YN | C-132 | C-134 | C-136 |
HIM | 1481 | 1484 | 1485 |
拡張型心筋症 | 肥大型心筋症 | 拘束型心筋症 | |
DCM | HCM | RCM | |
胸部単純X線写真 | 中等度~重度心陰影拡大 | 中等度~重度心陰影拡大 | 軽度心陰影拡大 |
肺静脈拡張 | |||
心電図 | ST領域、T波の異常 | ST領域、T波の異常 | 低電位 |
左室肥大 | 伝導障害 | ||
異常Q波 | |||
心エコー | 左心室拡張・機能不全 | 非対称性中隔肥大 | 左心室壁肥厚 |
収縮期僧帽弁前方運動 | 収縮能:正常~軽度減少 | ||
核医学検査 | 左心室拡張・機能不全 | 収縮能亢進 | 収縮能:正常~軽度減少 |
血液還流異常(201Tl/Tc-MIBI) | |||
心カテーテル検査 | 左心室拡張・機能不全 | 収縮能亢進 | 収縮能:正常~軽度減少 |
左室・(右室)充満圧上昇 | 左室・右室充満圧上昇 | 左室・右室充満圧上昇 | |
心拍出量減少 | 左室流出路狭窄 |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/31 11:14:26」(JST)
心筋症(しんきんしょう、英: cardiomyopathy)は、心機能障害を伴う心筋疾患。肥大型、拡張型、拘束型、不整脈原性右室心筋症、分類不能型に分類される。心臓移植がこの病気にとって非常に有効であることが多いことから注目を浴びるようになった疾患である。
目次
|
心筋症は数多くの名前で呼ばれてきたが、最初の解剖症例の報告は1891年のクレールによるものとされる[1]。その後、世界保健機関(WHO)と国際心臓連合(ISFC)の合同委員会は1980年心筋症を「原因不明の心筋疾患」と定義し拡張型(DCM, dilated cardiomyopathy)・肥大型(HCM, hypertrophic cardiomyopathy)・拘束型(RCM, restrictive cardiomyopathy)に分類し、心筋疾患でも原因または全身疾患との関連が明らかなものと厳密に区別した[2]。(なお、この分類でも分類しきれないものあるので分類不能心筋症という項目もある。)しかし、従来不明とされた心筋症の原因や成因を示唆する報告が相次いだため、先の合同委員会は心筋症を「心機能障害を伴う心筋疾患」と広く定義し直し従来の3分類に加え、催不整脈性右室心筋症、特定心筋症の範疇を設けた[3]。
心室とともにしばしば心房の内腔容積増加を伴う心拡大(cardiac enlargement)と収縮機能障害を特徴とする心筋の病気であり、不整脈による突然死と心不全をもたらす。初期には心拡大によってポンプ機能自体は正常範囲に保たれており、βブロッカー、アンギオテンシン変換酵素阻害薬あるいはアンギオテンシンII受容体ブロッカー、利尿薬などの薬の組み合わせにより進行を遅らせることが可能である。しかし、代償が破綻し末期重症心不全になると有効な治療薬はなく心臓移植を必要とする。女性より男性のほうが重篤な傾向がみられる。
日本では、特発性拡張型心筋症(とくはつせいかくちょうがたしんきんしょう、Idiopathic DCM)として特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されている。
初期段階では自覚症状があまりなく、易疲労感や動作時に軽い動悸が起こる程度であるため、発見が遅れてしまうケースがある。病状が進行すると重篤なうっ血性心不全や治療抵抗性の不整脈を起こす。診断されてからの5年生存率は54%、10年生存率は36%とされていたが、最近では治療の進歩により5年生存率は76%と向上している[4]。しかし突然死もまれではない。激しい運動は心臓に大きな負担を強いることとなり、急な心臓発作を起こす可能性があるため避けるべきとされている。
心電図ではP波の持続時間延長が認められる。
拡張型心筋症は、以前から、ウイルス、アルコール、毒物、免疫傷害など非遺伝的攻撃によってもたらされることが知られていた。原因不明なものは”特発性”拡張型心筋症と呼ばれていたが、サルコメア蛋白質、細胞骨格蛋白質、筋形質膜および核膜蛋白質の遺伝子の突然変異が拡張型心筋症の大きな原因であることが最新の研究で明らかにされている[5]。2013年の時点で、本症症例のおよそ3割が遺伝子突然変異が原因であると推定されている。遺伝子突然変異が拡張型心筋症を引き起こすメカニズムを明らかにするため、サルコメア蛋白質であるミオシン、アクチン、トロポニン、トロポミオシンに関して、組換え変異蛋白質分子や遺伝子改変動物モデルを用いた研究が活発に行われている。