- 英
- mitral valve (Z), MV
- 同
- 左房室弁 left atrioventricular valve, 二尖弁 bicuspid valve
- 関
- 三尖弁、僧帽弁閉鎖不全
- 左心房と左心室の間の弁
- 左心房と左心室の間の左房室口に存在する弁で、血液の左心室から左心房への逆流を防止する機能がある。
- 正常弁口面積 4cm2以上 ← 弁口面積<1.5cm2で僧帽弁狭窄症を発症
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
臨床関連
- 疾患
- 異常所見
- 僧帽弁収縮期異常後方運動(Mモードにおける拡張後期の僧帽弁の後方への偏位):僧帽弁逸脱症の所見とされたが非特異的である。
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/10/02 06:47:26」(JST)
[Wiki ja表示]
僧帽弁 |
ヒトの心臓の構造
右上に僧帽弁が示されている
|
ラテン語 |
valva atrioventricularis
sinistra, valva mitralis |
英語 |
Mitral valve |
僧帽弁(そうぼうべん、英: mitral valve, 羅: valva mitralis)とは、心臓の左心房と左心室の間にある弁である。その形状がカトリックの司教冠に似ているとして命名された。二尖弁、左房室弁ともいう。
目次
- 1 機能
- 2 構造
- 3 僧帽弁の疾患
- 4 外部リンク
機能[編集]
僧帽弁は、左心房が収縮すると同時に開いて左心室へと血液を送り込み、また左心室が収縮すると同時に閉じて左心房へ血液が逆流しないように働いている。
構造[編集]
僧帽弁は前尖と後尖と呼ばれる二つの弁尖から成っている。このことは、心臓にある他の三弁、すなわち三尖弁、大動脈弁、肺動脈弁が全て三つの弁尖から成っていることと比較して特徴的である。そのため、二尖弁とも呼ばれる。 弁の先端は左心室側にあり、先端からヒモ状の腱索が出て心室壁の乳頭筋と繋がっている。弁は左心室側に開くが、閉じる際には弁が左心房側に反転しないように乳頭筋が伸縮し、腱索の緊張を起こす。
僧帽弁の疾患[編集]
- 僧帽弁逸脱症(MVP)
- 僧帽弁狭窄症(MS)
- 僧帽弁閉鎖不全症(MR)
外部リンク[編集]
循環器系の正常構造・生理 |
|
心臓 |
肉眼解剖
|
基本構造
|
左心
|
左心房 - 僧帽弁 - 左心室 - 大動脈弁
|
|
右心
|
右心房 - 三尖弁 - 右心室 - 肺動脈弁
|
|
心房中隔 - 心室中隔 - 卵円窩 - - 乳頭筋 - 腱索
|
|
|
冠動脈系
|
バルサルバ洞 - 冠動脈 - 右冠動脈 - 左冠動脈前下行枝 - 左冠動脈回旋枝
|
|
刺激伝導系
|
洞結節 - 房室結節 - ヒス束 - プルキンエ線維
|
|
|
顕微解剖
|
心内膜 | 心筋 | 介在板 | ギャップ結合 | 心膜
|
|
生理学
|
電気
|
心電図 | P波 | PQ時間
|
|
物理
|
心雑音 | 心拍数 | 心拍出量 | ベインブリッジ反射 | スターリングの法則 | 血圧反射機能
|
|
|
生化学
|
ANP | BNP | エンドセリン | 昇圧剤 | 高血圧治療薬 | アドレナリン作動薬
|
|
|
血管 |
肉眼解剖
|
動脈系
|
大動脈
|
上行大動脈 - 大動脈弓 - 胸大動脈 - 下行大動脈 - 腹部大動脈 - 総腸骨動脈
|
|
頭頸部の動脈 |
|
総頸 |
外頸
|
上甲状腺
|
上喉頭 · 胸鎖乳突筋枝 · 舌骨下枝 · 輪状甲状枝 · 腺枝
|
|
上行咽頭
|
後硬膜 · 咽頭枝 · 下鼓室
|
|
舌
|
舌骨上枝 · 舌背枝 · 舌深 · 舌下
|
|
顔面
|
頸枝 (上行口蓋, 扁桃, オトガイ下, 腺枝) · 顔枝 (下唇, 上唇 / 鼻中隔, 外側鼻, 眼角)
|
|
後頭
|
胸鎖乳突筋 · 硬膜 · 後頭枝 · 耳介 · 下行枝
|
|
後耳介
|
茎乳突孔 · アブミ骨枝 · 耳介枝 · 後頭枝
