- 英
- vitamine B1
- 同
- チアミン thiamine、塩酸チアミン thiamine hydrochloride、ビタミンB1塩酸塩、アノイリン aneurine
- 商
- アミグランド、パレセーフ、ビーフリード
- 関
- ビタミン、チアミン二リン酸 thiamine pyrophosphate チアミンピロリン酸 TPP
機能
-
-
- 5. 酵母などではアルコール発酵を行うピルビン酸デカルボキシラーゼ(ピルビン酸からCO2を除去してアセトアルデヒドを産生)の補酵素として重要
臨床関連
WordNet
- the 2nd letter of the Roman alphabet (同)b
- the blood group whose red cells carry the B antigen (同)type_B, group B
PrepTutorEJDIC
- black(鉛筆の軟度を示す;硬度は『H』(=hard)で表す) / boronの化学記号
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チアミン塩化物 |
|
|
|
IUPAC名
2-[3-[(4-amino- 2-methyl- pyrimidin- 5-yl) methyl]- 4-methyl- thiazol- 5-yl] ethanol
|
別称
Aneurine hydrochloride, thiamin
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
59-43-8 (Cl-) , 67-03-8 (Cl-.HCl hydrochloride) |
PubChem |
1130 |
ChemSpider |
5819 |
KEGG |
D08580 |
MeSH |
Thiamine |
- [Cl-].Cc1c(CCO)sc[n+]1Cc2cncnc2N
|
特性 |
化学式 |
C12H17N4OS+Cl-.HCl |
モル質量 |
337.27 |
融点 |
248-260 °C (塩酸塩)
|
危険性 |
主な危険性 |
アレルギー |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
チアミン (thiamin, thiamine) はビタミンB1 (vitamin B1) とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。分子式はC12H17N4OSである。 サイアミン、アノイリンとも呼ばれる。日本では1910年に鈴木梅太郎がこの物質を米糠から抽出し、1912年にオリザニンと命名したことでも知られる。脚気を予防する因子として発見された。
糖質および分岐脂肪酸の代謝に用いられ、不足すると脚気や神経炎などの症状を生じる。酵母、豚肉、胚芽、豆類に多く含有される。
補酵素形はチアミン二リン酸 (TPP)。
目次
- 1 構造
- 2 生理活性
- 3 物性
- 4 多く含む食品
- 5 摂取時の注意
- 6 欠乏症
- 7 過剰症
- 8 生化学
- 9 生理活性
- 10 脚注
- 11 関連項目
- 12 外部リンク
構造
2-メチル-4-アミノ-5-ヒドロキシメチルピリミジン(ピリミジン部、OPM、構造式左半分の六角形の部分)と4-アミノ-5-ヒドロキシエチルチアゾール(チアゾール部、Th、構造式右半分の五角形の部分)がメチレン基を介して結合したもの。生体内では、各組織においてチアミンピロリン酸(チアミン二リン酸)に変換される。チアミン二リン酸は、生体内において各種酵素の補酵素として働く。チアミン三リン酸は、シナプス小胞において、アセチルコリンの遊離を促進し、神経伝達に関与するといわれている。
生理活性
血中濃度は通常68.1±32.1ng/mLで40ng/mLを切ると脚気などの欠乏症状があらわれるといわれている。リン酸基は構造式右側のヒドロキシ基(OH基)に結合する。結合するリン酸の長さにより、チアミン一リン酸 (TMP, thiamine monophosphate)、チアミン二リン酸 (TPP, thiamine pyrophosphate)、チアミン三リン酸(TTP, thiamine triphosphate) がある。
物性
- 分子量 300.81
- 水溶性。加熱により可溶性が増す。
- アルコールに不溶。
- 無色。
- アルカリ条件下で容易に分解。
- 弱酸性条件下で安定。
CAS番号 59-43-8
多く含む食品
- 酵母
- 豚肉
- 胚芽(米ぬかなど)
- 豆類
- 全穀パン
- 牛乳
- 緑黄色野菜
日本人においては、摂取総量の半分を穀物から摂取しているといわれる。
酵母は、アルコール発酵によりピルビン酸を脱炭酸してエタノールを生成することができ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ (EC 1.2.4.1) の補因子であるチアミンを自ら合成できるとともに、培地に存在するチアミンを吸収し、細胞内に集積することができる。種によっては、その乾燥重量の10%近くのチアミンを集積できる[1]。
摂取時の注意
