- 英
- involuntary admission by the prefectural
- 関
- (1995年)精神保健福祉法、(1987年)精神保健法
まとめ
- 精神保健福祉法#入院制度の比較
- 精神保健福祉法第二十九条による強制入院である。都道府県知事、政令指定都市市長の命令により精神保健指定医二名以上の診察を受けさせ、その者が精神障害者であり、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあるという診断が一致すれば、そのものを精神科病院または指定病院に入院させることができる。この際、保護者の同意は不要である。入院期間に制限はなく、退院は医師の判断で可能となる。
- 緊急措置入院は措置入院と違って精神保健指定医一名の診察のみで入院させることができるが、入院期間は72時間以内に制限される。
入院制度
- 精神保健福祉法#入院制度の比較
名称
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強制/非強制
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退院制限
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患者条件
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診察医
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入院の命令者
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保護者の同意
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入院期間
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措置入院
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強制
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医師の判断で可能
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自傷、他傷の事実、 あるいは恐れ
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精神保健指定医2名の合意
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都道府県知事、政令指定都市市長
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不要
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制限なし
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- 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
- 2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
措置入院にかかる費用
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/06/07 07:52:23」(JST)
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| この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
措置入院(そちにゅういん)とは、精神保健福祉法29条に定める、精神障害者の入院形態の1つ[1]。行政行為あるいは強制であることを強調する場合は「入院措置」と言うこともある。
- 精神科への入院[1]
- 自発入院 - 任意入院
- 非自発入院
- 措置入院 / 緊急措置入院
- 医療保護入院 / 応急入院
精神障害者は、その病状によっては自傷や他害に至ることがあり、しかもこれを認識して医療に自ら頼ることが困難な場合がある(インフォームドコンセントが成立しない[1])。同法は精神障害者の入院について幾つかの法形態を定めるが、入院させなければ自傷他害のおそれがある場合について、これを都道府県知事(または政令指定都市の市長)の権限と責任において精神科病院に強制入院させるのが措置入院である。
緊急性のため、入院までの手続を簡素にして、病院に72時間まで強制入院させるものとして、緊急措置入院がある。
要件
自他を傷つける行為(日本精神科救急学会ガイドライン)[1]
自傷行為
- 致死性の高い自殺企図
- 致死性が高いとはいえない自殺企図
- 自殺の意思表示行動
- 自殺の言語的意思表示
他害行為(未遂を含む)
- 身体的損傷を伴う対人暴力
- 前記以外の対人暴力
- 器物破損
- その他の触法行為相当の他害行為
- 触法行為以外の他害行為・迷惑行為
下記の精神保健福祉法及び関連通達の他に、平成30年に「措置入院の運用に関するガイドライン」(「「措置入院の運用に関するガイドライン」について」平成30年3月27日障発0327第15号)が発出されている。
措置診察の開始まで
- 22条から26条の3までの規定によって都道府県知事に通報等があること(27条1項)
- 22条は一般人からの書面による申請、23条は警察官の通報、24条は検察官の通報、25条は保護観察所長の通報、26条は矯正施設長の通報、26条の2は精神科病院管理者の届出、26条の3は医療観察法の通院処遇者に関する通報である。22条、24条、25条、26条についてはその通報者等において自傷他害のおそれがあるとの判断を要しない。22条、23条、26条の2による場合は最寄りの保健所長を経る。
- 必ずしもこれらの通報等がなくとも職権で措置診察をなしうる(27条2項)が、自傷他害のおそれが明らかであることを要する。
- 調査の上措置診察の必要があると認めること(27条1項)
- 実務上は、上記通報等のうち明らかに自傷他害のおそれがないものや、措置診察を優先させられない場合など(例えば、自殺企図で全身熱傷を負ったため救急治療すべき場合など)に、この要件に基いて、措置診察しないこと(「不実施」と称される。)が正当化される。
