出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/10/18 16:37:13」(JST)
テオブロミン | |
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IUPAC名 | 3,7-ジメチルキサンチン |
別名 | 2,6-ジヒドロキシ-3,7-ジメチルプリン |
分子式 | C7H8N4O2 |
分子量 | 180.16 |
CAS登録番号 | [83-67-0] |
形状 | 白色結晶 |
融点 | 345–350 °C |
テオブロミン (theobromine) は、カカオに含まれるアルカロイドの一種。自然界ではほぼカカオのみに含まれ、チョコレートやココアの苦味成分である。メチルキサンチンの一種で、テオフィリンやカフェインと似た構造を持つ。その名前に反して臭素(Bromine)は持たず、テオブロミンという名前は、ギリシア語で神の(theo)食べ物(broma)という意味を持つカカオの学名Theobromaに由来する。
テオブロミンは水に溶けない結晶性の粉末であり、色は白か透明である。テオブロミンはカフェインに3つあるメチル基のうち、1位のメチル基が外れた構造をしているが、7位のメチル基が外れたものは緑茶の苦味成分テオフィリン、3位のメチル基が外れたものはパラキサンチンであり、これらは異性体の関係にある。
テオブロミンは1878年にカカオの種子より初めて分離され、程なくしてエミール・フィッシャーによってキサンチンからの人工的な合成法が確立された。
目次
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テオブロミンはココアやチョコレートに最も多く含まれるアルカロイドであり、チョコレートには0.5-2.7%のテオブロミンが含まれる。またコーラ(1.0-2.5%)やガラナの実や茶にも若干含まれている。
人間の肝臓ではカフェインが酵素によって代謝されると、その10%がテオブロミン、4%がテオフィリン、80%がパラキサンチンとなる。
テオブロミンを特に多く含む植物には次のようなものがある。
1916年にPrinciples of Medical Treatmentという書物が発行されると、テオブロミンは浮腫、梅毒などの治療に用いられるようになった。The American Journal of Clinical Nutritionによると、かつては動脈硬化症、狭心症、高血圧など循環器系の疾患の治療にも用いられたと記されている。
近年になると、血管拡張薬、中枢神経刺激薬、利尿薬としても用いられるようになった。
テオブロミンは人間の肝臓でメチルキサンチンに代謝され、その後メチル尿酸にまで分解される。
テオブロミンは環状アデノシン一リン酸(cAMP)のホスホジエステラーゼ阻害薬として作用し、ホスホジエステラーゼが活性型のcAMPを非活性型に変換するのを阻害する。cAMPは多くのホルモンや神経伝達物質のセカンドメッセンジャーとして働く。そのためcAMPの非活性化が阻害されると覚醒効果が続く。
チョコレートに含まれるテオブロミンの量は、人間にとっては害になるほどの量ではないが、犬のようにテオブロミンの代謝速度が遅い動物にとっては害になりうる。小型犬で50g程度、中型犬で400g程度のチョコレートを摂取すると、犬はチョコレート中毒を起こし、消化不良、脱水症状、過度の興奮、心拍数の低下などの症状が表れる。ひどくなるとてんかん様の発作を起こして死に至ることもある。
テオブロミンは真核生物や細菌に遺伝子の変異を引き起こさせることが知られている。ただし1997年の国際がん研究機関の報告では、人間のような真核生物にはそのような現象は見られないということである。
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リンク元 | 「メチルキサンチン」「中枢神経興奮薬」「3,7-ジメチルキサンチン」 |
拡張検索 | 「メチルテオブロミン」 |
血中濃度 | 作用 |
0.5-1.0mM | [Ca2+]i↑ |
>50μM | ホスホジエステラーゼの阻害 |
<50μM | アデノシン受容体の拮抗 |
カフェイン | テオフィリン | テオブロミン | |
中枢作用 | ◎ | ○ | △ |
心血管系作用 | ○ | ◎ | △ |
気管支拡張作用 | △ | ◎ | ○ |
利尿作用 | ○ | ◎ | △ |
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