未分化大細胞リンパ腫
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未分化大細胞型リンパ腫
病理組織画像(H-E染色)
分類および外部参照情報 診療科・ 学術分野
腫瘍学, 免疫学, 脈管学 ICD-9-CM
200.6 ICD-O
M9714/3 MeSH
D017728
未分化大細胞型リンパ腫 (みぶんかだいさいぼうがたリンパしゅ、Anaplastic large cell lymphoma: ALCL)は、T細胞性リンパ腫の一型である。
疾患概念
この疾患は1959年、Steinらによって提唱された悪性リンパ腫である[1] 。腫瘍細胞が豊富で類洞浸潤像がみられ、接着性の高い胞体と、腎臓様・馬蹄様と呼ばれる特徴的な異型の大型核を持つ、という組織学的特徴をもつ。またCD30、EMA陽性という免疫組織学的特徴も有する。
分類
歴史的経緯
ALCLの分類は時代の変遷とともに大きく変わってきた。
当初は上記の組織学的特徴があればT, B細胞型の両方ともがALCLとされていたが、後にB細胞型はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に分類されることになった。RAEL分類では、形態学的な特徴の差異からHodgkin's diseaesなどに独立した疾患分類とされていたが、WHO分類第3版ではひとまとめにALCLとされ[2] 、また第4版[3] ではALK陽性・陰性とそれぞれ独立した疾患分類とされることになった。同じく第3版ではPlimary cutaneous ALCLという疾患名であったもの、および良性の増殖性疾患と考えられていたリンパ腫様丘疹症(Lymphomatiod papulosis)は、第4版では原発性皮膚CD30陽性T細胞増殖性疾患(Pimary cutaneous CD30 positive T-cell lymphoproliferative disdorders) にまとめられている。
WHO分類第4版による分類
未分化大細胞型リンパ腫、ALK陽性 (Anaplastic large cell lymhoma, ALK positive)
未分化大細胞型リンパ腫、ALK陰性 (Anaplastic large cell lymhoma, ALK negative)
この分類は"暫定分類(provisional entity)"とされている。末梢性T細胞性リンパ腫など他のT細胞性リンパ腫との境界が曖昧なためである。今後分類は再編されると思われる。
原発性皮膚CD30陽性T細胞増殖性疾患(Pimary cutaneous CD30 positive T-cell lymphoproliferative disdorders)
この記事では、以降は上2つの疾患について述べる、
病因
病因は分かっていない。
疫学
ALK陽性のものは若年者に多く平均発症年齢は20代前半である。小児にもみられる。
一方ALK陰性のものは高齢者に多く平均発症年齢は50代である。
症状
症状は一般的な悪性リンパ腫の症状と同じである。節外病変を有することが多い[4]
「悪性リンパ腫#症状」も参照
検査
血液検査・画像検査など
他のリンパ腫と同様である。
病理組織検査
診断の決め手となる。
疾患概念でも述べたような特徴的な組織所見を認める。
免疫組織学的検査
ALK陽性か否かが治療反応性・予後に大きくかかわるので重要である(それゆえ疾患分類として独立している)
CD30, EMA陽性となる。他にT細胞性マーカーが陽性であるが、ALK陰性の場合、明らかにマーカーが陽性であれば末梢性T細胞リンパ腫と考える立場もある。
CD15, PAX5などのB細胞性マーカーは陰性である。これは他のリンパ腫との鑑別の手掛かりとなる。
CD56が陽性のことがある。ALK陽性・陰性ともに予後が不良となる[4] 。
細胞遺伝学的検査
ALK陽性 - 2p23の転座が認められ、ALKキメラ遺伝子を形成する[注釈 1] 。転座相手による予後の差異はない。
ALK陰性 - 共通した遺伝子異常は同定されていない。
診断
上記の組織学的診断によって行われる。病期分類も他の悪性リンパ腫と同様である。
治療
ALK陽性
高悪性度リンパ腫に一般的なCHOP療法(およびそれに類した化学療法)を行う。限局期には放射線療法を併用する[5] [6] [7] 。
ALK陰性
CHOPなどの多剤併用化学療法が主に行われる。自家造血幹細胞移植併用大量化学療法も試みられているが、目立った成績改善には至っていない[8] 。
ブレンツキシマブ ベドチン(Brentuximab vedotin)がCD30陽性再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫に対して欧米で認可されており、日本でも2014年1月に承認された[9] 。
予後
ALK陽性
5年生存率は約70%と良好である[4] [5] [6] [7] 。
ALK陰性
難治例が多数を占める。5年生存率は50%以下である[4] [6] [7] 。
ブレンツキシマブ ベドチン治療例の長期予後はこれから明らかになっていくと思われる。
診療科
血液内科
脚注
注釈
出典
^ Stein H (1985). “The expression of the Hodgkin's disease associated antigen Ki-1 in reactive and neoplastic lymphoid tissue: evidence that Reed-Sternberg cells and histiocytic malignancies are derived from activated lymphoid cells.”. Blood 66 (4): 948-858. PMID 3876124.
