- 英
- cryptococcosis
- 同
- クリプトコックス症、ブッセ-ブシュケ病 Busse-Buschke disease
- 関
- クリプトコッカス属、真菌
特徴
病原体
疫学
病型
潜伏期間
感染経路
症状
合併症
経過
治療
検査
- 髄液や血清中の莢膜多糖抗原(glucuronoxylomannan)を検出する血清診断は感度・特異度ともにすぐれる。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/17 15:48:08」(JST)
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クリプトコッカス症(クリプトコッカスしょう、英: cryptococcosis)とはクリプトコッカス属に属する酵母様真菌の感染を原因とする人獣共通感染症。ヒト、イヌ、ネコなどに感染する。主にCryptococcus neoformansによる呼吸器症状が認められる。クリプトコッカス属は空気中や土壌、植物などの環境中に広く分布する。
免疫抑制状態、通常であればその免疫力によって増殖が抑えられている病原性の低い常在細菌が増殖し、その結果として病気を引き起こすことがある日和見感染症の一つとして知られている。
目次
- 1 臨床所見
- 2 関連項目
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
臨床所見
100万人につき年間2人- 9人の患者発生率で、致命率は約12%[1]。アメリカ合衆国では、患者の85%が、HIV感染者から発生している。
症状
- 病原体を吸い込み、肺で感染することが多いが、不顕性感染の場合もある。
- 鼻汁の排泄、鼻孔に肉芽腫。病原体が肺から移動し、髄膜炎、脳炎を起こす。クリプトコッカス性髄膜炎の症状は、頭痛、発熱、無気力、昏睡、人格変化、記憶障害。
診断
- 分泌物などの検査材料に墨汁染色を施し、莢膜を有する酵母様真菌を確認する。
- 組織と体液(血液、髄液)からの抗体検出。
治療
- アムホテリシンB、フルコナゾールなどの抗真菌剤
関連項目
脚注
- ^ “横浜市衛生研究所:クリプトコッカス症について”. 2012年10月20日閲覧。
参考文献
- 高島郁夫、熊谷進 『獣公衆衛生学』 (第3版) 文永堂出版、2004年。ISBN 4830031980。
外部リンク
- “メルクマニュアル家庭版, クリプトコッカス症 197 章 真菌による感染症”. 2012年10月20日閲覧。
- 原発性肺クリプトコッカス症の2例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.60 (1999) No.10 P2628-2631
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Japanese Journal
- 症例 ネフローゼ症候群を基礎疾患とした限局性皮膚クリプトコッカス症の1例
- 症例報告 皮膚生検を契機に診断しえた播種性クリプトコッカス症の1例
- 臨床報告 肺クリプトコッカス症の近傍に甲状腺癌微小肺転移を認めた1例
- 吉富 誠二,池田 英二,森山 重治 [他]
- 臨床外科 = Journal of clinical surgery 69(4), 489-493, 2014-04
- NAID 40020063768
- 27.健常者に発症し器質化肺炎と鑑別を要した肺クリプトコッカス症の1例(第22回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)
- 阪本 智宏,小谷 昌広,唐下 泰一,牧野 晴彦,中本 成紀,伊藤 静香,倉井 淳,泉 大樹,岡田 健作,千酌 浩樹,井岸 正,清水 英治
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 36(2), 210, 2014-03-25
- NAID 110009807566
Related Links
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- クリプトコッカス症(cryptococcosis)は、日本語ではクリプトコックス症と呼ばれる こともあります。似た病名にクリプトスポリジウム症がありますが、クリ プトスポリジウム症は、クリプトスポリジウムという病原体による感染症で、 クリプトコッカス症とは ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fungus, (pl.)fungi
