- 英
- myeloblast, Mbl、Mybl
- 同
- 骨髄芽細胞
- 関
- [[]]
- 好酸球系、好塩基球系、好中球系のいずれかは光学顕微鏡下では区別できない
-myeloblast
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骨髄芽球(こつずいがきゅう、英: Myeloblast)とは、造血幹細胞から白血球の顆粒球(大多数は好中球である)への分化の過程の1段階にある細胞である。通常は骨髄にのみ存在し、(白血病や癌の骨転移などの場合を除き)末梢血中には存在しない。(骨髄芽球から分化の進んだ段階にある骨髄球との混同に注意のこと)
目次
- 1 分化過程
- 2 分裂能
- 3 形態
- 4 次代
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
分化過程[編集]
造血幹細胞から分化し始めた幼若な血液細胞は盛んに分裂して数を増やしながら少しずつ分化を進めていく。 最終的に好中球に分化する場合は造血幹細胞、骨髄系幹細胞(骨髄系前駆細胞)、顆粒球・単球系前駆細胞、顆粒球系前駆細胞、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、桿状核球、分葉核球と成熟していく。最後の分葉核球が成熟の最終段階の好中球である[1]。
骨髄芽球は顆粒球系として形態的に同定できるもっとも幼若な血液細胞である[2]。ただし、実際には造血幹細胞から前駆細胞までのより幼若な細胞は数も少なく見つけにくいが、形態的にも骨髄芽球と区別をつけるのは困難である。
分裂能[編集]
造血細胞は若い段階ほど分裂増殖が盛んであると思われているが、骨髄芽球の細胞分裂周期はおよそ24時間であり、後の段階の前骨髄球・骨髄球に比べて、細胞周期は短い[3]。
形態[編集]
直径は12-20μmであり、成熟した顆粒球(12-15μm)より大きいが、次の段階の前骨髄球(15-25μm)よりは小さい。核は大きく丸く、クロマチン構造は繊細であり、数個の核小体を含む。細胞質は好塩基性で顆粒は通常は無い(電子顕微鏡では観察される)[4]。
次代[編集]
やがて骨髄芽球は分化の段階を進め、前骨髄球になる。前骨髄球は白血球系の分化の過程の中でもっとも大きい細胞で(15-25μm)豊富なアズール顆粒を含み、核は骨髄芽球より若干粗くなり始める[4]。
脚注[編集]
- ^ 『三輪血液病学 第3版』p299
- ^ 朝倉『内科学』p1588
- ^ 『三輪血液病学 第3版』p299-300
- ^ a b 『三輪血液病学 第3版』p263
参考文献[編集]
- 浅野 茂隆、内山 卓、池田 康夫 監修、『三輪血液病学 第3版』文光堂、2006
- 杉本恒明、矢崎義雄 総編集『内科学』第9版、朝倉書店、2007
関連項目[編集]
骨髄系統 - 血液 (白血球 · 赤血球 · 血小板) |
|
造血幹細胞
HSC |
骨髄系前駆細胞
(CFU-GEMM)
|
顆粒球・単球系前駆細胞
(CFU-GM)
|
|
骨髄芽球→前骨髄球→骨髄球→後骨髄球→桿状核球→分葉核球(好中球)
|
|
|
マクロファージ
|
組織球 · クッパー細胞 · 肺胞マクロファージ · 小膠細胞 · 破骨細胞 · 類上皮細胞 · 巨細胞 (ラングハンス巨細胞、異物巨細胞、トートン型巨細胞)
|
|
CFU-DL
|
樹状細胞 · ランゲルハンス細胞
|
|
|
共通
|
骨髄性単球
|
|
|
CFU-Baso
|
骨髄芽球→好塩基性前骨髄球→好塩基性骨髄球→好塩基性後骨髄球→(好塩基球)
|
|
CFU-Eos
|
骨髄芽球→好酸性前骨髄球→好酸性骨髄球→好酸性後骨髄球→好酸性桿状核球→好酸性分葉核球 (好酸球)
|
|
MEP
|
CFU-Meg
|
巨核芽球 · 巨核球 · 血小板
|
|
CFU-E
|
赤芽球 · 網赤血球
|
|
|
CFU-Mast
|
肥満細胞前駆体
|
|
|
|
非細胞 |
血漿
|
|
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Japanese Journal
- 高度な網膜出血で発見された最未分化型骨髄芽球性白血病の1例
- 越前 成旭,大越 貴志子,小暮 朗子,山口 達夫,岡田 定
- あたらしい眼科 = Journal of the eye 24(11), 1527-1531, 2007-11-30
- NAID 10022616504
- 多剤併用化学療法により維持管理可能であった未分化型骨髄芽球性白血病(M1)の猫の1例(内科学)
- 真下 忠久,下田 哲也,吉岡 永朗,高橋 靖,光田 昌史
- The journal of veterinary medical science 68(1), 97-101, 2006-01-25
- … 非再生性貧血, 血小板減少症, および多数の芽球出現を伴う白血球増加が認められた.骨髄検査では, 同様の芽球の増加を認めた.これらの細胞はペルオキシダーゼ染色陽性であり, FAB分類にしたがい未分化型骨髄芽球性白血病(M1)と診断した.シクロホスファミド, ビンクリスチン, プレドニゾロン, およびシタラビンを用いた多剤併用化学療法を開始した.症例は部分的にではあったが反応し, 合計7回の輸血を受けた.症例は …
- NAID 110004675703
- 難治性精巣腫瘍における治療関連白血病/骨髄異形成症候群の1例
- 滝沢 明利,三浦 猛,藤浪 潔,長田 裕,田中 正嗣,丸田 壱郎
- 日本泌尿器科學會雜誌 96(7), 701-704, 2005-11-20
