通量の減少や取締り等の強化の影響もあり、2013年には62万9021件と減少している。
事故発生件数と同様1990年代より増加し、1999年から2007年までは連続して負傷者数100万人を突破した。それ以降は、事故発生件数と共に減少傾向にあり、2013年の負傷者数は78万1494人となっている。
傾向として、運輸業や卸売業など、業務に車を使用する産業で事故が起きやすい。
出典:「労働安全衛生基本調査(2000年)」(厚生労働省)
警察庁「平成21年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」[9]
なお、平成21年の人口10万人当たり交通事故発生件数は以下の通りである [10]
警視庁「平成20年中の交通事故の発生状況」より
平成24年の交通事故死者数の多い都道府県は以下の通りである。(警察庁「平成24年中の交通事故死者数について」より)
平成25年2月に愛知県警で平成3年から平成23年までの交通事故死者数で600人の計上漏れがあったことが公表され、再集計の結果、平成15年以降10年連続で交通事故死者数が全国最多であったことが明らかになっている[12]。
なお、人口10万人当たり交通事故死者数は以下の通りである(平成21年) [13]
人身事故発生件数(人口10万人当たり)ワースト3は、サウジアラビアの1,305件、日本745件、アメリカ626件と、自動車交通の普及している国で占められている。一方死者数(同)は南アフリカ30.5人、マレーシア24.6人、ロシア24.0人であり、医療事情の影響がうかがえる[14]。
アジアに焦点を絞ると、人身事故発生件数(同)がサウジアラビア・日本に続いて多いのは韓国443件、モンゴル275件、イスラエル245件という順である(前掲資料)。
また、事故死を交通手段別に分類すると、メキシコ・韓国・ポーランド・リトアニア・日本などは、ドライバーの弱者優先の意識が低い、車道ばかりで歩行者道の無整備などの理由からか歩行者や自転車、そしてオートバイの比率が高い[15]。
「交通事故紛争」も参照
高次脳機能障害、遷延性意識障害(植物状態)、重度脊髄損傷等が代表的な後遺障害であるが、昨今では中心性脊髄損傷等のあたらしい後遺障害も出てきている。[要出典]
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