- 診察の通知(28条)
- 措置診察の実施が決定されたときは、現に本人の保護の任に当たっている者に対してあらかじめ措置診察の日時場所を通知することを要し、この者や後見人、保佐人、親権行使者、配偶者は診察に立ち会うことができる。
措置診察
- 指定医2名以上の診察の結果が「精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認める」ことで一致すること(29条2項)
- 措置入院にあたっては、都道府県知事は2名以上の精神保健指定医を指名して診察させる。通常は2名のみである。この指定医による診察を「措置診察」とか「措置鑑定」と呼ぶことが多い。緊急措置入院に引き続き行うときは「再診察」「再鑑定」と言うこともある。指定医2名は同時に診察してもよいし順次診察してもよい(順次診察の場合は一人目の診察が「一次診察」、二人目が「二次診察」と呼ばれる)。
- 指定医の属性に制限はなく、要措置となれば入院する予定の病院に所属する者や、本人の主治医であった者でも制度上は構わないことになる。ただし上記ガイドラインは、「措置診察を行う2名の指定医については、同一の医療機関に所属する者を選定しないことを原則とするべき」「指定医の所属先の病院に被通報者を措置入院させることについては、避けるように配慮すべき」としている。
- 精神保健指定医は28条の2の基準に則り、「精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認める」(このような状態を呈することを「措置症状」と呼ぶことがある。)かどうかを各自判定し、各指定医が一致してこれを肯定することが必要である。
- なお、指定医が措置診察した内容は、通常、「精神科病院に入院する時の告知等に係る書面及び入退院の届出等について」(平成12年3月30日障精第22号厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課長通知)の様式21として規定される「措置入院に関する診断書」(薄赤色のA3用紙であることから「赤紙」と称されることがある。)に記載するよう求められる。このような措置診察に関する診断書作成に法律レベルの根拠はなく(上記通知は様式を定めるのみでこれを作成する根拠規範とはならない)、条例で根拠付けられる(例えば、北海道の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行細則」4条2項及び同条項において引用する別記第4号様式)。また措置診察の法的性質は鑑定であって医師法上の診療ではないから、診療録記載義務(医師法24条1項)も生じない(精神保健福祉法19条の4の2の対象たる19条の4第1項は29条1項を除外している)。
- 診察の場所について法令上の定めはなく、自治体が専用の鑑定室を設けている場合、要措置となれば入院する予定の病院を間借りして行う場合等さまざまである。本人の居所に立ち入ることもできる(27条4項)。また、通報を受けてから措置診察実施までの時間、措置診察にかける時間、措置診察後に措置入院を決定し告知するまでの時間についても、法令上の定めはない。
- これについて、例えば23条通報(警察官からの通報)を受けて措置診察を行う場合に、通常は通報前に警察官職務執行法3条1項の保護が先行していることから、同条3項の期間内に診察・入院措置を行うことで、比較的速やか、かつ事実上警察官の勢力下で安全を確保する運用がある。
- また、かつてある地方公共団体が、通報を受けてから措置診察まで数週に亘り医療保護入院させる(その経過を元に措置診察を行う)という運用をしていたが、これは措置入院制度の趣旨に合致しないと批判され、改められた。
- 都道府県の職員の立会い(27条3項)
- この立会職員に、各指定医の診察結果を得て(覊束的に)入院を決定し入院の告知等を行う権限等が授権されていることが多い。
- 入院の告知(29条3項)
- 告知の書面は、「精神科病院に入院する時の告知等に係る書面及び入退院の届出等について」(平成12年3月30日障精第22号厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課長通知)の様式7を利用したものが使用されることが殆どである。
効果
措置入院の成立
- 条文上は「入院させることができる」(29条1項)であるが、覊束裁量と解されており、要件を充足した場合には入院させなければならない。
- 措置入院は国等の設置した精神科病院又は指定病院(19条の8)において行う。前者は全病床数から、後者は指定病数から、それぞれ既存の措置入院者・緊急措置入院者数を除いた限りで、措置入院者を優先して入院させなければならない(措置入院優先主義、29条4項)。
- ひとたび措置入院が成立すると、入院措置の解除があるまで退院できない。解除は入院を継続しなくても自傷他害のおそれがないと認められる必要があり、都道府県知事が指定する指定医をしてこれを判断させる場合(29条の4)、病院管理者が指定医に判断させる場合(29条の5)、定期病状報告(38条の3)又は退院請求(38条の5)について精神医療審査会の意見を受けた場合、職権による場合(38条の7)があるが、いずれにしろ解除も入院と同様、都道府県知事(職権の場合は厚生労働大臣も)の権限と責任において行われる。
- 解除があるまでは、無断退去者の通知規定(39条)が適用されるが、例外的に病院外に出られる制度として仮退院(40条)がある。
- 措置入院中は、入院後3か月、6か月、以降6か月毎に定期病状報告をしなければならない(38条の2、精神保健福祉法施行規則19条3項)。
措置入院者の救済
- 措置入院の継続または処遇への不服申立は法38条の4により、精神医療審査会への退院請求または処遇改善請求によって行う。
- 措置入院(の開始)自体は第1号法定受託事務である(51条の13第1項)。行政不服審査法に基づく審査請求や行政事件訴訟法に基づく取消訴訟による不服申立てが可能である。