- 同
- かび、菌類 Mycota
- 関
- 微生物学、真菌症、抗真菌薬
細菌、真菌、藻類、原虫
- いずれも単細胞生物
- 細菌は核を持たないが、それ以外は核を持つ
- 細胞壁の多糖:細菌はペプチドグリカンなど。真菌はβグルカン、キチン。藻類はセルロース。原虫は細胞壁を持たない
- 栄養獲得様式:藻類は光合成独立栄養生性。
大きさ
細胞膜
細胞壁
線維状多糖
- 細胞壁の骨格となる
- キチンとβ-グルカンからなる。
- 特殊な多糖にキトサンがある
- グルコースのホモ重合体
- β(1→3)結合、β(1→6)結合
- 酵母では細胞壁成分にβ-1,3-グルカンが多い
糖タンパク質
形態による分類
- Coccidioides immitis
- Histoplasma capsulatum
- Sporothrix schenckii
- Candida albicans
培養と感染組織における形態
菌糸の構造
- 接合菌などの下等真菌にのみ見られる
菌糸の機能
-
生殖方式による分類
有性生殖と無性生殖
-
有性胞子形成
無性胞子形成
培養
種類
真菌の染色法(SMB.358)
- 細胞壁の多糖を染色:コットンブルー(cotton blue)、グラム染色(全ての真菌はグラム陽性)
- 真菌細胞壁多糖を特異的に染色:PAS染色、Grocottメテナミン銀染色、ファンギフローラY
参考
病原体としての真菌
[★]
- 英
- fever of unknown origin FUO
- 同
- 原因不明熱
- 関
- 発熱、体温
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
定義
- 3週間以上の発熱。38.3℃以上、1週間の入院精査でも原因不明
鑑別疾患
3大疾患
- 1. 感染症(深部腫瘍、心内膜炎、結核、寄生虫、腸チフスなど)
- 2. 悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病など)
- 3. 膠原病(血管炎、側頭動脈炎、成人still病など)
- 4. その他:薬剤性など
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- (各種病原体)感染性心内膜炎、骨髄炎、伝染性単核球症、副鼻腔炎、齲歯
- (細菌)結核、腸チフス、リケッチア感染症
- (ウイルス)HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症
- (真菌)ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス症
- (寄生虫)マラリア
- UCSF.44
- 感染症26%, 腫瘍13%, 非感染性炎症疾患24%
- 感染症:背臥位結核、心内膜炎、膿瘍(肝臓、脾臓、腎臓、後腹膜、骨、脳、耳、脊椎)、HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ感染症、その他(尿路感染症、副鼻腔、骨髄炎)、入院患者(尿路感染、カテーテル感染症、偽膜性腸炎、褥瘡、蜂窩織炎)
- 腫瘍:悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝癌、心房粘液腫、VAHS(ウイルス関連性血球貪食症候群)、LAHS(リンパ腫関連性血球貪食症候群)
- 非感染性炎症疾患:成人スティル病、SLE(全身性エリテマトーデス)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)/多発性結節性動脈周囲炎(PN)/高安病、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- その他:薬剤熱、詐熱、肺塞栓症/深部静脈血栓症、脊椎損傷/頭蓋内疾患、副腎機能不全/甲状腺機能亢進症、家族性地中海熱、組織球性壊死性リンパ節炎(菊地病)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編 p.53
- 不明熱の最終診断
診断
|
診断診断例 n=192
|
早期診断例 n=67
|
中期診断例 n=38
|
後期診断例 n=87
|
感染症
|
|
57(29.7)
|
25(37.3)
|
12(31.6)
|
20(23.0)
|
細菌性
|
|
43
|
1.8
|
8
|
17
|
