出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/30 19:35:22」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
3-(10,11-dihydro-5H-dibenzo''a'',''d'' cycloheptene-5-ylidene)-N, N-dimethyl-1-propanamine | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 | 経口 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 30–60%(初回通過代謝による) |
血漿タンパク結合 | > 90% |
代謝 | 肝臓 CYP2C19, CYP1A2, CYP2D6 |
半減期 | 10–50時間、平均15時間 |
排泄 | 腎臓 |
識別 | |
CAS番号 | 50-48-6 |
ATCコード | N06AA09 |
PubChem | CID 2160 |
DrugBank | APRD00227 |
ChemSpider | 2075 |
KEGG | D07448 |
化学的データ | |
化学式 | C20H23N |
分子量 | 277.403 g/mol |
SMILES
|
アミトリプチリン(Amitriptyline)は、抗うつ薬、睡眠導入剤として用いられる有機化合物の一種。分子式は C20H23N。水、エタノール、酢酸に溶けやすくジエチルエーテルに溶けにくい。苦く麻痺性がある。
脳内においてノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを抑制し、シナプス領域のモノアミンが増量することにより、抗うつ作用を示す。
三環系抗うつ薬の一種で、アミトリプチリン塩酸塩は、日医工(2010年12月27日、萬有製薬→MSDより、製造販売権利を継承[1])よりトリプタノール®、アステラス製薬(もとは、藤沢薬品工業を吸収合併した山之内製薬の商品)からラントロン®、沢井製薬からノーマルン®という商品名で発売されている。うつ病・うつ状態、不眠症、夜尿症の治療薬に使用される。適応症ではないが線維筋痛症にも用いられることがある。いずれの製品も、10mg錠と25mg錠とがある。
トリプタノールについては後発医薬品が発売されているが、ラントロンおよびノーマルンについては、トリプタノールとは一部成分が異なることから、先発薬扱いとされており、この2社(アステラスのラントロン、沢井のノーマルン)に関する後発薬は特許期限が到達していないことから発売されていない(後発医薬品に変更不可となっていなくとも、この3つの間では相互に変更することは不可となっており、薬局側の事情でやむなく変更を要する場合は、処方医師の判断を要する)。
抗コリン作用が強く、口渇・便秘・めまい・眠気・排尿障害などの三環系抗うつ薬にありがちな副作用が強く現れやすい。
ただ、効果も高いとされているので、他の抗うつ薬で思わしい効果が出ない場合に処方されやすい。
獣医学領域ではイヌの分離不安症の治療に使用される。
アミトリプチリンは、うつ病・不安障害・注意欠陥多動性障害・偏頭痛の予防・摂食障害・双極性障害・ポスト神経痛・不眠症などに用いられる[2]。
主に、上述の用途から神経科・精神科などで処方されるケースが多いが、神経内科や脳神経外科では、頭痛薬服用に起因する頭痛(薬物乱用頭痛)の緩和、それにともなう頭痛薬の断薬などを目的に処方されるケースもある。
アミトリプチリンの断薬は徐々に行う必要があり、それは全体で3ヶ月を超えてはいけない(It should be gradually withdrawn at the end of the course, which overall should be of no more than three months)[3]。
ランダム化比較試験において、有痛性糖尿病性神経障害に対し、アミトリプチリン、デュロキセチンおよびプレガバリンの三者は同等の効果がみられた。[4]。
うつ病 および うつ状態に対する一般臨床試験では、有効率60. 9%(357/586例)を示した。
夜尿症に対する一般臨床試験では、有効率75. 0%(379/505例)を示した[5]。
抗うつ作用に関する詳細な作用機序は明らかにされていないが、脳内におけるノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込みを抑制する結果、シナプス領域にこれらモノアミン量が増量することにより、抗うつ作用を示すと考えられている。
アミトリプチリンは、ラット脳においてノルアドレナリンの再取り込み、およびマウス脳切片でのセロトニンの再取り込みを抑制することが確認されている。
また、レセルピン及びテトラベナジンに対する拮抗作用があり、アミトリプチリンはマウスにおいて、レセルピンによる体温降下、およびテトラベナジンによる鎮静作用を抑制する。
加えて、麻酔イヌにおけるノルアドレナリンの昇圧反応を、アミトリプチリンは増強する[5]。
うつ病・うつ状態の場合、通常、アミトリプチリン塩酸塩として成人に1日30~75mgを初期用量として、最大1日150mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。
不眠症、夜尿症の場合、アミトリプチリン塩酸塩として1日10~30mgを就寝前に経口投与する。なお年齢や症状により適宜減量する。
先発薬3種のうち、トリプタノールについては次の後発医薬品が発売されている。
[ヘルプ] |
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
トリプタノール錠10
リンク元 | 「精神神経用剤」「片頭痛治療薬」「リン酸水素カルシウム」「アミトリプチリン」 |
関連記事 | 「トリ」 |
.