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黄疸 | |
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分類及び外部参照情報 | |
眼球結膜の黄疸
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ICD-10 | R17. |
ICD-9 | 782.4 |
DiseasesDB | 7038 |
MedlinePlus | 003243 |
MeSH | D007565 |
黄疸(おうだん、英: jaundice)は、病気や疾患に伴う症状の一つ。
身体にビリルビンが過剰にあることで眼球や皮膚といった組織や体液が黄染する(黄色く染まる)状態。
目次
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脾臓中のマクロファージにより、循環中の古くなったり損傷を受けた赤血球が取り除かれる。赤血球中のヘモグロビンはヘムとグロビンに分解される。ヘムの分解は、マクロファージによって開始される。ヘムのポルフィリン環は、ヘムオキシゲナーゼ(HMOX)により緑色のビリベルジンに分解される。2番目の反応として、ビリベルジンがビリベルジンレダクターゼ(BVR)により黄色のビリルビンに還元される。
ヘム分解で生成されたビリルビンそのものである水溶性の低い非抱合型ビリルビンは、血漿中のアルブミンであるタンパク質と結合して血漿へ放出され、肝臓に運ばれる。血漿中の非抱合型ビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合を受け抱合型ビリルビンとなり、胆汁中に放出され、胆道から十二指腸へ分泌される。なお胆汁の主成分は胆汁酸、いわゆるコール酸などである。
十二指腸に分泌された抱合型ビリルビンは、小腸の腸内細菌によって脱抱合をうけ非抱合型ビリルビンになる。この非抱合型ビリルビンが腸内細菌に還元されてウロビリノーゲンとなる。ウロビリノーゲンは小腸から再吸収され尿とともに排泄され、小腸に吸収されなかったウロビリノーゲンは腸内細菌によりステルコビリノーゲンを経て茶色のステルコビリンに変化し、大便とともに排泄される。これらの経路のどこかが破綻すると高ビリルビン血症がおこる。
なお、腸管内の非抱合型ビリルビンとウロビリノーゲンは腸肝循環によって再び血中へ戻る。ウロビリノーゲンは尿中に排出することができる。基本的にこの経路しかウロビリノーゲン産出系は存在しないので、胆道閉塞では尿中ウロビリノーゲンが陰性となり、これは病的な所見である。なお、尿中ビリルビンという項目があるがこれは抱合型ビリルビンを量っている。水に溶けない非抱合型ビリルビンが腎臓でろ過されることは基本的にはない。尿中ビリルビンが見られるのは胆道閉塞など直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)が優位に増加する疾患である。
高ビリルビン血症によって黄疸が起こるのは黄色のビリルビンが組織沈着して組織が黄色くなるからである。ビリルビンは特に弾性線維との親和性が高いため、皮膚、強膜、血管といった弾性線維が豊富な組織に沈着する。特に強膜との親和性が高いため、黄疸のスクリーニングは眼球結膜の色で調べる。なお、黄染はあくまで組織沈着をみているので血液生化学のデータよりは遅れて変動する。
ビリルビンの組織沈着としては皮膚以外に大脳基底核の沈着による核黄疸(ビリルビン脳症)が有名である。これは非抱合型ビリルビンのうちアルブミンに結合していない非抱合型ビリルビンが沈着する。新生児におこる疾患であり、ミルクを飲まない、Moro反射消失といった症状から始まり痙攣や後弓反張をおこしてくる。経験的にT-Bilが25mg/dlを超えない限り、起こるのは極めて稀で、今日の管理技術ではまず起こらない。
項目 | 下限値 | 上限値 | 単位 | 備考 |
総ビリルビン | 1.7[1], 2[2], 3.4[1], 5[3] | 17[2][1], 22[1], 25[3] | μmol/L | |
0.1[2], 0.2[4], 0.29[5] | 1.0[2][6], 1.3[4], 1.4[5] | mg/dL | ||
抱合型/直接ビリルビン | 0.0[2] or N/A[3] | 5[2] , 7[1][3] | μmol/L | |
0[2][4] | 0.3[2][4], 0.4[6] | mg/dL |
出生後2日~2週間ほど出現する正常な黄疸。胎児ヘモグロビンが壊される事(溶血)による。24時間以内に出現したり、2週間以上経っても消失しない場合は病的黄疸を考える。
原因としては胆石、胆道癌、膵癌、閉塞性化膿性胆管炎、先天性奇形などである。血清生化学検査では直接ビリルビン値が高くなる。
原因としては 原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、新生児肝炎、劇症肝炎、薬剤性などがあげられる。これも直接ビリルビン値が高くなる。
原因としては肝硬変、肝炎があげられる。血清生化学検査では直接ビリルビン値が高くなる。
溶血によって間接ビリルビン値が高くなる。
間接ビリルビン値が高くなる。下記参照。
詳細は「新生児黄疸」を参照
