- 英
- enteropathogenic Escherichia coli EPEC
- ラ
- pathogenic Escherichia coli
- 同
- 下痢原性大腸菌?
- 関
- 大腸菌
- 同
- EPEC
分類
-
- 症状:サルモネラ性腸炎に類似 乳幼児の胃腸炎の原因
- 3)腸管毒素性大腸菌(enterotoxigenic E.coli, ETEC)
- 症状:コレラ様の下痢 易熱性エンテロトキシンと耐熱性エンテロトキシン
- ベロ毒素(VT1, VT2)を産生する。ベロ毒素=志賀毒素
- O157H7が多い。O1,026,O111,0128,O145等の血清型の中の一部がベロ毒素を産生する
- 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)などの重症な合併症を発症する。
- 5)腸管付着性(enteroaggregative E.coli, EAEC)
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病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)とは、特定の疾病を起こす大腸菌菌株の総称である。毒素原性大腸菌[1]とも呼ばれる。細菌学的には、菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される[2]。このなかで、O111やO157は100人を超える規模の食中毒をたびたび発生させることがあり先進国で問題となっている[3]。
目次
- 1 概要
- 2 疫学
- 3 注目されることとなった経緯
- 4 統計
- 5 感染対策
- 6 出典
- 7 脚注
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
概要
大腸菌は通常病原性を持っていないが、病原因子をコードした遺伝子(病原性遺伝子)を獲得し病原性を持った大腸菌であるが、病原性を持たない常在細菌の大腸菌と下痢原性大腸菌は、生化学的性状では区別できないため、下痢原性大腸菌の検査は毒素産生性の確認などの病原因子の検出が必要になる[4]。血清型 O抗原とH抗原 の組合せで表現され、184種類のO抗原と53種類のH抗原が明らかになっている[4]。保有している遺伝子により産生される毒素は異なるが、重篤な中毒症状を起こすベロ毒素が有名である。また、O157抗原を有する大腸菌が常にベロ毒素を産生するとは限らない[2]。
細菌像
O157は、1996年大阪府堺市で食中毒事例を発生させた株の遺伝子配列(ゲノム)は宮崎大学の研究グループにより全配列が決定されている[5]。この解析結果によれば、非病原株(K-12)のゲノムサイズ 4.6Mb に対し O157のゲノムサイズは 5.5Mb である。しかし、4.1 Mb の領域の配列は同一で塩基レベルでは 98.3% の同一性を示している。O157に特異的に存在している領域は、無規則に生じたものでは無く大腸菌以外に由来する外来性DNAで、バクテリオファージにより獲得したものである[5]。
疫学
腸管内での病気の原因となる腸管内病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)と腸管外での病気の原因となる腸管外病原性大腸菌に大別される[6]。腸管内病原性大腸菌は下記の6種類が知られているほか、出血性と凝集性のハイブリッドの存在も報告されている[6][7]。
- 腸管内病原性大腸菌
- 腸管病原性大腸菌(EPEC, enteropathogenic E. coli) 小腸に感染して下痢、腹痛等急性胃腸炎をおこす。
- 腸管侵入性大腸菌(EIEC, enteroinvasive E. coli) 大腸に感染して赤痢様の症状をおこす。
- 毒素原性大腸菌(ETEC, enterotoxigenic E. coli) 小腸に感染し下痢をおこす。増殖の際、毒素を産生する。
- 腸管出血性大腸菌(EHEC, enterohemorrhagic E. coli) 腹痛、下痢、血便をおこし、ベロ毒素産生により溶血性尿毒症症候群(HUS)、脳症をおこす。
- 腸管出血性大腸菌には、O26、O111、O157(Escherichia coli O157:H7)などが存在する。
