- 英
- glycogen
- 同
- 糖原、動物性澱粉 animal starch、ヘパチン hepatin
- 関
- グルコース
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/25 13:39:19」(JST)
[Wiki ja表示]
グリコーゲン (glycogen) とは、多数のα-D-グルコース(ブドウ糖)分子がグリコシド結合によって重合し、枝分かれの非常に多い構造になった高分子である。動物における貯蔵多糖として知られ、動物デンプンとも呼ばれる。植物デンプンに含まれるアミロペクチンよりもはるかに分岐が多く8~12残基に一回の分岐となる(糖合成はDNAに支配されないため)。直鎖部分の長さは12~18残基、分岐の先がさらに分岐し、網目構造をとる。日本語で糖原とも。英語の発音から「グライコジェン」と呼ばれることもある[1]。
グリコーゲンは肝臓と骨格筋で主に合成され、余剰のグルコースを一時的に貯蔵しておく意義がある。糖分の貯蔵手段としてはほかに、脂肪とアミノ酸という形によるものがある。 脂肪酸という形でしかエネルギーを取り出せない脂肪や、合成分解に窒素代謝の必要なアミノ酸と違い、グリコーゲンは直接ブドウ糖に分解できるという利点がある。 ただし、脂肪ほど多くのエネルギーを貯蔵する目的には向かず、食後などの一時的な血糖過剰に対応している。
肝細胞は、食後直後に肝臓の重量の8 %(大人で100-120 g)までのグリコーゲンを蓄えることができる[2]。肝臓に蓄えられたグリコーゲンのみが他の臓器でも利用することができる。骨格筋中ではグリコーゲンは骨格筋重量の1-2 %程度の低い濃度でしか貯蔵できない。筋肉は、体重比で成人男性の42%、同女性の36%を占める[3]。このため体格等にもよるが大人で300g前後のグリコーゲンを蓄えることができる。
グリコーゲンの合成・分解は甲状腺、膵臓、副腎がそれぞれ血糖に応じてチロキシン、グルカゴン及びインスリン、アドレナリンなどを分泌することで調整される。 なお、肝臓で合成されたグリコーゲンと骨格筋で合成されたそれとでは分子量が数倍異なり、前者のほうが大きい。
目次
- 1 性質
- 2 生合成
- 3 その他
- 4 脚注
- 5 関連項目
性質[編集]
- 熱水、ホルムアミド、ジメチル硫酸に可溶。冷水、アルコールに不溶。
- 分子量1×106から1×107程度(グルコース残基で6,000から60,000程度)
- ヨウ素デンプン反応における呈色は褐色~赤色。
- ヒトの肝臓には約100gのグリコーゲンが含まれ、約600kcalのエネルギーに相当する。
生合成[編集]
グルコースより、グルコキナーゼ (EC 2.7.1.2)・ヘキソキナーゼ (EC 2.7.1.1)、ホスホグルコムターゼ (EC 5.4.2.2)、UTP-グルコース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ (EC 2.7.7.9)、グリコーゲンシンターゼ (EC 2.4.1.11) の作用により合成される。分枝は1,4-α-グルカン分枝酵素 (EC 2.4.1.18) により形成される。
EC 2.7.1.2 : ATP + D-hexose = ADP + D-hexose-6-phosphate
EC 2.7.1.1 : ATP + D-glucose = ADP + D-glucose-6-phosphate
EC 5.4.2.2 : a-D-glucose-6-phosphate = a-D-glucose-1-phosphate
EC 2.7.7.9 : UTP + a-D-glucose-1-phosphate = diphosphate + UDP-glucose
EC 2.4.1.11 : UDP-glucose + (1,4-a-D-glucosyl)n = UDP + (1,4-a-D-glucosyl)n+1
EC 2.4.1.18 : Transfers a segment of a 1,4-a-D-glucan chain to a primary hydroxy group in a similar glucan chain
その他[編集]
グリコーゲンを効率的に貯蔵することをスポーツ医学ではグリコーゲン・ローディングまたは、カーボ・ローディングと呼ぶ。グリコーゲンの貯蔵を増やすことで、グリコーゲン枯渇による運動能力の限界を上げるために用いられる。前処理としてグリコーゲン枯渇を起こし、グリコーゲン合成能力を上げた後、炭水化物食品を摂取する古典的方法や、炭水化物とグリコーゲン分解を阻害するクエン酸とを同時に摂取する高速ローディング法などがある。
脚注[編集]
- ^ http://dictionary.reference.com/browse/glycogen
- ^ Campbell, Neil A.; Brad Williamson; Robin J. Heyden (2006). Biology: Exploring Life. Boston, Massachusetts: Pearson Prentice Hall. ISBN 0-13-250882-6. http://www.phschool.com/el_marketing.html.