心内膜炎
|
11
|
9
|
1
|
1
|
結核
|
8
|
0
|
0
|
8
|
尿跨感染症(1)
|
6
|
3
|
1
|
2
|
腹腔内膿瘍
|
5
|
2
|
2
|
1
|
骨・関節感染
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他の細菌感染
|
9
|
2
|
3
|
4
|
ウイルス性
|
|
10
|
5
|
3
|
2
|
CMV
|
6
|
2
|
3
|
1
|
EpsteinーBarrウイルス
|
3
|
3
|
0
|
0
|
HIV
|
1
|
0
|
0
|
1
|
寄生虫性(2)
|
|
4
|
2
|
1
|
1
|
悪性新生物
|
|
29(15.1)
|
5(7.5)
|
6(15.8)
|
18(20.7)
|
血液疾患
|
|
22
|
2
|
6
|
14
|
非Hodgkinリンパ腫
|
9
|
0
|
2
|
7
|
Hodgkin病
|
5
|
1
|
1
|
3
|
白血病
|
6
|
0
|
3
|
3
|
血管免疫芽球性リンパ酔症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
固形癌
|
|
7
|
3
|
0
|
4
|
腺癌
|
5
|
2
|
0
|
3
|
その他(3)
|
2
|
1
|
0
|
1
|
非感染性炎症性疾患
|
|
68(35.4)
|
22(32.8)
|
.6)
|
34(39.1)
|
結合織疾患
|
|
35
|
15
|
6
|
14
|
成人Still病
|
18
|
5
|
4
|
9
|
SLE
|
8
|
5
|
1
|
2
|
リウマチ性多発性筋痛症
|
3
|
3
|
0
|
0
|
関節リウマチ
|
2
|
0
|
0
|
2
|
Sjogren症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
その他(4)
|
2
|
1
|
1
|
0
|
血管炎症候群
|
|
19
|
5
|
3
|
11
|
巨細胞性動脈炎
|
11
|
4
|
3
|
4
|
Wegener肉芽腫症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
結節性多発性動脈炎
|
2
|
0
|
0
|
2
|
その他(5)
|
4
|
0
|
0
|
4
|
肉芽腫性疾患
|
|
14
|
2
|
3
|
9
|
サルコイドーシス
|
10
|
0
|
2
|
8
|
Crohn病
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他
|
|
39(18.1)
|
15(22.4)
|
8(21.1)
|
15(17.2)
|
亜急性甲状腺炎
|
6
|
3
|
1
|
2
|
Addison病
|
2
|
0
|
1
|
1
|
心筋梗塞後症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
肺動脈塞栓症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
習慣性高体温症
|
11
|
6
|
3
|
2
|
薬剤熱
|
4
|
3
|
0
|
1
|
詐熱
|
1
|
1
|
0
|
0
|
その他(6)
|
10
|
0
|
3
|
7
|
- 数値は症例数で( )内は比率. %表示
- 1) 膿瘍を除く実質感染
- 2) マラリア(2例)、ジアルジア症、トリパノソーマ症を含む
- 3) germinoma, hypernephromaを含む
- 4) Reiter症候群, 多発性筋炎を含む
- 5) Behcet病, Schönlein-Henoch紫斑病, Schnitzler症候群, 分類不能型血管炎を含む
- 6) Sweet症候群, 原発性硬化性胆管炎, アルコール性肝炎, 出血を伴う巨大肝血管腫, 間質性肺炎, 特発性胸膜心膜炎, 特発性好酸球増多症候群, リンパ節の炎症性偽腫瘍, 後腹膜線維症, 線状IgA水疱症
- (Vanderschueren S. Knockaert D. et al. : From prolonged febrile illness to fever of unknown origin: the challenge continues. Arch Intern Med. 2003 : 163 : 1033-1041)
診断
問診
