- 英
- adenovirus
- 同
- ヒトアデノウイルス human adenovirus
- 関
- ウイルス
分類
- ワクチンを作りきれない
性状
- 有機溶媒に耐性 → (だけど、アルコール製剤は有効らしい。消毒薬)
- pH3~9では比較的安定で不活化されにくい→腸管にも達する
- 熱に対して不安定で、60℃20~30分の加熱で不活化
- 呼吸器、結膜、腸管に親和性があり
- 血清型は52型あり、各血清型はウイルスDNAの相同性からA~Fの6亜属に分類され、各亜属の組織親和性と関係する疾患は少しずつ異なる。
- 潜伏部位はアデノイド、扁桃腺、腎臓、リンパ球など
潜伏期
感染経路
症状
アデノウイルス感染症
- 1.急性熱性咽頭炎
- 2.咽頭結膜熱(PCF):プール熱
- 3. 急性気道疾患
- 扁桃腺炎、上気道炎にともなうクループ
- 4. アデノウイルスは胃炎
- 5.急性濾胞性結膜炎
- 6.流行性角結膜炎(EKC)
- 7. 小児腸重積症
- 8.出血性膀胱炎
- 9.乳児性急性胃腸炎
消毒
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/24 00:02:18」(JST)
[Wiki ja表示]
アデノウイルスの構造。正20面体の頂点に位置する12個のペントンカプソマー(スパイク,1)と、各面に配置された総数240個のヘキソンカプソマー(2)とで構成されたカプシド、およびそれに覆われたウイルス核酸(線状二本鎖DNA, 3)からなる
アデノウイルスは、二重鎖直鎖状DNAウイルスで、カプシドは直径約80nmの正20面体の球形粒子をしており、エンベロープは持たない。また、アデノウイルスは、ライノウイルス等とともに、「風邪症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられている。
目次
- 1 アデノウイルス感染症
- 1.1 肺炎
- 1.2 咽頭結膜熱(プール熱)
- 1.3 流行性角結膜炎(EKC)
- 1.4 出血性膀胱炎
- 1.5 急性濾胞性結膜炎
- 1.6 胃腸炎
- 2 ウイルスの増殖
- 3 ベクターとしての利用
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
アデノウイルス感染症[編集]
人に感染するアデノウイルスは現在49種類(分類によっては51種類)が知られており、A~Fの6群に分類され、それぞれのウイルスに番号が付けられている。どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度判明している。
多くのアデノウイルスは、潜伏期は5~7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触による。感染した場合、アデノウイルスは扁桃腺やリンパ節の中で増殖する(アデノとは扁桃腺やリンパ節を意味する言葉)。免疫がつきにくく、また、亜種多様の為、何回もかかる場合がある。
肺炎[編集]
主として3・7・21型による。
特に7型は重症の肺炎を起こす。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもある。だらだらと長引く発熱、咳、呼吸障害など重症になることがあり、時に致命的なことがある。
咽頭結膜熱(プール熱)[編集]
主として3・4型による。
1日の間に39~40度の高熱と、37 - 38度前後の微熱の間を、上がったり下がったりが4~5日ほど続き、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを伴う。その間、頭痛、腹痛や下痢を伴い、耳介前部および頸部のリンパ節が腫れることがある。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出る。夏にプールを介して流行することがあるため、プール熱とも呼ばれているが、プールに入らなくても飛沫や糞便を通して感染する。うがい、手洗い、プールの塩素消毒などで、ある程度予防できる。症状がインフルエンザに似ているため、「夏のインフルエンザ」と呼ばれることもある。
咽頭結膜熱は学校保健安全法上の学校感染症の一つであり、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となる。
流行性角結膜炎(EKC)[編集]
主として8型による。
目が充血し、目やにが出るが、咽頭結膜熱のように高い熱はなく、のどの赤みも強くはない。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることがある。
