- 英
- mucous and bloody stool, bloody mucoid stool, mucous and bloody stool
- 関
- 潰瘍性大腸炎
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2021/10/17 01:21:38」(JST)
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血便 |
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分類および外部参照情報 |
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診療科・ 学術分野 |
消化器学, 一般外科学 |
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ICD-9-CM |
578.1 |
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DiseasesDB |
19317 |
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血便(けつべん)(hematochezia)とは、自己の血液の付着や混入した便で、肉眼的に出血が確認されない検便にて指摘される「便潜血」や、便表面に付着する程度から便全体に血液が混ざっているもの、便に血が混じっている全ての状態を指す。血液の比率が高く液状の場合は下血(げけつ)または血性下痢(けっせいげり)と表現される。
解説
一般的には血便とは赤色から赤褐色の便であるが、その原因のほとんどは下部消化管出血による。裂肛などの肛門周囲病変での出血は、便の表面に血液が付着するもので、便と血液が混じり合っていないことで判断される[1]。
血便をきたす疾患は重大なものが多く、後述、「警戒すべき状態」にある症候を示した際は早急な医療機関への受診が必要[2][3]、トイレットペーパーに血が付着するだけの状態であれば、1-2日の診察遅れは問題にならないとされる[2]。
上部消化管、下部消化管の口側よりで出血し、消化(化学的修飾)された血液は黒色を呈し、黒色便(メレナ: melena)[1]、粘液を伴えば粘血便(ねんけつべん)[1]、膿と粘液を伴えば膿粘血便(のうねんけつべん)と呼ばれる。
症例の画像(閲覧に関しては右端の[表示]をクリック)。医療目的等以外で閲覧する場合、不快感を催す恐れがあるので注意すること。
警戒すべき状態
血便および下血症状と前後して、失神、低血圧、蒼白、発汗、心拍数の増加(毎分100回を超える)、250 mlを超える出血[2]を生じた場合、循環血液量減少または出血性ショックが示唆される[4]。
血便をきたす主な疾患
消化器系
- 大腸癌
- 絞扼性イレウス
- 腸重積症 - 乳幼児の血便をきたす代表的な疾患の一つ。激しい腹痛で泣き叫ぶ乳幼児に浣腸をして「イチゴジャム状の粘血便」が出た場合、この病気を疑う必要性がある。緊急性の高い疾患である。
- 腸捻転症
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 薬剤性腸炎(出血性大腸炎)
- 虚血性大腸炎
- 憩室出血
- 中毒性巨大結腸症 - 緊急性の高い疾患である。
血液系
- 血小板減少性紫斑病
- 白血病
- 再生不良性貧血
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
循環系
- 上腸間膜動脈血栓症 - 緊急性の高い疾患である。
- 結節性多発動脈炎
感染症
腸管感染症
- 細菌性胃腸炎 - サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど
- 細菌性赤痢(赤痢菌による出血性大腸炎) - 疾患の名称は「赤い下痢」に由来する。血便が出るのは赤痢菌が産出するベロ毒素(志賀毒素)が大腸の血管壁を破壊するため。
- 腸チフス・パラチフス
