- 英
- etanercept
- 商
- エンブレル Enbrel
添付文書
WordNet
- a genetically engineered anti-TNF compound (trade name Enbrel) consisting of receptors that bind TNF; it is injected twice a week in the treatment of rheumatoid arthritis (同)Enbrel
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エタネルセプト
|
臨床データ |
販売名 |
Enbrel |
Drugs.com |
monograph |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
|
投与方法 |
Subcutaneous |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
58–76% (SC) |
代謝 |
Reticuloendothelial system (speculative) |
半減期 |
70–132 hours |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
185243-69-0 |
ATCコード |
L04AB01 |
PubChem |
SID: 10099 |
DrugBank |
DB00005 |
ChemSpider |
none |
UNII |
OP401G7OJC |
KEGG |
D00742 |
ChEMBL |
CHEMBL1201572 |
化学的データ |
化学式 |
C2224H3475N621O698S36 |
分子量 |
51234.9 g/mol |
エタネルセプト(Etanercept、商品名:エンブレル)とは、分子標的治療薬の一つで関節リウマチなどの膠原病・自己免疫疾患の治療薬である。可溶性炎症性サイトカインの一つである腫瘍壊死因子(TNF)に結合して作用を阻害する。日本で関節リウマチ、若年性関節リウマチの治療薬として承認されている他、海外では乾癬性関節炎、尋常性乾癬、強直性脊椎炎の治療にも用いられる。TNF-αは多くの臓器での炎症(免疫)反応で常連のサイトカインである。自己免疫疾患は免疫反応の過剰活性化が原因であり、エタネルセプトはTNF-αを阻害してこれらの疾患を治療出来る[1]。
エタネルセプトは組み換え遺伝子(英語版)から合成された融合蛋白質である。TNF受容体と免疫グロブリンIgG1の定常部位から構成されている。最初にTNFαと結合する可溶性TNF受容体2(英語版)のヒトでの遺伝子配列が特定され、次にIgG1末端のFc(英語版)領域の遺伝子配列が決定された。次いで両遺伝子が結合され、それを翻訳して生成した融合蛋白質がエタネルセプトであり、TNF受容体2とIgG1 Fc領域の機能を保持している。最初にプロトタイプの融合蛋白質が合成されたのは1990年代前半で、in vivo での抗TNF活性が非常に高く、安定性も極めて高かった[2][3][4]。その蛋白質に関する特許が取得され[5]、2002年に製薬企業に売却された[6]。
エタネルセプトは分子量150kDaの大きな蛋白質で、過剰なTNFαが関与すると思われる自己免疫疾患―強直性脊椎炎[7]や若年性関節リウマチ、関節リウマチ等―でTNFαに結合してその働きを奪い、炎症を抑制する。
目次
- 1 効能・効果
- 2 副作用
- 3 作用機序
- 4 化学的特徴
- 5 開発の経緯
- 6 研究開発
- 7 関連項目
- 8 参考文献
- 9 外部リンク
効能・効果
日本においては、関節リウマチを適応症としている。同じカテゴリーであるインフリキシマブとは異なり、メソトレキセートとの併用は必ずしも必要とはされていない。
米国での適応は、中等度〜重度の関節リウマチ[8]、中等度〜重度の若年性特発性関節炎[9]、乾癬性関節炎[10]、強直性脊椎炎[11][12]、中等度〜重度の乾癬[13]である。
副作用
免疫抑制剤である為、特に結核等の感染症のリスクが高まる。
- B型肝炎…活動性のあるものはもちろん、健常キャリアも再燃することがある。
- C型肝炎…B型肝炎同様に、増悪・再燃がみられることがある。
- 肺炎・気管支炎
- 結核…最も留意すべき疾患である。エタネルセプトによる加療前にQFT検査等で検査をすることが奨められている。
重大な副作用として、
- 敗血症(0.2%)、肺炎(ニューモシスティス肺炎を含む)(1.5%)、真菌感染症(0.2%)等の日和見感染症(2.6%)、結核(0.1%未満)、
- 重篤なアレルギー反応(血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹等)(0.5%)、
- 重篤な血液障害(再生不良性貧血(時に致命的)、汎血球減少(時に致命的)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群)(0.9%)、