|
|
浅側頭
|
顔面横 · 中側頭 (頬骨眼窩) · 前耳介枝 · 前頭枝 · 頭頂枝
|
|
顎
|
1st part: 前鼓室 · 深耳介 · 中硬膜 (上鼓室, 岩様部枝) · 副硬膜 · 下歯槽 (オトガイ, 顎舌骨筋)
2nd part: 咀嚼筋 (深側頭, 翼突筋枝, 咬筋) · 頬
3rd part: 後上歯槽 · 眼窩下 (前上歯槽) · 下行口蓋 (大口蓋, 小口蓋) · 翼突管 · 蝶口蓋 (後鼻中隔枝, 外側後鼻)
|
|
|
内頸
|
頸部
|
頸動脈洞
|
|
錐体部
|
翼突管 · 頚鼓
|
|
海綿静脈洞部/
眼
|
眼窩: 後篩骨 · 前篩骨 (前鼻中隔枝, 外側前鼻枝, 前硬膜枝) · 涙腺 (外側眼瞼) · 内側眼瞼 · 末端 (眼窩上, 滑車上, 鼻背)
目: 網膜中心 · 毛様体 (短後毛様体, 長後毛様体, 前毛様体) · 下垂体 (上下垂体, 下下垂体)
|
|
大脳動脈輪
|
前大脳 (前交通, 前内側視床線条体) · 中大脳 (前外側視床線条体, 眼窩前頭, 前頭前, 上皮質枝, 下皮質枝, 前側頭葉) · 後交通 · 前脈絡叢
|
|
|
|
鎖骨下 |
椎骨
|
硬膜枝 · 脊髄 (後脊髄, 前脊髄) · 脳底: 橋 · 迷路 · 小脳 (後下小脳, 前下小脳, 上小脳) · 大脳 (後大脳)
|
|
甲状頸
|
下甲状腺
|
下喉頭 · 気管枝 · 食道枝 · 上行頸 · 咽頭枝 · 腺枝
|
|
頸横
|
浅枝 · 背側肩甲
|
|
肩甲上
|
肩峰枝
|
|
|
肋頸
|
深頸 · 最上肋間
|
|
|
|
上肢
|
鎖骨下動脈 - 腋窩動脈 - 上腕動脈 - 浅掌動脈弓 - 深掌動脈弓
|
|
胸部
|
胸部大動脈 - 食道動脈 - 肋間動脈 - 上横隔動脈 - 気管支動脈
|
|
腹部
|
腹部大動脈 - 下横隔動脈 - 腹腔動脈 - 上腸間膜動脈 - 腎動脈 - 下腸間膜動脈 - 腰動脈
|
|
下肢
|
外腸骨動脈 - 大腿動脈 - 膝窩動脈 - 前脛骨動脈 - 後脛骨動脈 - 腓骨動脈 - 足背動脈 - 弓状動脈
|
|
|
静脈系
|
大静脈
|
上大静脈系
|
腕頭静脈 - 鎖骨下静脈 - 静脈角 - 内頸静脈
|
|
下大静脈系
|
総腸骨静脈 - 外腸骨静脈 - 大腿静脈
|
|
|
頭頸部の静脈・静脈洞 |
|
外頸 |
下顎後: 顎 · 浅側頭 (前耳介)
後耳介
頸横 - 肩甲上 - 前頸 (頸静脈弓)
|
|
内頸 |
板間/脳
|
大脳: 上大脳 · 浅中大脳 · 下大脳 · 大大脳 · 内大脳 (脳底, 上視床線条体)
小脳: 上小脳 · 下小脳
静脈洞交会: 上矢状 · 直 (下矢状) · 後頭
海綿: 蝶形骨頭頂 · 海綿間
上眼 (篩骨, 網膜中心, 鼻前頭) · 下眼 · 渦
内頸: S状: 横 (側頭錐体鱗部) · 上錐体
下錐体 (脳底静脈叢, 内耳) · 顆導出
|
|
その他
|
総顔面 · 顔面 (前頭葉, 眼窩上, 眼角, 上唇, 下唇, 深顔面) · 翼突筋
舌 (舌背, 舌深, 舌下) · 咽頭 · 甲状腺 (上甲状腺/上喉頭, 中甲状腺)
|
|
|
椎骨静脈 |
後頭葉 (後頭導出) · 後頭下
深頸
|
|
腕頭 |
下甲状腺 (下喉頭) - 胸腺
|
|
|
上肢
|
上腕静脈 - 橈側皮静脈 - 尺側皮静脈 - 前腕正中皮静脈 - 橈骨静脈 - 尺骨静脈
|
|
胸部
|
奇静脈 - 半奇静脈 - 副半奇静脈 - 気管支静脈
|
|
腹部
|
肝静脈 - 腎静脈
|
|
下肢
|
大伏在静脈 - 膝窩静脈 - 小伏在静脈 - 前脛骨静脈 - 後脛骨静脈 - 足背静脈弓
|
|
|
肺循環系
|
肺動脈 - 肺静脈
|
|
肝循環系
|
肝門脈 - 下垂体門脈
|
|
腎循環
|
腎動脈 - 輸入細動脈 - 糸球体 - 輸出細動脈 - 腎静脈
|
|
|
顕微解剖
|
血管内皮
|
|
生理学
|
圧受容器 | 頚動脈洞反射 | 脈波伝播速度 | 傍糸球体装置
|
|
生化学
|
レニン-アンジオテンシン系 | 血管内皮細胞増殖因子 | 内皮由来弛緩因子