- 腸管出血性大腸菌O157感染症(出血性大腸炎) - 典型的な症例では「糞便成分がほとんどなく、血液のみ」というような状態になる。腸管出血性大腸菌は赤痢菌と同様にベロ毒素を産出する。
- 腸結核(結核菌による腸の炎症)
- 偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル腸炎)
- アメーバ赤痢 - 臨床医学の教科書ではしばしば「イチゴゼリー状の粘血便」と形容される。
全身感染症
- レプトスピラ症(ワイル病)
- ウイルス性出血熱
- エボラ出血熱(エボラウイルス病)
- マールブルグ病
- ラッサ熱
- 南米出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- 腎症候性出血熱
- 黄熱
- デング出血熱
寄生虫
中毒
- 黄色ブドウ球菌食中毒(重症例)
- ウェルシュ菌食中毒(重症例)
- 毒キノコによる中毒 - 特に、アマトキシン類を産生する毒キノコは血便がみられる頻度が高い。
- 有毒植物による中毒
- 誤飲(電池、漂白剤、農薬など)
- 毒蛇の出血毒
栄養失調
- ペラグラ(ナイアシン欠乏症)
- 壊血病(ビタミンC欠乏症)
- ビタミンK欠乏性出血症
出典・脚注
- ^ a b c 血便を起こす病気 町田市医師会
- ^ a b c 消化管出血 MSDマニュアル家庭版
- ^ 血便:医師が気にする危ない症状 メディカルノート
- ^ 消化管出血の概要 MSDマニュアル プロフェッショナル版
関連事項
外部リンク
- 健康情報誌「消化器のひろば」No.13 気になる消化器病 血便 日本消化器病学会
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Japanese Journal
- 臨床研究・症例報告 抗菌薬治療後の健康小児に発症し特徴的な粘血便を呈したClostridioides difficile感染症の2例
- 三村 卓矢,福田 隆文,石川 さやか,加藤 英治,岩井 和之,笠原 善仁
- 小児科臨床 = Japanese journal of pediatrics 73(3), 291-294, 2020-03
- NAID 40022160046
- ホルマリン注入固定法で先進部に早期癌を指摘し得た成人大腸重積症の1例
- 原田 岳,高木 徹,宮崎 真一郎,林 忠毅,露木 肇,大塚 駿介,森 弘樹,小澤 享史,西脇 由朗
- 日本腹部救急医学会雑誌 40(7), 869-872, 2020
- … 下痢と食思不振が1ヵ月続き,粘血便も伴ってきたため前医に緊急入院した。 …
- NAID 130008045801
- 日齢3に非観血的整復を完遂した新生児腸重積症の1例
- 鳥飼 源史,茨 聡,武藤 充,野口 啓幸,杉田 光士郎,馬場 徳朗,松久保 眞,谷口 貴之,三上 裕太,石原 千詠
- 日本小児外科学会雑誌 56(6), 1021-1026, 2020
- … volume centerであるが,今回,非観血的整復を完遂した腸重積症例を初めて経験したので報告する.症例は,日齢3の満期産男児.日齢2の夜間,緑色便に一部血性粘液の付着がみられた.翌朝,中等量の赤色粘血便をみとめ紹介となった.腹部膨満はなかったが,右側腹部にソーセージ様腫瘤を触知した.腹部超音波検査でmultiple concentric ring signをみとめ,回腸結腸型腸重積症と診断した.発症から19時間で高圧浣腸を試 …
- NAID 130007928099
Related Links
- 粘血便のほか、下痢・発熱・腹痛・悪心・嘔吐が起こります。 大腸憩室炎 大腸憩室(大腸の凹み)そのものは特に治療の必要がない病気ですが、憩室内に便が溜まって炎症が起こると出血をきたし、粘液が混ざった便が出ることがあります。
- 粘血便 べたべたとした粘液に血液が混ざったような便を粘血便といいます。 便がマーブル模様になったり、苺ジャムみたいな便 と表現する患者さんもいます。赤痢アメーバといった感染症や炎症性腸疾患などで見られることがあり ...