- 脱髄疾患(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等)、間質性肺炎(0.7%)、抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群(0.1%未満)、肝機能障害(3.1%)、急性腎不全(0.1%)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)、心不全(0.1%未満) 、
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)、
- 抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎
が添付文書に記載されている。
2008年5月、米国ではエタネルセプトが関係する重篤な感染症の発生が相次ぎ、食品医薬品局から添付文書への黒枠警告の設置が命じられた[14]。潜在性結核感染症の再発や不顕性B型肝炎ウイルスの再活性化等の重篤な感染症(敗血症や死亡例を含む)がエタネルセプトの使用後に発生していた[15][16]。
エタネルセプト投与後のストロンギロイデス感染症の報告が有る[17]。
作用機序
デコイ受容体(英語版)として腫瘍壊死因子TNFα/βの両方に結合し、TNF受容体へのシグナル伝達を阻害し、病勢を沈静化させる[18]。
TNFαはリンパ球とマクロファージという2種類の白血球が産生するサイトカインである。炎症部位へと白血球を遊走させ、分子レベルでの炎症応答を開始・増幅させる。エタネルセプトはその作用を遮断する事で、特に自己免疫疾患で、炎症応答を停止させる。
TNF受容体には2つの型が知られている。1つは白血球表面に固定されており、白血球がTNFに反応して他のサイトカインを放出する際にそれを経由する。もう1つは可溶性 で、TNFを不活性化し炎症反応を鈍らせる役割を持つ。更に、TNF受容体は全ての有核細胞の表面に発現している(ヒト赤血球は核を持たないのでTNF受容体を持たない)。エタネルセプトは自然に存在する可溶性TNF受容体を模倣し、自然の受容体よりも遥かに長い血中半減期を持ち、生物学的有効性が持続する[19]。
化学的特徴
ヒト可溶性TNF受容体(75kDa)とIgG1のFc領域を遺伝子組換えにより結合させたリコンビナント融合蛋白であり[20]、二量体である。
開発の経緯
エタネルセプトはTNFαに対するモノクローナル抗体であるインフリキシマブの直ぐ後(1998年)に発売された。
エタネルセプトは二量体であり[21]、二量体である事がエタネルセプトの有効性に必要である。初期の研究では単量体を用いていたが、充分な効果は得られなかった。
研究開発
エタネルセプトは多くの疾患の治療薬として研究中であり[22]、その中には血管炎症候群が含まれるが、多発血管炎性肉芽腫症には無効であった[23]。
関連項目
- 可溶性TNF受容体
- 抗TNFモノクローナル抗体
- インフリキシマブ
- アダリムマブ
- セルトリズマブ ペゴル
- ゴリムマブ
- トシリズマブ
- 乾癬
参考文献
- ^ “TNF defined as a therapeutic target for rheumatoid arthritis and other autoimmune diseases - Nature Medicine”. 2008年1月10日閲覧。
- ^ Peppel,K. et al. A tumor necrosis factor (TNF) receptor-IgG heavy chain chimeric protein as a bivalent antagonist of TNF activity. J.Exp.Med. 174(6):1483-9, 1991
- ^ Peppel,K. et al. Expression of a TNF inhibitor in transgenic mice. J.Immunol. 151(10):5699-703, 1993
- ^ Kolls,J. et al. Prolonged and effective blockade of tumor necrosis factor activity through adenovirus-mediated gene transfer. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(1):215-9, 1994
- ^ U.S. Patent number: 5,447,851
- ^ “Arthritis Drug Effective for Depression in Psoriasis Sufferers”. 2008年1月10日閲覧。
- ^ Braun J, McHugh N, Singh A, Wajdula JS, Sato R (2007). “Improvement in patient-reported outcomes for patients with ankylosing spondylitis treated with etanercept 50 mg once-weekly and 25 mg twice-weekly”. Rheumatology (Oxford)(英語版) 46 (6): 999–1004. doi:10.1093/rheumatology/kem069. PMID 17389658. http://rheumatology.oxfordjournals.org/cgi/content/full/46/6/999.