流行性角結膜炎は学校保健安全法上の学校感染症の一つで、伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。
出血性膀胱炎[編集]
主として11型による。
排尿時痛があり、真っ赤な血尿が出る。排尿時の痛みと肉眼的血尿が特徴で、これらの膀胱炎症状は2 - 3日で良くなり、尿検査での潜血も10日程度で改善する。
急性濾胞性結膜炎[編集]
主として1・2・3・4・6・7型による。
眼の痛み、羞明、涙目、目やにを訴え、結膜に小さなぶつぶつができる。
胃腸炎[編集]
主として31・40・41型による。
乳幼児期に多く、腹痛、嘔吐、下痢を伴うが、発熱の程度は軽い。
ウイルスの増殖[編集]
B群以外のアデノウイルスは免疫グロブリンスーパーファミリーに属するCARタンパク質をレセプターとして宿主細胞内に取り込まれる。そしてE1Aの転写をきっかけとして各種の初期遺伝子が活性化され、ウイルスのDNAポリメラーゼやDNA結合タンパク質、感染細胞のアポトーシスを抑制する物質が合成される。さらにE1AはウイルスのDNA複製に都合のよいS期に誘導する。その後、ウイルスDNAの複製が始まると後期遺伝子が発現され、カプシドなどが合成され成熟したウイルスとなる。
ベクターとしての利用[編集]
ウイルスの増殖に必要なE1領域を欠失させ代わりに外来の遺伝子を組み込んだアデノウイルスは、遺伝子を組み込むベクターとして用いられる。レトロウイルスの場合は細胞の染色体に組み込まれるが、アデノウイルスの場合は染色体に組み込まれない。ただ、欠点としては免疫系に認識され炎症反応がおき、遺伝子を導入した細胞が排除されてしまうことである。
関連項目[編集]
- 咽頭結膜熱
- 学校保健法
- 出席停止
- ベクター
- 封入体肝炎
- 心膜水腫症候群
- 産卵低下症候群-1976
- 豚アデノウイルス病
外部リンク[編集]
- 夏のウイルス感染症(2005.7.28) アデノウイルスって何? 神戸市環境保健研究所微生物部
|
気道感染 |
|
| 上気道 |
|
風邪
|
ライノウイルス - アデノウイルス - パラインフルエンザウイルス - RSウイルス - コロナウイルス - エコーウイルス - エンテロウイルス
|
|
|
喉頭炎
|
急性喉頭蓋炎 - クループ
|
|
|
咽頭炎
|
|
|
| 下気道 |
急性細気管支炎
|
|
| 肺炎 |
|
原因
|
|
定型肺炎
|
|
グラム陽性
|
肺炎球菌 - 黄色ブドウ球菌
|
|
|
グラム陰性
|
肺炎桿菌 - インフルエンザ菌 - モラクセラ - 大腸菌 - 緑膿菌
|
|
|
|
非定型肺炎
|
|
ウイルス性
|
RSウイルス - インフルエンザ肺炎 - 重症急性呼吸器症候群
|
|
|
肺真菌症
|
ニューモシスチス肺炎 - クリプトコッカス症 - アスペルギルス症
|
|
|
レジオネラ菌 - マイコプラズマ - クラミジア肺炎 - オウム病
|
|
|
|
抗酸菌症
|
結核 - 非結核性抗酸菌症
|
|
|
|
機序
|
市中肺炎 - 院内肺炎 - 誤嚥性肺炎
|
|
|
病態
|
|
肺胞性肺炎
|
大葉性肺炎 - 気管支肺炎
|
|
|
化膿性肺炎
|
|
|
|
| 胸壁 |
膿胸
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- PS-027-1 ゲムシタビン耐性がアデノウイルスベクターを用いた治療に与える影響(PS-027 ポスターセッション(27)膵臓:集学的治療-2,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 安井 隆晴,大内田 研宙,趙 茗,崔 林,大塚 隆生,水元 一博,田中 雅夫
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 552, 2011-05-25
- NAID 110008684502
- SF-036-2 制限増殖型アデノウイルスによる胃癌腹膜播種の遺伝子治療とイメージング(SF-036 サージカルフォーラム(36)胃:診断-1,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 小坂 隆司,小野 秀高,Davydova Julia,高川 亮,木村 準,牧野 洋知,青木 一教,落谷 孝広,山本 正人,國崎 主税,遠藤 格
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 380, 2011-05-25
- NAID 110008683833