^ Jaffe ES, et. al Pathology and Genetics of Tumors of Haematpietic and Lymphoid Tissue. World Health Organization Classification of Tumours, IRAC Press, Lyon, 2001
^ Swerdlow SH, et. al WHO classification of Tumours of Haematpietic and Lymphoid Tissue. IRAC Press, Lyon, 2008
^ a b c d Suzuki R (2000). “Prognostic significance of CD56 expression for ALK-positive and ALK-negative anaplastic large-cell lymphoma of T/null cell phenotype.”. Blood 96 (9): 2993-3000. PMID 11049976.
^ a b Gascoyne RD (1999). “Prognostic significance of anaplastic lymphoma kinase (ALK) protein expression in adults with anaplastic large cell lymphoma.”. Blood 93 (11): 3913-3921. PMID 10339500.
^ a b c Vose J (2008). “International peripheral T-cell and natural killer/T-cell lymphoma study: pathology findings and clinical outcomes.”. J Clin Oncol 26 (25): 4124-4130. PMID 18626005.
^ a b c Savage KJ (2008). “ALK- anaplastic large-cell lymphoma is clinically and immunophenotypically different from both ALK+ ALCL and peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified: report from the International Peripheral T-Cell Lymphoma Project.”. Blood 111 (12): 5496-5504. doi:10.1182/blood-2008-01-134270. PMID 18385450.
^ Reimer P (2009). “Autologous stem-cell transplantation as first-line therapy in peripheral T-cell lymphomas: results of a prospective multicenter study.”. J Clin Oncol 27 (1): 106-113. doi:10.1200/JCO.2008.17.4870. PMID 19029417.
^ “悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®点滴静注用50mg」の日本における製造販売承認取得について”. 武田薬品株式会社 (2014年1月17日). 2014年2月8日 閲覧。
参考文献
『みんなに役立つ悪性リンパ腫の基礎と臨床』押味和夫、医薬ジャーナル社、2008年、352-359頁。 ISBN 978-4-7532-2020-5。
『WHO分類第4版による 白血病・リンパ系腫瘍の病態学』押味和夫、中外医学社、2009年、287-289頁。 ISBN 978-4-498-12525-4。
『造血器腫瘍診療ガイドライン 203年版』一般社団法人 日本血液学会、金原出版、2013年、221-228頁。 ISBN 978-4-307-10162-2。
外部リンク
“未分化大細胞型リンパ腫”. 小児がん情報ステーション. 2014年2月8日 閲覧。
UpToDate Contents
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1. びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の疫学、臨床症状、病理学的特徴、および診断 epidemiology clinical manifestations pathologic features and diagnosis of diffuse large b cell lymphoma [show details] … immunophenotypic features with classical Hodgkin lymphoma . Cases of the anaplastic variant of DLBCL are morphologically identical to those of anaplastic large cell lymphoma T/null-cell type and strongly express …
2. 全身性未分化大細胞リンパ腫の臨床症状、病理学的特徴、診断 clinical manifestations pathologic features and diagnosis of systemic anaplastic large cell lymphoma [show details] …includes other lymphoid neoplasms of T or null cell origin and some B cell neoplasms, such as the anaplastic type of diffuse large B cell lymphoma and Hodgkin lymphoma , which may have similar morphologic features …
3. 節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型の臨床症状、病理学的特徴、および診断 clinical manifestations pathologic features and diagnosis of extranodal nk t cell lymphoma nasal type [show details] …Peripheral T cell lymphoma , not otherwise specified (NOS) Anaplastic large cell lymphoma , primary systemic type ; Angioimmunoblastic T cell lymphoma ; Extranodal NK/T cell lymphoma , nasal type (ENKL) Subcutaneous …