- 腸管拡散付着性大腸菌(EAEC, enteroadhesive E. coli)
- 腸管凝集性大腸菌(EAggEC, enteroaggrigative E. coli) O104
- 腸管外病原性大腸菌
- 尿路病原性大腸菌(UPEC, uropathogenic Escherichia coli) 単純性尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)[8]
- 髄膜炎/敗血症起因大腸菌[9] 髄膜炎、敗血症
注目されることとなった経緯
- 1940年代 英国で、乳幼児下痢症と大腸菌の関連が疑われていた際に、現在の血清型O111 が病原菌としてつきとめられた[10]。
- 1967年 コレラ毒素に類似したエンテロトキシンを産生する大腸菌が最初に見いだされた。
- 1970年 60℃、10分の加熱で失活する易熱性エンテロトキシン(LT)と100℃、30分の加熱に耐える耐熱性エンテロトキシン(ST)の2種類のエンテロトキシンが発見された[10]。
- 1982年 米国のオレゴン州とミシガン州で発生したハンバーガーによる中毒[10]。
- 1985年 旅行者下痢症からEPECではないがEPECと類似の付着特性を持った菌(血清型O78:H33、菌株名211株)が分離された。
- 1996年(平成8年)5月28日 岡山県邑久郡邑久町(現在の瀬戸内市邑久町)の学校給食に起因するO157食中毒事件を、岡山県保健福祉部環境衛生課が発表した際に、マスコミを通じて O157の名称が知られるようになった。
統計
厚生労働省が発表した統計[11]年次別食中毒発生状況によれば、
年次別食中毒発生状況(病原大腸菌)
年次 |
病原大腸菌 |
腸管出血性大腸菌 |
その他の病原大腸菌 |
1975年 |
22 |
-- |
-- |
1980年 |
21 |
-- |
-- |
1985年 |
34 |
-- |
-- |
1990年 |
19 |
-- |
-- |
1995年 |
20 |
-- |
-- |
1996年 |
179 |
-- |
-- |
1997年 |
176 |
-- |
-- |
1998年 |
285 |
16 |
269 |
1999年 |
245 |
8 |
237 |
2000年 |
219 |
16 |
203 |
2001年 |
223 |
24 |
199 |
2002年 |
97 |
13 |
84 |
2003年 |
47 |
12 |
35 |
2004年 |
45 |
18 |
27 |
2005年 |
49 |
24 |
25 |
2006年 |
43 |
24 |
19 |
2007年 |
36 |
25 |
11 |
2008年 |
29 |
17 |
12 |
2009年 |
36 |
26 |
10 |
2010年 |
35 |
27 |
8 |
2011年 |
49 |
25 |
24 |
2012年 |
21 |
16 |
5 |
2013年 |
24 |
13 |
11 |
2014年 |
28 |
25 |
3 |
2015年 |
23 |
17 |
6 |
感染対策
「食中毒#予防」も参照
牛等の糞便等から検出され、食肉が汚染されることが多い。感染している牛は無症状である。汚染防止のため食肉生産および加工の現場では多くの汚染防止対策が取られている。環境中での生存期間が長く、堆肥中で21ヶ月生存したとの報告があるほか、レタスなどの葉に付着後は2週間程度生存している。また、8℃以下では殆ど増殖しないが、12℃以上では3日間で100倍に増殖したとの報告がある[6]。
腸管出血性大腸菌に対する特有の予防法は無く、一般的な食中毒の予防方法と同様である。
- 食材は食べる直前まで十分に(8℃以下)冷やしておく。
- 食器(箸)は未加熱食材用と加熱済み用を分ける。
- 加熱に弱い菌であるため、肉を使用する食品は、その中心温度を75℃以上且つ1分以上の加熱をする。
などが、食中毒を防ぐために有効である。しかし、既に食品中に蓄積された毒素は100℃ 30分間の加熱では分解されないため、加熱は食中毒の対策にはならない。
出典