- ^ Siegel, Jay P. (1998年11月2日). “Approval of Etanercept for treatment of rheumatoid arthritis”. Food and Drug Administration. 2015年4月14日閲覧。
- ^ Weiss, Karen D. (1999年5月27日). “Approval of Etanercept for treatment of polyarticular course juvenile rheumatoid arthritis (JRA)”. Food and Drug Administration. 2015年4月14日閲覧。
- ^ Weiss, Karen D. (2002年1月15日). “Approval of Etanercept for treatment of psoriatic arthritis”. Food and Drug Administration. 2015年4月14日閲覧。
- ^ Keegan, Patricia (2003年7月24日). “Approval of Etanercept for treatment of ankylosing spondylitis”. Food and Drug Administration. 2015年4月14日閲覧。
- ^ Maxwell, LJ; Zochling, J; Boonen, A; Singh, JA; Veras, MM; Tanjong Ghogomu, E; Benkhalti Jandu, M; Tugwell, P et al. (18 April 2015). “TNF-alpha inhibitors for ankylosing spondylitis.”. The Cochrane database of systematic reviews 4: CD005468. PMID 25887212.
- ^ Walton, Marc (2004年4月30日). “Approval of Etanercept for treatment of moderate to severe plaque psoriasis”. Food and Drug Administration. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “Wyeth and Amgen heighten warning of life-threatening infections on skin drug Enbrel”. 2008年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月2日閲覧。
- ^ “Safety Update on TNF- α Antagonists: Infliximab and Etanercept”. Food and Drug Administration. pp. 13–14. http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/01/briefing/3779b2_01_cber_safety%20_revision2.pdf 2013年12月20日閲覧。
- ^ “Prescribing Information - ENBREL”. 2008年1月10日閲覧。
- ^ Boatright MD, Wang BW (2005). “Clinical infection with Strongyloides sterocoralis following etanercept use for rheumatoid arthritis.”. Arthritis Rheum 52 (4): 1336-7. doi:10.1002/art.20882. PMID 15818680. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.20882/abstract.
- ^ “Dominant-negative inhibitors of soluble TNF attenuate experimental arthritis without suppressing innate immunity to infection”. J. Immunol. 179 (3): 1872–83. (August 2007). doi:10.4049/jimmunol.179.3.1872. PMID 17641054.
- ^ “Study of etanercept, a tumor necrosis factor-alpha inhibitor, in recurrent ovarian cancer”. J. Clin. Oncol. 23 (25): 5950–9. (2005). doi:10.1200/JCO.2005.04.127. PMID 16135466. http://jco.ascopubs.org/cgi/content/full/23/25/5950.
- ^ Smola, M. G.; Soyer, H. P.; Scharnagl, E (1991). “Surgical treatment of dermatofibrosarcoma protuberans. A retrospective study of 20 cases with review of literature”. European journal of surgical oncology : the journal of the European Society of Surgical Oncology and the British Association of Surgical Oncology 17 (5): 447–53. PMID 1936291.
- ^ Smith KJ, Skelton HG (2001). “Rapid onset of cutaneous squamous cell carcinoma in patients with rheumatoid arthritis after starting tumor necrosis factor alpha receptor IgG1-Fc fusion complex therapy”. J. Am. Acad. Dermatol.(英語版) 45 (6): 953–6. doi:10.1067/mjd.2001.117725. PMID 11712048. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0190-9622(01)47789-9.
- ^ FDA Clinical Trials database
- ^ Wegener's Granulomatosis Etanercept Trial (WGET) Research Group (2005). “Etanercept plus standard therapy for Wegener's granulomatosis”. N. Engl. J. Med. 352 (4): 351–61. doi:10.1056/NEJMoa041884. PMID 15673801. http://content.nejm.org/cgi/content/full/352/4/351.