- … Cell Consensus Classification (IGCC分類) : poor prognosis)と診断され, 救済治療(大量化学療法・新規抗癌剤, 残腫瘍切除)を施行するも寛解と再発を繰り返していた.5回めの再発に対する救済治療中, 汎血球減少症および骨髄芽球を末梢血に認め, 骨髄検査および染色体検査の結果, 化学療法による治療関連白血病(TRL)/骨髄異形成症候群(MDS)と診断された.過去の抗癌剤総投与量はIfosfamide 189g/m^2, Etoposide 8,250mg/m^2, Cisplatin 1,450mg/m^2であった …
- NAID 110003501877
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[★]
- 64歳の男性。腹部膨満感を主訴に来院した。3か月前から、左腹部の膨満感を自覚し、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右肋骨弓下に肝を3cm触知する。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。浮腫を認めない。血液所見:赤血球268万、Hb 7.9g/dL、Ht 26%、網赤血球 1%、白血球 7,300、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 3.2g/dL、IgG 1,614mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 369mg/dL(基準 110~410)、IgM 182mg/dL(基準 65~350)、総ビリルビン 0.9mg/dL、直接ビリルビン 0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 26U/L、LD 477U/L(基準 176~353)、ALP 283U/L(基準 115~359)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.9mg/dL。骨髄組織のH-E染色標本(別冊No. 5A)及び鍍銀染色標本(別冊No. 5B)を別に示す。
- この患者の末梢血に認められないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A019]←[国試_113]→[113A021]
[★]
- 43歳の男性。健診で白血球増多を指摘され来院した。自覚症状は特にない。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 136/76mmHg。表在リンパ節を触知しない。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球 430万、Hb 12.8g/dL、Ht 42%、白血球 35,000(骨髄芽球 2%、前骨髄球 2%、骨髄球 5%、後骨髄球 7%、桿状核好中球 4%、分葉核好中球 60%、好酸球 8%、好塩基球 7%、リンパ球 5%)、血小板 35万。血清ビタミンB12 8,600pg/mL(基準 250~950)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 18A)、骨髄細胞染色体分析(別冊No. 18B)及び末梢血好中球bcr/abl遺伝子のFISH解析(別冊No. 18C)を別に示す。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D047]←[国試_113]→[113D049]
[★]
- 67歳の女性。3か月前からの腹部膨満感を主訴に来院した。脈拍76/分、整。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆し、右肋骨弓下に肝を3cm、左肋骨弓下に脾を5cm触知する。血液所見:赤血球 360万, Hb 10.5g/dl、Ht 32%、白血球 18,700(骨髄芽球1%、好中球58%、好酸球5%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球30%、赤芽球4個/100白血球)、血小板65万、末梢血塗抹標本で巨大血小板を認め、骨髄穿刺はdry tapであった。骨髄の生検組織のH-E染色標本(別冊No.18A)と鍍銀染色標本(別冊No.18B)とを別に示す。
- 適切な対応はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D043]←[国試_105]→[105D045]
[★]
- 英
- hemocyte, blood corpuscle, hematocyte
- ラ
- hemocytus
- 同
- 血液細胞 blood cell
- 関
- 血液
血球の割合
|
個数(/ul)
|
|
個数(/ul)
|
個数(%)
|
赤血球
|
男:500万 女:450万
|
|
5000000
|
95.1
|
白血球
|
5000-10000
|
|
7500
|
0.1
|
血小板
|
15万-35万
|
|
250000
|
4.8
|
寿命
- 赤血球:120日
- 好中球:6-8時間
- 血小板:10日
- 形質細胞:1-3日
- メモリー細胞:数年
血球の特徴
|
|
赤血球
|
単球
|
好酸球
|
好中球
|
好塩基球
|
