出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/11 22:34:29」(JST)
カフェイン | |
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IUPAC名
1,3,7-トリメチルプリン-2,6-ジオン |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 58-08-2 |
KEGG | D00528 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | C8H10N4O2 |
モル質量 | 194.19 |
外観 | 白色結晶 |
密度 | 1.23, 固体 |
融点 |
238 |
出典 | |
ICSC | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
カフェイン(独:Coffein,英:Caffeine)は、アルカロイドの1種であり、プリン環を持ったキサンチンの誘導体として知られている。1,3,7-トリメチルキサンチンとも呼ばれる場合がある。ヒトに対しては、興奮作用を持つことが知られている。
この化合物はコーヒーに含まれていることから、カフェインと命名された[1]。しかし、コーヒーの原料のコーヒーノキ以外にも、チャノキやカカオやガラナなどにも含まれている。したがって、これらから作られた飲食物、例えば、各種コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ココアなどの飲料や、チョコレートなどの加工食品にもカフェインは含まれる。さらに、各種コーラや各種栄養ドリンクなどのように、人工的にカフェインを加えた飲料や、一部のチューインガムのように、人工的にカフェインを添加した食品も散見される。また、一部の頭痛薬のように、カフェインは医薬品としての利用もなされている。なお、茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような興奮作用は弱く緩やかに作用する。結晶は一水和物 (C8H10N4O2・H2O) もしくは無水物(無水カフェイン、C8H10N4O2)として得られる。白色の針状または六角柱状結晶で匂いはなく、味は苦い。昇華性がある。
1819年(一説には1820年)にドイツのフリードリープ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒーから世界で初めて単離された。分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのはゲーテであったと伝えられている[2]。
主な作用は、中枢神経を興奮させることによる覚醒作用及び強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果[3]、脳細動脈収縮作用、利尿作用などがある。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。
多くの人がコーヒーや緑茶などからカフェインを日常的に摂取しているが、過剰な摂取は健康に害をおよぼすことが知られている。カフェインは法的に禁止・制限された薬物ではないが、脳神経系に作用するものである。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取に関しては医者の指示を仰いだ方がよい。
不眠症がある場合には、カフェイン摂取は制限するか控えることが望ましい。
この節の加筆が望まれています。 |
利尿作用があるため、コーヒー等カフェインを多く含む飲料は水分補給としての効果が薄い。
カフェインは一時的に頭痛を止める働きがある一方で、常用するとかえって頭痛が起こりやすくなる。これは、カフェインの脳血管収縮作用により頭痛が軽減される[4]ためで、時間の経過とともにこの血管収縮作用が消えると反動による血管拡張により頭痛が生ずることがある。
カフェインの常用で血圧が4〜13mmHgほど上昇する可能性も報告されている[5]。カフェインはエストロゲンの分泌を亢進させる働きがあるため、乳腺症などのエストロゲンによる症状がある場合、カフェインの摂取を控えることで症状が改善する場合がある。また、カフェインは一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種であるCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢神経作用が強く出現することがあり、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインがCYP1A2を阻害するとともに、カフェインの代謝はCYP1A2及びモノアミン酸化酵素により行われることに起因する。コーヒーや紅茶と一緒に薬を飲んでいけないと言われている理由は主にここにある。
カフェインの摂り過ぎは骨を弱くする[6]。
カフェインを繰り返し摂取すると、身体的依存や精神的依存が発生するとされる。またカフェインの作用(特に自律神経への働き)は、使用していくごとに効果が減少し、これは薬物耐性とされる。いくつかの作用(全てではない)への耐性はすぐに形成され、特にコーヒーやエナジードリンクの常用者には顕著である[7]。一部のコーヒー飲用者では、カフェインの覚醒効果には耐性が出来ているが、それ以外の人には形成されていない[8]。
カフェインの離脱症状には、頭痛、短気、集中欠如、疲労感、不眠、胃・上半身・関節の痛みなどがある。カフェイン摂取の中断してから12時間から24時間後に発生し、ピークはおよそ48時間後で、通常は2日から9日間で収まるとされる[9]。離脱性頭痛は、カフェインを1日平均235mg摂取していた人の場合、中断後の2日目で52%が経験する[10]。長期間のカフェイン摂取者の場合、離脱時症状は抑うつ、不安、胃腸不快感、筋肉痛、カフェイン摂取欲求などが報告されている。経験者の知識・助言・サポートなどは離脱の助けになるであろう。
カフェイン離脱症状はDSM-5において精神疾患に分類されている[11]。過去の版ではカフェイン中毒は含まれていたが、離脱は含まれていなかった。
カフェインはアデノシン受容体に拮抗することによって、覚醒作用を示す。また、メチルキサンチン誘導体に共通の活性として、ホスホジエステラーゼの非選択的な阻害作用があり、細胞内cAMP濃度の上昇を引き起こす。これにより、心筋収縮力の増大、気管支平滑筋の弛緩、脳細動脈の収縮のような交感神経興奮様作用を示す。これらの作用の結果、腎血管拡張により糸球体濾過量 (GFR) が増大し、さらに尿細管での水分の再吸収の抑制により利尿作用を現わす。また膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシンの働きをカフェインが妨害するために頻尿になるという説もある。さらに、cAMPの濃度の増大は胃酸を産生する細胞では、プロトンポンプを活性化し、胃酸分泌を亢進する。また、わずかではあるが骨格筋収縮力を増大させる作用もあり、2004年まではドーピングに対する禁止薬物リストにも含まれていた。