- SY-6-8 膵臓癌に対するアデノウイルスベクターを用いたTNF-α腫瘍内導入およびメシル酸ナファモスタット併用化学療法の検討(SY-6 シンポジウム(6)明日の外科医療を構築するための基礎研究,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 古川 賢英,矢永 勝彦,春木 孝一郎,藤原 佑樹,飯田 智憲,柴 浩明,宇和川 匡,三澤 健之,嶋田 洋太,小林 博司,大橋 十也,大木 隆生
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 243, 2011-05-25
- NAID 110008683392
Related Links
- 子供や幼児から大人まで感染してしまうアデノウイルス感染症についての情報をまとめています。アデノウイルスの症状と治療を中心に、子供がかかりやすい症状のプール熱などから結膜炎など様々な症状とその対策を解説。
- アデノウイルス感染症の症状の特徴について見ていきましょう。 アデノウイルス感染症の症状の最大の特徴は主に以下に掲げる3つの症状を発症する傾向が確認される点です。 【アデノウイルスの代表的な3つの症状】 咽頭炎(のどの ...
- アデノウイルスは体外でも長期に生残することがあります。3型は紙の上で10日間生残することがあり、2型は室温でモノの表面で3-8週間生残することがあるとのデータがあります。 1, 2, 5型は、扁桃やアデノイドや腸などに無症状のまま ...
Related Pictures







Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アレルゲンスクラッチエキス「トリイ」卵黄
効能または効果
診断
- アレルギー性疾患のアレルゲンの確認
- 用法及び用量
診断
通常乱刺または切皮法により皮膚面に出血しない程度に傷をつけ、本品1滴を滴下し、15〜30分後に膨疹径が対照の2倍以上または5mm以上を陽性とする。
重大な副作用
ショック
(頻度不明)
- ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、くしゃみ、蕁麻疹、血管浮腫、不快感、口内異常感、喘鳴、耳鳴等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
★リンクテーブル★
[★]
- 2歳の男児。白血球増多と血小板減少の精査のため入院した。4日前から38℃以上の発熱と下痢のため近医で治療を受けていた。症状は改善傾向にあった。意識は清明で活気がある。身長 83cm、体重 11.8kg。体温 37.2 ℃。脈拍 124/分、整。血圧 100/56 mmHg。頸部に径1cmのリンパ節を数個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球 443万、Hb 11.6g/dl、Ht 34%、白血球 21,300、血小板 9.6万。血液生化学所見:総蛋白5.8 g/dl、アルブミン 3.2 g/dl、尿素窒素 3.0 mg/dl、クレアチニン 0.2 mg/dl、尿酸4.1 mg/dl、総ビリルビン0.4 mg/dl、AST 423 IU/l、ALT 586 IU/l、LD<LDH> 1,059 IU/l(基準260~530)。CRP 0.9 mg/dl。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 病原体として考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I071]←[国試_103]→[103I073]
[★]
- 2歳の女児。発熱と発疹とを主訴に来院した。3日前から39℃台の発熱がみられた。今日は37℃台に下がったが、顔面、胸腹部および背部に半米粒大の紅斑が出現し、手足に広がってきた。機嫌は悪くなかった。胸部聴診と腹部触診とに異常を認めない。頸部に小豆大のリンパ節を数個触れる。咽頭に軽度の発赤を認める。白血球7,200。CRP0.7mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [100I038]←[国試_100]→[100I040]
[★]
- 10歳の女児。咳と発熱とを主訴に来院した。7日前から咳嗽が出現し、次第に増強している。4日前から38℃台の熱が続き、市販の感冒薬を服用している。本日、躯幹に発疹が出てきた。咽頭は軽度の発赤を認める。口腔粘膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 病原体として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I062]←[国試_103]→[103I064]
[★]
- 26歳の女性。子宮頚がん検診のために来院したところ、外陰部の皮膚病変を認めた。病変は淡赤色で鶏冠状の小結節であり、会陰から肛門周囲の皮膚まで広がっている。痒みと痛みとを訴えていない。