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 心不全におけるあらたな治療法の開発状況 : 医薬品・医療機器 (第5土曜特集 循環器病学における臨床研究 : いかに確実に臨床に還元するか) -- (循環器臨床研究の展望)
- 僧帽弁弁下構造に基づいた機能性僧帽弁逆流に対する外科治療 : 術中三次元経食道エコー図の役割(1.心エコー図診断の最新の知見と新たな展開,<特集II>第76回日本循環器学会学術集会)
- プライマリケア・マスターコース Dr.徳田のフィジカル診断講座(9)僧帽弁狭窄症(mitral stenosis ; MS)
- 心臓外科におけるロボット支援手術 (特集 ロボット支援手術の未来)
Related Links
- 僧帽弁(そうぼうべん、英: mitral valve, 羅: valva mitralis)とは、心臓の左心房と左 心室の間にある弁である。その形状がカトリックの司教冠に似ているとして命名された。 二尖弁、左房室弁ともいう。
- 僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜん、英: mitral insufficiency, MI, mitral regurgitation, MR)は、僧帽弁の弁閉鎖機能の障害(僧帽弁の硬化、短縮など)により 弁が完全に閉じなくなり、左心室収縮期に血液が左心室から左心房に逆流する疾患。僧 帽弁 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、 37、 38の問いに答えよ。
- 69歳の女性。発熱を主訴に来院した。
- 現病歴: 2週前から 38℃台の発熱が出現し、非ステロイド性抗炎症薬を内服し、解熱と発熱とを繰り返していた。その後、徐々に食欲が減退し、最近 1週間は発熱時は 39℃を超えるようになった。かかりつけ医で胸部エックス線撮影と尿検査とを行い、異常を指摘されなかった。受診前日に 2回軟便があった。咽頭痛、咳、痰および排尿痛はない。
- 既往歴:高血圧症で治療中。
- 生活歴:海外渡航歴とペット飼育歴とはない。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。体温 38.4℃。脈拍 96/分、整。血圧 160/66 mmHg。呼吸数 20/分。 SpO2 96% ( room air)。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。項部硬直を認めない。心尖部に III /VIの汎〈全〉収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。脊椎棘突起の叩打痛を認めない。肋骨脊柱角に叩打痛を認めない。四肢に浮腫を認めない。経胸壁心エコー検査では僧帽弁の逆流と僧帽弁の疣贅とを認めた。
- 診断に有用な検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108H036]←[国試_108]→[108H038]
[★]
- 38歳の女性。労作時息切れを主訴に来院した。幼少時に先天性僧帽弁狭窄症と診断され、経過観察されていた。1年前から買い物で長時間歩くと息切れを自覚していた。最近は家事でも息切れを生じるようになってきた。今回、精査の結果で人工弁置換術を施行する予定となった。
- 人工弁の種類(生体弁または機械弁)の選択において考慮すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109G056]←[国試_109]→[109G058]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109B031]←[国試_109]→[109B033]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106B012]←[国試_106]→[106B014]