ミオシン変異はサルコメアの収縮機構そのものを傷害し(i.e.,アクチン-ミオシン相互作用の低下をもたらす)、アクチン、トロポニン、トロポミオシン変異は心筋収縮のカルシウムによる調節機構を傷害する(i.e.,ミオフィラメントカルシウム感受性の低下をもたらす)ことが明らかにされている[6]。一方、細胞骨格蛋白質と細胞膜貫通蛋白質の突然変異はサルコメアが発生する力の隣接心筋細胞への伝達を傷害し、核膜蛋白質の突然変異は心筋細胞に加わる力による遺伝子発現機構の傷害によって拡張型心筋症をもたらすのでないかと推測されている[7]。遺伝性拡張型心筋症の研究からはっきりした重要なことは、心筋細胞には単にその収縮機能が内因的に低下するだけで心拡大によって代償するメカニズムがはじめからプログラムされているということである。皮肉なことに、その代償メカニズムが働くことによって致死的不整脈による突然死のリスクが高まり、その破綻によって末期心不全がもたらされるものと推測される。現在治療薬として用いられるβブロッカー、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシンII受容体ブロッカーは、短期的には収縮機能を高めるが長期的には有害な”細胞内cAMPとカルシウムの増加を介する”代償反応を抑えることでその破綻を遅らせているように見える。細胞内cAMPとカルシウムの増加によらず収縮機能を改善することができる新規の強心薬であるカシウム感受性増強薬やミオシン活性増強薬などは、このような長期的には有害な代償反応プログラムの発動を抑えてより高い有効性を示すことが期待される[8][9]
心臓移植までの症状維持を目的とする埋め込みと、心臓移植待機を目的とせず補助人工心臓を使い続けていく目的での埋め込みの2通りの治療が行われる。心臓移植までの症状維持としての補助人工心臓は2004年に医療保険の適用となった。移植目的でなく補助人工心臓を使い続ける選択は、主に高齢のため手術に耐えうる体力がない患者に対してとられることが多い。補助人工心臓を使い続ける目的での世界初の手術は、1995年10月にイギリスで高齢のため移植手術が行うことが困難とされた患者に施された。
詳細は「バチスタ手術」を参照
・バチスタ手術に対する、患者の編成部位特定に要する時間を省いたりすることができるオーバーラッピング法という術式も存在するがアメリカでは禁止されている。
分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | I42.1-I42.2 |
---|---|
ICD-9 | 425.4 |
OMIM | 192600 |
DiseasesDB | 6373 |
MedlinePlus | 000192 |
eMedicine | med/290 ped/1102 radio/129 |
MeSH | D002312 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
テンプレートを表示 |
500人に1人が発症するよくある病気であり、若いアスリートなど若者の突然の心停止によくある原因である。男女差は見られない。 心筋細胞の肥大のため心室壁が厚くなるが心室のサイズはしばしば正常である。本症は心筋肥大による左心室の拡張障害が主体である。拡張期が短縮することにより、心室に血液が充分に流れ込まなくなる。その結果、全身に流れる血液量が不足したり、心室→心房への逆流が起こることによりひいては肺水腫に至って呼吸困難を呈したりする。病態が進行するとしばしば拡張型心筋症様になることがあり、拡張相肥大型心筋症と呼ばれる。
心房細動の合併が多い。
大動脈弁付近の壁肥厚による閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) と、心尖部の壁肥厚による非閉塞性肥大型心筋症 (HNCM) に分類される。HOCMの基本病態は、心流出路狭窄による心拍出量低下であり、一方、HNCMの基本病態は、心室筋肥大による左室拡張能の低下および不整脈である。欧米では前者が多いが、日本では後者が比較的多い。また、肥大が心尖部に限局したapical HCMと呼ばれる病態も報告されている。初報告は日本でなされており、また日本人に多いとされている。
これらの研究の結果、現在では、心筋の異常な肥大こそがHCMの本質であり、各分類は、その肥大する部位の差によって、左室流出路狭窄が起きるか否かに過ぎないと認識されるようになっている。
閉塞性肥大型心筋症においては、下記のような所見が見られる。
通常は遺伝性であり、本症症例のおよそ7割が常染色体優性遺伝形式をとる遺伝子変異が原因である。拡張型心筋症と同様にミオシン、アクチン、トロポニン、トロポミオシンをはじめとするサルコメア蛋白質の遺伝子の突然変異が明らかにされている[1]。カルシウムによる収縮制御に関わるトロポニンやトロポミオシン遺伝子の突然変異はミオフィラメントカルシウム感受性を増加させる。これは、これらの遺伝子における拡張型心筋症を引き起こす変異がカルシウム感受性を低下させることと逆であり、ミオフィラメントカルシウム感受性増加による収縮機能の亢進あるいは弛緩機能の低下が肥大型心筋症をもたらしていると考えられる[2][3]。高血圧や加齢によっても時間をかけて発症し、糖尿病や甲状腺疾患などの他の病気も原因となる。
