- 英
- erucic acid
- 関
- ナタネ油
- ナタネ油を雄ラットに与えると、短期間で心臓にトリグリセドの一過性蓄積がみられ、長期間では心臓に壊死や線維症が起こるとされている。原因はナタネ油に含まれるエルカ酸(cis-22:1,Δ13)が原因とされている。なお、エルカ酸の異性体で魚油に多量に含まれるセトレン酸(cis-22:1,Δ11)も同様の作用を有している。
参考
- https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04590570149
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/21/3/21_3_162/_pdf/-char/ja
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/05 11:18:07」(JST)
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エルカ酸 |
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
112-86-7 |
PubChem |
5281116 |
KEGG |
C08316 |
- CCCCCCCCC=CCCCCCCCCCCCC(=O)O
|
特性 |
化学式 |
C22H42O2 |
モル質量 |
338.57 g/mol |
密度 |
0.860 g/cm3 |
融点 |
33.8 °C, 307 K, 93 °F
|
沸点 |
381.5 °C (分解)
|
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
エルカ酸(エルカさん、Erucic acid、エルシン酸と記載されることもある)は、一価不飽和のω-9脂肪酸で、22:1 ω-9と表現される。ナタネの種、アラセイトウの種、カラシの種から作られる植物油の脂肪酸残基の40-50%をエルカ酸残基は構成している。また、エルカ酸の組織名はcis-13-ドコセン酸で、そのトランス異性体はブラシジン酸である。現在、流通するナタネ油は、エルカ酸残基の代わりにオレイン酸残基を多く含むキャノーラを原料としている。
化粧品に使用される成分「エルカ酸」は、ナタネ、アラセイトウ、カラシ等の種より精製される植物油の40%~50%を占める構成成分であり脂肪酸の一種である。「エルカ酸」と名のつく成分には、「エルカ酸オクチルドデシル」エルカ酸、オクチルドデカノールこれらのエステルで、保護剤、油剤、閉塞剤として配合。「エルカ酸オレイル」エルカ酸、オレイルアルコールこれらのエステルで保護剤、油剤、閉塞剤として配合。「エルカ酸グリセリル」エルカ酸、グリセリンこれらのエステルで、乳化剤、エモリエント剤、合成界面活性剤として配合、等が挙げられる。
用途
化粧品に使用される成分「エルカ酸オクチルドデシル(EOD)」は、アメリカでは別名:合成ホホバ油と呼ばれているエステルである。「エルカ酸オクチルドデシル(EOD)」は、「2-オクチルドデカノール」、「天然油脂(ホホバ油)」に含まれている脂肪酸であるエルカ酸など、これらを結合した油のことである。これらの成分を化粧品に配合する場合には「油剤」、「閉塞剤」など、これらの目的で配合される。この成分を化粧品に配合することで、「肌にうるおいを与え保つ」、「肌を滑らかに整える」等といった効果が期待できる。「エルカ酸オクチルドデシル(EOD)」を使用した化粧品には、クリーム、ファンデーション、乳液、頭髪用化粧品等が挙げられる。
重合する性質と乾燥性があり、油彩画の結合剤に使われる。エルカ酸は容易に多くの有機化合物を形成する。したがって、重合が必要な有機基質に非常に適している。これは、特に写真用フィルムと紙をコーティングするエマルションの製造に便利である。多くの異なるエルカ酸化合物の複合混合物は一般に、カラーフィルムに用いられる。特に皮膚とヘルスケア製品のために、広く柔軟化粧水の製造に使われている。他の脂肪酸のように、界面活性剤に変換する。エルカ酸は摩擦学において特に優れた潤滑油である。エルカ酸アミドをプラスチックフィルムの製造に使うと、エルカ酸アミドがその表面に移動し隣接する同様のフィルムに接着する。
エルカ酸は高い熱量の脂肪酸であり、発火点が非常に低く、高いセタン価で、また、良好な潤滑性のためバイオディーゼルの有用な構成要素である。
オレイン酸とエルカ酸を4:1の割合で配合したもの(正確にはそれぞれのトリグリセリド)はLorenzo's Oilと呼ばれ、副腎白質ジストロフィーの実験的治療に使用される[1]。
エルカ酸に局所水素添加することにより、ベヘン酸に変換することができる。
脚注
- ^ 副腎白質ジストロフィー 診断・治療指針 (財)難病医学研究財団/難病情報センター
脂肪:主な脂肪酸 |
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飽和脂肪酸
(「*」印は揮発性)
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C1 蟻酸* - C2 酢酸* - C3 プロピオン酸* - C4 酪酸* - C5 吉草酸 - C6 カプロン酸 - C7 エナント酸 - C8 カプリル酸 - C9 ペラルゴン酸 - C10 カプリン酸 - C11 ウンデシル酸 - C12 ラウリン酸 - C13 トリデシル酸 - C14 ミリスチン酸 - C15 ペンタデシル酸 - C16 パルミチン酸 - C17 マルガリン酸 - C18 ステアリン酸 - C19 ノナデシル酸 - C20 アラキジン酸 - C21 ヘンイコシル酸 - C22 ベヘン酸 - C23 トリコシル酸 - C24 リグノセリン酸
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不飽和脂肪酸
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ω-3脂肪酸
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α-リノレン酸 - ステアリドン酸 - エイコサペンタエン酸 - ドコサペンタエン酸 - ドコサヘキサエン酸
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ω-6脂肪酸
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リノール酸 - γ-リノレン酸 - ジホモ-γ-リノレン酸 - アラキドン酸 - ドコサペンタエン酸
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ω-7脂肪酸
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パルミトレイン酸 - バクセン酸 - パウリン酸
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ω-9脂肪酸
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オレイン酸 - エライジン酸 - エルカ酸 - ネルボン酸
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ガスクロマトグラフィーによるナタネ(Brassica napus)種子1粒中のエルカ酸含有量の測
- 木下 明美,山本 公平,宮谷 秀一,芝原 章
- 日本食品化学学会誌 11(3), 158-162, 2004-12-30
- … エルカ酸(cis-13-docosenoic acid)は、十字花植物に属するナタネ(Brassica napus)の種子油中に含有される特徴的な脂肪酸である。 …
- NAID 110007367304
- エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸ポリグリセリルの機能性について
Related Links
- エルカ酸(エルカさん、Erucic acid、エルシン酸と記載されることもある)は、一価不飽和のω-9脂肪酸で、22:1 ω-9と表現される。ナタネの種、アラセイトウの種、カラシの種から作られる植物油の脂肪酸 残基の40-50%をエルカ酸残基は構成 ...