- 林哲也、戸邉亨、「病原性大腸菌」 化学と生物 Vol.42 (2004) No.11 P.758-764, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.42.758
脚注
- ^ 竹田美文、『腸炎ビブリオ・毒素原性大腸菌・腸管出血性大腸菌・コレラ菌 (PDF) 』 モダンメディア 2012年10月号(第58巻10号)
- ^ a b O抗原とは 国立感染症研究所
- ^ 林哲也、戸邉亨、「病原性大腸菌」 化学と生物 Vol.42 (2004) No.11 P.758-764, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.42.758
- ^ a b 下痢原性大腸菌の検査法 (PDF) 千葉県感染症情報センター
- ^ a b 林哲也:ゲノム解析から見た大腸菌ゲノムの可塑性 環境変異原研究 Vol.27 (2005) No.2 P117-118, doi:10.3123/jems.27.117
- ^ a b c 山崎伸二、密接にかかわる腸管出血性大腸菌の病原性と生存戦略—ドイツの腸管出血性大腸菌O104食中毒から見えてきたこと 日本食品微生物学会雑誌 Vol.31 (2014) No.3 p.139-143, doi:10.5803/jsfm.31.139
- ^ 下痢原性大腸菌感染症 国立感染症研究所 2000年第50週(12月11日~12月17日)掲載
- ^ 山本新吾、尿路病原性大腸菌における病原因子の研究 日本細菌学雑誌 Vol.58 (2003) No.2 P431-439, doi:10.3412/jsb.58.431
- ^ 加藤廉平ほか、Levofloxacin 耐性大腸菌により経直腸的前立腺生検後に敗血症ショックに陥った1例 泌尿器科紀要 56巻8号 p.453-456, hdl:2433/123563
- ^ a b c 病原性大腸菌 (PDF) 食品安全委員会
- ^ 食中毒事件一覧速報 厚生労働省
関連項目
- ベロ毒素
- 腸管出血性大腸菌
- 溶血性尿毒症症候群(HUS)
- ソルビトールマッコンキー寒天培地
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- PP-343 Urosepsisで検出された尿路病原性大腸菌の病原因子について(一般演題ポスター発表・討論,一般演題ポスター,第99回日本泌尿器科学会総会)
- APP-078 尿路におけるサーファクタント蛋白質(SP-A、SP-D)の感染防御 : 尿路病原性大腸菌の尿路上皮への接着阻害(総会賞応募ポスター,第99回日本泌尿器科学会総会)
- 栗村 雄一郎,西谷 千明,橋本 次朗,高橋 聡,有木 茂,高橋 素子,黒木 由夫,塚本 泰司
- 日本泌尿器科學會雜誌 102(2), 331, 2011-03-20
- NAID 110008612022
- 腸管出血性大腸菌と腸管病原性大腸菌のゲノム解読と病原性進化メカニズムの解明
- 小椋 義俊
- 日本細菌学雑誌 66(2), 175-186, 2011
- … 腸管出血性大腸菌(EHEC)は,出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群などの原因となる病原性大腸菌である。 … さらに,本研究では,腸管病原性大腸菌(EPEC)のゲノム解析を行い,代表的EPEC菌株が保有する病原遺伝子セットの全体像を明らかにした。 …
- NAID 130001014363
Related Links
- ... 結果、約87%もの大腸菌は腸管内の普通の大腸菌と区別できませんでしたが、残りはEPEC(病原性大腸菌)4.9%、EAggEC(凝集接着性大腸菌)4.9%、EHEC(出血性大腸菌)1.7%、ETEC(毒素原性大腸菌)1.6%、及び ...
- 毎年、O157の感染は見られ、今年もすでに死亡例が出ています。病原性大腸菌が検出されたと聞くと、まずO157が頭に浮かびますが、それ以外の大腸菌もあるので、気をつけてください。実は私の娘も今年の2月に毒素原性大腸菌に ...
- 大腸菌には病原性のないものから、腸管出血性大腸菌のように強い病原性を有するものまで様々な種類のものがあります。腸管出血性大腸菌は菌の構成成分の性質からみた分類ですが、大腸菌は病気の起こし方によって ...