一日の所要量は成人男性で1.1ミリグラム、成人女性で0.8ミリグラム。加えて、摂取エネルギー1,000キロカロリーあたり0.35ミリグラム必要とされる。
基本的に、調理における損失が多く、食品中に含まれる総量のうち半分から1/3は失われていることを考慮する必要がある。水溶性なので素材をあまり水にさらさない方が良く、米を磨ぐ際は手早く少ない水量で行うのが良いとされる。あるいは、麦飯、玄米あるいは強化米の利用もよいとされる。調理の際の煮汁、ゆで汁への流失が大きいので、これらを利用する調理法が良いとされる。
アルカリ条件下において分解が進むので、調理の際に重曹を利用するときはその点を考慮する。ニンニクに含まれるアリシンと結合し、アリチアミンとなると吸収効率が向上する(詳細はニンニクを参照のこと)。
強度の労作や、消耗性疾患の罹患により要求量がかなり上昇する。脂質の摂取により、要求量が少し減少する。体内での貯蔵量は非常に少ない。吸収効率が高くないため、進行時の脚気など、胃腸が弱っているときには吸収しきれないこともあり、この時は高吸収率のビタミンB1誘導体を摂取する必要がある(一般にも市販されていて、アリナミンAなどが有名)。水溶性であるため過剰に摂取しても問題ない。
欠乏症
- 脚気
- 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
- ウェルニッケ脳症 - 慢性化するとコルサコフ症候群
- 多発性神経炎、神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎
- 浮腫
- 心臓肥大、心筋代謝異常
- 馬のワラビ中毒
- チャステック病
- 大脳皮質壊死症
- 二次性肺高血圧症[2]
慢性的に不足している条件では、神経系(脳を含む)におけるグルコース利用が困難になるため、多発性神経炎症状が出やすくなるといわれる。
アノイリナーゼ
アノイリナーゼ(=チアミナーゼ)は、ビタミンB1を分解する酵素である。アノイリナーゼは、ワラビ、ぜんまい、コイ、フナなどの淡水魚の内臓、はまぐりなどに含まれる。また、加熱すれば通常この酵素は失活する。アノイリナーゼを産生するアノイリナーゼ菌を腸内細菌として保有しているヒトも数パーセント存在しているといわれている。ただし、この菌を保菌していたとしても、脚気の自覚症状、他覚症状を呈することはほとんどない[3]。
過剰症
長期間の多量投与における障害は、現在のところ知られていない。過剰に摂取されたチアミンは速やかに尿中に排泄される。
生化学
各組織においてチアミンピロホスホキナーゼ(EC 2.7.6.2)の作用によりチアミン二リン酸に変換される。
- EC 2.7.6.2 ATP + thiamine = AMP + thiamine diphosphate
チアミン二リン酸はチアミン二リン酸キナーゼ(EC 2.7.4.15)の作用によりチアミン三リン酸へと変換される。
- EC 2.7.4.15 ATP + thiamine diphosphate = ADP + thiamine triphosphate
生理活性
チアミン二リン酸は、生体内において各種酵素の補酵素として、アルデヒド基転移の運搬体として働く。
例えば、TCAサイクルの入り口にある重要な反応に関わる。TCAサイクルは、細胞において糖質を代謝し、生体内でのエネルギー貯蔵形といわれるATPを合成する経路である。解糖系で生じたピルビン酸を脱炭酸してアセチルCoAに変換するピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(EC 1.2.4.1、EC 1.8.1.4、EC 2.3.1.12三酵素の複合体)の反応に関与する。
pyruvate + CoA + NAD+ = CO2 + acetyl-CoA + NADH + H+
- EC 1.2.4.1 pyruvate + [dihydrolipoyllysine-residue acetyltransferase] lipoyllysine = [dihydrolipoyllysine-residue acetyltransferase] S-acetyldihydrolipoyllysine + CO2
- EC 1.8.1.4 protein N6-(dihydrolipoyl)lysine + NAD+ = protein N6-(lipoyl)lysine + NADH + H+
- EC 2.3.1.12 CoA + enzyme N6-(S-acetyldihydrolipoyl)lysine = acetyl-CoA + enzyme N6-(dihydrolipoyl)lysine
EC 1.2.4.1の触媒する反応のうち、ピルビン酸 (CH3COCOOH) からの二酸化炭素 (CO2) の引き抜き(脱炭酸反応)において、補酵素として重要な働きを示す。
脂質の摂取によりチアミンの要求量が減少するが、これは、脂質のβ酸化によりアセチルCoAが合成され、上述の反応を迂回してTCAサイクルに供給されるため、結果として上述の反応の回転速度が落ちるためによる。同様に強い労作や消耗性疾患により要求量が上昇するのは、体内でのATP消費の上昇に反応してTCAサイクルの回転が早まるためによる。
