- 英
- rubbing alcohol
- 関
- イソプロパノール、イソプロピルアルコール、2-プロパノール、消毒用エタノール
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/17 17:27:15」(JST)
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消毒用アルコール(しょうどくようアルコール、alcohol for disinfection)とは医療分野等で消毒に用いられる外用のアルコール製剤である。
具体的には日本薬局方では消毒用エタノール(しょうどくようエタノール、ethanol for disinfection)が規定されている。それ以外の製品としては消毒用イソプロピルアルコール(しょうどくようイソプロピルアルコール、Isopropyl alcohol for disinfection)などの製品が市販されている。
アメリカ英語でRubbing alcohol USP、イギリス英語でSurgical spirit B.P.と呼ばれる。
機序
炭素数の少ないアルコール(低級アルコール)は容易に生体膜を透過する一方、中程度の濃度以上では両親媒性を持つために細胞膜など脂質膜やタンパク質を変性させる生理作用を有する。そのような物理化学的作用を持つアルコールのうち、エタノールないしはイソプロピルアルコール(正式な化学名は2-プロパノール)などヒトへの毒性が相対的に低いものが消毒用に利用される。
中程度の濃度以上のエタノールないしは2-プロパノールでは、具体的には、原核生物である細菌などに作用するとタンパク質の変性や溶菌などの殺菌作用をあらわす。また、ヒトなどの局所作用として収斂作用が現れる。つまり、ある程度水が存在する状況ではアルコールが膜を変性すると共に透過したアルコールなどが菌の内圧を高め溶菌などの作用をあらわす一方、高濃度ではタンパク質の構造水などの脱水作用が生じるため変性作用が強く現れる。
つまり高濃度のアルコールでは脱水作用により細胞膜など外膜に対して浸透圧による外圧が加わり、溶菌作用を減弱させるように作用する。したがってエタノールでは76.9 — 81.4 vol%程度に精製水を加えたエタノールが消毒用として最も強い作用をあらわすことになる。
製品
分子量がさほど変わらないエタノールと2-プロパノールとでは消毒薬としての効力はさほど変わらず、いずれも容易に体内で代謝されるため外用消毒薬としては両者の違いはほとんどない。幾分エタノールの方が急性毒性が低い。
一方、日本では純粋なエタノールに対しては酒税法により医薬品原料段階で課税されるためにエタノールはコスト面で不利となる。したがって消毒用アルコール製品では、酒税法上は変性アルコール扱いとなる2-プロパノールが添加されたエタノールを利用したものや、2-プロパノールやベンザルコニウム塩化物などとの合剤にしたものも存在する。このような製品はアレルギー感作などのリスクを考慮した場合、粘膜への接触や食器などへの消毒には不適当なものも存在する。
アルコール濃度が高い場合はゴムや樹脂を膨潤させて劣化させる性質を持つ。
成分
日本薬局方では消毒用エタノールは以下のように規格が決まっている。
酒税法の関係で、イソプロピルアルコールを添加したものは消毒用エタノールIPという規格になる。
関連項目
- エタノール
- 2-プロパノール
- ハンドサニタイザー(Hand sanitizer)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P2-119 産婦人科病棟での擦式消毒用アルコール製剤の使用量増加への取り組み(リスクマネージメントII,ポスターセッション,第52回日本母性衛生学会総会)
- 速乾性擦式消毒用アルコール製剤を携帯して使用することがNICUの新規MRSA保菌者数に与える影響
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
消毒用アルコール配合液「NP」
組成
有効成分
- 日本薬局方 イソプロパノール 23vol%
メタノール変性アルコール 55vol%
添加物
禁忌
(次の場合には使用しないこと)
- 損傷皮膚及び粘膜[損傷皮膚及び粘膜への使用により、刺激作用を有する。]
効能または効果
- 手指・皮膚の消毒、医療機器の消毒
- そのまま塗擦、清浄用として用いる。
薬効薬理
- 使用濃度において、グラム陽性・陰性菌、酵母菌、ウイルス等に有効であるが、芽胞及び一部のウイルスに対する効果は期待できない。
★リンクテーブル★
[★]
- a 血管の穿刺は消毒用アルコールが乾いてから行う。
- b 生化学検査の検体を採取するときは手袋は不要である。
- c 血液培養の検体を採取するときは鼠径部を第一選択とする。
- d 動脈血ガス分析の検体を採取後は穿刺部を10秒間圧迫する。