- 潰瘍性大腸炎を発症すると粘液便や血便だけでなく、排便の回数自体が増加します。一般的には1日5回以上で下痢の便が続くような場合は、検査 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、 30、 31の問いに答えよ。
- 50歳の男性。便秘と下痢とを繰り返すことを主訴に来院した。
- 現病歴: 3週前に下痢を自覚し、その後腹痛を伴う便秘を数日おきに繰り返している。自覚するほどの発熱はない。便の色については普段からよく見ていない。飲食物や環境に特別の変化はない。過去に同様の症状はない。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:公務員。喫煙歴はない。飲酒は焼酎 1合/日を 30年間。海外渡航歴はない。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 174 cm、体重 72 kg。体温 36.5℃。脈拍 80/分、整。血圧 118/72 mmHg。呼吸数 16/分。皮膚は湿潤。顔色は良好である。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内の乾燥を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で静脈怒張を認めない。腸雑音はやや亢進している。触診では抵抗を触れず、肝・脾を触知しない。下腹部正中やや左側に直径約 4 cmの弾性硬の腫瘤を触れる。腫瘤表面は凹凸不整で可動性があり、圧痛を認めない。直腸指診で粘血便を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)、ケトン体 (-)、潜血 (-)。血液所見:赤血球 468万、 Hb 13.9 g/dl、Ht 42%、白血球 8,300、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dl、アルブミン 3.9 g/dl、総ビリルビン 0.9 mg/dl、直接ビリルビン 0.2 mg/dl、AST 28 IU/l、ALT 16 IU/l、尿素窒素 12 mg/dl、クレアチニン 0.6 mg/dl、尿酸 6.9 mg/dl、血糖 98 mg/dl、総コレステロール 246 mg/dl、トリグリセリド 190mg/dl、Na 131 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 97 mEq/l。CRP 1.0 mg/dl。
- 腫瘤性病変の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108F029]←[国試_108]→[108F031]
[★]
- 30歳の女性。下痢と血便とを主訴に来院した。1か月前に東南アジアを旅行した。5日前から繰り返す下痢と粘血便とが認められるようになったため受診した。体温 37.0℃。血圧 118/62mmHg。腹部は平坦で、左下腹部に圧痛を認める。糞便検査とともに行った下部消化管内視鏡検査で結腸に発赤とびらんとを認めた。結腸粘膜生検のH-E染色標本(別冊No. 22A)とPAS染色標本(別冊No. 22B)を別に示す。
- 第一選択として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A044]←[国試_109]→[109A046]
[★]
- 12歳の女児。間欠的腹痛と下痢とを主訴に来院した。生来健康であったが、3か月前から間欠性の腹痛と1日数回の下痢とが出現した。2か月前から体重が2kg減少し、腹痛と下痢とが改善しないため受診した。痔瘻を認める。粘血便を認めない。血液所見:赤血球400万、Hb 9.8g/dL、Ht 33%、白血球 6,000、血小板 35万。血液生化学所見:総蛋白 6.3g/dL、アルブミン 3.0g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 30IU/L、ALT 35IU/L。CRP 2.5mg/dL。
- 下部消化管内視鏡検査で予想されるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E046]←[国試_109]→[109E048]
[★]
- 28歳の女性。下痢と粘血便とを主訴に来院した。2か月前に海外旅行から帰国後、発熱と下痢とがあった。2週前から粘血便が出現した。体温37.5℃。血圧118/62mmHg。腹部は平坦、軟で、左下腹部に圧痛を認める。筋性防御を認めない。下部消化管内視鏡写真(別冊No.18A)と糞便の顕微鏡写真(別冊No.18B)とを別に示す。
- この疾患に合併するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I065]←[国試_104]→[104I067]
[★]
- 26歳の男性。下痢を主訴に来院した。3年前から通勤途上の電車の中で便意が突然に出現するようになり、我慢をすると徐々に下腹部を中心とした腹痛が出現するようになった。駅のトイレに駆け込むと一気に排便があり、腹痛も便意も改善する。