ペントースリン酸経路においてもトランスケトラーゼによるNADPHや、デオキシリボース、リボースといった五炭糖の産生に関与している。
また、アルコールの分解にも関与している。抗神経炎作用が知られているが、作用機序などは不明である。
脚注
- ^ 酵母によるビタミンB1の集積 岩島 昭夫、化学と生物 Vol.27 (1989) No.12 P779-786
- ^ ビタミンB1 欠乏により著明な肺高血圧を来した1 例 日本小児循環器学会雑誌 Vol.29 (2013) No.6 p.352-356
- ^ 松田誠、高木兼寛とその批判者たち-脚気の原因について展開されたわが国最初の医学論争、発行日 28-Dec-2007
関連項目
外部リンク
- ビタミンB1解説 -「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- ビタミンB1 -「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 鈴木梅太郎の論文「糠中の一有効成分に就て」
ビタミン (A11) |
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脂溶性 |
A
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レチノール · β-カロテン · トレチノイン · α-カロテン
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D
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D2(エルゴステロール - エルゴカルシフェロール) · D3(7-デヒドロコレステロール - プレビタミンD3 - コレカルシフェロール - 25-ヒドロキシコレカルシフェロール - カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール) - カルシトロン酸)
D4(ジヒドロエルゴカルシフェロール) · D5 · Dアナログ(ジヒドロタキステロール - カルシポトリオール - タカルシトール - パリカルシトール)
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E
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トコフェロール (α - β - γ - δ) · トコトリエノール · トコフェルソラン
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K
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フィロキノン (K1) · メナキノン (K2) · メナジオン (K3)
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水溶性 |
B
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B1(チアミン) · B2(リボフラビン) · B3(ナイアシン - ニコチンアミド) · B5(パントテン酸、デクスパンテノール - パンテチン) · B6(ピリドキシン - ピリドキサールリン酸 - ピリドキサミン)
B7(ビオチン) · B9(葉酸 - ジヒドロ葉酸 - フォリン酸) · B12(シアノコバラミン - ヒドロキソコバラミン - メチルコバラミン - コバマミド) · コリン
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C
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アスコルビン酸 · デヒドロアスコルビン酸
|
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
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補因子 |
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補酵素 |
ビタミン: NAD+ (B3) - NADP+ (B3) - 補酵素A (B5) - THF / H4F (B9), DHF, MTHF - アスコルビン酸 (C) - メナキノン (K) - 補酵素F420
非ビタミン: ATP - CTP - SAM - PAPS - GSH - 補酵素B - 補酵素M - 補酵素Q - メタノフラン - BH4 - H4MPT
|
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有機補欠分子族 |
ビタミン: TPP / ThDP (B1) - FMN, FAD (B2) - PLP / P5P (B6) - ビオチン (B7) - メチルコバラミン, コバラミン (B12)
非ビタミン: ヘム - α-リポ酸 - モリブドプテリン - PQQ
|
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金属補欠分子族 |
