- 英
- pyruvate dehydrogenase complex, PDC
- 同
- ピルビン酸脱水素酵素複合体
- 関
- ピルビン酸デヒドロゲナーゼ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/19 23:06:03」(JST)
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ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(ピルビンさんデヒドロゲナーゼふくごうたい、Pyruvate dehydrogenase complex、PDC)とは、ピルビン酸をアセチルCoAに変換(ピルビン酸脱炭酸反応と呼ばれる)する3つの酵素の複合体である。アセチルCoAはクエン酸回路に送られて細胞呼吸に使われており、この複合体は解糖系とクエン酸回路とを繋げている。また、ピルビン酸脱炭酸反応は、ピルビン酸の酸化を必要とするためピルビン酸デヒドロゲナーゼ反応としても知られる。
このマルチ酵素複合体は、オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ(Oxoglutarate dehydrogenase、EC:1.2.4.2、2.3.1.61、1.8.1.4)と分岐鎖αケト酸デヒドロゲナーゼ複合体(Branched-chain alpha-keto acid dehydrogenase complex、EC:1.2.4.4)と構造的・機能的に関係がある。
目次
- 1 反応
- 2 構造と機能
- 2.1 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(E1)
- 2.2 ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ(E2)
- 2.3 ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ(E3)
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
反応[編集]
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の酵素反応;
構造と機能[編集]
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体は、真核生物のミトコンドリアのマトリックスに位置する。全部で60のサブユニットを含み、3つの機能性タンパク質を組織する。
酵素 |
略称 |
補因子 |
# サブユニット |
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ
(EC 1.2.4.1) |
E1 |
チアミン二リン酸 |
24 |
ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ
(EC 2.3.1.12) |
E2 |
α-リポ酸
CoA |
24 |
ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ
(EC 1.8.1.4) |
E3 |
FAD
NAD+ |
12 |
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(E1)[編集]
始め、ピルビン酸とチアミン二リン酸(TPP)がピルビン酸デヒドロゲナーゼサブユニットに結合する。TPPのチアゾール環は双性イオンの型をとっており、C2炭素がピルビン酸のC2(ケトン)カルボニルに求核攻撃する。結果、脱炭酸しアシルアニオン相当の生成物を与える。このアニオンはリシン残基に結合しているα-リポ酸のS1に攻撃し、SN2機構で環が開いてS2の方はスルフィドまたはチオール基に変わる。続いて、TPP補因子を放出してリポ酸のS1にチオ酢酸が結合したS-アセチルジヒドロリポイルリシンが形成する。ピルビン酸デヒドロゲナーゼ触媒機構は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の律速過程である。
ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ(E2)[編集]
リポ酸チオエステルの役割は、ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼの活性部位での置換反応である。そこでは、リポ酸の「スイングアーム」からアシル基がCoAのチオールに置換する。ここで生成したアセチルCoAは複合体から放出されてクエン酸回路に入る。
ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ(E3)[編集]
ジヒドロリポ酸は複合体のリシン残基に結合したままジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼの活動部位に移動してFADによる酸化を受ける。この反応でFADは還元されてFADH2となり、その後NAD+によって酸化されてFADに戻される。結果、NADHが生成する。
関連項目[編集]
- ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(Pyruvate dehydrogenase deficiency、PDHA)
外部リンク[編集]
- ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDBj 今月の分子 2012/09)
代謝: クエン酸回路の酵素 |
|
回路 |
クエン酸シンターゼ(EC 2.3.3.1) - アコニット酸ヒドラターゼ(EC 4.2.1.3) - イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.41, EC 1.1.1.42) - オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ (スクシニル基転位)(EC 1.2.4.2) - スクシニルCoAシンターゼ(EC 6.2.1.4, EC 6.2.1.5) - コハク酸デヒドロゲナーゼ (ユビキノン)(EC 1.3.5.1, EC 1.3.99.1) - フマル酸ヒドラターゼ(EC 4.2.1.2) - リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.37)
|
|
炭酸固定補充 |
ピルビン酸カルボキシラーゼ - アスパラギン酸トランスアミナーゼ - グルタミン酸デヒドロゲナーゼ - メチルマロニルCoAムターゼ - ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
|
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Japanese Journal
- 廣政 恭明
- 化学と生物 48(3), 170-175, 2010-03-01
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- 板倉 修司
- 環動昆 15(1), 19-30, 2004
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- pyruvate dehydrogenase
- 関
- ピルビン酸脱水素酵素、ピルビン酸、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
概要
- ピルビン酸からアセチルCoAを生成し、クエン酸回路に投入するための酵素
- 逆反応を触媒する酵素はない
反応
ピルビン酸+NAD++SH-CoA → アセチルCoA+NADH+CO2
補酵素
臨床関連
不足
-
- アルコール中毒によるビタミンB1不足によっても生じる
[★]
- 英
- plasmacytoid dendritic cell、PDC
- 関
- 樹状細胞、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体、指状嵌入細胞、ベール細胞、指状突起樹状細胞
[★]
- 関
- plasmacytoid dendritic cell、pyruvate dehydrogenase complex
[★]
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
[★]
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
[★]
- 英
- pyruvate dehydrogenase complex deficiency disease, pyruvate dehydrogenase complex deficiency PDCD
- 同
- ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症、ピルビン酸脱水素酵素欠損症 pyruvate dehydrogenase deficiency
- 関
- ピルビン酸脱水素酵素複合体
[★]
- 英
- pyruvate, pyruvic acid, 2-oxopropanic acid, α-ketopropionic acid
- 同
- 焦性ブドウ酸 pyroracemic acid
- 関
- 解糖系
CH3-CO-COOH
ピルビン酸の生合成反応
CH2-C(OPO32-)-COOH + ADP + H+ -(ピルビン酸キナーゼ)→ CH3-CO-COO- + ATP
反応
- CH3-CO-COO- + ATP + CO2 -→ HOOC-CO-CH2-COOH + Pi
[★]
- 英
- complex、complexes、composite
- 関
- 合成物、錯体、多層、複合性、複合物、複雑、コンプレックス、複合
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー
[★]
- 英
- complex
- 関
- 合成物、錯体、複合体、複合物、複雑、コンプレックス
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義