外部リンク
- Amgen/Wyeth Enbrel site
- Aryogen Altebrel site
- A case study on the development of Enbrel until Immunex's acquisition by Amgen
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- TNF (特集 自己免疫疾患--分子を標的としたトランスレーショナルリサーチ) -- (サイトカインを標的とした治療)
- 関節リウマチに対するエタネルセプト著効例における漸減療法の有効性について
- 園田 和彦,志田 純一,濱田 貴弘,山口 徹,林田 光正,中村 幸之,石原 康平,時任 毅,有薗 剛
- 整形外科と災害外科 59(4), 809-812, 2010-09-25
- NAID 10026702418
Related Links
- エタネルセプトとは、分子標的治療薬のひとつで関節リウマチなどの膠原病・自己免疫 疾患の治療薬。日本ではエンブレルRの商品名で武田薬品工業が販売している。 目次. 1 薬理; 2 適応症; 3 副作用; 4 関連リンク. [編集] 薬理. 薬剤そのものは、可溶性TNF ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エンブレル皮下注25mgシリンジ0.5mL
組成
成分・含量(1シリンジ中)
添加物(1シリンジ中)
- リン酸一水素ナトリウム二水和物 0.6mg
リン酸二水素ナトリウム 1.5mg
L-アルギニン塩酸塩 2.7mg
塩化ナトリウム 3.0mg
精製白糖 5.1mg
禁忌
- 敗血症の患者又はそのリスクを有する患者[敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した。「その他の注意」の項参照]
- 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある。]
- うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。「その他の注意」の項参照]
効能または効果
- 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。
- 本剤を、通常、成人にはエタネルセプト(遺伝子組換え)として10?25mgを1日1回、週に2回、又は25?50mgを1日1回、週に1回、皮下注射する。
- 本剤は、1回の投与量が25mg又は50mgの患者にのみ投与すること。なお、1回に本剤の全量を使用すること。
- 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。本剤による治療開始後、医師により適用が妥当と判断された患者については、自己投与も可能である。 [「重要な基本的注意」の項参照]
- 注射部位反応(紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等)が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。
- 本剤を週に2回投与する場合は、投与間隔を3?4日間隔とすること。
慎重投与
- 感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と十分な観察が必要である。「重要な基本的注意」の項参照]
- 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
- 易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
- 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者[脱髄疾患発現のおそれがあるため、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
- 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往を有する患者[症状が悪化するおそれがある。「副作用」の「重大な副作用」の項参照]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。「重大な副作用」の項参照]
重大な副作用
敗血症(1%未満)、肺炎(ニューモシスティス・カリニ肺炎を含む)(1?5%未満)、真菌感染症等の日和見感染症(1?5%未満)
- このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている。
結核(頻度不明(注6))
- 本剤投与による結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性があるため、結核の既感染者には、本剤投与後、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2カ月間は可能な限り1カ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うことにより、結核症状の発現に十分に注意すること。また、肺外結核(胸膜、リンパ節等)も報告されていることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤なアレルギー反応(頻度不明(注6))
- 血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣及び蕁麻疹等の重篤なアレルギー反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害(頻度不明(注6))
- 再生不良性貧血及び汎血球減少(致命的な転帰に至った例を含む)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群があらわれることがある。患者に対し、本剤投与中に血液障害や感染症を疑う症状(発熱の持続、咽頭痛、挫傷、蒼白等)があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。このような患者には、速やかに血液検査等を実施し、血液障害が認められた場合には、投与を中止すること。
脱髄疾患(頻度不明(注6))
- 脱髄疾患(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等)があらわれることがある。異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(1%未満)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスティス・カリニ肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。
抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群(頻度不明(注6))
- 抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがある。このような場合には、投与を中止すること。
肝機能障害(頻度不明(注6))
- AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明(注6))
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎(頻度不明(注6))
- 抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全、ネフローゼ症候群(いずれも頻度不明(注6))
- 急性腎不全、ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全(1%未満)
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
関節炎抑制作用
ラット抗原誘発関節炎モデル
- エタネルセプトはラット抗原誘発関節炎モデルに対して、5μg/joint以上の関節内投与により膝関節腫脹を抑制し、関節炎スコアを改善した。
マウスII型コラーゲン関節炎モデル
- エタネルセプトはトリII型コラーゲン関節炎モデルに対して、1μg/body以上の腹腔内投与により関節炎発症抑制効果を示した。また、150μg/bodyの腹腔内投与により関節炎及び軟骨破壊のスコアを改善した。ウシII型コラーゲン関節炎モデルに対しては、50μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎及び血清中抗II型コラーゲン抗体価を抑制した。ブタII型コラーゲン関節炎モデルに対しても、10μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎発症率を抑制した。
作用機序
- 本剤は、ヒトTNF可溶性レセプター部分が、過剰に産生されたTNFα及びLTαを、おとりレセプターとして捕捉し(レセプター結合反応)、細胞表面のレセプターとの結合を阻害することで、抗リウマチ作用、抗炎症作用を発揮すると考えられている。なお、本剤とTNFα及びLTαとの結合は可逆的であり、いったん捕捉したTNFα及びLTαは再び遊離される。
エタネルセプトはU937細胞表面のTNF受容体に対するTNFの結合を阻害した(解離定数(Ki)=1×10-10M)。
TNFファミリーに対する結合親和性
- エタネルセプトはTNFα及びLTαのいずれに対しても結合親和性を有するが、LTβに対する結合親和性は持たない。
TNFの細胞傷害に対する抑制作用(in vitro)
- L929細胞のTNF誘発細胞傷害に対して、エタネルセプトは10ng/mL以上の濃度で生細胞数の減少を抑制した。
IL-1α併用TNF誘発致死に対する抑制作用(in vivo)
- マウスのIL-1α(30μg/body)併用TNF(3μg/body)誘発致死に対して、エタネルセプトは30μg/body以上の静脈内投与により致死抑制作用を示した。
細胞傷害活性(in vitro)
- エタネルセプトは補体依存性の細胞傷害活性を誘導しなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- エタネルセプト(遺伝子組換え)
Etanercept (genetical recombination)
化学名
- 1-235-Tumor necrosis factor receptor (human) fusion protein with 236 - 467 - immunoglobulin G1 (human γ1-chain Fc fragment), dimer
本質
- チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を利用した遺伝子組換えにより産生された、ヒトIgG1のFc領域と分子量75kDa(p75)のヒト腫瘍壊死因子II型受容体(TNFR-II)の細胞外ドメインのサブユニット二量体からなる糖蛋白質。
分子量
総アミノ酸数
★リンクテーブル★
[★]
- 挙児希望のある関節リウマチの女性に対して、妊娠前にあらかじめ中止すべき治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A010]←[国試_114]→[114A012]
[★]
- 英
- immunosuppressive drug, immunosuppressant
- 関
作用機序
- 56kDa immunophilinに結合 (GOO.1596)
- 56kDa immunophilinはHSP70, HSP90と共にglucocorticoid receptosに結合している。
再生不良性貧血に対する治療薬として
副作用
感染症
リスクの上がる病原微生物
- https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_of_geriatrics_48_5_461.pdf
|
量と投与期間
|
病原微生物
|
予防薬
|
ステロイド
|
プレドニン10mgで8週間以上投与予定
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
リンデロン1mg以上を1カ月以上投与
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
プレドニン15mg以上を2~3週間以上
|
結核
|
感染予防はなし,潜在結核治療としてはイソニアジド
|
ステロイド全般
|
ノカルジア?
|
ST合剤?(ただし,投与下での発症あり)
|
TNFα阻害薬
|
インフリキシマブ、エタネルセプト
|
Pneumocystis jirovecii
|
ST合剤
|
インフリキシマブ、エタネルセプト
|
結核
|
新規感染予防はなし,潜在結核治療としてはイソニアジド
|
[★]
副作用
- 感染
- 脱髄疾患
- ループス様症状
- 悪性腫瘍
- 血球減少
- うっ血性心不全
[★]
- 英
- embrel
[★]
エタネルセプト
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 既存治療で効果不十分な、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎を効能・効果とするバイオ後続品