- 英
- pantothenic acid, pantothenate
- 同
- ビタミンB5
- 化
- パントテン酸カルシウム
- 関
- ビタミン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/09/06 10:34:19」(JST)
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パントテン酸 |
|
|
IUPAC名
3-[(2,4-dihydroxy-3,3-dimethylbutanoyl)amino]propanoic acid
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
137-08-6 |
PubChem |
988 |
- CC(C)(CO)[C@@H](O)C(=O)NCCC(=O)O
|
特性 |
化学式 |
C9H17NO5 |
モル質量 |
219.23 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
パントテン酸(パントテンさん、英: pantothenic acid)とは、ビタミンB群に含まれる物質で、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのこと。かつて、ビタミンB5とも呼ばれていた。CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質。語源はギリシャ語で、「どこにでもある酸」という意味。水溶性のビタミンで、食品中に広く存在し、通常の食生活を送る上で不足になることはあまりない。 成分(一般名)は、パンテチン(英: Pantethine)。
目次
- 1 生理活性
- 2 構造
- 3 物性
- 4 多く含む食品
- 5 一日の所要量
- 6 欠乏症
- 7 過剰障害
- 8 生化学
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
生理活性
パントテン酸の生理作用は,体内でパントテン酸から生合成され、構成成分にパントテン酸を含むCoA(補酵素A)および4'-ホスホパンテテインを補因子にもつアシルキャリアプロテイン(ACP)としての作用によるものである。
食品中ではそのほとんどがCoA(補酵素A)として存在するが、消化管内でパンテテインあるいはパントテン酸にまで分解され、体内に吸収される。
構造
- パントテン酸の構造式 - パントテン酸(pantothenic acid)はパントイン酸にβアラニンが結合したものである。
- パンテテインの構造式 - パンテテイン(pantetheine)はパントテン酸にシステアミン(2-メルカプトエチルアミン)が結合したものである。
- パンテチンの構造式 - パンテチン(pantethine)は2つのパンテテインがジスルフィド結合したもの。
- 補酵素Aの構造式 - 補酵素Aはパンテテインとアデノシン-3'-リン酸が、ピロリン酸(二リン酸)を介して結合したもので、パンテテイン残基の末端にある-SH基を介して生体内でのアシル基転移において、その担体として機能している。
物性
- 分子量 219.24
- 粘稠油状
- 吸湿性
- 水・アルコール・氷酢酸・ジオキサンに易溶、エーテルに難溶、ベンゼン・クロロホルムに不溶
- 比旋光度[α]D25 = +37.5°
- 酸、アルカリ、熱に不安定
多く含む食品
たいていの食品に含まれている。 特に多く含まれている食品は、乾燥酵母、卵、牛乳、レバー、糸引き納豆、きな粉、落花生、干し椎茸、さけ、いわしなど。
一日の所要量
成人で5mg。通常の食生活で欠乏する可能性は低い。
欠乏症
- 成長停止
- 体重減少
- 皮膚炎
- 脱毛
- 頭痛
- 末梢神経の障害(手足の麻痺や焼けるような足の痛み)
- 副腎障害
過剰障害
特に知られていない。
生化学
生体内において、パントテン酸はパントテン酸キナーゼ(EC 2.7.1.33)、ホスホパントテノイルシステインシンテターゼ(EC 6.3.2.5)、ホスホパントテノイルシステインデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.36)、デホスホCoAピロホスホリラーゼ(EC 2.7.7.3)、デホスホCoAキナーゼ(EC 2.7.1.24)の作用により補酵素A(CoA)に変換される。
- EC 2.7.1.33 ATP + (R)-pantothenate = ADP + (R)-4'-phosphopantothenate
- EC 6.3.2.5 CTP + (R)-4'-phosphopantothenate + L-cysteine = CMP + PPi + (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine
- EC 4.1.1.36 (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine = pantotheine 4'-phosphate + CO2
- EC 2.7.7.3 ATP + pantetheine 4'-phosphate = diphosphate + 3'-dephospho-CoA
- EC 2.7.1.24 ATP + dephospho-CoA = ADP + CoA
関連項目
外部リンク
- パントテン酸解説 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- パントテン酸 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
ビタミン (A11) |
脂溶性 |
A |
レチノール · β-カロテン · トレチノイン · α-カロテン
|
D |
D2(エルゴステロール - エルゴカルシフェロール) · D3(7-デヒドロコレステロール - プレビタミンD3 - コレカルシフェロール - 25-ヒドロキシコレカルシフェロール - カルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール) - カルシトロン酸)
D4(ジヒドロエルゴカルシフェロール) · D5 · Dアナログ(ジヒドロタキステロール - カルシポトリオール - タカルシトール - パリカルシトール)
|
E |
トコフェロール (α - β - γ - δ) · トコトリエノール · トコフェルソラン
|
K |
フィロキノン (K1) · メナキノン (K2) · メナジオン (K3)
|
|
水溶性 |
B |
B1(チアミン) · B2(リボフラビン) · B3(ナイアシン - ニコチンアミド) · B5(パントテン酸、デクスパンテノール - パンテチン) · B6(ピリドキシン - ピリドキサールリン酸 - ピリドキサミン)
B7(ビオチン) · B9(葉酸 - ジヒドロ葉酸 - フォリン酸) · B12(シアノコバラミン - ヒドロキソコバラミン - メチルコバラミン - コバマミド) · コリン
|
C |
アスコルビン酸 · デヒドロアスコルビン酸
|
|
- 主要な生体物質
- 炭水化物
- アルコール
- 糖タンパク質
- 配糖体
- 脂質
- エイコサノイド
- 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体
- リン脂質
- スフィンゴ脂質
- ステロイド
- 核酸
- 核酸塩基
- ヌクレオチド代謝中間体
- タンパク質
- タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体
- テトラピロール
- ヘムの代謝中間体
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- パントテン酸キナーゼ遺伝子の欠損で発症する神経変性疾患NBIA1
- パントテン酸キナーゼ遺伝子の欠損で発症する神経変性疾患NBIA1
- パントテン酸誘導体「パンテチン」の便通改善効果 : 無菌と通常マウスの比較
- 平嶋 均,白川 仁,塙 雅明,木村 修一,駒井 三千夫
- 無菌生物 = Japanese journal of germfree life and gnotobiology 42(2), 100, 2012-12-01
- NAID 10031131380
Related Links
- パントテン酸の成分情報です。パントテン酸とは?パントテン酸の働きや効果・効能などパントテン酸に関する情報を詳しくご紹介します。わかさの秘密はわかさ生活が提供する成分情報サイトです。
- パントテン酸はコエンザイムA(CoA)と呼ばれる補酵素の構成成分として糖質、脂質、アミノ酸代謝に関わっています。糖質代謝ではピルビン酸とCoAからアセチルCoAが作られ、エネルギーを作り出すクエン酸回路(TCA回路)へと入ります。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ネオラミン・マルチV注射用
組成
- ネオラミン・マルチV注射用は、1バイアル中に次の成分を含有する。
有効成分・含有量
- チアミン塩化物塩酸塩 3mg
リボフラビンリン酸エステルナトリウム 5.08mg
(リボフラビンとして4mg)
ピリドキシン塩酸塩 4mg
シアノコバラミン 10μg
ニコチン酸アミド 40mg
パンテノール 14.04mg
(パントテン酸として15mg)
葉酸 0.4mg
ビオチン 0.1mg
アスコルビン酸 100mg
レチノールパルミチン酸エステル 3,300ビタミンA単位
エルゴカルシフェロール 10μg
トコフェロール酢酸エステル 15mg
フィトナジオン 2mg
添加物・含有量
- ポリソルベート80 60mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 50mg