[★]
- 弁が閉鎖している状態で最も高い圧を受けるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096G036]←[国試_096]→[096G038]
[★]
- 英
- rheumatic fever, RF
- 同
- 急性関節リウマチ
- 関
- [[]]
- http://mymed.jp/di/ucm.html?PHPSESSID=2cc03d17984266cc113974b772d3934f
概念
病因
- A群β溶連菌の急性咽頭炎後 → (3-4週潜伏期) → A群β溶連菌との交差抗原性(M蛋白、多糖体 VS 心内膜、血管内皮細胞、脳細胞) ← II型アレルギーの機序によると考えられている
疫学
- 日本:著しく減少したが。開発途上国:主なリウマチ性疾患
- 5-15歳に好発。学童期に多い
病理
症状
- Jonesは森(心炎)林(輪状紅斑)で大きな(四肢の大関節から始まる)ブ(舞踏病)タ(多発性関節炎)に引っかけ(皮下結節)られた
- pancarditis, arthritis, chorea minor, erythema marginatum, subcutaneous nodule: PACES
- 心筋炎 :房室伝導障害
- 心内膜炎:僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症
- 心膜炎 :→心膜摩擦音(friction rub)聴取、心嚢液貯留
シデナム舞踏病、皮下結節、有縁性紅斑を認める。
- http://www.aafp.org/afp//AFPprinter/20050515/1949.html
症候スペクトル
診断
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
主症状
|
心炎
|
多関節炎
|
小舞踏病
|
輪状紅斑
|
皮下結節
|
副症状
|
臨床症状
|
関節痛
|
発熟
|
リウマチ熱、 あるいはリウマチ性疾患の既往
|
|
検査査所見
|
急性期反応 ESR↑、CRP↑、WBC↑
|
PR時間↑
|
|
先行するA群レンサ球菌感染の証拠
|
(関連抗体の高値または上昇、咽頭培養陽性または迅速反応陽性)
|
- 診断:先行するレンサ球薗感染が証明され、かつ主症状2項目以上または主症状1項目+副症状2項目以上
検査
治療
- 溶連菌治療にペニシリン、リウマチ性炎症抑制にサリチル酸剤ないし副腎皮質ステロイド剤、心炎抑制に副腎皮質ステロイド剤を用いる。
- 〔治療〕 急性期は安静臥床としサリチル酸剤を用い、心炎合併時には副腎皮質ホルモン剤を併用する。
- また、A群溶連菌に対し十分量のペニシリンを用い、治癒後も再発を防ぐために長期間予防的化学療法を行う。
予後
予防
一次予防
- 抗菌薬による溶連菌性扁桃炎の治療(10日間のペニシリン内服)
- 心炎合併例ではステロイド
二次予防
- 再発予防、弁膜症重症化の予防
- 再発から5年間経口ペニシリンの内服
[★]
- 英
- mitral insufficiency, MI, mitral valve insufficiency, mitral incompetence
- 同
- 僧帽弁逆流症 mitral regurgitation MR
- 僧帽弁閉鎖不全 mitral valve regurgitation
- 関
- 僧帽弁、心臓弁膜症
[show details]
僧帽弁閉鎖不全症 : 約 28,300 件
僧帽弁逆流症 : 約 44,300 件
mitral valve regurgitation : 約 870 件
mitral valve insufficiency : 55 件
疫学
分類
病因
- 僧帽弁は弁尖、弁輪、腱索、乳頭筋が一つの機能単位である(僧帽弁装置、僧帽弁複合体)。このいずれかの機能不全でもMRを生ずる。
- 参考1
-
- 原発性/腱索断裂/straight back症候群/漏斗胸
- 家族性/ Marfan 症候群/Ehlers-Danlos症候群