新生児においては生理的黄疸という言葉があるように、黄疸が出現しても正常な状態がある。これは新生児の生理学的な特徴から理解されている。胎児期は肝機能が未熟であるために胎児肝は殆どグルクロン酸抱合を行わない。胎児期は胎盤で母体血に非抱合型ビリルビンを渡すことで高ビリルビン血症を防いでいる。出生後はHbFの分解によるビリルビンの産出と肝臓の機能が未熟ということが重なって生理的黄疸が発生すると考えられている。新生児黄疸は新生児にみられる黄疸である。病態としては高ビリルビン血症による。ビリルビンには間接ビリルビンと直接ビリルビンの2つがある。新生児黄疸の分け方には、黄疸が見られる時期による分け方と、黄疸の病態による分け方がある。時期によって分けると、早発黄疸、生理的黄疸、遷延性黄疸、の3つに分けられる。病態によって分けると、高間接ビリルビン血症、高直接ビリルビン血症、の2つに分けられる。早発黄疸は生後24時間以内に見られる黄疸、生理的黄疸は生後2日~2週間程度に見られる黄疸、遷延性黄疸は生後2週間以上見られる黄疸である。
時期\病態 | 間接(非抱合)型ビリルビン | 直接(抱合)型ビリルビン |
---|---|---|
早発 | 母児間血液型不適合 | 敗血症 |
遷延性 | 母乳性黄疸 | 新生児肝炎、先天性胆道閉鎖症 |
治療としては対症療法として、光線療法、血漿交換等がある。
光線をあてて血中ビリルビンを分解する治療法である。光線によって尿からの排出を促進する。なお、この治療法は非抱合型ビリルビンを低下させる目的にしか使えず、抱合型ビリルビンが高いとブロンズベイビー症候群を起こすので禁忌となる。適応は総ビリルビン値が17を超えた場合に適応となる。蛇足だが、早発黄疸や遷延性黄疸の病態は生理的黄疸の時期にも合併するので、生後2日~2週間であっても総ビリルビン値を元に適応を考える。
血中の抗体及び、抗体と結合した赤血球を交換することによって根治的に重症黄疸(新生児溶血性疾患=母児間血液型不適合)を治療する。橈骨動脈に留置カテーテルを挿入しそこから瀉血して全血の2倍の交換血液を抹消静脈に注入し交換輸血を実施する。
核黄疸では総ビリルビン値が20を超えた場合に適応となる。蛇足だが、早発黄疸や遷延性黄疸の病態は生理的黄疸の時期にも合併するので、生後2日~2週間であっても総ビリルビン値を基に適応を考える。
約30年も前からはじめられているこの治療法は交換輸血以上の効果があるにもかかわらず、やっと最近注目され、交換輸血の頻度は大幅に減少している。しかし、厚生労働省は、保険適応に承認していない。
非抱合型ビリルビンは肝細胞に取り込まれ、肝細胞内でグルクロン酸抱合を受け、肝内胆管に排泄される。その過程に必要な酵素が欠損した病気を体質性黄疸と言う。
障害工程 | 病気 |
---|---|
取込 | ジルベール症候群 |
抱合 | クリグラー・ナジャール症候群 |
排泄 | デュビン・ジョンソン症候群、ローター症候群 |
ジルベール症候群(じるべーるしょうこうぐん)は、黄疸を呈する症候群の一つ。ギルバートとは読まない。フランスのジルベール博士によって報告された。ジルベール症候群は、成人で間接ビリルビン優位の黄疸を示す症候群なので、多くの疾患が含まれる。
クリグラー・ナジャール症候群(くりぐらー・なじゃーるしょうこうぐん)は、ウリジンジホスフェート・グルクロン酸転位酵素の欠損症。I型は完全欠損症であり重症で予後が悪い。II型は部分欠損症であり軽症で予後がよい。グルクロン酸抱合不全から間接ビリルビンが上昇して核黄疸を示す。
一般に自覚症状が乏しい。診断学では黄疸はひとつの徴候としてとらえられている。
皮膚掻痒感に関しては若干の異論も存在する。ビリルビン以外の胆汁排出が正常である(肝、胆道系の酵素は上昇しない)体質性黄疸(の一部)では皮膚掻痒感が出現しないことが知られている。そのため、皮膚掻痒感は高ビリルビン血症の症状ではなく胆汁うっ滞の症状であると考える者もいる[誰?]。胆汁うっ滞とは胆汁が十二指腸に至らない病態である。胆汁うっ滞をおこせば通常は高ビリルビン血症をきたすが、高ビリルビン血症は胆汁うっ滞をおこすとは限らない。胆汁うっ滞の原因としては肝細胞の数や肝臓形態を含めた機能の異常や肝内、肝外を含めた胆道の閉塞が挙げられる。胆汁うっ滞では皮膚掻痒感からはじまり皮膚黄色腫、骨粗鬆症、血液凝固異常が生じる。臨床的には脂肪便や脂溶性ビタミンを中心とする吸収不全が有名である。
なお、体質性黄疸の例から皮膚掻痒感を起こす原因物質がビリルビンではないということはわかっているが、原因物質は同定されていない。
黄疸の終末像はBBBが未成熟な新生児なら核黄疸、成人の場合はビリルビンのミトコンドリアへの沈着による多臓器不全である。なお胆汁うっ滞の終末は感染症による敗血症や肝傷害による肝不全である。
高ビリルビン血症、黄疸に対する治療は現在存在しない。即ち、原疾患の治療を行うこととなる。閉塞性黄疸ならドレーンなどを用いれば良いし、肝疾患ならウルソデオキシコール酸や強力ミノファーゲンCを用いることもある。特にウルソデオキシコール酸は急性、慢性の胆汁鬱滞や胆石にも効果がある。新生児の黄疸なら光線療法や交換輸血である。
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国試過去問 | 「113C045」「107I059」「103E021」「113C012」「103E007」 |
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C
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A
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D
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E
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A