- この疾患の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I042]←[国試_106]→[106I044]
[★]
- 2歳の男児。早朝から発熱を認め、四肢に皮疹が出現したため母親に連れられて来院した。口腔内に疼痛はあるが、全身状態は良好である。来院時の手の写真 (別冊No. 17)を別に示す。
- 原因ウイルスはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D033]←[国試_108]→[108D035]
[★]
- 47歳の男性。3日前から右眼の眼痛と流涙とが出現してきたので来院した。右眼のフルオレセイン生体染色による前眼部写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [095G007]←[国試_095]→[095G009]
[★]
- 成人の病態と関連性が強いウイルスとの組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D002]←[国試_110]→[110D004]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H069]←[国試_098]→[098H071]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G060]←[国試_098]→[098G062]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [096H016]←[国試_096]→[096H018]
[★]
- 易感染性宿主(compromised host)における間質性肺炎の原因として頻度が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099E069]←[国試_099]→[099E071]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F071]←[国試_101]→[101F073]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E074]←[国試_099]→[099E076]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102I032]←[国試_102]→[102I034]
[★]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 英
- myocarditis
- 関
概念
- 種々の原因により心筋が局所的・びまん性に炎症性が生じた病態
分類
経過
病理学的
- (特発性)巨細胞性心筋炎:心筋生検あるいは剖検による組織学的検索で、炎症巣に多核巨細胞を認める場合で、なおかつ心臓サルコイドーシスが除外されるもの。好酸球とリンパ球の浸潤が強く、心筋壊死が高度である。
- 好酸球性心筋炎:心筋生検にて好酸球の浸潤・脱顆粒、心筋の破壊、末梢血における好酸球の増加が認められるもの。
類縁疾患
年齢
ガイドラインによる分類
| 病因分類
|
組織分類
|
臨床病型分類
|
| ウイルス
|
リンパ球性
|
急性
|
| 細菌
|
巨細胞性
|
劇症型
|
| 真菌
|
好酸球性
|
慢性(遷延性/不顕性)
|
| リケッチア
|
肉芽腫性
|
|
| スピロヘータ
|
|
|
| 原虫,寄生虫
|
|
|
| その他の感染症
|
|
|
| 薬物,化学物質
|
|
|
| アレルギー,自己免疫
|
|
|
| 膠原病,川崎病
|
|
|
| サルコイドーシス
|
|
|
| 放射線,熱射病
|
|
|
| 原因不明,特発性
|
|
|
疫学
病因
- 参考1より
YN.C-137
- ウイルス(コクサッキーB、エコーウイルス、ヘルペスウイルス。風疹ウイルス、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルスでも生じる)、細菌、心筋、原虫(シャーガス病)。
- 化学物質、放射線、膠原病、特発性
病理
- 実質性心筋炎 parenchymatous myocarditisと間質性心筋炎 interstitial myocarditisの像がみられる。
- 心筋細胞の融解、間質浮腫、円形細胞浸潤、壊死巣形成
病態
- ウイルス性の場合、免疫反応に基づき心筋を障害する。
- 薬剤性の場合は、薬剤による心筋障害
- 心筋の障害 → 伝導障害、不整脈、心不全、ショック
経過
