- 67歳の男性。胃潰瘍の診断でヒスタミンH2受容体薬拮抗の投与中に胃癌の診断がなされ、幽門側胃切除術が施行された。術後5日目から頻回の水様性下痢が出現した。便の細菌培養検査からMRSAが検出されたので、感受性のある抗菌薬の投与を開始した。血液所見:赤血球550万、Hb 15.0 g/dl、Ht 52 %、白血球13,600。血清生化学所見:総蛋白6.5 g/dl、尿素窒素38 mg/dl、クレアチニン1.3mg/dl、Na145mEq/l、K4.8mEq/l、CRP6.2mg/dl(基準0.3以下)。
- 更に行うべき処置はどれか。
[正答]
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★リンクテーブル★
[★]
- 76歳の男性。微熱と全身倦怠感とが続くため来院した。2か月前に経尿道的前立腺切除術を受けている。心尖部に最強点をもつ3/6度の汎収縮期雑音を聴取する。血液所見:赤沈50mm/1時間、白血球12,500(桿状核好中球10%、分葉核好中球66%、好酸球2%、単球4%、リンパ球18%)。CRP12.6mg/dl(基準0.3以下)。血液培養で予想される起炎菌はどれか。
[正答]
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[★]
- 28歳の初妊婦。妊娠初期の検査でヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染が確認された。その他の感染症は陰性であり、妊娠経過は正常である。正しいのはどれか。
- (1) 本人の同意を得て夫に告知する。
- (2) 感染妊婦の児では垂直感染率が高い。
- (3) 垂直感染は経産道のみで成立する。
- (4) 性交は避ける。
- (5) 授乳は避ける。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
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[★]
- 英
- methicillin-resistant Staphylococcus aureus colitis, MRSA enterocolitis
- 関
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA
概念
- MRSAが原因の腸炎であり、院内感染症である。
- 多い患者背景:術前に第3世代セフェム系抗菌薬を使用した患者。第3世代セフェム系抗菌薬を使用した高齢者。 (SSUR.539)
治療
- 薬剤の中止 (SSUR.539) ← 第3世代セフェム系抗菌薬のこと?
- 補液による脱水の改善 (SSUR.539)
- バンコマイシンの投与 (SSUR.539)
鑑別診断
原因が分からない腸炎に対するバンコマイシンの安易な使用について
- IRE.698を参考にしつつ
- バンコマイシンは最後の切り札として温存すべきである。米国ではバンコマイシン使用は厳重に管理されている。日本の臨床ではどうであろうか。抗菌薬に投資開発のリソースをつぎ込んでいる企業はかつてより少なくなってきている。細菌の進化をなるべく遅くするために、抗菌薬をもっと丁寧に使わなければならない。
- かつては「MRSA腸炎」と疑診しただけでバンコマイシンを使用しており、経験的治療としては正しいかも知れないが、抗菌薬の適正利用とはほど遠い。
国試
(治療・管理)095D056