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Table 16-7. Main Features of Primary Biliary Cirrhosis and Primary Sclerosing Cholangitis | ||
Parameter | primary biliary cirrhosis | primary sclerosing cholangitis |
Age | Median age 50 years (30-70) | Median age 30 years |
Gender | 90% female | 70% male |
Clinical course | Progressive | Unpredictable but progressive |
Associated conditions | Sjogren syndrome (70%) | inflammatory bowel disease (70%) |
scleroderma (5%) | pancreatitis (≦25%) | |
thyroid disease (20%) | idiopathic fibrosing disease (retroperitoneal fibrosis) | |
Serology | 95% AMA positive | 0% to 5% AMA positive (low titer) |
20% ANA positive | 6% ANA positive | |
60% ANCA positive | 82% ANCA positive | |
Radiology | normal | strictures and beading of large bile ducts; pruning of smaller ducts |
duct lesion | florid duct lesion; loss of small ducts | concentric periductal fibrosis; loss of small ducts |
自己免疫性肝炎 | 原発性胆汁性肝硬変 | ||
AIH | PBC | ||
疫学 | 年齢 | 中年女性 | 中年女性 |
HLA | HLA-DR4 | HLA-DR8 | |
自己抗体 | 抗核抗体 ANA | 抗ミトコンドリア抗体 AMA | |
抗平滑筋抗体 ASMA | |||
検査 | ↑血清IgG | ↑血清IgM | |
胆道系酵素上昇 | |||
合併症 | 各種自己免疫疾患 | Sjogren症候群 | |
関節リウマチ | |||
慢性甲状腺炎 | |||
強皮症 | |||
治療 | ステロイド | ウルソデオキシコール酸 | |
肝移植 | |||
禁忌 | ステロイド |
ja
biliary tract cancer : 約 7,480 件 biliary cancer : 約 468 件 carcinoma of the biliary tract : 30 件
en
biliary tract cancer : 約 188,000 件 biliary cancer : 約 17,800 件 carcinoma of the biliary tract : 約 354,000 件
胆嚢癌 | 胆管癌 | 乳頭部癌 | |||
右上腹部痛 | 79~89% | 黄疸 | 初発症状の90%以上 | (変動する)黄疸 | 多い |
悪心嘔吐 | 52~53% | 掻痒感 | 半数以上 | 発熱 | 多い(44~56%) |
体重減少 | 上腹部痛(軽度) | 半数以上 | 腹痛 | 多い(35~45) | |
黄疸 | 体重減少 | 半数以上 | 全身倦怠感 | ||
食思不振 | [黄疸-の症例に対して] | 体重減少 | |||
腹部膨満感 | 腹痛 | 44% | 食思不振 | ||
掻痒感 | 発熱 | 17% | 背部痛 | ||
黒色便 | 食思不振 | 11% | |||
無症状 | 32~38% | 全身倦怠感 | 11% | ||
無症状 | 27% |
ビリルビン→ウロビリノゲン→ウロビリン
血清ビリルビン | 尿ウロビリノゲン | 尿ビリルビン | 糞ウロビリノゲン | |
正常 | D-Bil: 0.1-0.4 mg/dL I-Bil: 0.2-0.7 |
0-4 mg/24h | ー | 40-280mg/24h |
溶血性貧血 | ↑I-Bil | ↑ | ー | ↑ |
肝炎 | ↑I-Bil, D-Bil | 閉塞ありなら↓ | 閉塞ありなら有り | ↓ |
閉塞性黄疸 | ↑D-Bil | ー | 有り | ー |
==禁忌
間接ビリルビン優位 | 産生過剰 | 網内系赤血球破壊 | 先天性溶血性貧血 |
後天性溶血性貧血 | |||
血管内溶血 | 発作性夜間血色素尿症 | ||
寒冷凝集素症 | |||
血液型不適合溶血 | |||
血栓性血小板減少性紫斑病 | |||
骨髄内無効造血 | シャントビリルビン血症 | ||
悪性貧血 | |||
肝臓摂取障害 | シャント形成 | 肝硬変 | |
抱合障害 | Crigler-Najjar症候群(I,II型) | ||
Gilbert症候群 | |||
直接ビリルビン優位 | 排泄障害 | Rotor症候群 | |
Dubin-Johnson症候群 | |||
肝細胞障害 | 急性肝炎 | ||
慢性肝炎 | |||
肝硬変 | |||
胆管障害 | 肝内胆汁うっ滞 | 原発性胆汁性肝硬変 | |
原発性硬化性胆管炎 | |||
薬物性胆汁うっ滞 | |||
閉塞性黄疸 |
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