出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/04 13:06:10」(JST)
単純疱疹(たんじゅんほうしん)とは、皮膚に生じる単純ヘルペスウイルス感染症の一種。単純ヘルペス(たんじゅんへるぺす)とも呼ばれる。口唇にできるものを口唇ヘルペス(こうしんへるぺす)といい、英語ではCold soreと呼ぶ。陰部にできるものは陰部ヘルペス(いんぶへるぺす)や性器ヘルペスと呼ばれる。
単純ヘルペスウイルスが原因。風邪やストレスや心労、老齢、抗がん剤治療・日光等の刺激によって、ウイルスが増殖して症状を繰り返す。ウイルス自体は弱いため、感染による症状が起こっても免疫による排除が行えないため繰り返すとされる。成人の約7割がこのウイルスに感染している。
口の周囲や陰部の周囲に水ぶくれや発疹が出現し、それに違和感やぴりぴりした潰瘍ができ痛みを感じることもある。年に何度も繰り返す人もいる。腕に出る場合もある。 口唇ヘルペスは風邪をひいたあとなど免疫力が落ちた時にできやすく、俗に「風邪の華」「熱の華」と呼ばれる。
必ずしも唇周辺に出るとは限らず、頬の発疹や顔の一部に小さなニキビのように出現する場合もある。それぞれの人の体質によるため感染に気が付かないケースが多い。
出現した水疱の水疱液を抽出しギムザ染色を行い、細胞診により、ウイルスの感染によって膨化したウイルス性巨細胞を検出するTzanck試験(ツァンク試験)と呼ばれる検査がある。その他にはウイルスを直接証明する抗原検査と血清抗体の上昇によって診断する血液抗体検査がある。
アシクロビルやビダラビンやバラシクロビルやファムシクロビルという抗ウイルス薬が特効し、内服による治療により短期間での回復が期待できる。皮膚症状に対しては前述の抗ウイルス薬の軟膏塗布が効果的である。適切な治療が行われれば、5日ほどで水ぶくれはかさぶたになり治癒する。
口角炎(英: Angular cheilitis)と間違われやすいが、口角炎の主因はカンディダと呼ばれる真菌類の感染とビタミンB群欠乏症であるため、口唇ヘルペス(英: Cold sore)とは、治療法が異なる。
•アラセナ-A (持田製薬、1984年)
単純疱疹による口唇ヘルペスや陰部ヘルペスにはあらかじめアシクロビルやビダラビンやバラシクロビルやファムシクロビルという抗ウイルス薬を原則一年間毎日定期内服する方法がある。これを再発抑制療法という。(日本では再発抑制療法は性器ヘルペスに保険適用されている。) 海外では2002年米国で英国系製薬会社によって単純ヘルペスワクチン候補薬の治験が女性を対象に実施された。現在も米国及び英国で単純ヘルペスワクチン及び局所感染予防薬や完治薬の研究開発中である。
日本国内では、東京大学や大阪大学において単純ヘルペス感染の仕組みなどの解明や完治にむけた新たな治療法や感染予防法の開発研究が行われている。最近の研究成果では東京大学で薬剤ML-7によりマウスで単純ヘルペス感染予防の実験に成功している。
ウィキメディア・コモンズには、単純ヘルペスに関連するカテゴリがあります。 |
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「112B027」「109H027」 |
リンク元 | 「ヘルペスウイルス科」「国試に出がちなウイルス」「水疱」「ヒトヘルペスウイルス」「単純ヘルペス」 |
拡張検索 | 「再発性口唇ヘルペス」 |
関連記事 | 「口唇」「ヘルペス」 |
C
※国試ナビ4※ [112B026]←[国試_112]→[112B028]
B
※国試ナビ4※ [109H026]←[国試_109]→[109H028]
ヘルペスウイルス亜科 ヘルペスウイルス亜科 ヘルペスウイルス亜科 |
ヘルペスウイルス | 潜伏部位 | 初感染における 顕性感染率 |
主な疾患 | |
α | 単純ヘルペスウイルス1型 | HSV-1 | 知覚神経節 | 低 | 口唇ヘルペス、口内炎、角膜ヘルペス、ヘルペス脳炎、性器ヘルペス、新生児ヘルペス |
単純ヘルペスウイルス2型 | HSV-2 | 低 | 性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス?疽、殿部ヘルペス | ||
水痘・帯状疱疹ウイルス | VZV | 高 | 水痘、帯状疱疹、ラムゼイ・ハント症候群 | ||
β | サイトメガロウイルス | CMV | 顆粒球/マクロファージ前駆細胞 | 低 | 先天性巨細胞封入体症、輸血後CMV単球症、臓器移植後間質性肺炎、肝炎 |
ヒトヘルペスウイルス6型 | HHV-6 | マクロファージ | 高 | 突発性発疹、脳炎 | |
ヒトヘルペスウイルス7型 | HHV-7 | 唾液腺? | 低 | 突発性発疹 | |
γ | エプスタイン-バーウイルス | EBV | 骨髄Bリンパ球 | 低 | 伝染性単核症、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、日和見リンパ腫 |
ヒトヘルペスウイルス8型 | HHV-8 | Bリンパ球 | 低 | カポジ肉腫、キャッスルマン病 |
Family ウイルス科 -viridae |
Subfamily ウイルス亜科 -virinae |
Genus ウイルス属 -virus |
科 | 亜科 | 属 | 種 | 疾患名 |
ピコルナウイルス | コクサッキーウイルスA群 | 手足口病、ヘルパンギーナ | |||||
コクサッキーウイルスB群 | 流行性筋痛症、心筋炎 | ||||||
パラミクソウイルス | ニューモウイルス | RSウイルス | 上気道炎、間質性肺炎 | ||||
アデノウイルス | マストアデノウイルス | アデノ | マストアデノ | ヒトアデノウイルス | 急性熱性咽頭炎 急性上気道疾患 アデノウイルス肺炎 乳幼児急性胃腸炎 小児腸重積 急性出血性膀胱炎 咽頭結膜炎 急性濾胞性結膜炎 流行性角結膜炎 | ||
ヘルペスウイルス | アルファヘルペスウイルス | シンプレックスウイルス | ヘルペス | アルファヘルペス | シンプレックス | ヒトヘルペスウイルス1 (単純ヘルペスウイルス1型) |
口唇ヘルペス |
ヒトヘルペスウイルス2 (単純ヘルペスウイルス2型) |
陰部ヘルペス | ||||||
ベータヘルペスウイルス | サイトメガロウイルス | ベータヘルペス | サイトメガロウイルス属 | ヒトヘルペスウイルス5(サイトメガロウイルス) | 日和見感染 |
.