- ^ Marieb, EN; Hoehn, Katja (2010). Human Anatomy & Physiology (8th ed.). San Francisco: Benjamin Cummings. p. 312. ISBN 978-0-8053-9569-3.
関連項目[編集]
- グリコーゲン合成
- グリコーゲンの分解
- カーボ・ローディング
- 糖原病
- グリコ (菓子)
代謝: 炭水化物代謝 |
|
発酵 (アルコール発酵, 乳酸発酵) - 解糖系/糖新生 - グリコーゲン合成/グリコーゲンの分解 - ペントースリン酸経路 - 光合成 (炭素固定) - 炭水化物異化 - 細胞呼吸
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- コイ氷蔵中の生鮮度低下に伴う筋タイプ別微細構造の変化
- 梁 佳,槌本 六秀,肖 寧,川口 夕貴,小野 要,濱田 友貴,谷山 茂人,橘 勝康
- 日本食品化学学会誌 18(3), 168-173, 2011-12-15
- The ultrastructural changes with freshness decreasing of pink (P), white (W) and red (R) muscle in cultured carp were investigated during storage in ice in order to evaluate their ultrastructural char …
- NAID 110008897470
- 嫌気好気活性汚泥法における電気化学的なORP制御の影響
Related Links
- グリコーゲンとは? 運動と栄養の知識に触れたことのある人なら、グリコーゲンという物質の名前を聞いたことがあるでしょう。 次のページ「カーボローディングの原理と方法」ではグリコーゲンの摂り方について書いていますが ...
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - グリコーゲンの用語解説 - 動物デンプン。ブドウ糖 (D-グルコースともいう) を構成糖とする多糖。動物に摂取された糖は肝臓でグリコーゲンに変えられて貯蔵され,このグリコーゲンがさらに ...
- グリコーゲンの成分情報です。グリコーゲンとは?グリコーゲンの働きや効果・効能などグリコーゲンに関する情報を詳しくご紹介します。わかさの秘密はわかさ生活が提供する成分情報サイトです。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- adrenergic receptor
- 同
- アドレナリン作動性受容体 adrenoreceptor
- 関
- アセチルコリン受容体、交感神経作動薬一覧、交感神経拮抗薬一覧
- α受容体、β受容体、受容体
平滑筋臓器における傾向
受容体
|
反応
|
例外
|
α受容体
|
興奮
|
小腸運動:抑制
|
β受容体
|
抑制
|
心臓 :興奮
|
アドレナリン受容体
- SP.412改変
- 体のどの部位にどんな受容体があるかはGOO.143-144を参照せよ
- epinehrine relaxes the detrusor muscle of the bladder as a result of activation of β receptors and contracts the trigone and shincter muscles owing to its α agonist activity. This can result in hesitancy in trination and may contribute to retention of urine in the bladder. Activation of smooth muscle contractino in the prostate promotes urinary retention.(GOO.246)
- 排尿筋弛緩→β受容体。括約筋弛緩→α受容体
- 膀胱頚部から尿道にはα受容体が分布しており、尿道平滑筋の収縮に関与 (SP.818) (cf.プラゾシン)
シグナル伝達の経路 (GOO.238)
- α1:Gq:Gq-PCL-IP3
- α2:多様(アデニル酸シクラーゼの抑制、K+チャネルとの開口、Ca2+チャネルの閉鎖)
- β1, β2, β3:Gs
[★]
- 英
- glycogen storage disease GSD GSDs , glycogenosis
- 同
- グリコーゲン病、グリコーゲン蓄積病
- 関
- グリコーゲン、解糖系
- first aid step1 2006 p.98
定義
- グリコーゲン代謝系酵素欠損により、組織にグリコーゲンが蓄積する疾患群
分類 (FB.304,HIM.2458)
型
|
欠損酵素
|
組織
|
グリコーゲン構造
|
病名
|
発症時期
|
症状
|
I
|
グルコース-6-ホスファターゼ
|
肝臓
|
正常
|
フォン・ギールケ病
|
childhood
|
growth retardation, enlarged liver and kidney, hypoglycemia, elevated blood lactate, cholesterol, triglycerides, and uric acid
|
II
|
α-1,4-グルコシダーゼ
|
リソソーム
|
正常
|
ポンペ病
|
childhood
|
|
III
|
アミロ-1,6-グルコシダーゼ debrancher enzyme deficiency
|
全器官
|
最外層分子がないか非常に短い
|
コリ病
|
childhood
|
hypoglycemia, hepatomegaly, short-stature, and myopathty
|
IV
|
アミロ-(1,4→1,6)-トランスグリコシラーゼ brancher enzyme deficiency
|
肝臓、全器官?
