出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/27 16:15:22」(JST)
行為(こうい)とは、人が自らの意志(意思)に基づいてする動作。
日常用語はともかくとして、哲学では人の行為と行動とは厳しく区別しなければならない。たとえば同一の走行という行動を、逃走と追跡というふたつの行為に区別するのはその行動者の自覚的な内的意図による(今道友信)。
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日本の刑法 |
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刑事法 |
刑法 |
刑法学 · 犯罪 · 刑罰 |
罪刑法定主義 |
犯罪論 |
構成要件 · 実行行為 · 不作為犯 |
間接正犯 · 未遂 · 既遂 · 中止犯 |
不能犯 · 相当因果関係 |
違法性 · 違法性阻却事由 |
正当行為 · 正当防衛 · 緊急避難 |
責任 · 責任主義 |
責任能力 · 心神喪失 · 心神耗弱 |
故意 · 故意犯 · 錯誤 |
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誤想防衛 · 過剰防衛 |
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共謀共同正犯 · 教唆犯 · 幇助犯 |
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観念的競合 · 牽連犯 · 併合罪 |
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死刑 · 懲役 · 禁錮 · 刑死 |
罰金 · 拘留 · 科料 · 没収 · 牢死 |
法定刑 · 処断刑 · 宣告刑 |
自首 · 酌量減軽 · 執行猶予 |
刑事訴訟法 · 刑事政策 |
表・話・編・歴
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刑法学において、行為は犯罪評価の基底となる重要な要素である。行為をどのように定義するかについては、古典派、近代学派双方に諸説ある。講学上も実定法(35条 、36条、37条、39条、41条、54条1項など)でも犯罪概念の根本となる。刑法における行為は少なくとも外界に表れた「身体的動静」でなければならず、犯罪が行為であるなら内心の意思のみでは犯罪を構成するとしてはならない。また、過失犯、不作為犯を刑法が処罰する以上、行為論はこれらを網羅する必要がある。そのため、さまざまな議論がなされてきた。行為論には構成要件的行為論と一般的に行為そのものを問題とする裸の行為論がある[1]。
日本の刑法学上の用語としては、行為は「人の意思に基づく身体の動静」と定義するのが伝統的通説である。周囲の事物の因果の流れに変動を及ぼす行為(例えば、刑法では、放置しておけばそのまま生存し続けていたはずの被害者を、その頚部を圧迫して窒息死させること)を作為(さくい)といい、自らの意思に基づき敢えて周囲の事物の因果の流れに変動を及ぼさない行為(例えば、足を滑らせて川に転落した被害者を、敢えて救助せずにそのまま放置すること)を不作為という。行為がなければ犯罪は成立しないという意味において、刑法学ではともに行為である。また、刑法以外の法律用語においてはある一定の法律行為や事実行為のことを「〇〇行為」と形容することがある。以下でいくつか取り上げる。刑法学において、「行為」は2つの意味を有する。一方は、いわゆる「狭義の行為」(独;Handlung)であり、それによって生じた作用・結果を捨象した概念であり、他方の「広義の行為」(「所為」とも。独;Tat)は、狭義の行為による作用・結果を含む概念である。犯罪として評価されるのは広義の行為であって、狭義の行為はその構成要素に過ぎないことに注意を要する。以下、狭義の行為について説明する。
基本的構成要件に該当する行為を実行行為という。かつては、形式的客観的見地から実行行為にあたるかを確定することが重要視されていたが、共謀共同正犯、間接正犯、原因において自由な行為、未遂犯における危険概念など、新しい理論が登場したため、犯罪論における実行行為概念はそれに応じて変容しつつある。
実行行為の概念については、形式的客観説と実質的客観説の対立があるが、実質的客観説が有力であり、これによれば
「犯罪実現の現実的危険性を有する行為」
「構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為」
「法益侵害の現実的危険性を有する行為」などといわれる。
この3つの表現の違いは用語の違いにすぎず、意味するところはほぼ同じといえる。
正犯に関する有力学説である制限的正犯概念-形式的客観説(規範的正犯概念)によると、「実行行為を自ら(自らの手で)行う者」を正犯という。
実行行為は「危険性」を有するものでなければならず、危険性の有無によって実行行為か不能犯かが区別される。危険性の有無の判断基準については、一般通常人の判断によって判断するという危険説が有力である。(例えば、手近にあったピストルを撃ったが、実は水鉄砲であったという場合)
特に「行為時において、一般人の認識し得た事情と、行為者の認識していた事情を基礎として、(一般通常人の判断によって)判断する」という具体的危険説が有力である。
危険性が「現実的」か否かによって、実行行為の有無(着手の有無)が決せられる。
例えば、店で包丁を購入しただけでは危険は現実的とはいえず、実行行為(実行の着手)はみとめられないため殺人罪とはなりえず、予備行為として殺人予備罪が成立しうるにとどまる。
殺人罪では、一般に「包丁を持って襲いかかったとき」「ピストルの引き金を引いたとき」に実行の着手があるとされる。
窃盗罪では、原則として「物色行為」があるときに実行の着手があるとされる。
中止犯における着手中止では、実行行為終了前に中止があったことが必要である。また、共同正犯や従犯では、原則として実行行為に加功することが要件とされる。また、ある種の犯罪では実行行為が終了することではじめて既遂罪となる。そこで、実行行為の終了時期が問題となる。
これについては、「行為者の意図と行為の外形的形態(結果の重大性)とを総合的に判断して決する」という折衷説が多数説といえる。
実行行為に関しては、不作為犯(不真正不作為犯)、間接正犯、原因において自由な行為、心神耗弱を利用する行為が問題となる。
例えば、甲が乙を狙ってピストルを1発撃ったところ、乙と丙に当たり乙が負傷し丙が死亡したとき、判例及び有力説は丙に対する実行行為と乙に対する実行行為が成立するとする。(この場合、錯誤論・故意の数も問題となる)
上の事例で乙に当たらず丙にだけ当たり丙が死亡したとき、判例は丙に対する実行行為だけが成立するとするが、有力説は丙に対する実行行為と乙に対する実行行為が成立するとする。
(実行行為とは事実ではなく法的評価であって、ピストルを撃つという1つの事実に対して、法的評価をした結果が実行行為であり、1つの事実に複数の法的評価が成立しうることに問題はないとする説が有力である。(ただし、故意の数の場合はこの点が議論されることが多いが、実行行為の数の場合は刑法学としては議論されないことが多い))
詳細は「法律行為」を参照
行政主体のおこなう行為を行政行為という。
当事者が訴訟上の効果を取得するためにおこなう行為を訴訟行為という。
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