- 日
- くまりん
- 英
- coumarin
- 殺鼠剤として用いられている。中毒の治療にはビタミンKを用いる
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/09 22:25:57」(JST)
[Wiki ja表示]
クマリン |
|
|
IUPAC名
2H-クロメン-2-オン(系統名)
クマリン(慣用名)
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
91-64-5 |
KEGG |
D07751 |
特性 |
分子式 |
C9H6O2 |
密度 |
0.94 |
融点 |
68–70
|
沸点 |
297–299
|
出典 |
ICSC |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
クマリン (coumarin) は化学式 C9H6O2 で表される有機化合物。ラクトンの一種で、芳香族化合物である。常温では無色の結晶または薄片状の固体。
目次
- 1 概要
- 2 生合成
- 3 性質
- 4 用途
- 4.1 香料
- 4.2 軽油識別剤
- 4.3 医薬品原料
- 5 関連項目
概要
当初は中南米に育つマメ科のトンカマメ(Tonka bean, Dipteryx odorata)という植物の種子から分離されていたが、1876年にウィリアム・パーキンがサリチルアルデヒドと無水酢酸の反応(パーキン反応)により合成に成功。現在では香料、軽油識別剤、医薬品原料として用いられている。
クマリンは桜餅の天然香り成分であり、シナモンの香り成分のシンナムアルデヒドやコーヒーの香り成分であるコーヒー酸とともに知られている。
生合成
- フェニルアラニン → E-桂皮酸
- 桂皮酸 → o-クマル酸, (2-クマル酸, trans-2-hydroxycinnamate)
- 2-クマル酸 → β-D-グルコシル 2-クマル酸, (β-D-Glucosyl 2-coumarate, trans-β-D-glucosyl 2-hydroxycinnamate)
- β-D-グルコシル 2-クマル酸 → β-D-グルコシル 2-クマリン酸, (β-D-glucosyl 2-coumarinate, cis-β-D-glucosyl 2-hydroxycinnamate)
- β-D-グルコシル 2-クマリン酸 → 2-クマリン酸, (coumarinic acidであって、クマリン酸とも表記されるcoumalic acidとは別のものである。)
- 2-クマリン酸 → クマリン (2位の水酸基とカルボキシ基が分子内エステルであるラクトンを形成して環化する)
これらの反応は全て以下の一連の酵素群により触媒されておこる。
- フェニルアラニンアンモニアリアーゼ
- 桂皮酸 2-ヒドロキシラーゼ (EC 1.14.13.14)
- イソメラーゼ (反応)
- β-グルコシダーゼ (β-D-グルコシル 2-クマリン酸グルコハイドラーゼ)(反応)
性質
アルコール、エーテル、クロロホルムおよび揮発油に可溶。水に微溶。可燃性。紫外線を照射すると黄緑色の蛍光を発する。
桜の葉に代表される植物の芳香成分の一種。バニラに似た芳香があり、苦く、芳香性の刺激的な味がする。桜湯や天然のオオシマザクラの塩蔵葉を用いた桜餅の香りはこれらに含まれるクマリンなどによるものである。
生きている葉の中ではクマリン酸(o-クマル酸)配糖体の形で糖分子と結びついて液胞内に隔離されているので匂いはしないが、これを含むサクラやヒヨドリバナなどの葉や花を半乾きにしたり破砕、塩蔵するなどすると、死んだ細胞の中で液胞内のクマリン酸配糖体と液胞外の酵素が接触し、加水分解によりクマリン酸が分離、さらに閉環反応が起こってクマリンが生成し、芳香を発するようになる。
抗酸化作用や抗菌作用があるが肝毒性もあるため、日常継続的に大量摂取することは好ましくない。食品添加物としては認められていないが、インターネットショッピングや業務用販売などで桜葉や桜葉パウダーが食品素材として流通している。
用途
香料
フランスのウビガン (Houbigant) 社が人工合成のクマリンを元に1882年に香水を調合することに成功し、「フジェール・ロワイヤル (Fougere Royale)」と名付けて発売し、人工合成材料による香水の製造が始まる。