pH調整剤
禁忌
- 本剤又は本剤配合成分に過敏症の既往歴のある患者
- 血友病患者
[パンテノール含有のため。]
効能または効果
- 経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で高カロリー静脈栄養に頼らざるを得ない場合のビタミン補給
- 本剤を高カロリー経静脈栄養輸液に溶解し、点滴静注する。
用量は通常、成人1日1バイアルとする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 高カルシウム血症患者(血液、尿検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること)
[エルゴカルシフェロール含有のため。]
[副作用が強くあらわれることがある。]
- 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者
[過敏症等の副作用が強くあらわれることがある。]
[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
[「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 雄性ビーグル犬に、糖、アミノ酸、電解質を含むIVH基本液を5日間投与し、その後4週間、IVH基本液に本剤と同じ13種のビタミンを含有するネオラミン・マルチを加えたビタミン投与群(3頭)と、IVH基本液のみのビタミン非投与群(3頭)による血中ビタミン濃度を含む各種検査を実施した。その結果、ビタミン投与群では、なんら異常が認められなかった。一方、ビタミン非投与群では、3週目より全例嘔吐を始め、数日後2頭は死亡し、1頭も衰弱ののち腹臥した。ビタミン投与群での血中ビタミン濃度は、ビタミンB1、B6、C、D、葉酸、パントテン酸は投与前の濃度を維持又は増加傾向にあったが、ビタミンB12、A、Eは減少した。病理組織検査では、非投与群1頭に肝細胞の異常が認められた。両群間では、ビタミンB1量、TPP効果、トランスケトラーゼ活性の差が顕著で、非投与群の死因はビタミンB1の欠乏障害であると推察される。4)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- burning feet syndrome
- 同
- burning feet症候群、灼熱脚、灼熱足、灼熱足症候群
病態
疫学
症状
- 分布:くるぶし以遠、下腿遠位以遠
- 足が焼け付くように痺れる、痛む
- 異常知覚、温痛覚鈍麻、踵骨腱反射の消失
原因
高頻度
まれ
[★]
- 英
- panthenol
- 同
- パントテニルアルコール pantothenyl alcohol、デクスパンテノール dexpanthenol
- 商
- M.V.I.、M.V.I.-12キット 、エルネオパ、オーツカMV、シーパラ、ダイメジン・マルチ、ネオM.V.I.-9、ネオパレン1号輸液、ネオラミン・マルチV、パンテニール、パントール、ビタジェクト、フルカリック、マルタミン
- 関
- ビタミンB剤
-パントール
[★]
シアノコバラミン、葉酸、ビオチン、ビタミンA、エルゴカルシフェロール、トコフェロール酢酸エステル、チアミン塩化物塩酸塩(チアミン)、リボフラビンリン酸エステルナトリウム(リボフラビン)、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド、パンテノール(パントテン酸)、アスコルビン酸
[★]
- 英
- pantethine
- 商
- デルモリチン、パパレチン、パルトックス、パルファジン、パントシン Pantosin、パンピオチン、パンホリータ、ヨウテチン
- 関
- パントテン酸
ガンマーオリザノール
[★]
アスコルビン酸、パントテン酸カルシウム(パントテン酸)
- 関
- 混合ビタミン剤
[★]
- 英
- calcium pantothenate
- ラ
- calcii pantothenas
- 関
- パントテン酸
- 商
- パンカル
- アミノレバンEN、エレンタール、エンシュア・リキッド、シーピー、シナール、ツインライン、デラキシー、ビューシー、フェニルアラニン除去ミルク配合、ヘパンED、ラコールNF、ラコール、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、ワッサーV、パンビタン末
[★]
- 英
- pantothenate kinase-associated neurodegeneration
- 関
- ハラーフォルデン・シュパッツ病、ハラーフォルデン・シュパッツ症候群
[★]
- 英
- pantothenic acid deficiency
- 関
- パントテン酸
[★]
- 英
- pantothenate
- 関
- パントテン酸
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義