- 英
- therapeutic drug monitoring, TDM
- 関
- 治療薬血中濃度モニタリング、治療薬物モニタリング、血中濃度モニタリング
[show details]
薬物血中濃度モニタリングすべき薬物
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/03 03:53:38」(JST)
[Wiki ja表示]
治療薬物モニタリング(ちりょうやくぶつ-,Therapeutic Drug Monitoring, TDM )とは治療効果や副作用に関する因子をモニタリングしながらそれぞれの患者に個別化した用法・用量を設定すること。多くの場合では、血中濃度を測定し解析した結果と臨床所見から投与計画を行う。ただし、薬物血中濃度と治療効果や副作用との間に関係が認められないような薬物などに関してはこの限りではない。[1]。薬物治療モニタリングや薬物血中濃度モニタリングなどともいう[2][3][4]。
目次
- 1 TDMの概要
- 2 TDM対象薬物
- 3 血中濃度測定の手法
- 4 脚注
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
TDMの概要[編集]
臨床で用いられる薬剤にはそれぞれ製薬会社が治験の結果をもとに定めた固有の用法・用量がある。しかし、たとえ同じ用量の薬剤を投与したとしても、患者により効果が違ってくることがある。これは患者それぞれの体質によるものであり、例えば薬物代謝酵素の活性や基礎疾患の有無、体型、年齢、性別などの因子が絡んでいる。TDMでは、血中濃度が薬効や副作用の発現と相関がみられる薬物については、血中濃度のモニタリングを行い、その結果や臨床所見からより適切な血中濃度となるように薬物動態学的な解析をふまえて用法・用量を調節していく。さらに、血中濃度などのモニタリングにより、患者がきちんと薬を飲んでいるか(服薬コンプライアンスを遵守しているか、アドヒアランスが良好であるか)を判断できるため、よりコンプライアンスが向上するような計画を作成することができる。このように薬物血中濃度は薬物の投与設計を行うにあたって非常に重要な情報を提供するが、薬物に対する反応性は個人により異なるため文献に記載されている血中濃度範囲だけにとらわれ過ぎることのないようにデータの評価をしていかなければならない。血中濃度を実際に測定するに当たっては薬剤師が行う場合や業者に委託する場合などがあり、施設により事情が異なる。
TDM対象薬物[編集]
TDMを行うには経済的な負担や採血時の苦痛を伴うため、TDMは必ずしもすべての薬剤に対して行うものではない。日本では1980年にリチウムのTDMが保険適応となったのをはじめとして、以下のような条件に適合する薬物がTDMの対象とされている。
- 治療血中濃度範囲が狭く、副作用発現域と近接している。
- 最大耐用量/最小有効量の値を治療係数と称するが、治療係数が大きいほど治療濃度域が広く安全な薬物であると言える。治療係数が10以下の薬物は安全性が低く、TDMの対象となる。
- 薬物の体内動態に個人差が大きい。
- 薬物代謝酵素の活性や肝・腎疾患、他の薬物との相互作用などの影響により同じ用量を投与しても個人(個体)によって血中濃度が大きく異なる場合がある。このような場合には血中濃度を適正な領域に保つためにTDMを行い、用量・用法を個別に設計する必要がある。
- 血中濃度と薬効・副作用の発現に相関がある。
- 血中濃度依存的に生じる副作用が重篤である。
- 体内動態が非線形を示す。
- 投与量と血中濃度が比例関係にない薬物を体内動態が非線形であるという表現をする。例えばフェニトインは非線形を示す代表的な薬剤であり、臨床的な用量の投与で薬物代謝酵素の飽和現象が生じるため、一定以上の用量で血中濃度が急激に上昇する。フェニトインは薬物代謝酵素P450の一種であるCYP2C9やCYP2C19による代謝を受けることが知られているが、これらの酵素には遺伝的な多型が存在する。CYP2C9遺伝子多型でも代表的なものとしてCYP2C9*3があり、野生型(CYP2C9*1)の一塩基多型(SNP)である。このような変異株では血中濃度の上昇が見られるため、ファーマコゲノミクス(PGx)によるテーラーメイド医療が重要になってくる。
- 服薬コンプライアンスの確認
- 処方された薬剤を自己管理下で服用している場合、医師の指示通りにきちんと内服をしているか確認する意味でTDMを行うことがある。例えば患者が外来に定期的に通院している場合に、来院時に採血も一緒に行い、TDMが行われる。
TDMを行うべき薬剤の代表的なものとして、強心配糖体や抗てんかん薬、免疫抑制剤、テオフィリン、抗不整脈薬、抗菌薬(アミノグリコシド系、グリコペプチド系)、リチウム製剤等が挙げられる。これらの薬剤のTDMを行った場合の診療報酬として特定薬剤治療管理料があるが、各薬剤ごとに対象となる疾患が指定されている。
血中濃度測定の手法[編集]
-
- 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
- ガスクロマトグラフィー(GC)
-
- 蛍光偏光免疫測定法(FPIA)
- 酵素免疫測定法(EIA)
- 放射性免疫測定法(RIA)
脚注[編集]
- ^ “TDM、薬物動態関連の専門用語解説”. 日本TDM学会. 2010年1月11日閲覧。
- ^ “J-GLOBAL:薬物治療モニタリング”. 科学技術振興機構. 2010年1月11日閲覧。
- ^ 水野裕之、前田徹ほか「名古屋市立大学病院におけるTDM対象薬剤投与患者のTDM実施割合 (PDF) 」 、『TDM 研究』第24巻第1号、2007年、 p.p.58、 ISSN 0911-1026、2010年1月11日閲覧。