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- 既往歴:55歳ごろに過敏性腸症候群と診断され、6か月間治療を受けたことがある。65歳時から高血圧症と脂質異常症のため、自宅近くの診療所でスタチンとカルシウム拮抗薬とを処方されている。75歳時からAlzheimer型認知症のためドネペジル塩酸塩を処方されている。
- 家族歴:父親が胃癌。母親が脳卒中。
- 生活歴:商社に勤務し、48歳から60歳まで東南アジア諸国に赴任していた。
- 現症:意識は清明。身長 173cm、体重 66kg。体温 37.1℃。脈拍 88/分、整。血圧 120/60mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は下腹部全体に圧痛があるが、反跳痛はない。肝・脾を触知しない。腸雑音は亢進している。
- 検査所見:尿所見:蛋白1+、糖(-)、ケトン体3+、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 497万、Hb 14.9g/dL、Ht 44%、白血球 11,700(好中球 77%、好酸球4%、単球6%、リンパ球 13%)、血小板 32万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 3.3g/dL、総ビリルビン 1.1mg/dL、AST 8U/L、ALT 10U/L、LD 156U/L(基準 176~353)、ALP 147U/L(基準 115~359)、γ-GTP 25U/L(基準8~50)、尿素窒素 14mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL、尿酸 5.9mg/dL、血糖 101mg/dL、HbA1c 5.4%(基準 4.6~6.2)、トリグリセリド 85mg/dL、HDLコレステロール 54mg/dL、LDLコレステロール 116mg/dL、Na 139mEq/L、K 3.3mEq/L、Cl 103mEq/L。便鏡検によって認めた微生物の写真(別冊No. 8)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [112F071]←[国試_112]→[112F073]
[★]
- 54歳の女性。早朝から腹痛、嘔吐および頻回の下痢が出現し来院した。一昨日夕食にすき焼きと生卵とを食べた。夫にも同様の症状がある。体温37.6℃。脈拍88/分、整。腹部全体に腸雑音の亢進がある。血液所見:赤血球395万、Hb 12. 9g/dl、Ht39%、白血球9,900、血小板26万。CRP5.2mg/dl(基準0.3以下)。最も考えられる起因菌はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D057]←[国試_096]→[096D059]
[★]
- ある町で下痢や腹痛を訴える者が相次ぎ、住民の半数以上にのぼった。そのすべてが町営水道水を飲用していたが、煮沸した水の飲用者に症状はみられなかった。末端の給水栓からは衛生上必要な遊離残留塩素が検出された。下痢、腹痛の原因として最も可能性の高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G060]←[国試_099]→[099H002]
[★]
- a. 病原性大腸菌の増殖が原因である。
- b. 突然の新鮮血下血で発症する。
- c. 注腸造影ではバリウムの貯留像として描出される。
- d. 診断には内視鏡検査を行う。
- e. 治療には広域スペクトル抗菌薬を投与する。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D010]←[国試_102]→[102D012]
[★]
- 関
- 食中毒
細菌性食中毒
|
|
科
|
属
|
種
|
法律
|
特徴
|
季節性
|
感染
|
毒素
|
症状
|
原因食品
|
潜伏期間
|
経過
|
治療
|
予防
|
感染型
|
グラム陰性桿菌
|
腸内細菌科
|
サルモネラ属
|
|
再興感染症
|
|
|
新生児・乳児での接触感染
|
菌体内毒素
|
下痢(粘液、水様で緑色)、嘔吐、腹痛、急激な発熱(38-40℃)
|
レバー刺身、生肉、焼き鳥、生卵、ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、乳製品、あん
|
6-48時間(平均12時間)
|
1-3日
|
対症療法
|
加熱、二次感染の予防(ネズミ、ゴキブリの駆除)
|
グラム陰性らせん菌
|
|
カンピロバクター属
|
Campylobacter jejuni
|
|
|
初夏(5-6月)
|
まな板、包丁などによる2次感染
|
菌体内毒素
|
下痢(水樣、腐敗臭)、腹痛、嘔吐、発熱、まれに敗血症
|
肉類、生乳、水(家畜の屎尿による汚染)
|
2-5日(まれに10日)
|
1-2週間
|
対症療法、エリスロマイシン
|
加熱、ペットからの感染予防
|
|
Campylobacter coli
|
|
|
グラム陰性桿菌
|
腸内細菌科
|
サルモネラ属
|
チフス菌
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