- 措置入院中の医療過誤、あるいは入院中に他患を暴行した場合等について、病院や主治医その他病院職員等の個人が損害賠償責任を負うことはない。措置入院中の医療行為等は国家賠償法1条1項の「公権力の行使」、治療に当たる医師等は「公務員」に該当するとの通説による(国家賠償法の対象であるときは、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求はできない)。このように判断した裁判例も存在する[2]。この判例は、入院診療計画書等の存在によっても措置入院関係と別に診療契約が成立したということはできないと判示している。
公費医療原則(30条)
- 措置入院の費用は、医療法上の療養担当規則、いわゆる診療報酬制度によって定まる(29条の6)。原則として全額が公費負担医療である(30条1項)が、健康保険等の加入者はその自己負担分のみが公費の対象である(30条の2)。公費のうち都道府県が4分の1、国が4分の3を支払う(30条2項)。高額所得者については一部本人負担となる場合がある(31条。例えば、東京都の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行細則」2条)。
措置入院に付随する制度等
移送(29条の2の2)
- 診察の開始から入院決定まで強制手続であることから、必要最低限度の有形力行使は当然に認められていたものの、医療保護入院に係る移送(34条)が整備されたことに伴い、措置入院に係る移送についても根拠及び身体的拘束を含め行動制限ができる旨が規定されたものである。
退院後支援
2016年(平成28年)に発生した相模原障害者施設殺傷事件の犯人が、同年に措置入院を経験していたことに発端して、措置入院制度の見直しが取り沙汰されたものの、第193回国会で事件を受けての改正法案に対して紛糾し、働き方改革関連法による時間経過、衆議院解散により改正案は廃案となり、精神保健福祉法は改正はされなかった(相模原障害者施設殺傷事件#社会への影響)。
公益社団法人日本精神科病院協会会長の山崎學からは、厚生労働省の措置入院の見直しに際し、再発防止を目的として、本来は司法モデルであるべき案件を、安易に医療モデルとすることで、精神科病院に責任を押し付けてはいないかとの疑問が呈されている[3]。
しかし、厚生労働省の通達により「地方公共団体による精神障害者の退院後支援ガイドライン」が作成された(「地方公共団体による精神障害者の退院後支援ガイドラインについて」平成30年3月27日障発0327第16号)。同ガイドラインは、措置入院・緊急措置入院に限ったものではないが、主に両者を念頭に置いている。
2018年(平成30年)の診療報酬点数改訂では、措置入院・緊急措置入院を経た者に限り、この退院後支援計画に基づく通院・在宅精神療法の算定区分(660点)が新設され、一般の通院(初診時に60分以上で600点、初再診時に30分以上で400点、再診時5分以上で330点)に比べて優遇されている。
統計
平成25年度衛生行政報告例[4]によると、平成25年度に全国で精神障害者申請通報件数は23,177件、診察を受けた者9,404人、法第29条該当症状の者6,767人である。また年度末措置入院患者数1,482人であるから、平均的にこの人数が全国の毎日の措置入院在院者数であるとすると、1482÷6767×365=約80日 が、措置入院の平均日数であると考えられる。
但し地方公共団体別に見ると、東京都では人口1,328万6,735人(平成25年10月1日推計)に対して、法29条該当症状の者1,576人であり、年間に人口10万人あたり11.8人が新規に措置入院しているのに対し、岐阜県では人口205万3,286人(同上)に対して20人、人口10万人あたり1人が新規の措置入院という事になり、措置入院の運用に10倍以上の開きがあるため、都道府県の間で運用基準が統一されていない。
問題点
- 自傷他害の「おそれ」を理由に、強制収容できるため、事実上、予防拘禁や保安処分の機能を持つ。罪刑法定主義、適正手続(裁判所の令状も無く、簡易な手続で強制収容可能であることから)、平等原則(精神障害がなければ自傷他害のおそれがあっても強制収容されないのに、精神障害による場合は強制収容可能だから)といった、日本国憲法の原理や国際人権規約や障害者権利条約の国際条約に規定する、人権蹂躙ではないのかが指摘されている。
- 医療費支払いが期待できない場合(資力がない場合のほか、本人や縁者が支払いを拒否しているが資産があるため、生活保護となることもできず、医療機関にとって円滑な収入確保が事実上困難である場合を含む)において、自己負担分の発生する任意入院・医療保護入院を避け、自己負担分が発生しない公費負担医療であることを利用して、自傷他害のおそれの乏しい状態にも関わらず、措置入院となり、あるいは措置入院が継続する場合がある(「経済措置」と呼ばれることがある)。
- 2017年(平成29年)には、兵庫県・広島県・宮城県が、措置入院に関する個別ケース検討会議に、兵庫県警察・広島県警察・宮城県警察が参加し、患者の承諾なく情報提供されていることが、第193回国会の参議院厚生労働委員会の質疑で明らかになり、警察に個人情報が伝わることは、精神疾患患者の不安を高めるとして問題になった[5]。
脚注
- ^ a b c d 『精神科救急ガイドライン2015』 一般社団法人日本精神科救急学会、2016年、Chapt.1.V。ISBN 978-4892698798。http://www.jaep.jp/gl_2015.html。
- ^ 大分地判平成24.11.1
- ^ “神奈川県相模原市障害者施設殺傷事件に対する声明(公益社団法人 日本精神科病院協会)”. 厚生労働省. 2019年3月29日閲覧。
- ^ 厚生労働省サイト
- ^ 原昌平 (2017年4月28日). “精神保健福祉法の改正案はなぜ、つまずいているか”. 読売新聞 (読売新聞大阪本社). https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170428-OYTET50006/ 2017年10月3日閲覧。
関連項目
- 精神疾患
- 精神保健指定医
- 任意入院
- 非自発入院
- 閉鎖病棟
- 予防拘禁 - 保安処分 - 身体拘束 - 拘束衣
- 附属池田小事件 - 相模原障害者施設殺傷事件
外部リンク
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 - e-Gov法令検索
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Japanese Journal