Ca2+ - Cu2+ - Fe2+, Fe3+ - Mg2+ - Mn2+ - Mo - Ni2+ - Se - Zn2+
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 四肢の筋力低下を主症状として発症したビタミンB1欠乏症の思春期例
- 川崎 悠,松原 康策,内田 佳子 [他]
- 日本小児科学会雑誌 = The journal of the Japan Pediatric Society 116(12), 1903-1908, 2012-12-00
- NAID 40019533337
- 横山 佳祐,米持 英俊,平川 史子
- 別府大学紀要 -(53) (-), 121-131, 2012-02-00
- … 成長期のスポーツ選手の欠乏しやすい栄養素(特にビタミンB1・鉄・カルシウム)を重点的に摂取するように指導し、その結果5年間継続して栄養サポートを受けた者はビタミンB1、鉄、カルシウムの摂取量が増加していた。 …
- NAID 40019332622
- 藤井 隆成,北條 彰,中村 俊紀 [他],岩崎 順弥,高柳 隆章,上村 茂,板橋 家頭夫
- 日本小児科学会雑誌 116(1), 84-91, 2012-01-01
- NAID 10030289522
- 上肢のしびれと下肢脱力を来したビタミン欠乏症の1例
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Japan Pharmaceutical Reference
販売名
組成
有効成分及びその含量
添加物及びその含量
- ブドウ糖 4g
- 尿素 5mg
- 塩化ナトリウム 180mg
- 塩酸 0.017mL
- pH調整剤 適量
禁忌
効能または効果
効能又は効果
- ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)
ウェルニッケ脳炎
脚気衝心
- 下記疾患のうち、ビタミンB1の欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合
神経痛、筋肉痛・関節痛、末梢神経炎・末梢神経麻痺、便秘などの胃腸運動機能障害、術後腸管麻痺
(この項の適応に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。)
用法及び用量
- チアミンジスルフィドとして、通常成人1日5〜100mgを緩徐に静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
重大な副作用
ショック(頻度不明):
- ショックを起こすことがあるので、血圧降下、胸内苦悶、呼吸困難等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- チアミンジスルフィド(Thiamine Disulfide)
- チアミンジスルフィドは、白色〜淡黄白色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。
本品はエタノール(95)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品は希塩酸又は希硝酸に溶ける。
本品の飽和水溶液はほぼ中性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 22歳の女性。運動時の疲労感と「理由もなく氷が食べたくなる」ことを主訴に受診した。
- 現病歴:受診3か月前の1月から、運動時の疲労感が強いことを自覚するようになった。所属している大学剣道部の最後の大会を夏に控え、特に熱心に練習していたので、そのための疲労感だろうと考えていた。 4月になると、軽い稽古だけで今までよりも強い疲労感を感じるようになったが、 3月にあった春合宿の疲労が残っているものと考えてそのままにしていた。ただ、暑くもないのに氷が食べたくなるときが増えたことは気になっていた。本日、大学内の医務室前を通りがかったとき、偶然「寒い日でも氷が食べたくなったときは医務室へ相談を! 」と書かれたポスターが目に入り、心配になったため受診した。
- 既往歴: 12歳時に虫垂炎の手術を受けた。
- 生活歴 : 喫煙・飲酒はしない。
- 家族歴:母(48歳)が脂質異常症で内服加療中。父(52歳)は高血圧症で内服加療中。妹(18歳)と弟(15歳)とは健康である。
- 月経歴 :初経13歳。周期28日型、整。
- 現 症:意識は清明。身長152cm、体重40kg。体温36.8℃。脈拍96/分、整。血圧100/60mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜はやや蒼白である。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 内服薬による治療を行う場合、同時に摂取することでこの内服薬の生体への吸収効率を上昇させるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E065]←[国試_106]→[106E067]
[★]
- 次の文を読み、28~30の問いに答えよ。