- 心房中隔欠損症/肥大型心筋症/甲状腺機能亢進症
- 虚血性心疾患
- 感染性心内膜炎
- 拡張型心筋症などの拡大心
- アミロイドーシス
器質的病変
- リウマチ熱
- 感染性心内膜炎、
- 心内膜床欠損症
- 僧帽弁逸脱症候群に合併するもの、Marfan症候群
- 腱索断裂、乳頭筋断裂、乳頭筋機能不全
- 外傷性
機能的病変
- 機能性MR:拡張型心筋症などによる心室拡大で乳頭筋が弁尖を牽引
- 虚血性MR:心筋梗塞により外側に乳頭筋が偏位
頻度順
病態
- 収縮期における血流逆流 → 容量負荷 → 左心房拡大、左心室拡大 → 肺うっ血、肺高血圧 → 右室拡大
- 左心不全 → 右心不全
急性MRと慢性MRとの違い
- PHD.205
- 急性MR:左房は比較的コンプライアンスが小さく、急激な血液の逆流により左房圧が上昇する。これにより逆流はある一定レベルに保たれるが、この圧上昇は肺循環に伝わり急激な肺うっ血、肺水腫をきたすので救急疾患である。左房圧やPCWPは上昇し、v波の著明な上昇が認められ、肺循環を維持するために肺動脈と右室圧も上昇する。
- 慢性MR:病態は緩徐に進行するので、これに対処できるよう左房は拡張し、またコンプライアンスを大きくする。左房は多くの血液を貯めることが出来、肺循環の血圧上昇を防ぐことを可能にしている。この反面、左心室の血流は体循環よりより抵抗の低い左心房に流れるようになり、心拍出量が低下することになる。また、左房の拡張は心室細動リスクを増大させる。左心室も容量負荷により拡張をきたすため、心拍出量を比較的維持できるようになっているが、やがて破綻し心不全症状を呈するようになる。
症状
- 軽症例では無症状
- 肺循環、右心系に負荷がかかれば呼吸困難、浮腫、易疲労性、肝腫大など
身体所見
聴診
心雑音
収縮期
- 時期:汎収縮期雑音。 ← 逆流性収縮期雑音 MRが進展すれば(advanced MR)、II音(正確にはA2)を越えて聴取されてしまう!!理由は大動脈弁が閉じた後にも、左心室の圧が左心房より高い状態が存在しえて、逆流が継続するから(PHD.41)。
- 最強点:心尖部
- 放散:左腋窩
拡張期
- Carey-Coombs雑音
- 時期:拡張期(III音に引き続いて聴取)
- 最強点:心尖部
過剰心音
- I音↓、II音 (PHでwidened splitting, IIpが遅延)、III音↑(volume load)、
検査
胸部X線像
- 左室拡大(左第四弓)、左房の拡張(左第三弓)、肺門部うっ血・肺動脈拡大(左第二弓)
心電図
心カテーテル検査
- 左室造影でSellerの逆流度分類による重症度の判定を行う。
- 肺動脈楔入圧の上昇 ← 左房圧上昇を反映
心エコー
- カラードプラーで逆流の重症度を判定。
- 左心房への逆流がモザイク像としてとらえられる
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=-ltcAj_Fv8Q</youtube>
診断
- カラードプラーか心カテーテル検査で、左心室から左心房への逆流を証明する
重症度の判定
- カテーテル造影を用いて、左室造影を行うことによる分類
治療 IMD.777
内科的治療
外科的治療
- 適応:心不全症状が薬物で改善しない場合、無症状でも高度の逆流(Sellers grade III)で左室が拡大傾向にあるもの
- 僧帽弁形成術(弁形成術(自己弁温存術式が第一選択))、僧帽弁置換術(人工弁置換術)
- 僧帽弁逆流の手術をうける患者のうち、手術適応となる原因の80-90%は弁尖や腱索の変性に因る逸脱症である。(参考1)
合併症
予後
参考
- 1. 弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_matsuda_h.pdf
[★]
- 英
- QT interval
- 関
- QT、補正QT、QT延長症候群
概念
- 心電図のQ波の開始点からT波の終了点までの時間。
- 生理:心室筋の収縮(脱分極)~心室筋の弛緩(再分極)
- おおまかには、僧帽弁が閉じる少し前から大動脈弁が閉鎖するあたりまで。