- 警察官通報により措置入院となった精神障害者に対する保健所保健師の再発予防支援
- 伊藤 悦子,守田 孝恵
- 山口医学 = Yamaguchi medical journal 69(1), 13-23, 2020-02
- NAID 40022179322
- 縁も所縁もない地に連れて来られ措置入院となり処遇困難となった妄想性障害の1例
- 小島 睦,常岡 俊昭,横山 佐知子,川合 秀明,山田 真理,岩波 明
- 精神科 = Psychiatry 36(2), 192-196, 2020-02
- NAID 40022139734
- 山内 千恵美,兼城 佳弘,岡田 隆志,守屋 明子,塚本 哲司,広沢 昇,堀切 明,関口 隆一
- 精神科救急 : 日本精神科救急学会誌 = Emergency psychiatry : the journal of the Japanese Association for emergency psychiatry 22(22), 74-82, 2019-08
- NAID 40022009168
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- 措置入院とは、患者本人に対して行政が命令して入院させるものです。これは精神疾患のために「自傷他害の恐れ」、つまり自分自身を傷つけたり、他人を傷つけたり、何らかの迷惑・犯罪行為をする可能性が高い場合に、行政が患者に命令して …
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- 措置入院 措置入院においても、隔離や拘束などの行動制限、通信や面会の制限、については医療保護入院とほぼ同じ考え方です。違ってくるのは外出や外泊の扱いです。 措置入院はその定義上、「精神障害のために自傷他害のおそれのある患 …
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- 次の文を読み、13~15の問いに答えよ。
- 56歳の男性。言動の異常を心配した妻に伴われて来院した。担当医の要請で精神保健指定医が診察した。
- 現病歴 : 1週前に全身倦怠感を訴え内科を受診したところ、肝機能異常の悪化を指摘され、自宅療養と断酒とを指示された。毎日欠かさなかった焼酎4~6合/日の晩酌を止め、安静に専念していたが、数日前から頭痛、発汗および不眠を訴え始め、ついで精神的に焦燥感が強く不機嫌になってきた。昨日、部屋の中に虫がたくさんいて、おそってくる。」と大声をあげておびえ、虫を身体から払う動作を繰り返したり、家の外に逃げだそうとした。家族がいくら否定しても聞き入れない。夜になってますます不穏となり、昨夜は全く眠っていない。
- 既往歴 : 肝障害のため2年前に投薬を受けたことがある。
- 生活歴 : 妻と息子2人の4人家族。20歳時からの大酒家であるが、仕事には真面目な家具職人として現在に至る。
- 現症 : 身長165cm、体重65kg。体温36.5℃。脈拍110/分、整。血圧140/80mmHg。全身の発汗が著明。神経学的診察では細かな手指振戦を認める他は異常を認めない。いろいろ質問しても注意が散漫で何度も聞き直す。時には質問の内容にそぐわない答えが返ってくる。時間や場所に開する見当識や記銘カは明らかに障害されている。診察中にも、「虫がいる。」と言って何度も診察室から逃げだそうとする。入院を勧めても、「こんな恐ろしいところにいたくない。」と頑として入院を拒否する。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球400万、Hb 11.0g/dl、Ht38%、白血球9,600、血小板17万。血清生化学所見:空腹時血糖110mg/dl、総蛋白6.0g/dl、アンモニア30μg/dl(基準18~48)、総ビリルビン1.0mg/dl、AST(GOT)150単位(基準40以下)、ALT(GPT)60単位(基準35以下)、LDH 430単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ 260単位(基準260以下)、γ-GTP240単位(基準8~50)。
- a. 本人の意志を尊重してそのまま帰宅させる。
- b. 1週後の再受診を指示する。
- c. 直ちに応急入院させる。
- d. 妻の同意を得て医療保護入院させる。
- e. 措置入院のための手続きをとる。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C013]←[国試_096]→[096C015]
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- 次の文を読み、16~18の問いに答えよ。
- 75歳の女性。家族では介護しきれないために夫と妹が入院を希望し、拒否する本人を連れて来院した。
- 現病歴 : 裕福な家庭に育ち有名女学校を首席で卒業した。20歳で結婚し24歳で長男を出産。以後専業主婦として現在に至る。多趣味で俳句、書道をたしなみ、師範の免許も多い。夫と2人暮らし。長男は独立して家庭を持っている。2年前心臓疾患で2か月入院して帰宅した後から「もらい物が見当たらない。」、「冷蔵庫の中身が変わっている。」と夫を責めるようなことがあった。1年前には長男の嫁に対して財産を狙っていると責めるようになり、3か月前からは最も世話になって信頼していた妹にも「絵のコレクションを盗む。」、「貯金通帳を隠した。」と一方的に攻撃して警察に通報するようになり、親族と断絶してしまった。高齢の夫のみとの生活になったが、メモ帳を捨てたなどと夫にも攻撃が及ぶようになり、夫は介護不能と判断した。
- 現症 : 上品な老婦人。診察室では攻撃性は一見みられない。身長150cm、体重48kg。脈拍84/分、整。血圧148/84mmHg。神経学的には深部反射が両下肢とも軽度亢進。左上肢で歯車様筋固縮を軽度に認める。本人拒否のまま入院としたが、入院時には頑強に抵抗し、「人権侵害です。訴えますよ。」と大騒ぎした。
- 入院後経過 : 意に反して入院させられたことを厳しく追及するが、入院の必要についての説明に納得して機嫌よくしていることもあり、まったく相反する態度が交互に現れる。会話しているとしばらく前に話した内容がそっくりそのまま何度も出てきて、本人はそのことに気付いていない。病棟内で迷子になることはない。改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールでは30点満点中25点である。入院10日目の頭部単純MRIを以下に示す。