- 38歳の女性。微熱と大腿部痛とを訴えて来院した。
- 現病歴 : 2ヶ月前から全身倦怠感と微熱が続いている。一ヶ月前から階段の昇降がなんとなくおっくうになり、体動時には空咳と両側大腿部の鈍痛とを感じるようになった。関節痛や皮疹はない。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 意識は清明。身長162cm、体重52kg。体温37.8℃。脈拍84/分、整。血圧118/76mmHg。皮膚、頭頸部に異常を認めない。背部の聴診で、両側下肺野にfine crackles<捻髪音>を認めるが、心音に異常はなく、心雑音もない。背部に異常を認めない。両側大腿部に筋萎縮と把握痛とを認める。四肢の近位筋力はやや低下しているが、感覚や深部腱反射は正常範囲である。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣で赤血球 1~2 /1視野、白血球 5~10/1視野。赤沈 38 mm/1時間。血液所見:赤血球 410 万、Hb 11.0 g/dl、Ht 39 %、白血球 6,800、血小板 26 万。血液生化学所見:総蛋白 6.0 g/dl、アルブミン 3.4 g/dl、尿素窒素 18 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、AST 80 IU/l、ALT 40 IU/l、LD 420 IU/l (基準176~353)、CK 180 単位(基準10~40)。Na 142 mEq/l、K 4.6 mEq/l。免疫学所見:CRP 1.8 mg/dl、抗核抗体 40 倍(基準20以下)。胸部エックス線写真で両側下肺野に網状陰影を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C029]←[国試_096]→[096D001]
[★]
- 次の文を読み、10~12の問いに答えよ。
- 43歳の女性。複視とふらつきとを主訴に来院した。
- 現病歴 : 20日前から下痢を繰り返していた。10日前から複視が出現し、5日前から歩行時にふらつくようになった。
- 生活歴 : 食事は不規則で、約5合の日本酒を毎日10年間飲用していた。
- 現症 : 身長155cm、体重54kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧122/74mmHg。ぼんやりしており、見当識障害がある。両眼の外転制限と全方向性の注視眼振とを認める。歩行は失調性である。両下肢遠位に軽度の筋力低下と手袋靴下型の感覚低下とがある。四肢腱反射は消失しているが、病的反射はみられない。
- 検査所見 : 血液所見:赤沈15mm/1時間、赤血球350万、Hb 9.7g/dl、Ht38%、白血球8,600、血小板13万。血清生化学所見:空腹時血糖96mg/dl、総蛋白6.4g/dl、蛋自分画(アルブミン55.7%、α1-グロブリン3.2%、α2-グロブリン7.1%、β-グロブリン10.6%、γ-グロブリン23.3%)、尿素窒素7mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、アンモニア45μg/dl(基準18~48)、総コレステロール140 mg/dl、総ビリルビン1.5 mg/dl、GOT96単位(基準40以下)、GPT82単位(基準35以下)、CK28単位(基準10~40)、Na138mEq/l、K3.5mEq/l、Cl 100mEq/l、脳脊髄液所見:細胞数3/mm3(基準0~2)、蛋白60mg/dl(基準15~45)、糖66mg/dl(基準50~75)。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H010]←[国試_095]→[095H012]
[★]
- 次の文を読み、67~69の問いに答えよ。
- 76歳の男性。意識障害のため搬入された。
- 現病歴:1週前から食事摂取が不十分となり、隣人が心配して時々様子を見回っていた。本日、自宅で失禁状態で倒れているところを発見された。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 生活歴: 3年前に妻に先立たれ、一人暮らし。食事摂取は不規則で、麺類のみの食事のことが多い。日本酒3~5合を毎晩飲んでいる。
- 現症:意識は昏睡。体温34.4℃。呼吸数16/分。脈拍112/分、整。血圧104/60mmHg。皮膚は乾燥しており、前胸部にくも状血管腫を認める。顔面と下腿とに浮腫を認める。瞳孔は正円同大で対光反射は遅延している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を5cm触知する。
- 検査所見:血液所見:赤血球314万、Hb10.2g/dl、白血球6,700、血小板9万。血液生化学所見:随時血糖102mg/dl、HbAaC5.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白5.4g/dl、アルブミン、2.2g/dl、尿素窒素26.0mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、総ビリルビン2.0mg/dl、直接ビリルビン1.6mg/dl、AST162IU/l、ALT120IU/l、Na136mEq/l、K3.5mEq/l。胸部エックス線写真で心胸郭比60%。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E067]←[国試_102]→[102E069]
