- 英
- fursultiamin、fursultiamine, fursulthiamine
- 化
- 塩酸フルスルチアミン fursultiamine hydrochloride
- 商
- アリナミンF、エスアリネート、ダイヤビタン、ビタダン配合、ビタノイリン、ビタノイリン、ビタファント、ビタファントF、ビタマル配合、フルメチ
- 関
- ビタミンB1
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フルスルチアミン
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
N-[(4-amino-2-methylpyrimidin-5-yl)methyl]-N-{(1E)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(tetrahydrofuran-2-ylmethyl)disulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide
|
臨床データ |
法的規制 |
|
投与方法 |
Oral |
識別 |
CAS番号 |
804-30-8 |
ATCコード |
無し |
PubChem |
CID: 3002119 |
ChemSpider |
2273321 |
化学的データ |
化学式 |
C17H26N4O3S2 |
分子量 |
398.54 g/mol |
SMILES
-
O=CN(\C(=C(\SSCC1OCCC1)CCO)C)Cc2cnc(nc2N)C
|
フルスルチアミン(英:Fursultiamine、アリナミン-F)は、テトラヒドロフルフリルジスルフィドチアミンとしても知られており、ジスルフィドチアミンやアリチアミンの誘導体である[1]。フルスルチアミンは、脚気等のビタミンB1欠乏症の治療のためにチアミンの親油性を高める目的で1960年代に日本で開発され[1][2]、日本のみならずスペイン、オーストリア、ドイツ、米国でも製薬化された[3]。フルスルチアミンは、米国でビタミン剤としてOTC(over-the-counter)薬としても販売されている[4]。
フルスルチアミンは、ビタミン欠乏症の適用に加えて、アルツハイマー症や自閉症に対して臨床検査が行われ効果はあったものの微々たるものであった[5][6]。フルスルチアミンは、運動中の代謝改善や肉体疲労の軽減についても研究が行われた[7][8][4][9]。
フルスルチアミンについて次のような歴史が存在する。1952年(昭和27年)3月8日に京都大学衛生学の藤原元典は、武田薬品工業研究部と提携してニンニクとビタミンB1が反応するとニンニクの成分アリシンがB1(チアミン)に作用してできる「アリチアミン」ができると報告した。そのアリチアミンは、体内でB1にもどり、さらに腸管からの吸収がきわめてよく、血中B1濃度の上昇が顕著で長時間つづく、という従来のビタミンB1製剤にはない特性があることを報告した。また、武田薬品工業は、アリチアミンの製剤化に力を入れ(製品開発のきっかけは、旧陸軍から脚気の治療薬開発を依頼されたこと)、1954年(昭和29年)3月、アリチアミンの誘導体であるプロスルチアミンの内服薬「アリナミン錠」が発売され、従来のビタミンB1剤に見られない優れた効果を示した。アリナミンとその類似品の浸透により、当時、手の打ちどころがなかった潜在性脚気が退治されることとなった。日本の脚気死亡者は、大正末期に年間25,000人を超えていたものの、1950年(昭和25年)3,968人、1955年(昭和30年)1,126人、1960年(昭和35年)350人、1965年(昭和40年)92人と減少したのである[10]。アリナミンは服用すると呼気にニンニク臭が出る[11]ので改良がはかられ、武田薬品工業は、1961年、ビタミンB1誘導体であり上述のように親油性をより改善したフルスルチアミンが配合された黄色の糖衣錠として「アリナミンF」を発売したものである。
脚注
- ^ a b Lonsdale D (September 2004). “Thiamine tetrahydrofurfuryl disulfide: a little known therapeutic agent”. Medical Science Monitor : International Medical Journal of Experimental and Clinical Research 10 (9): RA199–203. PMID 15328496. http://www.medscimonit.com/fulltxt.php?ICID=11763.
- ^ Miura S (July 1965). “[The uptake and the distribution of thiamine propyl disulfide-35S by the rabbit's eye tissue]” (Japanese). Nippon Ganka Gakkai Zasshi 69 (7): 792–807, discussion 807–8. PMID 5006719.