- この患者でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D016]←[国試_101]→[101D018]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097B026]←[国試_097]→[097B028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111A011]←[国試_111]→[111A013]
[★]
- a. 30歳代に発見されることが多い。
- b. 上行結腸に発生することが多い。
- c. 大きなものほど癌の合併が多い。
- d. 粘血便を伴うことが多い。
- e. 有茎性のものが多い。
[正答]
※国試ナビ4※ [100B034]←[国試_100]→[100B036]
[★]
- 78歳の女性。2週間前から急性気管支炎でアンピシリンを内服していた。昨日から発熱、腹痛および粘血便が出現し来院した。大腸内視鏡検査で上行結腸にびまん性出血性病変を認める。
- 便培養検査で最も予想されるのはどれか
[★]
- 出生直後の男児。母親が妊娠中に羊水過多を指摘されていた。出生直後から泡沫状の唾液の流出とチアノーゼとが見られる。この疾患で見られるのはどれか。
[正答]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107H014]←[国試_107]→[107H016]
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[正答]
※国試ナビ4※ [098E030]←[国試_098]→[098E032]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100E027]←[国試_100]→[100E029]
[★]
- 英
- intussusception, invagination, telescoped bowel
- ラ
- invaginatio, intussusceptis
- 同
- 腸重積症、腸重畳症、腸重鞘症
- ICD-10
- K56.1
- 関
- 絞扼性イレウス
[show details]
腸重積症 : 約 72,300 件
腸重積 : 約 237,000 件
概念
- 口側腸管が肛門側腸管内に嵌入。絞扼性イレウスの一種 ← 腸間膜が陥入部位で絞扼され腸管の血行障害をきたす
- 回腸が結腸に嵌入するものが最も多い
- 腹痛、嘔吐、血便が特徴的。
疫学
- 男女比2:1で男児に多い (小児科学第2版 p.1035)
- 2歳以下の乳幼児に認められ、特に4-9ヶ月の乳児に好発 (小児科学第2版 p.1035)
- 6か月-2歳児までに多い。男児に多い。
- それ以降では基礎疾患の存在が疑われる:polyp、Meckel憩室、悪性リンパ腫など
好発部位
- 回盲部が大腸に引き込まれる
- 回盲部腸重積は10歳以下、特に1歳以下の乳幼児に多く見られる(SSUR.555)
病因
- 何らかの誘因(ポリープ等)により、肛門側の腸の蠕動運動より口側の腸管がはまりこんでしまうことが原因
- 特に成人の場合は腸管の腫瘍が原因となることが少なくない。潰瘍、継室でも起こりうる。(SSUR.555)
病態
症候
- Dance徴候(回盲部が陥凹。右下腹部に空虚な部分が出現。右下腹部にある回盲部が上行結腸に引き込まれるため、本来あるはずの回盲部が右下腹部からなくなり、基本的身体検査で空虚に感じられる)
- 間欠的啼泣:啼泣は間欠的で、その後ぐったりとしている:肛門側腸が2-3時間おきに蠕動するため。
診断
- 口側腸管の嵌入先進部:蟹爪状/カニ爪様陰影、杯状、手風琴様陰影欠損
治療
- 非観血的整復:バリウムや空気にて整復。
- 手術:24時間以上経過例、小腸-小腸型、あるいは腸管の穿孔のおそれがあるときに適応
参考
- http://healthforworld.blogspot.com/2008/11/intussusception.html
国試
[★]
- 英
- melena
- ラ
- melaena
- 同
- タール便 tarry stool
- 関
- 消化管出血(上部消化管出血、下部消化管出血)、黒色便、赤色便。吐血
定義
- (広義)便の中に血液が含まれている状態:黒色便、タール便、粘血便、鮮血便 (ただし潜血便は含まれない)
- (狭義)タール便
狭義
下血
分類
頻度
- IMD.566
出血部位と便の性状
- IMD.567
[★]
- 関
- 赤痢
- 腸管粘膜に菌が侵入、あるいは志賀毒素による障害による。
[★]
- 英
- hematochezia, melena, bloody stool, hemorrhagic stool
- 関
- 下血、消化管出血
[show details]
血便
定義
- 曖昧かもしれない。文献によって定義が異なる。
- 血液の付着または混入が肉眼で確実に認められる糞便。
- 赤い血液の混じった便 (消化器疾患ビジュアルブック p.12) → つまりは大腸由来の出血(大腸出血)を示唆。だが、小腸出血が多量ならばあり得るけどな。
原因
[★]
- 英
- stool
- 関
- 大便、糞便
便→疾患
- 緑色ミートソース様便:サルモネラ腸炎
- クリーム色がかった緑色水様便:MRSA腸炎
疾患→便