流行性角結膜炎
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/13 10:15:08」(JST)
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流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)(EKC:epidemic keratoconjunctivitis)はウイルスで起こる急性の結膜炎のことで、別名「はやり目」ともいわれ、感染力が強い。学校保健安全法上の学校感染症の一つで、感染の恐れがなくなるまで登校禁止となる。また、児童に限らず成人が感染した場合でも原則的に出勤停止となり、特に医療従事者の感染は時に患者への二次感染を引き起こす。
目次
- 1 原因・症状
- 2 診断・治療
- 3 注意点
- 4 関連項目
原因・症状
主にアデノウイルス8型により引き起こされるが、19型・37型によっても引き起こされる。以前はプールでうつる夏の病気だったが、近頃では一年中見られるようになった。1~2週間程度の潜伏期の後、発症する。結膜炎+角膜炎を起こすため、角結膜炎と呼ばれる。また全例ではないが、耳前リンパ節の腫脹を伴う。
結膜炎
- 充血し、眼脂(めやに)が出る(ひどいときには「めやに」で目が開かないくらいになる)
- 片目発症後、4~5日後に反対側の目も発症する場合が多い
- 涙目になったり、まぶたがはれることもある
- 視力が少し低下する場合がある
- 症状が重くなると、耳前リンパ節が腫れて触ると痛みを伴う
- 症状が強い人の場合は、まぶたの裏の結膜に白い膜ができ、眼球の結膜に癒着をおこす
- 症状が治まるまで約2~3週間かかる
角膜炎
- 透明な角膜に点状の小さな混濁が生じ、眼痛を感じる
- 眩しさやかすみを感じる
- 視力障害を感じることもある
- 黒目の表面がすりむける角膜びらんを伴い、目がゴロゴロしたり、眼痛がひどくなる
- 症状が数ヶ月~丸一年に及ぶこともある
診断・治療
結膜炎の原因はウイルス性の他、アレルギー性、細菌性などもあり、初期の段階での判断は難しい。症状や所見から当該疾患が疑われ診断されるが、現在では迅速診断法として抗原抗体反応を利用したELISA やクロマトグラフィー法により、簡易キットを用いた早期段階での判断ができるようになってきている。しかし、検査で陰性であっても必ずしもEKCが否定できる訳ではなく、以下に述べる治療をしつつ数日間は経過を見る必要がある。
ウイルスに対する有効な薬剤はない。充血・炎症に対しステロイドの点眼を行い、細菌の混合感染の可能性に対しては、抗菌剤の点眼を行う。 特に新生児や乳幼児では、細菌の混合感染で角膜穿孔を起こす事があるので注意が必要。
角膜炎が強度になり視力低下や場合によっては失明の危険もあるため、早期に治療を開始する事が望ましい。
注意点
主として手を介した接触感染で、ウイルスに感染した眼を手で触れると、手にウイルスが付着し、そのまま、いろんな物に触れると、その物にウイルスが付いて、他の人がそれに触れて、その手で目をこするなどした場合に感染するという経路がほとんどとなる。
- 手をよく洗い、手で目をこすったり、顔に触れたりしないこと。
- 休養をとって体力をおとさない。
- 風呂は最後に入り、その湯はすぐに捨てる。
- タオル類の共有はやめる。
- 治ったように見えても、しばらくの間は外出などは控える。
- 流行時には、院内感染による流行拡大もあるため、乳幼児は、診察を受けるとき以外は病院につれて行かない。また、入院中の患者が感染した場合、急性期でない限り強制退院の対象となり得る。
関連項目
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 中東呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ (H5N1) - 鳥インフルエンザ (H7N9)
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- epidemic keratoconjunctivitis EKC
- ラ
- keratoconjunctivitis epidemica
- 同
- はやり目、伝染性角結膜炎? infectious keratoconjunctivitis?
- 関
- 学校伝染病
- 病原体:アデノウイルス8型、19型、37型
- 臨床像:急性濾胞性結膜炎
- 感染経路:接触感染
- 疫学:春~夏
- 潜伏期:7-14日
- 症状:漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成
- 身体所見:
- 眼瞼:腫脹
- 結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑
- 角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁
- リンパ節:耳前リンパ節腫脹
[show details]
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俗称
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病原体
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好発年齢
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季節性
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潜伏期
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症状
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感染症法
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学校保健安全法
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出席停止
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流行性角結膜炎
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EKC
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はやり目
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アデノウイルス8型
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なし
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春~夏
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1-2週間
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漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成。 眼瞼:腫脹。結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑。角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁。リンパ節:耳前リンパ節腫脹
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五類感染症(眼科定点)
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第三類
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医師が感染のおそれがないと認めるまで
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咽頭結膜熱
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PCF
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プール熱
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アデノウイルス3,4,7型
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小児
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夏(基本的に通年)
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1週間
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発熱、咽頭炎、結膜炎
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五類感染症(小児科定点)
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第二種
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出席停止は主要症状が消退した後二日を経過するまで
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急性出血性結膜炎
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AHC
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コクサッキーウイルスA群24型、エンテロウイルス70型
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成人
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なし
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1-2日
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結膜下出血を伴う急性濾胞性結膜炎
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五類感染症(眼科定点)
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第三類
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医師が感染のおそれがないと認めるまで
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国試
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- 英
- order
- 関
- オーダー、指令、順序、順番、要求、桁、次数、命令、秩序