- ダイヤミッド®L-200は精製エルカ酸アマイド(アミド)で、少量の添加で合成樹脂、合成ゴム、顔料、インキ、感熱紙の加工性改良及び製品の表面改質に大きな効果を発揮します。
- 栄養・生化学辞典 - エルカ酸の用語解説 - C22H42O2 (mw338.58). ドコサエン酸ともいう.ナタネ油に含まれる脂肪酸の一つ.生体に有害で,キャノーラ種というこの脂肪酸の少ない品種が開発されている.
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- adrenoleukodystrophy, ALD
- 同
- 副腎脳白質ジストロフィー、副腎白質萎縮症
- 汎発性軸索周囲性脳炎 encephalitis periaxiallis diffusa
- 関
- シルダー病
まとめ
- 中枢神経系の脱髄、副腎皮質機能不全、極長鎖脂肪酸の蓄積が特徴のX連鎖劣性遺伝疾患である。男子数万人に1人に発症するとされる。原因遺伝子はペルオキシソーム膜に存在する膜タンパク質(ALDP)をコードする遺伝子(ALD gene, Xq28)の異常による。病理組織では大脳白質の脱髄・硬化像、血管周囲の単核球浸潤などの炎症所見が見られる。大脳白質のマクロファージや副腎皮質細胞に極長鎖脂肪酸含む層状構造物が認められる。病型には小児ALD、副腎脊髄神経障害、成人大脳型、小脳脳幹型、副腎不全型などがある。小児ALDが最も多くALDの約半分を占める。経過は3-12歳頃に性格・行動変化、学習障害、視力及び聴力障害を初期症状として発症、四肢麻痺・除皮質状態へと急速に進行する。副腎皮質機能障害が認められることが多く、ACTH上昇による黒皮症がみられうる。検査では血清中にC24-26:0の極長鎖脂肪酸の増加がみられ、MRIではT2強調画像にて後頭葉・頭頂葉白質の脱髄が認められる。遺伝子検査でALD遺伝子の異常が認められる。治療は病初期に骨髄移植を行うことで神経症状の進行が防止可能である。オレイン酸(C18:1)とエルカ酸(C22:1)を4:1に含むLorenzo油の服用が推奨されている。(PED.300 SPE.182 YN.J-115)
概念
病因
- ALD遺伝子(Xq28)の異常。ペルオシキソーム膜に存在する膜タンパクをコードしている。(YN.J-115 SPE.182)
遺伝形式
病理
- 血管周囲にリンパ球浸潤、貪食細胞出現 (YN.J-115)
症候
- 5-10歳頃に、皮膚・粘膜の色素沈着で発症し、進行性の知能低下、歩行障害、皮質性視力障害を来たし、ついには痙性対麻痺、除皮質状態となる。(YN.J-115)
- 3-12歳頃に、行動変化、学習障害、大脳皮質性の視力障害や聴力障害などで発症し、四肢麻痺へと至る。種々の程度の副腎皮質機能障害を呈する。(SPE.183)
診断
- 血清中のC24:0,C25:0,C26:0などの極長鎖脂肪酸の増加を見る。ALD遺伝子の変異を見る。
検査
- 病初期に、後頭葉を中心とする左右対称性の脱髄を認める。造影により脱髄巣周囲が増強される
治療
- SPE.183
- 根治療法無し
- 病初期に骨髄移植を行うと神経症状の進行が予防可能
- 血中極長鎖脂肪酸を下げるために、Lorenzo油(オレイン酸(C18:1):エルカ酸(C22:1)=4:1)の服用が進められている
予後
[★]
- 英
- Lorenzo's oil
- 関
- ロレンツォ油、副腎白質ジストロフィー
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義