- 急性の場合、かぜ症状や消化器症状に続発。これらの初発症状から数時間から数日で心症状が出現(YN.C-137)。
身体所見
心臓
- (重症の場合)muffled first heart sound, along with a third heart sound (HIM.1486)
- (心不全に至れば)奔馬調律(gallop rhythm) (YN.C-138)
- 心雑音:(重症の場合)a murmur of mitral regurgitation (HIM.1486)
- 心膜摩擦音:心膜炎を伴った場合に聴取
肺
症状
検査
- 心電図、心エコー所見、単純胸部X線写真、及び症状がが短時間に変化していくのはacute myocarditisを示唆(IMD)
- 心電図:(特異的な変化はない)非特異的ST-T変化、QRS低電位、異常Q、ST上昇(心膜炎があれば)、心室内伝導障害、房室ブロック
- 血液検査:心筋障害、炎症を示唆する様な結果
- CK-MB、LDH、AST上昇、CRP陽性、ESR亢進、WBC増加
- ウイルス学的検査:
- 心エコー:壁運動低下、(間質に浮腫が認められれば)壁肥厚、心室腔拡大(心不全)、心嚢液貯留(心膜炎)
- 心筋生検:心臓への炎症細胞の浸潤。
- 好酸球増加性心疾患による心筋炎:急性期に心内膜を中心とした好酸球の浸潤:*自己免疫疾患(劇症型心筋炎、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎など)による心筋炎:多核巨細胞の出現
- 核医学検査:67Ga,99Tc-ピロリン酸の心臓への集積。
診断
鑑別疾患
- 心筋梗塞
- 甲状腺機能低下症、心筋障害を伴うミオパチー
- 膠原病
- (慢性心筋症の鑑別)拡張型心筋症
治療
- ウイルス性心筋炎では根治療法がなく、対症療法にとどまる。
- 不整脈:(完全房室ブロック)体外式一時ペーシング、(頻脈性不整脈)除細動・抗不整脈薬
- 心不全:SGカテーテルで血行動態を見ながら、利尿薬、血管拡張薬、カテコラミンを使用する。
- 重症心不全・ショック:経皮的心肺補助(PCPS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)
- ステロイド、免疫グロブリン:考慮されることがあるがエビデンスなし。
予後
- 急性型は予後良好であるが、劇症型心筋炎、拡張型心筋症にいたる場合もある。
参考
- 1. 急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン - 日本循環器学会
[★]
- 英
- cold syndrome, common cold syndrome
- 同
- 上気道症候群 upper airway syndrome、急性上気道炎 acute upper respiratory tract infection
- 関
概念
- 上気道粘膜の急性カタル性炎症(急性カタル性上気道炎)の総称
- 急性鼻炎や咽頭炎を呈し、全身症状は軽微。
- 予後良好、2-5日で軽快し予後は良好。
病因
-
- 環境要因:個体条件(アレルギー、免疫不全、脱水、疲労、飲酒など)、物理化学的刺激(乾燥、寒冷)
疫学
- 多くの人が1年に1回以上罹患。冬期に多い。
- 小児において罹患回数が多い → 成人になると記憶T細胞、記憶B細胞が増加するため、なんとなくウイルスに対して抵抗性が付与される、はず。
病理
- ウイルスの場合、上気道粘膜に付着して、粘膜上皮を冒す。上気道線毛円柱上皮(呼吸上皮)に付着し、上皮細胞は変性・脱落・壊死する。上皮を失った部位から細菌が侵入しやすくなる。
病型
症状
- 鼻かぜ:鼻汁、鼻閉などの鼻症状が主体
- のどかぜ:咽頭痛、嗄声など咽頭症状が主体
- 気管支かぜ:咳、痰などの気管支症状が主体
共通の症状
- まず、鼻炎症状が緩徐に発現し、鼻咽頭不快感・乾燥感、くしゃみ、鼻閉、水様鼻汁を呈する。
病原体に特異的な症状
診断
- 臨床的診断
- 検査はほとんどの場合行わないが、インフルエンザ、溶連菌などを鑑別する場合には迅速診断キットを使う。 → つかえる迅速診断キットがあればのはなし
検査
- 血液検査:ウイルス感染の場合、WBCやCRPは動かないが、細菌感染があれば上昇する。
- ウイルス分離は一般臨床では行われない。 → 高コストだし、培養している内に治癒する。
- 血清抗体価測定ではペア血清で 4 倍以上の上昇で陽性とする。 → 高コストだし、ペア血清を取った時点で治癒する。
- 細菌感染を疑ったら、喀痰検査(培養は時間がかかるので検鏡でしょう?)、血液検査(血算)のちに、培養して薬物感受性検査を行う(けど時間がどのくらいかかるのやら)
治療
- 一般療法(安静、保温・保湿、栄養補給、脱水予防、入浴制限)
