心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(しんしんそうしつとうのじょうたいでじゅうだいなたがいこういをおこなったもののいりょうおよびかんさつとうにかんするほうりつ)は、日本の法律。制定は2003年(平成15年)、施行は2005年。
検察官は、以下の場合は、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除いて、申立てをしなければならない。
裁判所での手続は、裁判官と精神保健審判員(精神医療の学識経験者)各1名の合議体で取り扱う(11条)。対象者には、弁護士である付添人が必ず付けられる(35条)。
裁判所は、申立てがあった場合、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除き、鑑定や医療観察のための入院を命じなければならない(34条、鑑定入院命令)。そして、裁判所は、明らかに不要な場合を除き、医療を受けさせるために必要か否かを鑑定しなければならない(37条)。
裁判所は、対象者に、対象行為を行ったこと、心神喪失者ないし心神耗弱者であること、対象行為を行った際の精神障害を改善しこれに伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため医療を受けさせる必要性があることのいずれもが認められれば、入院決定、通院決定を行い、そうでない場合は医療を行わない決定を行う(42条1項)。このほか、対象行為を行っていない場合、心神喪失者や心神耗弱者ではない場合、申立て自体が不適法である場合は、却下決定がなされる(40条、42条2項)。決定の裁判は、合議体2名の一致により行われる(14条)。
処遇は、入院と通院に分けられており、保護観察所に配置された社会復帰調整官(精神保健福祉士)を中心に、医療観察を行う枠組みがつくられた。ただ、この制度によっても、精神障害者の犯罪では、十分に責任能力が検討されないままであるという問題が本質的に解決されたわけではない。また精神障害者が裁判を受ける権利(訴訟事実について争う権利)を奪うものだとの批判もある。
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/24 00:40:47」(JST)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律 | |
---|---|
日本の法令 |
|
通称・略称 | 心神喪失者等医療観察法、医療観察法 |
法令番号 | 平成15年7月16日法律第110号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 法律 |
主な内容 | 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行い無罪等になった精神障害者に対する審判手続を定める法律 |
関連法令 | 刑法、精神保健福祉法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
テンプレートを表示 |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(しんしんそうしつとうのじょうたいでじゅうだいなたがいこういをおこなったもののいりょうおよびかんさつとうにかんするほうりつ)は、日本の法律。制定は2003年(平成15年)、施行は2005年。通称は心神喪失者等医療観察法。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することにある(1条1項)。略称は、「心神喪失者等医療観察法」、「医療観察法」。この制度は欧米、特にイギリスの司法精神医療をモデルにした[1]。
重大な他害行為(殺人、重大な傷害、強盗、強姦、放火)を行い、刑法39条の心神喪失により不起訴または無罪判決となった場合、従来は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条の措置入院制度が適用されてきた。しかし、措置入院制度は、症状によって他害のおそれがなくなった場合には、ただちに症状消退の届出をして退院させることが義務づけられており、症状が出現してはすぐに消えた後に再び症状が出現するといった場合には対応できていなかった。附属池田小事件の元死刑囚である宅間守に措置入院歴があったこともきっかけとなり、当時の自民党および与党が「心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム(自民党座長:熊代昭彦、与党座長:佐藤剛男)」を作り、法整備に向けて急速に動き出した[2][3]。各プロジェクトチームの提案を受け、2002年3月15日に与党案を基礎としたこの法律の案を閣議決定した[4]。結果、心神喪失で重大な他害行為を行った者については、裁判官と精神保健審判員(精神保健指定医)による合議で審判を行い、一定期間の入院させて治療させることを含めた処遇を決定する医療観察制度を規定する法律がつくられた。なお、この制度は日本で初めての参審制ともいわれる。
日本の触法精神障害者に対する法の不備については日本精神科病院協会が指摘し、新法制定を訴えてきたいきさつがある。日精協誌上で何度か特集を組み注意の喚起を行ってきていた[2]。一方、日本弁護士連合会(日弁連)は閣議決定されたこの法律案に対し反対声明を出している[5]。
検察官は、以下の場合は、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除いて、申立てをしなければならない。
裁判所での手続は、裁判官と精神保健審判員(精神保健判定医)各1名の合議体で取り扱う(11条)。対象者には、弁護士である付添人が必ず付けられる(35条)。
裁判所は、申立てがあった場合、明らかに医療を受けさせる必要がない場合を除き、鑑定や医療観察のための入院を命じなければならない(34条、鑑定入院命令)。そして、裁判所は、明らかに不要な場合を除き、医療を受けさせるために必要か否かを鑑定しなければならない(37条)。
裁判所は、対象者に、対象行為を行ったこと、心神喪失者ないし心神耗弱者であること、対象行為を行った際の精神障害を改善しこれに伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため医療を受けさせる必要性があることのいずれもが認められれば、入院決定、通院決定を行い、そうでない場合は医療を行わない決定を行う(42条1項)。このほか、対象行為を行っていない場合、心神喪失者や心神耗弱者ではない場合、申立て自体が不適法である場合は、却下決定がなされる(40条、42条2項)。決定の裁判は、合議体2名の一致により行われる(14条)。
処遇は、入院と通院に分けられており(法第33条から第48条)、保護観察所に配置された社会復帰調整官(精神保健福祉士など)を中心に、医療観察を行う枠組みがつくられた。
日本弁護士連合会は、この制度によっても、精神障害者の犯罪では、十分に責任能力が検討されないままであるという問題が本質的に解決されたわけではなく、精神障害者が裁判を受ける権利(訴訟事実について争う権利)を奪うものだとの批判している。
この項目は、法分野に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:法学/PJ法学)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」 |
関連記事 | 「心神喪失」「法」「医療」「観察」「喪失」 |
.