タバコにも香料として用いられるが、発がん性が生じる。タバコ会社B&W社の研究開発部門副社長ジェフリー・ワイガンドが自社製品への添加をやめさせようとしたが、代替品が見つからず、本当に科学的根拠があるのかもわからないと豪語する営業畑出身の社長サンダファーはクマリン不使用を検討しなかったことで揉めた。このことを題材に1999年、映画『インサイダー』が作られた。
軽油識別剤
日本においては、クマリンは、軽油引取税の脱税防止のため、1990年(平成3年)3月から識別剤として灯油及びA重油(軽油周辺油種と呼ばれる)に、1 ppmの濃度で添加されている。添加は石油元売業者の製油所から出荷される際に行われ、軽油に灯油などを不正に混合しても、蛍光反応が出て、識別が可能となる。
詳細は「不正軽油」を参照
イギリスにおいても1984年(昭和59年)から灯油にクマリンを添加している(イギリスの濃度は2 ppm)。
医薬品原料
また、誘導体のワルファリン、クマテトラリル、フマリンはビタミンKと拮抗して抗凝血作用を示すため、抗凝固剤や殺鼠剤の製造原料として用いられる。
関連項目
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 自家製八ツ橋に用いたシナモン中のクマリン量の加熱温度による影響
- 4-メトキシクマリンによるクロム(6)の化学発光定量及びアルカリ添加の効果
Related Links
- クマリン (coumarin) は化学式 C9H6O2 で表される有機化合物。ラクトンの一種。常温 では無色の結晶または薄片状の固体。 当初はトンカ豆 (Tonka bean, Dipteryx odorata) という植物の種子から分離されていたが、1876年にウィリアム・パーキンが サリチル ...
- クマリンの効果,明日葉,ポリフェノール,抗菌作用,エストロゲン,血栓,オーラプテン, グレープフルーツ,アルツハイマー,かゆみ,利尿,月経不順,黄疸.
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- vitamin K, VK
- 関
- ビタミン、(薬剤として存在)フィトナジオン(=ビタミンK1)
種類
生理作用
- ビタミンKはγ-glutamyl carboxylase(多分、Ca2+を補酵素として用いる酵素の総称で、γ-carboxyglutamate residueを有する)に必要である。
- 血液凝固に必要な因子の肝臓における生合成を促進 (SPC.360)
-
- 促進というより、凝固因子のグルタミン酸をγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変換しないとセリンプロテアーゼとしての酵素活性を発揮できないということ?
- bone Gla proteinやmatrix Gla proteinといった骨の石灰化に関与する蛋白質の補酵素として働いており、またビタミンK1(phylloquinone)やビタミンK2は骨粗鬆症の治療薬として臨床試験が進められている(参考1)。
体内産生
- 低栄養or肝障害の存在するとき腸内細菌を死滅させるような広域抗生剤の使用 → ビタミンK欠乏症
吸収
適応
- クマリン誘導体による低プロトロンビン血症による出血
==禁忌
臨床関連
- 特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症(乳児ビタミンK欠乏性出血症)
- 新生児メレナ
- 閉塞性黄疸、膵臓疾患、小腸疾患(例えばクローン病)、下痢、抗菌薬の長期連用
- ビタミンKに依存している血液凝固因子の血中半減期は、以下の通りなので、PTでビタミンK欠乏症のスクリーニングが行われるらしい
- 半減期(hr):F II(50-80) > F X(25-60) > F IX](24) >F VII(6)
参考
- 1. [charged] ビタミンKの概要 - uptodate [1]
[★]
- 英
- coumarin derivative
- 関
- クマリン
[★]
- 英
- 7-alkoxycoumarin O-dealkylase
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- bear
- 関
- 生む、耐える、有する、帯びる、クマ属、ジャイアントパンダ属、クロクマ、ホッキョクグマ、ジャイアントパンダ、グリズリー、クマ科