- 英
- myelocyte MC
- 関
- 血球
-myelocyte
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/05/23 21:29:03」(JST)
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骨髄の顕微鏡写真。アルコール固定後ギムザ染色。左上に分葉核球が2つ、左下に桿状核球が2つ、中央の大きな細胞が前骨髄球、前骨髄球に接して左が後骨髄球、前骨髄球に接して右上と左下が骨髄球である。
骨髄球(こつずいきゅう、英: myelocyte)とは、造血幹細胞から白血球の顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)への分化の過程の1段階にある細胞である。通常は骨髄にのみ存在し、(白血病や癌の骨転移などの場合を除き)末梢血中には存在しない。
分化過程
造血幹細胞から分化し始めた幼若な血液細胞は盛んに分裂して数を増やしながら少しずつ分化を進めていく。 最終的に好中球に分化する場合は造血幹細胞、骨髄系幹細胞(骨髄系前駆細胞)、顆粒球・単球系前駆細胞、顆粒球系前駆細胞、骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、桿状核球、分葉核球と成熟していく。最後の分葉核球が成熟の最終段階の好中球である[1]。
同じように好酸球に分化する場合は造血幹細胞、骨髄系幹細胞(骨髄系前駆細胞)、好酸球系前駆細胞、骨髄芽球、好酸性前骨髄球、好酸性骨髄球、好酸性後骨髄球、好酸性桿状核球、好酸性分葉核球=好酸球と分化する
好塩基球に分化する場合は造血幹細胞、骨髄系幹細胞(骨髄系前駆細胞)、好塩基球系前駆細胞、骨髄芽球、好塩基性前骨髄球、好塩基性骨髄球、好塩基性後骨髄球、好塩基性桿状核球、好塩基性分葉核球=好塩基球と分化するが好塩基球は必ずしも分葉がはっきりしない。
数量的には大半が好中球系である。
概要
好中球へ分化する骨髄球は前骨髄球より細胞は小さくなり、核は少し形を崩しはじめ、クロマチン構造は凝集し少し粗くなる[2][3]。 染色した上での光学顕微鏡観察では、前骨髄球で豊富に存在していたアズール顆粒は骨髄球ではあまり見られなくなる(光学顕微鏡では見られないが、存在はしている)が、かわりに2次顆粒が発現する[2][3]。分裂の細胞周期は長くなるが骨髄球の段階でも細胞は分裂能を残しており1-2回ほど細胞分裂を起す[3][4]。やがて、骨髄球は分化の段階を進め、後骨髄球となる。後骨髄球の段階では細胞はさらに小さくなり、核は小さく濃くいびつになっていき、核構造はさらに粗くなり、分裂能は無くなる[2][3]。
脚注
- ^ 『三輪血液病学 第3版』p299
- ^ a b c 『三輪血液病学 第3版』p268
- ^ a b c d 『白血球』p8-9
- ^ 『三輪血液病学 第3版』p299-300
参考文献
- 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6
- 野村武夫 他、編集『白血球』中外医学社、1994年、ISBN 4-498-02556-3
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Japanese Journal
- P2-11-10 汎血球減少を契機として診断された急性前骨髄球性白血病(APL)合併妊娠の1例(Group87 合併症妊娠(症例)3,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 久保 卓郎,井上 貴至,小野 哲男,四方 寛子,清水 良彦,脇ノ上 史朗,竹林 明枝,喜多 伸幸,高橋 健太郎,村上 節
- 日本産科婦人科學會雜誌 63(2), 755, 2011-02-01
- NAID 110008509686
- 症例報告 第164回日本血液学会例会:岡本真一郎例会長 推薦演題 別クローン由来と考えられるt(15;17)とt(9;22)を認めた急性前骨髄球性白血病
Related Links
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★リンクテーブル★
[★]
- 64歳の男性。腹部膨満感を主訴に来院した。3か月前から、左腹部の膨満感を自覚し、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。右肋骨弓下に肝を3cm触知する。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。浮腫を認めない。血液所見:赤血球268万、Hb 7.9g/dL、Ht 26%、網赤血球 1%、白血球 7,300、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 6.0g/dL、アルブミン 3.2g/dL、IgG 1,614mg/dL(基準 960~1,960)、IgA 369mg/dL(基準 110~410)、IgM 182mg/dL(基準 65~350)、総ビリルビン 0.9mg/dL、直接ビリルビン 0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 26U/L、LD 477U/L(基準 176~353)、ALP 283U/L(基準 115~359)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.9mg/dL。骨髄組織のH-E染色標本(別冊No. 5A)及び鍍銀染色標本(別冊No. 5B)を別に示す。
- この患者の末梢血に認められないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A019]←[国試_113]→[113A021]
[★]