[正答]
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- 60歳の女性。言動の異常を心配した長男夫婦に達れられて来院した。
- 現病歴 : 2か月前から徐々に家にとじこもり横になっていることが多く、おかしなことを言うようになった。家族によれば、心配することは何もないのに、「今年の所得税が払えない。自宅が抵当に入ったので立ち退かねばならない。」と悩み、「そうなったのも昨年のお盆で先祖供養が不十分だったから。」と自分を責め、いくら言っても聞き入れない。食事もとろうとせず、入浴は無理やりでないと入らない。体重がこの3か月で3kg減少した。夜間はほとんど眠らないまま、何かぶつぶつ言ってはお経を唱えている。「きっかけとしては、昨年新築した自宅の建築費についての税務署からの問い合わせが関係しているかもしれない。」と長男は言う。この問い合わせは通常のもので問題は何もなかった。
- 既往歴 : 高血圧症のため10年前から投薬を受けている。
- 生活歴 : 夫と長男夫婦、孫2人の6人家族。元来きれい好きで働き者であった。
- 現症 : 身長150cm、体重55kg。脈拍74/分、整。血圧166/92mmHg。神経学的身体診察では異常を認めない。医師がいろいろ質問しても患者はうつむいてほとんど答えないか、小声で二言三言答える程度である。しかし意識ははっきりしており、現在の状況もわかっている。このままではいけないからと入院を勧めても、「貧乏で入院費が払えないから。」と頑として入院を拒否する。改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールで23点(基準21以上)。
- a. 本人の意志を尊重しそのまま帰宅させる。
- b. 1週後の再受診を指示する。
- c. 夫の同意を得て医療保護入院させる。
- d. 直ちに応急入院させる。
- e. 措置入院のための手続きをとる。
[正答]
※国試ナビ4※ [095H013]←[国試_095]→[095H015]
[★]
- 次の文を読み、61-63の問いに答えよ。
- 17歳の男子。言動の変化を心配した両親に伴われて来院した。
- 現病歴: 1年ほど前から高校を休みがちになり、1日中自分の部屋で過ごすことが多くなった。朝はなかなか起きず、昼過ぎになりやつと起きてくる。母親が声をかけると「うるせえな」と反抗的になった。1か月前から、わけもなくニヤニヤすることや、「ちくしょう」、「ばかやろー」などと急に叫ぶことが増えてきた。身なりも不潔になり、入浴もしなくなった。
- 既往歴[ 特記すべきことはない。
- 生活歴: 同胞2人の二男として出生。精神運動発達に異常を認めず、手のかからない子供であった。中学校までは明るい生徒で成績も優秀だった。高校入学後は課外活動をせず、成績は徐々に下がってきた。
- 家族歴: 母方の叔父が精神科病院に入院中である。
- 現症 : 意識は清明。身長175cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/68mmHg。表情は硬く、緊張が強い。自発的に話をすることはなく、質問に対する返答に時間がかかり、答えも短い。時々一点を見つめたまま反応がなくなることがある。また、聞き耳を立てるような動作も認める。神経学的所見に異常を認めない。
- 入院治療を勧めると、「死んだほうがましだ」と叫んで興奮し入院を拒否して帰宅を申し出た。
- a 直ちに応急入院させる。
- b 患者の意思を尊重して帰宅させる。
- c 任意入院の手続きをとり入院させる。
- d 両親の同意を得て医療保護入院させる。
- e 裁判官の判断に基づいて措置入院させる。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E060]←[国試_104]→[104E062]
[★]
- 45歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。 20歳から毎日飲酒するようになり、日本酒を1日4合飲んでいた。その後、飲酒量は増えたものの仕事に支障をきたすことはなかった。 35歳時に職場の定期健康診断で肝機能障害を指摘され、産業医から内科受診と禁酒とを繰り返し勧められたが、受診せず飲酒を続けていた。 2か月前に仕事上のトラブルがあり、飲酒量が急激に増加した。 5日前からは、朝から飲酒し仕事に行かなくなった。 3日前から全身倦怠感が強くなり、増悪してきたため受診した。外来で肝機能障害が認められ、入院することになった。入院後3日、「ここは火葬場で、周りの人間が自分を燃やそうとしている」と言い、興奮し始めた。発汗が著明である。租大な手指振戦を認める。時々、穏やかに対応することもあるが、自分の居る場所が病院であることを理解できず困惑している様子である。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I045]←[国試_106]→[106I047]
[★]
- 45歳の男性。精神科閉鎖病棟を含む複数の診療科のある病院内で、廊下に座り込んでいるところを保護された。病院事務員が話を聞くと、その病院の精神科に通院している患者であること、統合失調症と診断されていること、単身で生活しており、すぐ連絡のとれる家族はいないことが分かった。患者は「自分は病気ではない。『しばらくこの病院の廊下で寝泊まりするようにJという声が聞こえてきたから、廊下で寝る場所を探していた」と述べた。患者から話を聴いている現場には内科当直医、精神保健指定医の資格をもつ精神科医、当直の事務員がいる。精神科医の診察の結果、入院が必要であると判断された。精神科医が入院治療の必要性について繰り返し説明したが、患者は拒否し「このまま病院の廊下で寝泊まりする」と主張し譲らなかった。
- 現時点で最も適切な入院形態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112F045]←[国試_112]→[112F047]
[★]