カフェインの半数致死量 (LD50) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10gから12g以上が危険と言われる(詳しくはカフェイン中毒を参照)。医療分野において医薬品医療機器等法では1回(1錠・1包等)あたりに500mg以上のカフェインを含むものを劇薬に指定している。
ヒトの体内でカフェインは代謝されて、主に尿酸となって尿と共に排泄される。ヒトの成体において、体内でのカフェインの半減期は通常、約4.9時間程度とされている[12]。ただし、ヒトの場合、カフェインの代謝に関わる肝臓に発現しているCYP1A2は、妊娠すると、その量が減ることが知られており、カフェインの代謝は遅くなる。また、CYP1A2は、ヒトでは1歳になる前までに成体と同じレベルの量に達するものの、それ以前は少なく、特に出生前(胎児)のカフェインの排除能力は成体と比べて著しく低い。その反面、1歳過ぎから思春期の頃までは、カフェインの排除能力が成体よりも高くなることが知られている[13]。なお、カフェインの排除能力の低いヒトの胎児では、CYP1A2による酸化とは全く別に、メチル化するという代謝経路も利用されることが知られている。
主に無水カフェインとして、一般消費者向けの総合感冒薬に用いられることが多い。これは、カフェインの作用である鎮痛補助目的が主で、配合された塩酸ジフェンヒドラミンやマレイン酸クロルフェニラミンなど催眠性の強い抗ヒスタミン剤の副作用を緩和する目的ではない(実際のところ、催眠性成分の緩和には至らない)。しかし、逆に風邪を引いているときにぐっすり眠れるようにと、意図的にカフェインを配合していない感冒薬もあるように、消費者の心理的作用を利用したものもある。また、安息香酸ナトリウムカフェイン(アンナカ)はカフェインに安息香酸ナトリウムを加えて水に溶けやすくしたものである。 芳香族化合物である安息香酸ナトリウムカフェインは、清涼飲料等の保存料のほか、単体と同じく強心・興奮作用を期待して使われる。
品名 | 数量 | 数量あたりカフェイン含有量(mg) | 1リットルあたり カフェイン含有量(mg) |
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エキセドリンタブレット | 1 tablet | &000000000000006500000065 | — |
ミルクチョコレートバー (カカオ45%) | 1 bar (43g) | &000000000000003100000031 | — |
ミルクチョコレートバー (カカオ11%) | 1 bar (43g) | &000000000000001000000010 | — |
パーコレートコーヒー | 207mL | &000000000000008000000080–135 | &0000000000000386000000386–652 |
ドリップコーヒー | 207mL | &0000000000000115000000115–175 | &0000000000000555000000555–845 |
デカフェコーヒー | 207mL | &00000000000000050000005–15 | &000000000000002400000024–72 |
エスプレッソコーヒー | 44–60mL | &0000000000000100000000100 | &00000000000016910000001,691–2,254 |
茶(黒茶や緑茶など、3分煎じ) | 177mL | &000000000000002200000022–74[17][18] | &0000000000000124000000124–416 |
Guayakí マテ茶 (loose leaf) | 6g | &000000000000008500000085[19] | &0000000000000358000000approx. 358 |
コカ・コーラ Classic | 355mL | &000000000000003400000034 | &000000000000009600000096 |
マウンテンデュー | 355mL | &000000000000005400000054 | &0000000000000154000000154 |
ペプシ Max | 355mL | &000000000000006900000069 | &0000000000000194000000194 |
ジョルト・コーラ | 695mL | &0000000000000280000000280 | &0000000000000403000000403 |
レッドブル | 250mL | &000000000000008000000080 | &0000000000000320000000320 |
天然のカフェイン(コーヒーの種子又はチャの葉から得られたもの)は既存添加物名簿に収載されており、食品添加物として使用が認められている[20]。なお、合成のカフェイン(尿素から人工的に合成したものなど)は使用できない。
カフェインの副作用を考慮して、嗜好品の中には、カフェインの含有量を通常のものより抑えた代替品が存在する。これらはカフェインレスとして知られ、コーヒー、コーラ、茶類などのうち、カフェインの含有量の少ないもしくは含まないものとしては、ノンカフェインコーヒー(デカフェ)、ノンカフェイン紅茶、ノンカフェインコーラ、また杜仲茶や麦茶、黒豆茶、そば茶、甜茶、ゴーヤ茶、昆布茶、柚子茶、ハーブティー、ルイボスティー、たんぽぽコーヒーなどがある。
西欧人にはエタノール耐性が高い人が多く、酒を飲んでも表情に出ず酔いつぶれにくいということがあるが、反面、カフェインへの耐性が無い、または低い人が多く、このような人はしばしばコーヒー酔いを起こす。デカフェ(カフェイン除去済みのコーヒー)の需要が多い。
2005年にアメリカ合衆国で発売されたフォー・ロコは、カフェイン入りの酒であり、飲みやすさから若年層に人気があったが、カフェインが酔いを助長させ多数の急性アルコール中毒患者を出したことから、後にカフェインなどの成分を取り除く見直しが行われた[21]。
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リンク元 | 「カフェイン」「methyltheobromine」 |
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