グラム陰性桿菌
|
腸内細菌科
|
サルモネラ属
|
パラチフス菌
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
グラム陰性桿菌
|
腸内細菌科
|
シゲラ属
|
赤痢菌
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
生体内毒素型
|
グラム陰性桿菌
|
ビブリオ科
|
ビブリオ属
|
コレラ菌
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
グラム陰性桿菌
|
腸内細菌科
|
エシェリキア属
|
腸管出血性大腸菌
|
3種感染症
|
|
|
経口感染
|
ベロ毒素
|
激しい腹痛を伴う頻回の水樣便、溶血性尿毒症候群や脳症の合併により重症化
|
加熱不足の牛肉の摂食(牛乳、フルーツ、汚染野菜)
|
3-4日
|
|
|
75℃1分の加熱で菌は死滅する
|
グラム陰性桿菌
|
ビブリオ科
|
ビブリオ属
|
腸炎ビブリオ
|
|
耐熱性毒素、好塩菌、真水、酸に弱い
|
夏季
|
生板・包丁などによる二次感染。成年男子に多い
|
|
激しい下痢(水様、粘血便)、上腹部激痛、発熱(-38℃)
|
刺身、漬け物
|
10-20時間(平均13時間)
|
2-3日
|
対症療法
|
加熱(60℃, 10分)、冷蔵(10℃以下)、水洗い。まな板、包丁の洗浄
|
グラム陽性桿菌
|
|
クロストリジウム属
|
ウェルシュ菌
|
|
土壌、水、ヒトおよび動物の腸管に常在、嫌気性菌、芽胞形成
|
|
|
エンテロトキシン
|
下痢、腹痛、吐き気
|
畜肉および魚肉とその加工品、動物性蛋白質を用いて調理後、長期保存されていた食品(カレー、シチューなど)
|
8-22時間
|
|
|
肉類、魚介類の脹内容物からの汚染防止。長時間保存する場合、加熱調理後冷蔵庫内にて保存。再加熱を十分に行う。
|
毒素型
|
グラム陽性桿菌
|
|
バシラス属
|
セレウス菌
|
|
芽胞形成、芽胞形態で自然に広く存在。食品腐敗変敗細菌
|
|
|
エンテロトキシン
|
嘔吐型: 吐き気、嘔吐
|
米飯、チャーハン、スパゲティ
|
1-5時間
|
|
|
低温保存、長期保存を避ける
|
|
|
|
|
下痢型: 下痢
|
食肉製品、スープ、プリン、野菜
|
8-12時間
|
|
|
グラム陽性桿菌
|
|
クロストリジウム属
|
ボツリヌス菌
|
|
嫌気性細菌、致命率が高い。芽胞形成。
|
|
|
ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化)
|
悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難)
|
缶詰、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン)
|
12-36時間
|
|
抗毒素血清治療
|
野菜などの水洗い、魚の内臓による汚染を防ぐ
|
グラム陽性球菌
|
|
スタフィロコッカス属
|
黄色ブドウ球菌
|
|
ヒト常在菌(皮膚、口腔、粘膜、鼻咽頭粘膜)。化膿傷、咽頭炎、ニキビ、風邪の症状時には病巣となる
|
|
|
耐熱性エンテロトキシン
|
激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
|
おにぎり、柏餅、シュークリーム、生クリーム
|
0.5-6時間
|
1-3日
|
|
化膿巣のある人を調理に従事させない。低温保持(5℃以下)
|
食中毒菌
|
起炎菌
|
潜伏期間
|
原因食
|
発熱
|
腹痛
|
嘔気・嘔吐
|
下痢
|
その他
|
感染性食中毒
|
腸炎ビブリオ
|
5-24hr 平均10hr
|
魚介類(加工品) 6-9月に多い
|
++
|
+++
|
++
|
+++
|
ショック 心筋障害
|
サルモネラ
|
7-72hr 平均12-24hr
|
肉、卵、サラダ
|
+++
|
++
|
+
|
++
|
ショック 敗血症
|
カンピロバクター
|
2-5日
|
鶏肉、牛肉、牛乳 5-7月に多い
|
++
|
+
|
++
|
++
|
|
病原性大腸菌
|
1-3日 平均24hr
|
牛肉が多い
|
++
|
+
|
++
|
+
|
|
毒素性食中毒
|
ブドウ球菌
|
0.5-6hr 平均3hr
|
乳製品、かまぼこ、氷小豆、 夏季に多い
|
±
|
+
|
+++
|
+
|
エンテロトキシンによるショック
|
ボツリヌス菌
|
2hr-8日
|
いずし、キャビア
|
-
|
+
|
+
|
±
|
神経症状 眼症状
|
[★]
経口(食品・水)
虫が媒介する疾患
その他
発熱
下痢
[★]
- 英
- Escherichia coli O157、E. coli O157、E coli O157
- 関
- 腸管出血性大腸菌、病原性大腸菌、大腸菌、病原性大腸菌O157
[★]
- 英
- enteroaggregative Escherichia coli, enteroaggregative E.coli, EAEC
- 関
- 大腸菌、病原性大腸菌
[★]
- 英
- diarrheagenic Escherichia coli
- 同
- 病原性大腸菌?