- 48歳の男性。警察官に伴われて来院した。2週前から公園で寝泊まりしているところを目撃されていた。2日前から意味不明の言動が認められるようになったが、他人に危害を加える様子はなかった。公園の管理者が通報し受診となった。受診時、幻覚妄想状態を示し、十分な疎通性が得られず、入院加療が必要と考えられた。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧136/88mmHg。入院の必要性を説明したが了解を得られない。所持品から遠隔地にある医療機関の診察券が発見され身元は判明した。配偶者がいるようだが連絡がとれない。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づく入院として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G039]←[国試_107]→[107G041]
[★]
- 父親が自身のかかりつけの医師に悩みを打ち明けた。「今年 30歳になる息子はここ 3年間ほとんど家から出ない。家族との会話はほとんどなく、独り言、独り笑いがみられる。暴力を振るうことはないが、時たま窓から外に向かってバカヤローと叫ぶ」という。両親が本人に精神科受診を勧めると本人は拒否し、時に口論となる。
- 父親への助言として適切なのはどれか。
- a 措置入院の手続きを警察署に依頼する。
- b 救急車による搬送を消防署に依頼する。
- c 本人を受診させる方法を保健所に相談する。
- d 家族・親戚で本人を身体拘束して病院へ搬送する。
- e 家族が医療機関から薬をもらって本人に飲ませる。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G051]←[国試_108]→[108G053]
[★]
- 83歳の女性。かかりつけ医への定期受診時に、患者の異常行動を家族が訴えた。2か月前から夜間の徘徊が出現し、警察に数回保護されているという。60歳代から高血圧症で、降圧薬を内服していた。1年前から物忘れが目立っていた。日常生活は自立している。同居する家族は60歳の長女1人のみである。長女は介護に疲れ果て限界だともらし、焦燥感をつのらせている。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H031]←[国試_101]→[101H033]
[★]
- 19歳の男性。奇妙な言動がみられるため、両親に伴われて来院した。
- 3か月前から「皆が自分の悪口を言っている。」、「ご飯に毒が入っている。」などと訴え、大学を休んでいる。精神保健指定医が診察を行い、統合失調症を疑い入院が必要と判断したが、「自分は病気ではない。」と強く入院を拒否している。両親は入院を希望している。
- この場合に適用される精神保健福祉法に基づく入院形態はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I003]←[国試_098]→[098I005]
[★]
- 50歳の男性。2週前から公園で寝泊まりしていることが目撃されている。2日前からせん妄状態に陥っており、意味不明の言動が認められる。脱水状態で衰弱しており、他人に危害を加える様子はない,所持品から遠隔地にある精神病院の診察券が発見され身元が判明した。配偶者がいるようであるが、連絡がつかない。この男性を精神保健福祉法に基づいて入院させる形態として正しいのはどれか。]]
[正答]
※国試ナビ4※ [095C004]←[国試_095]→[095C006]
[★]
- 27歳の男性。言動の変化を心配した妻に伴われて来院した。半月前から「盗聴されている」と言って部屋にこもり、仕事に行かない。時折、興奮し、食事もあまりとらないことがある。精神保健指定医が診察し入院が必要であると診断したが、本人は入院を拒んでいる。妻は入院の必要性をよく理解している。
[正答]
※国試ナビ4※ [103E045]←[国試_103]→[103E047]
[★]
- 精神障害者の保健・医療・福祉について誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G027]←[国試_100]→[100G029]
[★]
- 公費医療とその根拠となる法律の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106B028]←[国試_106]→[106B030]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104E018]←[国試_104]→[104E020]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113C007]←[国試_113]→[113C009]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102B011]←[国試_102]→[102B013]
[★]
- 精神障害者の入院に際して保護者の同意を必要とするのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096B003]←[国試_096]→[096B005]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [097G012]←[国試_097]→[097G014]
[★]
- 英
- Mental Health and Welfare Law
- 同
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
- 関
- 法令、障害者自立支援法
歴史
入院制度の比較
- PSY.163改変
名称
|
強制/非強制
|
退院制限
|
患者条件
|
診察医
|
入院の命令者
|
保護者の同意
|
入院期間
|
知事への届出
|
任意入院
|
非強制
|
なし。ただし72時間に限り 精神保健指定医による制限可能
|
特になし
|
非指定医でも可
|
なし
|
不要
|
制限なし
|
不要
|
措置入院
|
強制
|
医師の判断で可能
|
自傷、他傷の事実、 あるいは恐れ
|
精神保健指定医2名の合意
|
都道府県知事、政令指定都市市長
|
必要
|
緊急措置入院
|
精神保健指定医1名
|
72時間
|
医療保護入院
|