4. 末梢性T細胞性リンパ腫分類不能型の臨床症状、病理学的特徴、および診断 clinical manifestations pathologic features and diagnosis of peripheral t cell lymphoma not otherwise specified [show details] …are: Peripheral T cell lymphoma , not otherwise specified; Anaplastic large cell lymphoma , primary systemic type ; Angioimmunoblastic T cell lymphoma ; Extranodal NK/T cell lymphoma , nasal type ; Subcutaneous …
5. 皮下蜂窩織炎様T細胞性リンパ腫の臨床症状、病理学的特徴、および診断 clinical manifestations pathologic features and diagnosis of subcutaneous panniculitis like t cell lymphoma [show details] …are: Peripheral T cell lymphoma , not otherwise specified; Anaplastic large cell lymphoma , primary systemic type ; Angioimmunoblastic T cell lymphoma ; Extranodal NK/T cell lymphoma , nasal type ; Subcutaneous …
Japanese Journal
症例報告 臨床的に左腋窩化膿性リンパ節炎を考えたALK陽性全身型未分化大細胞型リンパ腫 の1例
武内 朝子,伏間江 貴之,小田 俊輔,高杉 亜里紗,川北 梨乃,岡部 崇志,吉田 哲也
臨床皮膚科 = Japanese journal of clinical dermatology 72(13), 1085-1090, 2018-12
NAID 40021766089
仙髄神経領域の帯状疱疹により排尿障害をきたしたALK陰性未分化大細胞型リンパ腫
岡﨑 右京,猪股 知子,後藤 有基,水原 健太郎,望月 直矢,久保西 四郎,平松 靖史,前田 光毅,山田 琢,奥新 浩晃
姫路赤十字病院誌 (42), 61-64, 2018-07-01
NAID 120006503433
三浦 勝浩
日大医学雑誌 76(1), 15-18, 2017
… 殺細胞薬を共役させるリンカーの開発により,近年になり臨床応用が可能となった.ADC はCD33 陽性急性骨髄性白血病治療薬であるgemtuzumab ozogamicin をはじめ,近年ではホジキンリンパ腫および全身性未分化大細胞型リンパ腫 治療薬であるbrentuximab vedotin とヒト上皮成長因子受容体2 陽性乳がん治療薬であるtrastuzumab emtansine (T-DM1) と相次いで上市されその効果が評価されている.ADC はさらに現在多くの薬剤が各開発段階に …
NAID 130005464737
Related Links
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Hodgkinリンパ腫未分化大細胞型リンパ腫の病理診断の実際 ホジキンリンパ腫Hodgkin lymphomaと未分化大細胞型リンパ腫 anaplastic large cell lymphomaの病理診断の実際 -特に留意点
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
英
non-Hodgkin's lymphoma non-Hodgkin lymphoma NHL
同
非Hodgkinリンパ腫 , non-Hodgkinリンパ腫
関
B細胞性悪性リンパ腫 、悪性リンパ腫
非ホジキンリンパ腫の臨床的な特徴 HIM.693
年齢
子供における頻度
男性(%)
ステージI,II vs III,IV(%)
B症状(%)
骨髄浸潤(%)
消化管浸潤(%)
5年生存率(%)
B細胞CLL /小リンパ球性リンパ腫
65
まれ
53
9 vs 91
33
72
3
51
マントル細胞リンパ腫
63
まれ
74
20 vs 80
28
64
9
27
MALT型の節外辺縁域B細胞リンパ腫
60
まれ
48
67 vs 33
19
14
50
74
濾胞リンパ腫
59
まれ
42
33 vs 67
28
42
4
72
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
64
~25%
55
54 vs 46
33
16
18
46
バーキットリンパ腫
31
~30%
89
62 vs 38
22
33
11
45
前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫
28
~40%
64
11 vs 89
21
50
4
26
未分化大細胞型リンパ腫
34
よくある
69
51 vs 49
53
13
9
77
末梢型T細胞非ホジキンリンパ腫
61
~5%
55
20 vs 80
50
36
15
25
分類
参考1
検査
病勢と相関する項目
予後
参考
http://ganjoho.jp/public/cancer/data/ML.html
first aid step1 2006 p.160294301302309431
[★]
英
anaplastic large-cell lymphoma , anaplastic large cell lymphoma , ALCL
同
Ki-1リンパ腫 Ki-1 lymphoma 、Ki-1大細胞型リンパ腫 Ki-1 large-cell lymphoma 、未分化大細胞型リンパ腫 、未熟形成型大細胞型リンパ腫
関
anaplastic large T/null cell lymphoma
[show details]
[★]
未分化大細胞型リンパ腫
同
anaplastic large cell lymphoma
[★]
未分化大細胞型リンパ腫
[★]
英
phosphorus P
関
serum phosphorus level
分子量
30.973762 u (wikipedia)
単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
(serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
骨形成とともに骨に取り込まれる。
腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
小児:4-7mg/dL
閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
英
関
形 、機序 、形式 、形成 、形態 、種類 、パターン 、パターン形成 、品種 、編成 、方法 、モード 、様式 、タイプ標本 、タイプ 、フォーム 、成立 、形づくる
原型
[★]
英
differentiation 、specialization 、differentiate 、differentiative
関
区別、特殊化 、特定化 、専門化 、特殊分化 、分化組織 、鑑別 、分化性
[★]
英
undifferentiated 、anaplastic
関
低分化 、未分化型 、退形成 、未分化性
[★]
関
がん 、腫瘍 、腫瘤 、良性新生物