- 対症療法:解熱・鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、蛋白分解酵素製剤、含嗽薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン薬
- 細菌感染が疑われるときのみ、抗生物質を使用する。予防的に使うのはいかがな最中
予後
予防
- RSウイルス:適応が限られるが、ワクチンを使うことができる。
[★]
- 英
- conjunctivitis
- 関
- 結膜
see. マイナーエマージェンシー第1版 p.65 SOP.174
概念
病原体と特徴
- 病原体:アデノウイルス、エンテロウイルス、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、EBウイルス。
- 治療法:対症療法。単純ヘルペスに対してはアシクロビル眼軟膏。
- 症状:透明な滲出液、耳介前リンパ節腫脹、結膜濾胞
結膜炎をきたす疾患
- SOP.175
[★]
ウイルスよりピックアップ
- QB.C-496
[★]
- 英
- epidemic keratoconjunctivitis EKC
- ラ
- keratoconjunctivitis epidemica
- 同
- はやり目、伝染性角結膜炎? infectious keratoconjunctivitis?
- 関
- 学校伝染病
- 病原体:アデノウイルス8型、19型、37型
- 臨床像:急性濾胞性結膜炎
- 感染経路:接触感染
- 疫学:春~夏
- 潜伏期:7-14日
- 症状:漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成
- 身体所見:
- 眼瞼:腫脹
- 結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑
- 角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁
- リンパ節:耳前リンパ節腫脹
[show details]
|
|
俗称
|
病原体
|
好発年齢
|
季節性
|
潜伏期
|
症状
|
感染症法
|
学校保健安全法
|
出席停止
|
| 流行性角結膜炎
|
EKC
|
はやり目
|
アデノウイルス8型
|
なし
|
春~夏
|
1-2週間
|
漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成。 眼瞼:腫脹。結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑。角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁。リンパ節:耳前リンパ節腫脹
|
五類感染症(眼科定点)
|
第三類
|
医師が感染のおそれがないと認めるまで
|
| 咽頭結膜熱
|
PCF
|
プール熱
|
アデノウイルス3,4,7型
|
小児
|
夏(基本的に通年)
|
1週間
|
発熱、咽頭炎、結膜炎
|
五類感染症(小児科定点)
|
第二種
|
出席停止は主要症状が消退した後二日を経過するまで
|
| 急性出血性結膜炎
|
AHC
|
|
コクサッキーウイルスA群24型、エンテロウイルス70型
|
成人
|
なし
|
1-2日
|
結膜下出血を伴う急性濾胞性結膜炎
|
五類感染症(眼科定点)
|
第三類
|
医師が感染のおそれがないと認めるまで
|
国試
[★]
- 英
- adenovirus-associated exudative tonsillitis?
- 関
- 扁桃炎
[★]
- 英
- adenovirus infection
- 関
- アデノウイルス感染症
[★]
- 英
- adenoviral vector、adenovirus vector
[★]
- 英
- virus
- 同
- ウイルス粒子 virus particle、ビリオン virion
- 関
- 微生物学、抗ウイルス薬、国試に出がちなウイルス
感染経路による分類 SMB.374
学名
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
増殖過程
- 吸着 absorption
- 侵入 penetration
- 脱殻 uncoating
- ゲノムの複製 replication、遺伝子発現 transcription
- ウイルス粒子の組み立て assembly
- 放出 release
感染の分類
持続時間
ゲノム
- 一本鎖RNA(-)をゲノムとするウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNA合成酵素を有する。