医療と保護の必要性
|
病院管理者
|
必要
|
制限なし
|
応急入院
|
緊急の入院が必要
|
不要
|
72時間
|
第一章 総則
(この法律の目的)
第1条
- この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法 (平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
第二章 精神保健福祉センター
(精神保健福祉センター)
第6条
- 都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。
- 2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
- 一 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
- 二 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
- 三 精神医療審査会の事務を行うこと。
- 四 第四十五条第一項の申請に対する決定及び障害者自立支援法第五十二条第一項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
- 五 障害者自立支援法第二十二条第二項の規定により、市町村が同条第一項に規定する支給要否決定を行うに当たり意見を述べること。
- 六 障害者自立支援法第二十六条第一項の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。
第四章 精神保健指定医、登録研修機関及び精神科病院
第一節 精神保健指定医
(精神保健指定医)
第18条
- 厚生労働大臣は、その申請に基づき、次に該当する医師のうち第十九条の四に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者を、精神保健指定医(以下「指定医」という。)に指定する。
- 一 五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 二 三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 三 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。
- 四 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。
- 2 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、第十九条の二第一項又は第二項の規定により指定医の指定を取り消された後五年を経過していない者その他指定医として著しく不適当と認められる者については、前項の指定をしないことができる。
- 3 厚生労働大臣は、第一項第三号に規定する精神障害及びその診断又は治療に従事した経験の程度を定めようとするとき、同項の規定により指定医の指定をしようとするとき又は前項の規定により指定医の指定をしないものとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(措置入院に関して規定している)
第29条
- 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
- 2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
(費用の負担) → 措置入院の入院に要する費用は都道府県(間接的に国が)負担する。
第30条
- 第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。
- 2 国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。
第五節 精神科病院における処遇等
(処遇)
第36条
- 精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。 → 精神科病院に限り行動制限可能
- 2 精神科病院の管理者は、前項の規定にかかわらず、信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であつて、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。
(身体拘束)
- 3 第一項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
(精神保健福祉相談員)
第48条
- 都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター及び保健所その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員(次項において「精神保健福祉相談員」という。)を置くことができる。
- 2 精神保健福祉相談員は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。
(精神障害者社会適応訓練事業)
第50条
- 都道府県は、精神障害者の社会復帰の促進及び社会経済活動への参加の促進を図るため、精神障害者社会適応訓練事業(通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者を精神障害者の社会経済活動への参加の促進に熱意のある者に委託して、職業を与えるとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。
第七章 精神障害者社会復帰促進センター
(指定等)
第51条の二
- 厚生労働大臣は、精神障害者の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発を行うこと等により精神障害者の社会復帰を促進することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、精神障害者社会復帰促進センター(以下「センター」という。)として指定することができる。
- 2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