[★]
- 22歳の女性。摂食障害と筋力低下のため救急車で搬入された。18歳で失恋を契機に食事制限を開始し、摂食量および体重の減少が止まらなくなり、自宅近くの精神科に通院中であった。筋力低下のため自宅で身動きがとれなくなり、救急車を要請した。月経は3年前から停止している。意識は清明。身長 152cm、体重 26kg。体温 35.1℃。心拍数 48/分、整。血圧 80/52mmHg。前腕にうぶ毛の増生を認める。尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)、ケトン体 +。血液所見:赤血球 408万、Hb 11.0g/dL、Ht 38%、白血球 3,300、血小板 8万。血液生化学所見:AST 28U/L、ALT 16U/L、尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL、Na 135mEq/L、K 3.0mEq/L、Cl 94mEq/L、血糖 45mg/dL、HbA1c 4.4%(基準 4.6~6.2)、TSH 2.8μU/mL(基準 0.5~5.0)、FT3 1.8pg/mL(基準 2.3~4.3)、FT4 0.9ng/dL(基準 0.9~1.7)。経静脈的にブドウ糖を含む輸液を開始したところ、入院2日目から呼吸困難、意識障害(JCS Ⅱ-20)及び全身の浮腫が出現し、血液所見はAST 539U/L、ALT 654U/Lであった。
- 対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113F043]←[国試_113]→[113F045]
[★]
- 50歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。農業用の共同管理小屋の近くで倒れているのを近所の人が発見し、救急車を要請した。最近、うつ傾向のため自宅近くの医療機関を受診していたという。農作業に従事しており、一人暮らしである。意識レベルはJCSⅡ-20。身長 165cm、体重 60kg。体温 36.0℃。心拍数 44/分、整。血圧 98/56mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96%(room air)。縮瞳を認める。皮膚は湿潤していて発赤を認めない。骨格筋の線維束攣縮を認める。腹部に異常を認めない。尿所見:淡黄色透明、蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 480万、白血球 6,200、血小板 30万。血液生化学所見:アルブミン 4.6g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 28U/L、ALT 35U/L、LD 310U/L(基準 176~353)、ALP 200U/L(基準 115~359)、γ-GTP 25U/L(基準 8~50)、コリンエステラーゼ OU/L(基準 400~800)、アミラーゼ 45U/L(基準 37~160)、CK 20U/L(基準 30~140)、クレアチニン 1.0mg/dL。動脈血ガス分析(room air):PaCO2 40Torr、PaO2 98Torr、HCO3- 24mEq/L。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A055]←[国試_111]→[111A057]
[★]
- 28歳の初妊婦。妊娠10週で悪心と嘔吐とを主訴に来院した。妊娠7週ごろから悪心と嘔吐とが出現し次第に悪化してきた。1週間前からは経口摂取が困難になり、2日前から自力歩行が困難となったため夫に支えられて来院した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長 161cm、妊娠前体重 55kgで現在は 48kg。体温 36.9℃。脈拍 92/分、整。血圧 92/56mmHg。呼吸数 20/分。皮膚は乾燥している。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:黄褐色で軽度混濁、蛋白3+、糖1+、ケトン体4+。血液所見:赤血球 396万、Hb 14.1g/dL、Ht 42%、白血球 13,100。血液生化学所見:総蛋白 7.4g/dL、AST 30U/L、ALT 22U/L、血糖 92mg/dL、Na 126mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 0.2mg/dL。経腟超音波検査で子宮内に胎嚢を認める。胎児心拍は陽性で頭殿長(CRL)は33mmである。
- まず行うべきなのはどれか。
- a 濃厚流動食品の経口投与
- b 胃管からの経腸栄養剤の投与
- c 生理食塩液の大量静脈内投与
