ピリドキサル5-リン酸
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ピリドキサールリン酸 |
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IUPAC名
1-(4'-ホルミル-3'-ヒドロキシ-2'-メチル-5'-ピリジル)メトキシリン酸
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
54-47-7 |
PubChem |
1051 |
MeSH |
Pyridoxal+Phosphate |
- CC1=NC=C(C(=C1O)
C=O)COP(=O)(O)O
|
特性 |
化学式 |
C8H10NO6P |
モル質量 |
247.142 g/mol |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ピリドキサールリン酸(ピリドキサールリンさん、Pyridoxal phosphate、PLP)またはピリドキサール-5'-リン酸(pyridoxal-5'-phosphate、P5P)は、いくつかの酵素の補欠分子族の一つ。ビタミンB6の活性型である。
目次
- 1 補酵素としての役割
- 2 生合成
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
補酵素としての役割
PLPはアミノ酸のすべてのアミノ基転移、いくつかの脱炭酸および脱アミノを行う補酵素である。PLPのアルデヒド基はアミノトランスフェラーゼの特定のリシンのε-アミノ基と結合してシッフ塩基を形成する。基質アミノ酸のα-アミノ基と反応すると、リシン残基の活性部位のε-アミノ基と移し替えられる。これによって生じるアルドイミンはキノイド中間体となるために脱プロトン化され、キノイド中間体はケトイミンになるために別の位置でプロトンを受容する。生じたケトイミンはアミノ基が複合体に残るように加水分解される[1]。
PLPはペロサミン、デソサミンのような珍しい糖を合成するアミノトランスフェラーゼ(またはトランスアミナーゼ)によっても使われる[2]。この反応ではPLPはグルタミン酸と反応し、ピリドキサミンリン酸(PMP)を作るためにPLPへそのα-アミノ酸が転移する。PMPはその窒素を糖へ転移させ、アミノ糖を形成していく。
また、PLPはセリンデヒドラターゼ(EC:4.3.1.17)やGDP-4-ケト-6-デオキシマンノース-3-デヒドラターゼ(ColD)などのβ脱離反応[2]、さらにヘム生合成の縮合反応にも関係する。
PLPはリシン代謝のトランスアミナーゼ反応には関係しない。PLPはレボドパをドーパミンへ変換する役割を持つ。PLPは興奮性神経伝達物質のグルタミン酸を、抑止性神経伝達物質のGABAへ転換する。PLPはポリアミンの前駆体であるプロピルアミンを形成するためS-アデノシルメチオニンを脱炭酸する。PLPは脱炭酸を通してヒスチジンをヒスタミンに転換する。
生合成
ピリドキサールキナーゼ(EC 2.7.1.35) によってピリドキサールから合成され、ATP一分子を要する。
脚注
- ^ Toney, M. D. "Reaction specificity in pyridoxal enzymes." Archives of biochemistry and biophysics (2005) 433: 279-287.
- ^ a b Samuel, G. and Reeves, P. "Biosynthesis of O-antigens: genes and pathways invovled in nucleotide sugar precusor synthesis and O-antigen assembly." Carbohydrate research (2003) 338:2503-2519.
関連項目
外部リンク
補因子 |
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補酵素 |
ビタミン: NAD+ (B3) - NADP+ (B3) - 補酵素A (B5) - THF / H4F (B9), DHF, MTHF - アスコルビン酸 (C) - メナキノン (K) - 補酵素F420
非ビタミン: ATP - CTP - SAM - PAPS - GSH - 補酵素B - 補酵素M - 補酵素Q - メタノフラン - BH4 - H4MPT
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有機補欠分子族 |
ビタミン: TPP / ThDP (B1) - FMN, FAD (B2) - PLP / P5P (B6) - ビオチン (B7) - メチルコバラミン, コバラミン (B12)
非ビタミン: ヘム - α-リポ酸 - モリブドプテリン - PQQ
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金属補欠分子族 |
Ca2+ - Cu2+ - Fe2+, Fe3+ - Mg2+ - Mn2+ - Mo - Ni2+ - Se - Zn2+
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ピリドキサールリン酸非依存性プロリンラセマーゼの反応機構
- 瀧川 重信,大笹 稿,鈴木 達郎,遠藤 千絵,橋本 直人,齋藤 勝一,山内 宏昭,野田 高弘
- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 56(2), 114-117, 2009-02-15
- … 小麦胚芽,小ブスマ,米糠をGABA合成酵素源に用い,グルタミン酸ナトリウム及びピリドキサルリン酸から高価なGABAの効率的な生成条件を調べた.次いで小麦胚芽を用いたGABA生産条件について検討した.グルタミン酸濃度とGABAの生成率の関係において,反応液中のグルタミン酸濃度を100g/lまで増加させてもGABAの生成率は4時間の反応で95%以上得られた.酵素反応条件は,pH 5.6?5.8,温度40℃,反応時間4時間がそれぞれ …
- NAID 10024855053
Related Links
- ピリドキサールリン酸とは?goo Wikipedia (ウィキペディア) 。出典:Wikipedia(ウィキペディア)フリー百科事典。 ピリドキサールリン酸とは - goo Wikipedia (ウィキペディア) gooトップ サイトマップ スタートページに設定 RSS ヘルプ 本文へ ...