- QTが長いと言うことは、心筋活動電図上で、0,1,2,3相が延長していると言うこと。大抵は2相だけど。抗不整脈薬class IAはQT延長させるが、Class IBはQTの延長はない(PHD.425)。
- 心拍数によって変動するため、バゼットの式で補正した補正QT時間(QTc)がしばしば用いられる。
- QTc = QT時間 / ( (R-R間隔)^(1/2) )
基準範囲
- 乳児期:400±20 ms
- 思春期~成人:420±20 ms
- 健常人の99パーセンタイルQTc値:460 ms(思春期前)、470 ms(思春期後の男性)、480 ms(思春期後の女性) (Acquired long QT syndrome: Definitions, causes, and pathophysiology - uptodate)
- PHD.94
- ジギタリス中毒(心電図の読み方パーフェクトマニュアル.208):PQ延長、QT短縮
- QT短縮:ジギタリスが作用している状態では、細胞内のCa2+濃度が上昇する。これにより、(1)Ca2+依存性K+チャネルの活性が亢進し速やかに再分極に至る。あるいは、(2)Ca2+チャネル活性が低下しており、Ca2+による脱分極の持続時間が短い。この2点によりQTが短縮するらしい。(PHD.399)
- PHD.94
臨床関連
- QT延長症候群:心筋細胞のイオンチャネルをコードする遺伝子の異常や薬剤などでQTcが異常に延長すると、不整脈を起こしやすくなる。
[★]
- 英
- transesophageal echocardiography, trans-esophageal echocardiography, TEE
- 同
- 経食道心エコー法、経食道心エコー検査
- 経食道心エコー図, 経食道心エコー像, transesophageal echocardiogram
- 関
- 心エコー
適応
- 解離性大動脈の術前診断、左房内血栓の検索などに有用
禁忌
- 参考1
- [[上部消化管出血(3カ月以内)
- [[最近の胃手術後(3カ月以内)
- (相対的禁忌)
参考
- http://www.maruishi-pharm.co.jp/med/libraries_ane/anet/pdf/31/31spe_2.pdf
- http://suuchan.net/note/Chapter-041401.html
- http://www.jcc.gr.jp/navy/ic/tuh-008.pdf
[★]
- 英
- systolic anterior motion systolic anterior movement SAM
- 関
- 僧帽弁
概念
- 心エコーのMモードで定量的に認められる僧帽弁の異常な運動
- 収縮期に僧帽弁前尖が心室中隔側(前胸壁側)へ動く現象
- 左室流出路狭窄例に多く観察される。
左室流出路狭窄を伴わず、僧帽弁腱索の延長などで同様に観察されるものは偽性SAM(false SAM, pseud SAM)と呼ばれるらしい。
鑑別
<youtube v=Y7JUVTXHBs0></youtube>
[★]
- 英
- mitral atresia MA
- 関
- 僧帽弁、先天性心疾患、単心室症
参考
- http://www.ctsnet.org/graphic/66_2_1.jpg
[★]
- 同
- opening snap, OS
- 英
- mitral opening snap MOS, opening snap OS
- 関
- [[]]
- I音-II音-OS
[★]
- 同
- systolic anterior motion of the mitral valve, SAM
- 同
- SAM, sistlic anterior motion of the mitral valve
[★]
- 同
- percutaneous mitral balloon valvotomy, PMV
[★]
- 英
- hypoplastic mitral valve
- 関
- 僧帽弁