- 関
- 大腸菌、
[★]
- 英
- enteropathogenic Escherichia coli EPEC
- 関
- 病原性大腸菌
- 同
- EPEC
[★]
- 英
- pathogenic Escherichia coli O157
- 関
- 病原性大腸菌、大腸菌O157
[★]
- 英
- large intestine (Z)
- ラ
- intestinum crassum
小腸と比べたときの大腸の特徴 (M.149)
- 結腸ヒモという縦走筋繊維からなる3本の太い帯を有する
- 結腸膨起という結腸ヒモの間の膨らみを有する
- 腹膜垂という脂肪の塊を含む
- 内径は小腸よりも大きい
大腸を構成する部位
- 盲腸
- 結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)
- 直腸
- (虫垂)
生理
1)膨起性往復運動 haustralshuttling movement
2)(単一)膨起性移送運動 segmentalhaustralpropulsion
3)多膨起性移送運動 multihaustralpropulsion
1) 2)により内容物のゆっくりした移動(5cm/hr)
→ 48hrで上行結腸よりS状結腸へ
4)総蠕動mass movement(mass peristalsis,maSS PrePulsion)
1-3回/日、強い蠕動→結腸内容物が直腸へ移動(→排便誘発)
5)収縮回数:直腸 > S状結腸 のため内容物はS状結腸へ移動
(通常は、直腸に内容物(-))
6)胃大腸反射 gastro-colonic reflex
小腸大腸反射 ileo-colonic reflex:胃、小腸に内容物-→結腸に総蠕動(+)
*排便
1)解剖
①内肛門括約筋internalanal
②外肛門括約筋externalanal
sphincter---平滑筋
sphincter山-一横紋筋
2)排便のメカニズム
i)総蠕動一糞便直腸へ
ii)直腸内圧〉20Ⅷ舶g ⇒ 直腸壁伸展⇒ 仙髄排便中枢(S2-4)
⇒ ①高位中枢(便奇形成)
②排便反射defecation reflex
内肛門筋弛緩
外肛門筋収縮(一過性)
直腸蠕動運動(⇒内圧をさらに高める)
iii) 内圧45-55mmHg以上
内容物200ml以上
便意による排便動作 外肛門筋弛緩
腹筋、横隔膜収縮
[★]
- 英
- coli bacillus
- ラ
- Escherichia coli, E. coli
- 関
- 下痢原性大腸菌
分類
-
- 症状:サルモネラ性腸炎に類似 乳幼児の胃腸炎の原因
- 症状:コレラ様の下痢 易熱性エンテロトキシンと耐熱性エンテロトキシン
- ベロ毒素(VT1, VT2)を産生する。ベロ毒素=志賀毒素]]
- O157H7が多い。O1,026,O111,0128,O145等の血清型の中の一部がベロ毒素を産生する
- 溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)などの重症な合併症を発症する。
参考
- http://cgsc.biology.yale.edu/index.php
[★]
- 英
- pathogen、pathogenesis
- 関
- 原因、病原性、病原体、発病、病原菌、病変形成
[★]
- 英
- fungus、fungi、microbial
- 関
- 菌類、真菌、真菌類、微生物