- ^ “薬物治療モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring)”. 国立がんセンター東病院 (2008年5月14日). 2010年1月11日閲覧。
参考文献[編集]
- 木村 利美編著『図解 よくわかるTDM 第2版』2007年 ISBN 9784840737203
- 中島 恵美編著『薬の生体内運命』2004年 ISBN 4990197003
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- P-0953 精神科病棟における薬物血中濃度モニタリングの取り組み(一般演題 ポスター発表,精神科領域,Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 抗MRSA薬適正使用のための薬学的な介入とその評価
- 石原 慎之,西村 信弘,陶山 登之,山本 英,玉木 宏樹,上村 智哉,礒部 威,稲垣 文子,岩本 喜久生,直良 浩司
- 日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections 25(1), 15-21, 2010-01-25
- … ,テイコプラニン(TEIC)およびアミノグリコシド系抗菌薬アルベカシン硫酸塩(ABK)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療において効果的な抗菌薬である.抗MRSA薬は治療濃度域が狭いため,治療薬物血中濃度モニタリング(TDM)の実施ならびにPharmacokinetics-Pharmacodynamics (PK-PD)理論に基づいた投与設計を行うことが重要である.そこで,当院では2005年から抗MRSA薬適正使用を目的として薬剤師によるTDM実施および投与設計へ …
- NAID 10026902108
Related Links
- 分離分析法. 高速液体クロマトグラフィー(HPLC); ガスクロマトグラフィー(GC). 免疫学 的手法. 蛍光偏光免疫測定法(FPIA); 酵素免疫測定法(EIA); 放射性免疫測定法(RIA). 原子吸光光度法 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- digitalis
- 関
- 強心薬、強心配糖体, cardiac glycosides、ジギタリス効果。メチルジゴキシン、ジゴキシン、ジギトキシン
|
effect expression
|
max ffect
|
sustain
|
half-time
|
absorbance
|
excertion
|
治療域血中濃度
|
ジゴキシン
|
-1hr
|
3-6hr
|
2-6day
|
36hr
|
60-85%
|
kidney
|
1-2 ng/ml
|
ジギトキシン
|
1-4hr
|
5-10hr
|
2-3week
|
4-5day
|
90-100%
|
liver
|
10-25 ng/ml
|
特徴
構造
薬理作用
- 1. 心筋収縮の増強 (mechanical effect)
- 2. 房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- 洞房結節での伝導速度が低下し、不応期が延長する → だから上室性頻拍のおいて心拍数を下げることができるし、リエントリー性の上室性頻拍を洞調律に戻すことができる。
作用機序
房室結節で不応期を延長 (mechanical effect)
- →心筋収縮を増強する
房室結節で不応期を延長 (electrical effect)
- →房室結節をブロックする。
- 1. 心臓組織に直接作用
- 2. 自律神経に作用し、副交感神経の緊張亢進、交感神経の活動性抑制
動態
- ジゴキシンは腎代謝で半減期が短い。治療濃度 1-2ng/ml
- ジギトキシンは肝代謝で半減期が長い。
適応
- 心不全患者の心不全入院を減らす。予後は改善しない。
- AFを伴うHFでは、心室レートをコントロールし十分な心室充満圧を得るためにジギタリスが用いられる。(ジゴキシンは1-2ng/mlで用いる)
注意
- 低カルシウム血症、腎機能低下例、薬物相互作用に注意
禁忌
YN.C-59
副作用
- also see GOO.922
[★]
- 英
- therapeutic drug monitoring、TDM
- 関
- 治療薬物モニタリング、薬物モニタリング、血中濃度モニタリング、薬物血中濃度モニタリング
[★]
- 英
- therapeutic drug monitoring、TDM
- 関
- 治療薬血中濃度モニタリング、血中濃度モニタリング、薬物血中濃度モニタリング
[★]
[★]
薬物血中濃度モニタリング、TDM
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- drug, medication, medicament
- 同
- 薬
- 関
- 薬物中毒、薬物依存、薬物濫用
- 剤、処方、ドラッグ、麻薬、薬剤、薬剤負荷、薬物療法、薬物適用、薬品
[★]
- 英
- plasma drug concentration
- 同
- 薬物血中レベル、血中薬物濃度
- 関
- 薬物血中濃度モニタリング
[★]
- 英
- blood concentration、blood level
- 関
- 血中レベル、薬物血中濃度
[★]
- 英
- in blood、blood
- 関
- 血液、血液中、血