- 既往歴、家族歴、職業歴、旅行歴、薬剤歴、sick contact、動物との接触、同性とのまたはハイリスクな性的接触の有無、現病歴と発熱パターン、輸血歴
診察
- リンパ節腫脹、肝脾腫、心雑音、圧痛
- 培養
- 胸部XP
- 抗核抗体,C3,C4,RF,赤沈
- 抗HIVコウタイ
- 皮膚生検
- ツベルクリン反応/クオンティフェロン
- 腹部エコー
- 造影CT
- 心エコー:心内膜炎を最も疑えば経食道心エコーを。
- ガリウムシンチ
- 骨髄生検
- 腰椎穿刺
- 頭部CT
- 大腸ファイバー
- 肝生検
[★]
- 英
- mycosis, mycotic disease
- 同
- 真菌感染症 fungal infection、真菌感染
- 関
- 真菌、抗真菌薬
-
-
代表的な真菌症 CBT QB vol2 p.193
[★]
- 関
- 空洞形成、空洞
空洞性肺病変の鑑別
- IRE.527
- 肺化膿症で実質の破壊が進展し膿が貯留して肺膿瘍を形成する。この場合にも空洞性肺病変を生じうる。
[★]
- ラ
- Cryptococcus neoformans, C. neoformans
- 同
- Filobasidiella neoformans、クリプトコッカス・ネオフォルマンス
- 関
- クリプトコッカス症
- 厚い莢膜
- 不完全菌酵母
- 担子菌
- 感染組織内、培地でも莢膜を持つ単細胞(酵母)として増殖
- 中枢神経系に強い親和性を有する。
分布
- ミルク、加重、健常者の皮膚、消化管
- 土壌特にハトその他の鳥類、コアラの糞などで汚染された土壌に豊富に存在
分離培養
染色
感染症
- 感染経路は空気感染 → 肺クリプトコッカス症
- 細胞免疫能低下患者 → 髄膜や脳に二次感染
- HIV患者では高頻度にクリプトコッカス髄膜炎
参考
[★]
- 英
- pulmonary cryptococcosis
- 同
- 肺クリプトコックス症
- 関
- クリプトコッカス症、クリプトコッカス属、クリプトコッカス性肺炎
[show details]
概念
病型
- 原発性:健常人の発症。若年者で多い。
- 続発性:易感染性宿主(AIDS、糖尿病、腎疾患、膠原病、ステロイドなどの免疫抑制薬内服中)
症状
- いろいろ
- 原発性:無症状
- 続発性:発熱、倦怠感、咳嗽、喀痰、呼吸困難などを認める。
検査
- 空洞を伴う結節性陰影、浸潤性陰影(健康人に発症する場合は結節影、易感染性宿主に発症する場合は浸潤影をとりやすい)
- 下肺野に多く認める。
- 胸膜から数cm離れた肺の末梢に結節影を認める。撒布像、スピキュラ、胸膜陥入像を認めることが多く、肺癌・肺結核との鑑別は困難。
- 経気管支肺生検:検体をGrocott染色にて茶褐色に染まるクリプトコッカスを認める。
診断
- 菌の分離
- 血清中の抗原検出
- 確定診断のためには、経気管支肺生検や気管支肺胞洗浄液で得た組織・洗浄液から、菌体を染色(PAS染色,Grocott染色,ムチカルミン染色)や培養でその存在を証明することである。
鑑別診断
- 肺結核、肺癌(肺腺癌、空洞を伴うことがあるので肺扁平上皮癌)、ヒト肺犬糸状虫症
治療
- 抗真菌薬に対する感受性は高い。フルコナゾールは髄液移行性が高い。
- アゾール系抗真菌薬:フルコナゾール(FLCZ)、ミコナゾール(MCZ)、イトコナゾール(ITCZ)
- アムホテリシンB(AMPH)
- フルシトシン(5-FC)
参考
- 1. (1→3)-β-D-グルカン/臨床検査の三菱化学メディエンス
- http://data.medience.co.jp/compendium/main.asp?field=06&m_class=01&s_class=0031
[★]
- 英
- cerebral cryptococcosis
- 関
- クリプトコッカス髄膜炎、クリプトコックス性髄膜炎、脳クリプトコックス症
[★]
- 英
- disseminated cryptococcosis
- 同
- 全身性クリプトコッカス症 systemic cryptococcosis
- 関
- クリプトコッカス症
[★]
- 英
- central nervous system cryptococcosis, CNS cryptococcosis
- 関
- クリプトコッカス症
[★]
- 英
- systemic cryptococcosis
- 関
- 播種性クリプトコッカス症
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
クリプトコッカス属