リンパ球
|
大きさ
|
7~8μm
|
12~20μm
|
10~15μm
|
10~13μm
|
9~12μm
|
7~15μm
|
赤血球と比べた大きさ
|
------
|
かなり大きい
|
2倍以上
|
約2倍
|
2倍弱
|
小リンパ球は同じ程度
|
細胞質
|
|
アズール顆粒。 広く不規則な突起
|
橙赤色の粗大円形顆粒
|
暗紫色に染まる微細な顆粒 アズール顆粒
|
赤紫色の大小不同の顆粒
|
狭く淡い青色
|
核
|
|
くびれ有り
|
2葉、眼鏡型
|
桿状好中球 分葉好中球
|
格の上にも顆粒あり
|
球形
|
[★]
- 英
- neutrophil (Z),neutrophile ,neutrophils
- 関
- 血液、血球、白血球
特徴
- マクロファージより貪食能が高い
- 非特異的感染防御に関与
- 寿命:1週間。(他の資料:1週間以内。血中で6-7時間,活性化時1-2日。)
- 好中球比率(対白血球):50-60%。文献によっては50-70%
- ケモカインによって走化能を示し、異物を貪食する
- 貪食→食胞形成→proteolysis (lysosome: 約30種類)
分化・成熟
骨髄芽球:顆粒なし
↓
前骨髄球:アズール顆粒出現
↓
骨髄球:好中球に特異な顆粒(ALP、リゾチーム)が出現
↓
後骨髄球:核が分葉。細胞分裂(-)
↓
桿状核球:末梢血中に現れる� ↓
↓
分葉核球:成熟細胞
顆粒
成長とリンパ球・好中球数
- PED.703
- リンパ球数は生後1ヶ月以降に増加して6ヶ月~1年でピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- これに対して好中球は生下時にピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- 生後一ヶ月までは好中球優位であり、1ヶ月~2-6歳まではリンパ球優位となり、以降好中球優位となる。
臨床関連
- 末梢血好中球数1500/μl以下 、特に500/μl以下 (定義:[1])
- 末梢血好中球数7500/μ以上
- 慢性肉芽腫症:NADPH酸化酵素の異常による好中球の活性酸素産生障害をきたす疾患。常染色体劣性遺伝。
- チェディアック・東症候群:細胞内輸送蛋白(CHS1)の調節の異常により巨大顆粒の形成、殺菌性蛋白・溶菌性酵素の食胞内放出が障害され、また好中球の遊走能が低下する疾患。常染色体劣性遺伝。
[★]
- 英
- promyelocyte, promyeloblast
- 関
- 血球。好中球
- 骨髄の中に存在する
- 顆粒球系未熟細胞の中で最も大きく、径は12~20/15-25μmと大型で細胞質は広くなる(骨髄芽球より核細胞質比が低下)。
- 細胞質は好塩基性に青染するが、骨髄球の時期に近づくと淡橙色が混在してくる。
- 細胞質にはびまん性に紫赤色の粗大なアズール顆粒(一次顆粒)が増加するが、好中性顆粒(二次顆粒)は形成されない(骨髄球では好中性顆粒が産生される)。
- ミエロペルオキシダーゼ活性は分泌小器官(粗面小胞体、ゴルジ装置)と一次顆粒で強陽性を示す。
- 核は骨髄芽球と同様であるが、円形・類円形をなし、細胞質の片側に偏在して位置する傾向がみられ、かつ核小体が残存する(骨髄芽球では核小体が消失)。
臨床関連
[★]
- 英
- immature neutrophil
[★]
- 英
- myelocyte MC
- 関
- 血球
-myelocyte
[★]
- 英
- acute myeloblastic leukemia with maturation, acute myeloblastic leukemia, with granulocytic maturation, (FAB分類)M2
- 関
- 急性骨髄性白血病, acute myeloid leukemia with maturation and with t(8,21)
- アズール顆粒が見られる。
- アウエル小体も見られる。
- 前骨髄球にまで分化したものはアズール顆粒を有しており、そうでない物は骨髄芽球と考えられる。
- 核内には明るく抜けた核小体が1-3,4個みられる。
- M2が分化した物が混在しているのに対して、M3は前骨髄球に分化したものばかり見られるという、M3ではアズール顆粒が著明、M3でアズール小体が複数見られる点で異なる、と思われる。
参考
- 1. 血液検査コーナー Clinical Case Study 04.急性骨髄性白血病 AML:M2/ベックマン・コールター
- http://www.beckmancoulter.co.jp/hematology/clinical_cs/cs04.html
[★]
- 英
- leukemic myeloblasts, leukemic myeloblast
[★]
- 同
- M1
- 関
- 急性骨髄性白血病
[★]
- 英
- bone marrow (Z)
- ラ
- medulla ossium
- 関
- 骨髄組織
分類
性状
細胞成分の過少
造血
加齢変化
- 6歳以後は加齢とともに脂肪化が進み、黄色骨髄が増加
- 長管骨の末端から黄色骨髄に置換されていく。成人では脊椎骨、胸骨、肋骨などで造血が起こる
- 乏血、低酸素状態では黄色骨髄が赤色骨髄に置換され、造血ができるようになる。
[★]
- 英
- bulbus (KH)
- ラ
- bulbus cerebri
- 同
- 延髄
[★]
- 英
- blast cell, blast
- 関
- イモチ病、芽細胞、芽球細胞
骨髄芽球性白血病