- ^ Swiss Pharmaceutical Society (2000). Index Nominum 2000: International Drug Directory (Book with CD-ROM). Boca Raton: Medpharm Scientific Publishers. pp. 1932. ISBN 3-88763-075-0. http://books.google.com/books?id=5GpcTQD_L2oC&lpg=PA1350&dq=fursultiamine&pg=PA478#v=onepage&q=fursultiamine&f=false.
- ^ a b Nozaki S, Mizuma H, Tanaka M, et al. (December 2009). “Thiamine tetrahydrofurfuryl disulfide improves energy metabolism and physical performance during physical-fatigue loading in rats”. Nutrition Research (New York, N.Y.) 29 (12): 867–72. doi:10.1016/j.nutres.2009.10.007. PMID 19963160. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0271-5317(09)00192-4.
- ^ Mimori Y, Katsuoka H, Nakamura S (March 1996). “Thiamine therapy in Alzheimer's disease”. Metabolic Brain Disease 11 (1): 89–94. PMID 8815393.
- ^ Lonsdale D, Shamberger RJ, Audhya T (August 2002). “Treatment of autism spectrum children with thiamine tetrahydrofurfuryl disulfide: a pilot study”. Neuro Endocrinology Letters 23 (4): 303–8. PMID 12195231.
- ^ Suzuki M, Itokawa Y (March 1996). “Effects of thiamine supplementation on exercise-induced fatigue”. Metabolic Brain Disease 11 (1): 95–106. PMID 8815395.
- ^ Webster MJ, Scheett TP, Doyle MR, Branz M (1997). “The effect of a thiamin derivative on exercise performance”. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology 75 (6): 520–4. PMID 9202948.
- ^ Masuda H, Matsumae H, Masuda T, Hatta H (2010). “A thiamin derivative inhibits oxidation of exogenous glucose at rest, but not during exercise”. Journal of Nutritional Science and Vitaminology 56 (1): 9–12. PMID 20354340. http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.JSTAGE/jnsv/56.9?from=PubMed.
- ^ 山下政三『鴎外森林太郎と脚気紛争』日本評論社、2008年、459-460頁
- ^ http://www2.incl.ne.jp/~horikosi/No16.html
Japanese Journal
- 疲労動物モデルによる食品機能成分の評価 (特集 疲労と機能性食品)
- 血液透析導入時に Wernicke 脳症を合併した1例
- 鬼無 洋,吉岡 知輝,浦濱 善倫,飯田 喜康,政本 大二郎,西村 勇人,渡辺 緑子
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 42(5), 379-385, 2009-05-28
- … 眠傾向となったため,第8病日に頭部MRIを撮影した.中脳水道周囲,乳頭体,視床内側に拡散強調像,T2強調像,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)にて高信号域を認め,Wernicke脳症が疑われた.同日よりフルスルチアミンの投与を行ったところ意識レベルは速やかに改善した.後にビタミンB<SUB>1</SUB>は14(正常20~50)ng/mLと低値であったことが分かった.維持血液透析,リハビリを続け,第57病日にリハビリ …
- NAID 10024930907
Related Links
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
- エスアリネート注50mgは、1管20mL中に日本薬局方フルスルチアミン塩酸塩(別名 塩酸フルスルチアミン)54.58mg(フルスルチアミンとして50mg)を含有する。
- 添加物として、日本薬局方ブドウ糖4g及びpH調整剤を含有する。
禁忌
効能または効果
- ○ビタミンB1欠乏症の予防及び治療
- ○ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時等)
- ○ウェルニッケ脳症
- ○脚気衝心