- e 血液の流出が少ないときは強い陰圧をかけて検体を採取する。
[正答]
※国試ナビ4※ [107C009]←[国試_107]→[107C011]
[★]
- 英
- adenovirus
- 同
- ヒトアデノウイルス human adenovirus
- 関
- ウイルス
分類
- ワクチンを作りきれない
性状
- 有機溶媒に耐性 → (だけど、アルコール製剤は有効らしい。消毒薬)
- pH3~9では比較的安定で不活化されにくい→腸管にも達する
- 熱に対して不安定で、60℃20~30分の加熱で不活化
- 呼吸器、結膜、腸管に親和性があり
- 血清型は52型あり、各血清型はウイルスDNAの相同性からA~Fの6亜属に分類され、各亜属の組織親和性と関係する疾患は少しずつ異なる。
- 潜伏部位はアデノイド、扁桃腺、腎臓、リンパ球など
潜伏期
感染経路
症状
アデノウイルス感染症
- 1.急性熱性咽頭炎
- 2.咽頭結膜熱(PCF):プール熱
- 3. 急性気道疾患
- 扁桃腺炎、上気道炎にともなうクループ
- 4. アデノウイルスは胃炎
- 5.急性濾胞性結膜炎
- 6.流行性角結膜炎(EKC)
- 7. 小児腸重積症
- 8.出血性膀胱炎
- 9.乳児性急性胃腸炎
消毒
[★]
- 英
- 2-propanol
- 関
- イソプロパノール、イソプロピルアルコール、消毒用アルコール
[★]
- 関
- 2-propanol、isopropanol、isopropyl alcohol
[★]
- 英
- isopropyl alcohol
- 関
- イソプロパノール、消毒用アルコール、2-プロパノール
[★]
- 英
- rubbing alcohol
- 関
- 消毒用アルコール
[★]
- 英
- alcohol
- 関
- エタノール
アルコールによる酩酊の分類
-
-
- 0.5 mg/ml 以上で酒気帯び → 道路交通法(0.5 mg/ml以上で運転能力の低下、1.5 mg/ml以下では著しい低下。1.5-2.0 mg/mlがもっとも危険。これ以上では運転できない)
- 血中アルコール濃度と酩酊の状態
- 0.0-0.5 mg/ml::殆ど無症状か、わずかな熱覚、味覚や嗅覚の低下
- 0.5-1.0 mg/ml:弱度酩酊:顔面紅潮、抑制からの解放、陽気、多幸感、不安や緊張の緩和、反応時間の延長など
- 1.0-1.5 mg/ml:軽度酩酊:多弁、大胆、感覚の軽度麻痺、気分爽快、多弁など
- 1.5-2.5 mg/ml:中程度酩酊:眠気に襲われる、言語不明瞭、平衡感覚が鈍麻し、千鳥足になる、理解・判断力鈍麻など
- 2.5-3.5 mg/ml:強度酩酊:歩行困難、顔面蒼白、悪心、嘔吐、感覚麻痺、精神運動性興奮、言語不明瞭、諸反射の消失など
- 3.5-4.5 mg/ml:重度酩酊、泥酔:意識消失、筋力消失、呼吸困難、体温低下、昏睡状態
- 4.5- mg/ml:呼吸麻痺、心機能不全などで死亡する。
アルコールの慢性症状
- アルコール中毒の患者において、脳神経でchromatosisが見られるが、ニューロンの脱落は末期まで見られない。小脳では虫部のニューロンが優先的に脱落する。大脳辺縁系の乳頭体に強い病変が見られる → ウェルニッケ・コルサコフ症候群と関連
- 振戦譫妄
- アルコール幻覚症
- コルサコフ症候群
- アルコール痴呆
- アルコールてんかん
アルコールによる非精神症状
アルコールによる疾患
- 身体疾患:アルコール性肝疾患(脂肪肝)、膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)、大腿骨頭壊死症、末梢神経障害
- 精神疾患:急性アルコール中毒、慢性アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール精神病
- (国試)100B077、095B075
アルコールの摂取と疾患
- ホジキンリンパ腫:掻痒症を呈する患者もいるが、そのばあい飲酒をすると当該部位に痛みが出現する(APT.83)
- 急性膵炎:増悪
アルコールの胎児への影響
- SUB.260
アルコールの摂取量
- 21世紀における国民健康づくり運動の目標値では節度ある適度な飲酒とは1日平均純アルコールで20g程度としている。 → ビール(5%) 400ml、日本酒(15%) 133.3ml
- 脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血の発症予防には過度の飲酒(1週間に150g以上)を避けることが推奨されている。
アルコールの単位
- アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20g。
[★]
- 英
- disinfection
- 関
- 滅菌、殺菌、消毒剤 消毒薬
- 病原微生物を殺菌、あるいは減弱させて感染を防ぐこと (SMB.49)
- 非病原菌は残存していても良い (SMB.49)