- 43歳の男性。健診で白血球増多を指摘され来院した。自覚症状は特にない。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 136/76mmHg。表在リンパ節を触知しない。左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球 430万、Hb 12.8g/dL、Ht 42%、白血球 35,000(骨髄芽球 2%、前骨髄球 2%、骨髄球 5%、後骨髄球 7%、桿状核好中球 4%、分葉核好中球 60%、好酸球 8%、好塩基球 7%、リンパ球 5%)、血小板 35万。血清ビタミンB12 8,600pg/mL(基準 250~950)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 18A)、骨髄細胞染色体分析(別冊No. 18B)及び末梢血好中球bcr/abl遺伝子のFISH解析(別冊No. 18C)を別に示す。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D047]←[国試_113]→[113D049]
[★]
- 英
- hemocyte, blood corpuscle, hematocyte
- ラ
- hemocytus
- 同
- 血液細胞 blood cell
- 関
- 血液
血球の割合
|
個数(/ul)
|
|
個数(/ul)
|
個数(%)
|
赤血球
|
男:500万 女:450万
|
|
5000000
|
95.1
|
白血球
|
5000-10000
|
|
7500
|
0.1
|
血小板
|
15万-35万
|
|
250000
|
4.8
|
寿命
- 赤血球:120日
- 好中球:6-8時間
- 血小板:10日
- 形質細胞:1-3日
- メモリー細胞:数年
血球の特徴
|
|
赤血球
|
単球
|
好酸球
|
好中球
|
好塩基球
|
リンパ球
|
大きさ
|
7~8μm
|
12~20μm
|
10~15μm
|
10~13μm
|
9~12μm
|
7~15μm
|
赤血球と比べた大きさ
|
------
|
かなり大きい
|
2倍以上
|
約2倍
|
2倍弱
|
小リンパ球は同じ程度
|
細胞質
|
|
アズール顆粒。 広く不規則な突起
|
橙赤色の粗大円形顆粒
|
暗紫色に染まる微細な顆粒 アズール顆粒
|
赤紫色の大小不同の顆粒
|
狭く淡い青色
|
核
|
|
くびれ有り
|
2葉、眼鏡型
|
桿状好中球 分葉好中球
|
格の上にも顆粒あり
|
球形
|
[★]
- 英
- neutrophil (Z),neutrophile ,neutrophils
- 関
- 血液、血球、白血球
特徴
- マクロファージより貪食能が高い
- 非特異的感染防御に関与
- 寿命:1週間。(他の資料:1週間以内。血中で6-7時間,活性化時1-2日。)
- 好中球比率(対白血球):50-60%。文献によっては50-70%
- ケモカインによって走化能を示し、異物を貪食する
- 貪食→食胞形成→proteolysis (lysosome: 約30種類)
分化・成熟
骨髄芽球:顆粒なし
↓
前骨髄球:アズール顆粒出現
↓
骨髄球:好中球に特異な顆粒(ALP、リゾチーム)が出現
↓
後骨髄球:核が分葉。細胞分裂(-)
↓
桿状核球:末梢血中に現れる� ↓
↓
分葉核球:成熟細胞
顆粒
成長とリンパ球・好中球数
- PED.703
- リンパ球数は生後1ヶ月以降に増加して6ヶ月~1年でピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- これに対して好中球は生下時にピークとなり、以降減少して成人と同程度となる。
- 生後一ヶ月までは好中球優位であり、1ヶ月~2-6歳まではリンパ球優位となり、以降好中球優位となる。
臨床関連
- 末梢血好中球数1500/μl以下 、特に500/μl以下 (定義:[1])
- 末梢血好中球数7500/μ以上
- 慢性肉芽腫症:NADPH酸化酵素の異常による好中球の活性酸素産生障害をきたす疾患。常染色体劣性遺伝。
- チェディアック・東症候群:細胞内輸送蛋白(CHS1)の調節の異常により巨大顆粒の形成、殺菌性蛋白・溶菌性酵素の食胞内放出が障害され、また好中球の遊走能が低下する疾患。常染色体劣性遺伝。
[★]
- 英
- promyelocyte, promyeloblast
- 関
- 血球。好中球
- 骨髄の中に存在する
- 顆粒球系未熟細胞の中で最も大きく、径は12~20/15-25μmと大型で細胞質は広くなる(骨髄芽球より核細胞質比が低下)。
- 細胞質は好塩基性に青染するが、骨髄球の時期に近づくと淡橙色が混在してくる。
- 細胞質にはびまん性に紫赤色の粗大なアズール顆粒(一次顆粒)が増加するが、好中性顆粒(二次顆粒)は形成されない(骨髄球では好中性顆粒が産生される)。
- ミエロペルオキシダーゼ活性は分泌小器官(粗面小胞体、ゴルジ装置)と一次顆粒で強陽性を示す。
- 核は骨髄芽球と同様であるが、円形・類円形をなし、細胞質の片側に偏在して位置する傾向がみられ、かつ核小体が残存する(骨髄芽球では核小体が消失)。
臨床関連
[★]
- 英
- myeloblast, Mbl、Mybl
- 同
- 骨髄芽細胞
- 関
- [[]]
- 好酸球系、好塩基球系、好中球系のいずれかは光学顕微鏡下では区別できない
-myeloblast
[★]
- 英
- immature neutrophil
[★]
- 英
- myeloid leukemia、myelocytic leukemia
- 関
- 骨髄性白血病、顆粒球性白血病、慢性単球性白血病
[★]
- 英
- myeloid、myelocytic
- 関
- 骨髄、骨髄球、骨髄性、ミエロイド
[★]
- 英
- eosinophilic myelocyte
- 関
- 好酸球
- 同
- 503
[★]
- 英
- eosinophilic metamyelocyte
- 関
- 好酸球
[★]
- 英
- promyelocytic leukemia PML
[★]
- 英
- bone marrow (Z)
- ラ
- medulla ossium
- 関
- 骨髄組織
分類
性状
細胞成分の過少
造血
加齢変化
- 6歳以後は加齢とともに脂肪化が進み、黄色骨髄が増加
- 長管骨の末端から黄色骨髄に置換されていく。成人では脊椎骨、胸骨、肋骨などで造血が起こる
- 乏血、低酸素状態では黄色骨髄が赤色骨髄に置換され、造血ができるようになる。
[★]
- 英
- bulbus (KH)
- ラ
- bulbus cerebri
- 同
- 延髄