- ○下記疾患のうちビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
- ・神経痛
- ・筋肉痛、関節痛
- ・末梢神経炎、末梢神経麻痺
- ・心筋代謝障害
- ・便秘等の胃腸運動機能障害
- ・術後腸管麻痺
- ビタミンB1欠乏症の予防及び治療、ビタミンB1の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給、ウェルニッケ脳症、脚気衝心以外の効能・効果に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
- フルスルチアミンとして、通常成人1日5〜100mgを静脈内に注射する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
ただし、フルスルチアミンの通常の用法・用量は、フルスルチアミンとして通常成人1日5〜100mgを皮下、筋肉内又は静脈内注射する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
慎重投与
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- カリウム欠乏傾向のある患者[ブドウ糖によりカリウムが細胞内に移行し、一時的に血清カリウム値が低下し、症状が悪化するおそれがある。]
- 糖尿病の患者[ブドウ糖により高血糖を生じ、症状が悪化するおそれがある。]
- 尿崩症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、ブドウ糖により電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
- 腎不全のある患者[水分の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
- ショック(頻度不明)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- フルスルチアミン塩酸塩(Fursultiamine Hydrochloride)
化学名
- N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式
分子量
性 状
- 本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- hydroxocobalamin
- ラ
- hydroxocobalaminum
- 同
- アクアコバラミン aquacobalamin、ビタミンB12a vitamin B12a、OHB12
- 化
- 塩酸ヒドロキソコバラミン hydroxocobalamin hydrochloride、酢酸ヒドロキソコバラミン hydroxocobalamin acetate
- 商
- フレスミン、シアノキット、マスブロン、ドセラン、Codroxomin, Hybalamin
- ビタルファ、ビースリミン、ノルニチカミン、ネオラミン・スリービー、ナイロジン、トライビー、ジアイナミックス、コンベルビー(チアミンジスルフィド、ピリドキシン、ヒドロキソコバラミン)
- ビタノイリン(フルスルチアミン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン)
- トリドセラン(チアミン、ピリドキシン、ヒドロキソコバラミン)
- ビタダン、ビタマル(フルスルチアミン、ピリドキサール、リボフラビン、ヒドロキソコバラミン)
- 関
- ビタミンB12
[★]
- 関
- ビタミンB1
商品
[★]
ヒドロキソコバラミン、ピリドキサール、フルスルチアミン、リボフラビン
- 関
- 混合ビタミン剤
[★]
ヒドロキソコバラミン、ピリドキサール、フルスルチアミン、リボフラビン
[★]
ヒドロキソコバラミン、ピリドキサール、フルスルチアミン、リボフラビン
[★]
- 英
- fursultiamine hydrochloride
- 関
- フルスルチアミン
[★]
- 英
- thiamine
- 商
- M.V.I.、M.V.I.-12キット、アクタミン、アミグランド、アミノレバンEN配合、アリチア配合、アリナミン、アリナミンF、エスアリネート、エルネオパ1号、エレンタールP乳幼児用配合、エレンタール配合、エンシュア・リキッド、オーツカMV、グラビタン、コンベルビー、サブビタン、ジアイナミックス、ジアノイナミン、シーパラ、シグマビタン、シグマビタン配合、ジセタミン、ダイビタミックス、ダイメジン・マルチ、ダイメジンスリービー配合、ダイヤビタン、チアデラ、チアミン塩化物塩酸塩、ツインラインNF配合、ツインライン配合、トライビー、トリドセラン配合、ナイロジン、ネオM.V.I.-9、ネオパレン1号、ネオラミン・スリービー、ネオラミン・マルチV、ノイビタ、ノイロビタン配合、ノルニチカミン、バイオゲン、パレセーフ、パンビタン末、ビーカップ、ビースリミン、ビーフリード、ビーワン、ビオトーワ、ビタジェクト、ビタダン配合、ビタノイリン、ビタファント、ビタファントF、ビタマル配合、ビタミンB1、ビタメジン、ビタメジン配合、ビタルファ、フェニルアラニン除去ミルク配合、プラチアミン、フルカリック1号、フルスルチアミン、フルメチ、プレビタS、ベストン、ヘパンED配合、ベルミンビー、マルタミン、ムツタミン、メタボリン、メタボリンG、ラコールNF配合、ラコール配合、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、ロートエキス、ロンベリン、ワッサーV配合、塩酸B1、塩酸チアミン
- 関
- ビタミンB1
- ビタミンB1剤
[★]
- 英
- amine
- 関
- 生体アミン
概念
- アンモニア(NH3)の水素原子(H)を1~3個アルキル基で置換した塩基性有機化合物
分類
置換基の数
- 第一アミン RNH2
- 第二アミン R2NH
- 第三アミン R3N
生体内のアミン
あみん