|
非常に長い枝無し鎖
|
アンダーセン病
|
|
infantile failure to thrive, cirrhosis, liver failure, and extreme hypotonia.
|
V
|
グリコーゲンホスホリラーゼ muscle phosphorylase deficiency
|
筋肉
|
正常
|
マッカードル病
|
adult
|
exercise intolerance, muscle cramps, myoglobinuria on strenuous exercise, increased CK
|
VI
|
グリコーゲンホスホリラーゼ hepatic phosphorylase deficiency
|
肝臓
|
正常
|
エルス病
|
|
hematomegaly and variable hypoglycemia
|
VII
|
6-ホスホフルクト-1-キナーゼ
|
筋肉
|
正常
|
垂井病
|
|
|
VIII
|
ホスホリラーゼキナーゼ
|
肝臓
|
正常
|
X染色体ホスホリラーゼキナーゼ欠損症
|
|
|
IX
|
ホスホリラーゼキナーゼ
|
全器官
|
正常
|
|
childhoog
|
|
0
|
グリコーゲンシンターゼ
|
肝臓
|
正常だが少量
|
|
|
|
[★]
- 英
- biguanide,(総称)biguanides, hypoglycemic of biguanide derivative
- 関
- 糖尿病治療薬、薬理学
ビグアナイド系薬
比較
- 糖尿病ガイドライン
特徴
- 2つのグアニジン基を有し、経口糖尿病治療薬として使用されているグアニジン誘導体の総称。
- 安価、エビデンスの蓄積が豊富
- 膵インスリン分泌促進作用は有しないので、低血糖になりづらい。
- 肝の糖新生抑制作用 → 空腹時血糖を下げるのに有利
- 肥満症+2型糖尿病に有利に働く
- 単独でも使われる
作用機序
- GOO.1638
- 細胞のAMP kinase(AMPで活性化されるキナーゼ)の活性化→肝臓における糖新生の抑制???
薬理作用
DMR.110
- 肝臓:糖新生の抑制
- 骨格筋:ブドウ糖取り込み増強
- 消化管:ブドウ糖吸収抑制?
- 末梢血:遊離脂肪酸の低下?
ビグアナイド系薬の膵外作用 (授業プリント)
- 1. 好気的代謝の抑制、嫌気性代謝の促進
- 2. 腸管からの糖吸収抑制
- 3. 肝糖新生抑制
- 4. インスリン作用の増強
- 5. 脂肪酸酸化抑制
- 6. 食欲抑制
適応
注意
- 乳酸アシドーシス 9.6-16.2/10万人
- 肥満を助長しないので、肥満を伴うII型DMで適用
- 肝臓・腎臓障害者×
- 服用中の患者でも下痢、嘔吐、脱水時には中止
- 投与初期に下痢、吐き気、腹痛など30%くらい有り
- 休薬で収まることが多いが、乳酸アシドーシスの初期で起こることがある
禁忌
- GOO. 1638
- 腎障害、肝臓病 ← 血液濃度の上昇により副作用の発現頻度が高まる可能性がある(DMR.110)
- 乳酸アシドーシスの既往(どんな理由であっても)、
- 薬物治療を要する心不全、chronic hypoxic lung disease ← 低酸素血症が乳酸アシドーシスの発症を助長(DMR.110)
- vol.3 No.11 2010/11 レジデント
- 腎機能障害(血清Cr 1.4mg/dl以上もしくはCcr70ml/分以下)
- 血薬物治療を要するうっ血性心不全
- 肝機能障害(ALT, ASTが正常範囲上限の3倍以上)
- 80歳以上の高齢者(Ccr 70ml/分以上であればok)
- 1型糖尿病
- アルコール依存者、アルコール多飲
一時使用中止
- vol.3 No.11 2010/11 レジデント
- 手術
- ヨード造影剤の使用(48時間前より注意)
- 重篤な疾患の合併
副作用
- いったん発症すると死亡率50%
- 年間1000例中0.1例 (GOO. 1638)
- 下痢、食欲不振:少量から投与することで回避可能(DMR.110)
[★]
- 英
- insulin (Z)
- 同
- immunoreactive insulin IRI ← ELISAを利用して定量されるインスリン(臨床検査医学)
