- 英
- paradoxical pulse
- ラ
- pulsus paradoxus
- 同
- クスマウル脈拍 クスマウル脈 Kussmaul pulse
- 関
- 心タンポナーデ
定義
- It refers to a descrease of systolic bood pressure(more than 10 mm Hg) during normal inspiration
病因
病態生理
- 正常な人手も吸気時に収縮期血圧が低下するが、いくらなんでも下がりすぎ・・・というのが奇脈。
- 吸気→↑静脈還流量→右室拡張→心室中隔を左方圧迫→↓左室駆出量→↓血圧
- 心タンポナーデでは、心室の拡張が妨げられるが、こういう状況の時、吸気時に右室が心室中隔を左室に向かって押す作用が(呼気時にと比較して)相対的に大きくなるため (PHD.343)
- 収縮性心膜炎の場合は、奇脈は限定的
- In constrictive pericarditis, the negative intrathoracic pressure generated by inspiration is not easily transmitted through the rigid pericardial shell to the right-sided heart chambers; therefore, inspiratory augmentation of RV filling is more limited.(PHD.345)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 気管支喘息の発作時 (特集 実地医家のための呼吸管理) -- (臨床場面別の呼吸管理)
- 閉塞性睡眠時無呼吸の治療前後における循環動態の比較
- 木之下 正彦,三ッ波 健一
- 日本内科学会雑誌 85(1), 73-77, 1996-01-10
- … いが,心不全によるショックと間達えられやすい.最近は血栓溶解療法,新しいデバイスによる冠動脈形成術等の導入により心タンポナーデの頻度は増加している,診断は心エコーが最も簡便で優れた方法であり,奇脈も非常に重要な所見である.治療は心膜穿刺術,心膜切開術,経皮的バルーン切開術が行われるが,その適応は個々の症例で検討すべきである.内科的には血管内容量を増加する治療を行い,利尿薬の投与は禁忌であ …
- NAID 10005005688
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- 奇脈. 正常では吸気時の収縮期血圧低下は10mmHg未満であるが,これが10mmHg 以上となり,小脈となる現象をいう。心膜液貯留による心タンポナーデに特徴的であるが ,緊張性気胸,収縮性心筋炎,左室肥大,心不全,呼吸器疾患,上大静脈閉塞症候群 ...
- 最近は血栓溶解療法,新しいデバイスによる冠動脈形成術等の導入により心 タンポナーデの頻度は増加している,診断は心エコーが最も簡便で優れた方法であり,奇 脈も非常に重要な所見である.治療は心膜穿刺術,心膜切開術,経皮的バルーン切開術 が行われる ...
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[★]
- 次の文を読み、7~9の問いに答えよ。
- 36歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。
- 現病歴 : 5年前に心電図で左室肥大を指摘されたが、無症状のため放置していた。3か月前から労作時の息切れを自覚していたが、最近、夜間に呼吸困難発作が生じるようになった。
- 既往歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 身長161cm、体重56kg。呼吸数16/分。脈拍86/分、整。血圧104/72mmHg。頚静脈は軽度怒張し、胸部では心尖拍動が左方に偏位し、その部位にIII音と汎収縮期雑音とを聴取する。呼吸音に異常はない。肝を右肋骨弓下に2cm触知し、両側下腿前面に浮腫を認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球385万、Hb12.1g/dl、白血球4,600。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン3.3g/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST(GOT)48単位(基準40以下)、ALT(GPT)56単位(基準35以下)、CK28単位(基準10~40)。心エコーの左室長軸断層像を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096C006]←[国試_096]→[096C008]
[★]
- 72歳の男性。呼吸困難のため搬入された。1か月前から労作時の息切れを感じていた。1週前から就寝中に咳が出て息苦しくなり目が覚めることがあった。前日から座っていても息苦しさを生じるようになった。高血圧と心筋梗塞との既往がある。喫煙歴はない。診察時には苦悶様であり、咳と喘鳴とを認める。意識は清明。体温36.0℃。脈拍108/分、整。血圧170/104mmHg。心尖部に2/6度の収縮期逆流性雑音を聴取し、両肺でcoarse cracklesを広範囲に聴取する。
- 診断に有用な診察所見はどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104G054]←[国試_104]→[104G056]
[★]
- 52歳の男性。前胸部痛のため救急車で搬入された。排便時に突然、前胸部痛が出現し気分が悪くなったため救急車を要請した。高血圧を指摘されていたがそのままにしていた。心拍数 84/分、整。血圧 80/50mmHg。呼吸数 24/分。SpO2は測定不能である。四肢末梢の著明な冷感を認める。胸部エックス線写真(別冊No. 15A)と胸部CT(別冊No. 15B)とを別に示す。
- この患者の所見として考えにくいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111A039]←[国試_111]→[111A041]
[★]
- 60歳の男性。2日前から発熱と下痢とが続くため、救急車で来院した。
- 今朝から排尿は1回だけである。意識は傾眠。身長170cm、体重50㎏。体温37.8℃。脈拍120/分、整。血圧110/86mmHg。尿所見:浸透圧500mOsm/l(基準50~1,300)、蛋白1+、糖(-)、ケトン体3+。血液所見:赤血球470万、Hb15.6g/dl、Ht46%、白血球10,000。血清生化学所見:尿素窒素50mg/dl、クレアチニン2.0mg/dl、AST32単位、ALT18単位、Na147mEq/l、K5.0mEq/l。CRP2.0mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [099F023]←[国試_099]→[099F025]