- 総称名 リン酸ピリドキサール 一般名 ピリドキサールリン酸エステル水和物 欧文一般名 Pyridoxal Phosphate Hydrate 製剤名 ピリドキサールリン酸エステル水和物錠 薬効分類名 補酵素型ビタミンB 6 製剤 薬効分類番号 3134 KEGG DRUG ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ピドキサール錠10mg
組成
販売名
成分(1錠中):有効成分・含有量
成分(1錠中):添加物
- クエン酸カルシウム、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、タルク、ヒプロメロースフタル酸エステル、白色セラック、白糖、沈降炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼラチン、ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、アラビアゴム末、ステアリン酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ステアリン酸、カルナウバロウ
効能または効果
下記疾患のうち、ビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
- 口角炎、口唇炎、舌炎、口内炎、急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎、アトピー皮膚炎、尋常性ざ瘡、末梢神経炎、放射線障害(宿酔)
ビタミンB6の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等)
ビタミンB6依存症(ビタミンB6反応性貧血等)
ビタミンB6欠乏症の予防及び治療(薬物投与によるものを含む。例えばイソニアジド)
なお、上記適応(効能・効果)のうち、「ビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合」の疾患に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
- ピリドキサールリン酸エステル水和物として、通常、成人1日10〜60mgを1〜3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
極めてまれであるが、依存症の場合には、より大量を用いる必要のある場合もある。
- 依存症に大量を用いる必要のある場合は観察を十分に行いながら投与すること。特に新生児、乳幼児への投与は少量から徐々に増量し、症状に適合した投与量に到達させること(「重大な副作用」及び「小児等への投与」の項参照)。
重大な副作用
横紋筋融解症
頻度不明
- 新生児、乳幼児に大量に用いた場合、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎不全等の重篤な腎障害に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること(〈用法・用量に関連する使用上の注意〉及び「小児等への投与」の項参照)。
薬効薬理
- ピリドキサールリン酸エステルは、補酵素として数多くの酵素に関与しているが、代表的なものとして、アミノ基転移酵素(Transaminase)、キヌレニン分解酵素(Kynureninase)、アミノ酸脱炭酸酵素(Aminoacid decarboxylase)、脱水素酵素(Dehydrase)、モノアミン酸化酵素(Monoamine oxidase)、ヒスタミン分解酵素(Histaminase)等があげられている3)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ピリドキサールリン酸エステル水和物
(Pyridoxal Phosphate Hydrate)(JAN)
化学名
- 3‐Hydroxy‐2‐methyl‐5‐[(phosphonooxy)methyl]‐4‐pyridinecarboxaldehyde monohydrate
分子式
分子量
性 状
- 微黄白色〜淡黄色の結晶性の粉末で、においはない。
水に溶けにくく、エタノール(95)、アセトン、クロロホルム又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
希塩酸、希硝酸又は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
光によって変化する。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- vitamin B6
- 同
- 塩酸ピリドキシン pyridoxine hydrochloride、ピリドキシン pyridoxine
- 商
- アリチア配合
- 関
- ビタミン
- ピリドキサールリン酸, pyridoxal phosphate
概念
機能
- セロトニンの生合成 ← 5-hydroxytraptophanの脱炭酸
主要な反応・機能
- FB.289 HBC.498
- 転移反応、脱炭酸反応、離脱反応、ラセミ化 に関与。補酵素として活性を持つのは「ピリドキサル5'-リン酸 PLP」
- ヒスチジン---(ヒスチジンデカルボキシラーゼ + PLP)--→ヒスタミン +
- グルタミン酸---()--→GABA
- 5-ヒドロキシトリプトファン---(芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ + PLP)--→セロトニン + CO2
- ドーパ---(dopa decarboxylase + PLP)--→ドパミン + CO2
- (グリコーゲン)n + Pi ---(グリコーゲンホスホリラーゼ + PLP)--→ (グリコーゲン)n-1 + グルコース1-リン酸(G1P)
- スクシニルCoA + グリシン ---(5-アミノレブリン酸シンターゼ + PLP)--→ 5-アミノレブリン酸(ALA) + CoA + CO2
- ステロイドホルモン・ホルモン受容体複合体をDNAより解離させ、ホルモンの働きを抑制する作用がある。このため、ビタミンB6欠乏ではエストロゲン、アンドロゲン、コルチゾール、ビタミンDの作用が増強される。ホルモン依存性の悪性腫瘍が存在する場合にビタミンB6欠乏の程度と予後が相関する(HBC.499)
臨床関連
[★]
- 英
- pyridoxal、pyridoxal phosphate、pyridoxal calcium phosphate
- 商
- アデロキザール、ハイピリドキシン、ハイミタン、ビタゼックス、ビタダン配合(ビタダン)、ビタノイリン、ビタマル配合(ビタマル)、ピドキサール、ライボミンS(ライボミン)、リボビックス
- 関
- ピリドキサールリン酸、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム。ビタミンB6
[★]
- 英
- pyridoxal phosphate、PLP
- 商
- アデロキザール、ハイピリドキシン、ハイミタン、ビタゼックス、ビタダン配合、ビタノイリン、ビタロキシン、ビタマル配合、ピドキサール、ピリドキサール、ピロミジン、ライボミンS、リボビックス
- 関
- ピリドキサール、ピリドキサールリン酸、プロテオリピドタンパク質
[★]
- 英
- pyridoxal 5-phosphate
- 関
- ピリドキサールリン酸、ピリドキサール-5-リン酸
[★]
- 商
- アデロキザール、ハイピリドキシン、ハイミタン、ビタゼックス、ビタダン配合、ビタノイリン、ビタマル配合、ピドキサール、ピリドキサール、ライボミンS、リボビックス、リン酸ピリドキサール
- 関
- ビタミンB剤、ピリドキサール
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義