- 3 センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
- 4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
法令
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO123.html
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和二十五年五月二十三日政令第百五十五号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25SE155.html
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和二十五年六月二十四日厚生省令第三十一号)
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000031.html
[★]
- 同
- 精神喪失者等医療観察法?、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、医療観察法、心神喪失者医療観察法
- 関
- 法令
概念
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(しんしんそうしつとうのじょうたいでじゅうだいなたがいこういをおこなったもののいりょうおよびかんさつとうにかんするほうりつ)は、日本の法律。制定は2003年(平成15年)、施行は2005年。
- 目的は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することにある(1条1項)。
立法の経緯
- 重大な他害行為(殺人、重大な傷害、強盗、強姦、放火)を行い、心神喪失により不起訴または無罪判決となった場合、従来は措置入院制度の適用が検討されてきた。しかし、措置入院制度は、症状によって他害のおそれがなくなった場合には、ただちに症状消退の届出をすることが義務づけられており、症状が出現してはすぐに消えるといった場合には対応できていなかった。附属池田小事件の元死刑囚に措置入院歴があったこともきっかけとなり、心神喪失で重大な他害行為を行った者については、裁判官と精神科医師による合議で審判を行い、処遇を決定するという制度および法律がつくられた。なお、この制度は日本で初めての参審制ともいわれる。
- → 犯罪を犯した全ての精神障害者が対象とならない。
審判手続
検察官は、以下の場合は、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除いて、申立てをしなければならない。
- 被疑者が対象行為を行ったが、心神喪失ないし心神耗弱を理由に不起訴処分としたとき
- 心神喪失を理由に無罪となる確定裁判があったとき
- 心神耗弱を理由に刑が減軽された確定裁判があったとき(執行すべき刑期がある実刑判決は除く)
裁判所での手続は、裁判官と精神保健審判員(精神医療の学識経験者)各1名の合議体で取り扱う(11条)。対象者には、弁護士である付添人が必ず付けられる(35条)。
裁判所は、申立てがあった場合、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除き、鑑定や医療観察のための入院を命じなければならない(34条、鑑定入院命令)。そして、裁判所は、明らかに不要な場合を除き、医療を受けさせるために必要か否かを鑑定しなければならない(37条)。
裁判所は、対象者に、対象行為を行ったこと、心神喪失者ないし心神耗弱者であること、対象行為を行った際の精神障害を改善しこれに伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため医療を受けさせる必要性があることのいずれもが認められれば、入院決定、通院決定を行い、そうでない場合は医療を行わない決定を行う(42条1項)。このほか、対象行為を行っていない場合、心神喪失者や心神耗弱者ではない場合、申立て自体が不適法である場合は、却下決定がなされる(40条、42条2項)。決定の裁判は、合議体2名の一致により行われる(14条)。
処遇
処遇は、入院と通院に分けられており、保護観察所に配置された社会復帰調整官(精神保健福祉士)を中心に、医療観察を行う枠組みがつくられた。ただ、この制度によっても、精神障害者の犯罪では、十分に責任能力が検討されないままであるという問題が本質的に解決されたわけではない。また精神障害者が裁判を受ける権利(訴訟事実について争う権利)を奪うものだとの批判もある。
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E7%A5%9E%E5%96%AA%E5%A4%B1%E7%AD%89%E3%81%AE%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%81%A7%E9%87%8D%E5%A4%A7%E3%81%AA%E4%BB%96%E5%AE%B3%E8%A1%8C%E7%82%BA%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%9F%E8%80%85%E3%81%AE%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%8F%8A%E3%81%B3%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO110.html
- 3. 厚生労働省:障害者福祉:心神喪失者等医療観察法
- [show details]
- http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/gaiyo.html
[★]
- 関
- 法令
医師が関与する法律
医師が間接的に関与する法律
コメディカルが関する法律
参考
[★]
- 英
-
- 関
- 入れる、承認、入院患者、認める、了承、入場
精神科における入院
- 英
- admission
[★]
- 英
- regimen、action
- 関
- 行為、作動、作用、投与計画、養生、療法、レジメン