- d 20%ブドウ糖液の急速静脈内投与
- e ビタミンB1を含む維持輸液の静脈内投与
[正答]
※国試ナビ4※ [112F058]←[国試_112]→[112F060]
[★]
- 56歳の女性。物忘れを主訴に長女に連れられて来院した。1年前から寒がりになり、冬季は家にこもってほとんど外出しなくなった。別居中の長女が訪問した際、部屋にはごみが散乱しており、受け答えが支離滅裂で長女の名前を想起することができなかったという。身長151cm、体重62kg。体温35.8℃。脈拍52/分、整。血圧108/68mmHg。呼吸数14/分。頭髪と眉毛とが疎である。胸腹部に異常を認めない。両下腿に圧痕を残さない浮腫を軽度認める。嗄声で声量は小さく、改訂長谷川式簡易知能評価スケールは7点(30点満点)。脳神経系、感覚系および小脳系に異常を認めない。筋力は正常だがアキレス腱反射で弛緩相の遅延を認める。
- 診断のために測定すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A042]←[国試_107]→[107A044]
[★]
- 35歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。1年前に仕事上のトラブルをきっかけに退職した。その後は自宅に閉じこもりがちになり、食事は不規則で菓子パンやおにぎりを好んで摂取していた。1週間前から歩行時のふらつきが目立つようになり四肢のしびれ感も訴えるようになったため、心配した家族に付き添われて受診した。意識は清明。脈拍 72/分、整。血圧 124/68mmHg。腱反射は、上肢では減弱し、膝蓋腱反射とアキレス腱反射は消失している。Babinski徴候は陰性である。四肢筋力は遠位部優位に低下している。両下肢で痛覚過敏、振動覚の低下を認める。
- この患者に補充すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112E028]←[国試_112]→[112E030]
[★]
- 40歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。半年前に人間関係のストレスのため退職し引きこもるようになった。食事は即席麺やおにぎり、スナック菓子をスポーツドリンクやビールとともに摂取するのみであった。2か月前から歩行時にふらつくようになり、四肢末端のしびれ感が徐々に増強するため受診した。意識は清明。脈拍68/分、整。血圧 148/86mmHg。Mini-Mental State Examination(MMSE)30点(30点満点)。四肢の腱反射は左右差なく減弱し、手袋靴下型の表在覚と振動覚の低下を認める。
- この患者で欠乏しているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C015]←[国試_109]→[109C017]
[★]
- 52歳の男性。意識障害で搬入された。2年前に離婚し、一人暮らし。離婚後、飲酒量が増え、毎晩日本酒8台を飲んでいた。久しぶりに妹が訪ねていくと.意識が混濁していたため、救急車を要請した。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧130/70mmHg。両下腿に浮腫を認める。意識レベルはJCS I-3。項部硬直を認めない。両眼の外転障害と注視方向性の水平眼振とを認める。歩行は失調性、腱反射は両下肢で低下している。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A049]←[国試_104]→[104A051]
[★]
- 28歳の女性。全身倦怠感の増強を主訴に来院した。1週前に自宅近くの診療所で妊娠と診断された。5日前から悪心と嘔吐とが出現し、自宅で経過をみていたが改善せず、食事摂取が困難になった。超音波検査で子宮内に胎嚢と心拍動を有する胎芽とを認める。血液所見:赤血球 430万、Hb 14.8g/dl、Ht 46%、白血球 12,100、血小板 32万。輸液を行うこととした。
- 輸液に加えるべきものはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E048]←[国試_105]→[105E050]
[★]
- 46歳の男性。1か月前から両足がジンジンしびれ、感覚が次第に鈍くなったため来院した。肺結核の治療で3か月前からリファンピシン、イソニアジド及びエタンブトールを内服している。診察で四肢に深部腱反射の消失と両側下肢に靴下状の全感覚低下とを認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [100H007]←[国試_100]→[100H009]
[★]
- 妊娠悪阻に対する糖質輸液療法を行う際、必ず加えるべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G022]←[国試_111]→[111G024]
[★]