- 関
- インスリン製剤、インスリン受容体
- レギュラーインスリン、1型インスリン
分類
性状
産生組織
- プレプロインスリンの生合成@粗面小胞体 → プレプロインスリン -(切断@小胞体)→ プロインスリンはゴルジ体に輸送 -(切断@ゴルジ体小胞体)→ インスリン
標的組織
作用
- 全般的な傾向として、同化作用↑、異化作用↓(糖新生↓)
-
- 肝臓・筋肉でNa-Kポンプを活性化(PT. 482)。Na/H交換体、Na-K-2Cl共輸送体、Na/K-ATPaseを活性化。
- 高カリウム血症の治療にはインスリン&グルコースの投与
- 肝細胞でグリコーゲン合成↑
- アミノ酸取り込み↑→タンパク質合成↑
- 脂肪合成↑
- 脂肪分解↓
分泌の調節
-
- 細胞外K濃度↑→膵臓β細胞脱分極→インスリン分泌↑
-
- 細胞外K濃度↓→膵臓β細胞再分極→インスリン分泌↓
分泌機構
- 1. グルコース→解糖系→ATP↑→KATP閉鎖→脱分極→VDCC解放→[Ca2+]i↑→インスリン開口分泌*2a. ペプチドホルモン→Gsα活性化→AC↑→cAMP↑→PKA↑→インスリン開口分泌
- 2b. ノルアドレナリン→Giα活性化→AC↓→cAMP↓→PKA↓→インスリン分泌抑制
- 3. アセチルコリン→PLC活性化→
→IP3↑→[Ca2+]i↑→インスリン開口分泌
→DAG↑→PKC活性化→インスリン開口分泌
作用機序
臨床関連
- インスリン作用不足による代謝障害
- 血漿中:ブドウ糖↑、アミノ酸↑、遊離脂肪酸↑、ケトン体↑
- →インスリン抵抗性
[★]
- 英
- vitamin B6
- 同
- 塩酸ピリドキシン pyridoxine hydrochloride、ピリドキシン pyridoxine
- 商
- アリチア配合
- 関
- ビタミン
- ピリドキサールリン酸, pyridoxal phosphate
概念
機能
- セロトニンの生合成 ← 5-hydroxytraptophanの脱炭酸
主要な反応・機能
- FB.289 HBC.498
- 転移反応、脱炭酸反応、離脱反応、ラセミ化 に関与。補酵素として活性を持つのは「ピリドキサル5'-リン酸 PLP」
- ヒスチジン---(ヒスチジンデカルボキシラーゼ + PLP)--→ヒスタミン +
- グルタミン酸---()--→GABA
- 5-ヒドロキシトリプトファン---(芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ + PLP)--→セロトニン + CO2
- ドーパ---(dopa decarboxylase + PLP)--→ドパミン + CO2
- (グリコーゲン)n + Pi ---(グリコーゲンホスホリラーゼ + PLP)--→ (グリコーゲン)n-1 + グルコース1-リン酸(G1P)
- スクシニルCoA + グリシン ---(5-アミノレブリン酸シンターゼ + PLP)--→ 5-アミノレブリン酸(ALA) + CoA + CO2
- ステロイドホルモン・ホルモン受容体複合体をDNAより解離させ、ホルモンの働きを抑制する作用がある。このため、ビタミンB6欠乏ではエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール、ビタミンDの作用が増強される。ホルモン依存性の悪性腫瘍が存在する場合にビタミンB6欠乏の程度と予後が相関する(HBC.499)
臨床関連
[★]
- 英
- glycogen particle
- 同
- グリコゲン粒子
- 関
- グリコーゲン
[show details]
[★]
- 英
- glycogen synthetase phosphatase
- 関
- グリコーゲン合成酵素Dホスファターゼ
[★]
- 英
- glycogenolysis
- 同
- 糖原分解、グリコゲン分解
- 関
- グリコーゲン
[★]
- 英
- glycogen granule
- 関
- 基底細胞
[★]
- 英
- glycogen synthase kinase 3beta
[★]
- 英
- glyco、glycated
- 関
- 糖、糖化