最大の問題である、突然死の予防が最重点となる。
過激な運動を避け、また、心筋の拡張能を改善するためと、心筋の負荷を軽減するために、β遮断薬が使われる。しかし、喘息を合併している場合のようにβ遮断薬が禁忌の症例にはカルシウム拮抗剤などが用いられる。大動脈弁狭窄や僧帽弁逆流が高度な場合には、心室中隔切除術などの外科的手術を行う。場合によっては突然死予防のため植え込み型除細動器が必要になる。
[ヘルプ] |
心室の収縮機能は正常だが左心室が硬く、拡張に問題がある。この点では肥大型心筋症と似ているが肥大や拡大等が見られない点で異なる。アクチン、ミオシン、トロポニン遺伝子の突然変異が発症に関与していることがわかっている[1]。
右心室心筋が脱落し、脂肪組織または線維脂肪組織が置換する。
上記4型のいずれにも分類されない。
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この記事を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「099C047」「106I035」「099B039」 |
リンク元 | 「肥大型心筋症」「拡張型心筋症」「急性動脈閉塞症」「慢性腎不全」「拘束型心筋症」 |
拡張検索 | 「虚血性心筋症」「頻拍誘発性心筋症」「続発性心筋症」「周産期心筋症」 |
関連記事 | 「心筋」「症」 |
A
※国試ナビ4※ [099C046]←[国試_099]→[099C048]
BE
※国試ナビ4※ [106I034]←[国試_106]→[106I036]
D
※国試ナビ4※ [099B038]←[国試_099]→[099B040]
塞栓症 | 血栓症 | |
心原性 | 心房細動 | |
不整脈 | ||
僧帽弁狭窄症 | ||
心筋梗塞後壁在血栓 | ||
左室瘤 | ||
心筋症 | ||
人工弁置換術後 | ||
心臓腫瘍(左房粘液腫) | ||
卵円孔開存 | ||
血管性 | 大動脈瘤 | 閉塞性動脈硬化症 |
末梢動脈瘤 | バージャー病 | |
shaggy aorta syndrome | 大動脈解離 | |
動静脈瘻 | 膝窩動脈瘤 | |
グラフト閉塞 | ||
血管炎(大動脈炎症候群など、膠原病) | ||
膝窩動脈外膜嚢腫 | ||
膝窩動脈捕捉症候群 | ||
胸郭出口症候群 | ||
外傷 | ||
医原性 | ||
その他 | 空気塞栓 | 多血症 |
腫瘍塞栓 | 血小板増多症 | |
カテーテル検査 | 悪性腫瘍 |
予後 | 臨書所見 | ドプラ聴診器所見 | ||||
知覚消失 | 筋力低下 | 動脈 | 静脈 | |||
I | viable (下肢循環が維持されている状態) |
ただちに下肢生命が脅かされることはない | なし | 聞こえる | 聞こえる | |
IIa | threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/marginally(境界型) |
早急な治療により救肢が可能 | 軽度(足趾)/なし | なし | (しばしば) 聞き取れない |
聞き取れる |
IIb | threatened viability (下肢生命が脅かされる状態)/immediately(緊急型) |
ただちに血行再建することにより救肢が可能 | 足趾以外にも 安静時痛を伴う |
軽度~中等度 | 聞き取れない | 聞き取れる |
III | irreversible (不可逆的な状態) |
組織大量喪失または、恒久的な神経障害が避けられない | 重度 知覚消失 |
重度 麻痺(筋硬直) |
聞き取れない | 聞き取れない |
収縮性心膜炎 | 拘束型心筋症 | |
contrictive endocarditis | restricted cardiomyopathy | |
心カテーテル検査 | 両親室の拡張末期圧同じ | 左室拡張末期圧 - 右室拡張末期圧 > 5mmHg |
右室拡張末期圧 > 右室収縮末期圧/3 | 右室収縮期圧 > 50mmHg | |
右室経静脈的心内膜心筋生検 | 線維化や浸潤(アミロイド、鉄、転移性腫瘍などの浸潤)がみられる。 | |
CT | 肥厚した心内膜が観察される。石灰化があれば白く見える | |
MRI | 肥厚した心内膜が観察される |
頻拍誘発性心筋症 : 約 57,900 件 頻拍性心筋症 : 12 件
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
.