- 母体における欠乏によって胎児に二分脊椎が発生しうるビタミンはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G007]←[国試_111]→[111G009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102H014]←[国試_102]→[102H016]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I016]←[国試_103]→[103I018]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102I027]←[国試_102]→[102I029]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101B045]←[国試_101]→[101B047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105H006]←[国試_105]→[105H008]
[★]
- 英
- thiamine
- 商
- M.V.I.、M.V.I.-12キット、アクタミン、アミグランド、アミノレバンEN配合、アリチア配合、アリナミン、アリナミンF、エスアリネート、エルネオパ1号、エレンタールP乳幼児用配合、エレンタール配合、エンシュア・リキッド、オーツカMV、グラビタン、コンベルビー、サブビタン、ジアイナミックス、ジアノイナミン、シーパラ、シグマビタン、シグマビタン配合、ジセタミン、ダイビタミックス、ダイメジン・マルチ、ダイメジンスリービー配合、ダイヤビタン、チアデラ、チアミン塩化物塩酸塩、ツインラインNF配合、ツインライン配合、トライビー、トリドセラン配合、ナイロジン、ネオM.V.I.-9、ネオパレン1号、ネオラミン・スリービー、ネオラミン・マルチV、ノイビタ、ノイロビタン配合、ノルニチカミン、バイオゲン、パレセーフ、パンビタン末、ビーカップ、ビースリミン、ビーフリード、ビーワン、ビオトーワ、ビタジェクト、ビタダン配合、ビタノイリン、ビタファント、ビタファントF、ビタマル配合、ビタミンB1、ビタメジン、ビタメジン配合、ビタルファ、フェニルアラニン除去ミルク配合、プラチアミン、フルカリック1号、フルスルチアミン、フルメチ、プレビタS、ベストン、ヘパンED配合、ベルミンビー、マルタミン、ムツタミン、メタボリン、メタボリンG、ラコールNF配合、ラコール配合、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、ロートエキス、ロンベリン、ワッサーV配合、塩酸B1、塩酸チアミン
- 関
- ビタミンB1
- ビタミンB1剤
[★]
- 英
- pyruvate dehydrogenase
- 関
- ピルビン酸脱水素酵素、ピルビン酸、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
概要
- ピルビン酸からアセチルCoAを生成し、クエン酸回路に投入するための酵素
- 逆反応を触媒する酵素はない
反応
ピルビン酸+NAD++SH-CoA → アセチルCoA+NADH+CO2
補酵素
臨床関連
不足
-
- アルコール中毒によるビタミンB1不足によっても生じる
[★]
- 関
- ビタミンB1
商品
[★]
- 英
- pyruvate decarboxylase, pyruvic decarboxylase
- 同
- ピルビン酸脱炭酸酵素
- 関
- ピルビン酸、ビタミンB1
[show details]
[★]
- 英
- thiamin diphosphate,TDP, thiamine pyrophosphate, TPP
- 関
- ビタミンB1 = チアミン
- ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ビタミンB1、チアミン thiamin
- コカルボキシラーゼ
[show details]
[★]
- 英
- vitamin B1 deficiency
- 関
- ビタミン、ビタミンB1
- ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群
- 成人のビタミンB1所要量:男1.1mg、女0.8mg
症状
[★]
- 英
- vitamin B12-dependent methylmalonic acidemia
- 同
- ビタミンB12反応性メチルマロン酸血症
[★]
- 英
- vitamin B12 binding protein
- 関
- トランスコバラミン
[★]
- 英
- vitamin B1 preparation
- 関
- ビタミンB1
[★]
- 英
- vitamin
- ビタミン、生物の生存・生育に必要な栄養素のうち、炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外の栄養素であり、微量ではあるが生理作用を円滑に行うために必須な有機化合物の総称 wiki
ビタミン
ビタミンと欠乏症、過剰症
[★]
- Mg2+存在下でC3, B, Dが反応してC3bBbとなり、これがC3転換酵素(C3bBb)あるいはC5転換酵素(C3bBb3b)を形成する。これらはP(properdin)と結合して活性化し、それぞれC3、C5を活性化する