[★]
- 35歳の男性。乗用車を運転中にトレーラーに追突しハンドルで胸部を強く打撲し搬入された。意識は混濁。呼吸数40/分。脈拍120/分、整。血圧66/46mmHg。皮膚蒼白、発汗、四肢末梢冷感および頸静脈の怒張を認める。心音は微弱である。呼吸音に異常を認めない。心エコー図を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101H025]←[国試_101]→[101H027]
[★]
- 56歳の男性。原発性肺癌(腺癌)のために抗癌化学療法を受けている。原発巣の大きさは不変であったが、徐々に心拡大をみるようになった。超音波検査で多量の心嚢液が認められた。患者は徐々に前胸部苦悶感を訴えるようになった。
- この病態でみられるのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D027]←[国試_104]→[104D029]
[★]
- 58歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。 2年前に乳癌で左乳房切除術を受けている。呼吸困難は 3週前から徐々に進行してきている。収縮期の心エコー図 (別冊No.10A、B、C)を別に示す。
- この患者に認められる可能性が低いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108I040]←[国試_108]→[108I042]
[★]
- 50歳の男性。夜間の呼吸困難で来院した。20年前に心雑音を指摘され、心電図で心肥大を認めている。血圧152/34mmHg。胸骨右縁第3肋間に駆出性収縮期雑音と拡張早期雑音とを聴取する。この疾患でみられるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097I027]←[国試_097]→[097I029]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G074]←[国試_098]→[098G076]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H026]←[国試_096]→[096H028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103A005]←[国試_103]→[103A007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H028]←[国試_098]→[098H030]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102F031]←[国試_102]→[102G002]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107I005]←[国試_107]→[107I007]
[★]
- 英
- constrictive pericarditis, CP
- ラ
- pericarditis constrictiva
- 同
- 収縮性心外膜炎
- 関
- 心膜炎
概念
- 急性心膜炎のちに、心膜に線維性肥厚と癒着、あるいは石灰化を来し、心臓拡張期の血流充満が障害され、拍出量低下と右心系にのうっ滞を生じる
- 肥厚した心膜が線維化・石灰化して慢性的に心臓を覆う状態が心膜癒着
病因
分類
病理
症状
- 脱力感、倦怠感、体重増加、腹囲の増加、腹部不快感、腹部の突出(protuberant abdomen)、浮腫 (HIM.1494)
- (重症の症例)全身性浮腫、筋廃用、cachexia (HIM.1494)
- 労作時呼吸困難。きざ呼吸もあり得るが、重度ではない (HIM.1494)
病態生理と症状
- 静脈圧上昇 :肝うっ血、頚静脈怒張、浮腫
- 肺静脈圧上昇:心不全(呼吸困難、起坐呼吸)
↓
↓
身体所見
- 脈:脈圧:正常 or 低下。1/3の症例で奇脈 (HIM.1494)
- うっ血性肝腫大:腹水(浮腫より顕著)、黄疸 (HIM.1494)
- 心尖拍動減弱、may retract in systole(Broadbent's sign)
- 心膜ノック音 → 半数の症例で聴取?(QB.C-361) → 拡張早期過剰音/拡張早期過剰心音 と表現される
検査
- 心カテーテル検査:右室圧曲線において、拡張期早期の急峻な圧低下とその後のプラトーが特徴的。dip and plateau pattern
治療
- 方針:症状が持続的/増悪傾向にあればpericardiectomyを行う。心膜の拘縮や一時的/可逆的である例も少数ながら存在するため、診断がついた患者であって慢性症状がなく、血行動態が安定していれば、手術を行う前に2-3ヶ月間保存的に経過を観察する。(参考1)
- 心拍数を下げる薬はよくない(カルシウム拮抗薬、β遮断薬)
- In constrictive pericarditis, the negative intrathoracic pressure generated by inspiration is not easily transmitted through the rigid pericardial shell to the right-sided heart chambers; therefore, inspiratory augmentation of RV filling is more limited.
- 収縮性心膜炎では胸腔内圧の陰圧に心臓が影響されにくい。このために静脈還流量の変動は少なく、呼吸によらず頚静脈が怒張する? 左室への血流量も呼吸の影響を受けにくいために奇脈は心タンポナーデと比べて見られる頻度は低い?
参考
- 1. [charged] Constrictive pericarditis - uptodate [1]
[★]
- 英
- cardiac tamponade (M)
- 関
- 心膜血腫、ベック三徴、閉塞性ショック
- 心膜腔になんらかの液体が充満して心室への血流を制限する状態
病因
- 心膜腔に漿液、血液、ガス、腫瘍が存在することによる
- 急性的に心膜液が100-150ml貯留することで症状を呈する(資料によっては150-200ml)。
病態
- まとめると、「右心不全」と「左心不全の前方不全」による症状が出現する、と考えられる? ← 肺にまつわる症状は出現しない?(そもそも右心系から肺循環にうっ血するほど血液が拍出されないから?)
- 心嚢水の貯留により心臓の低圧部位が圧迫され、虚脱する(心嚢水の貯留により高圧部位の圧力が心嚢水を介して伝わる)。収縮期早期に低圧なchamberは右房、拡張期に低圧なのは右室であり、この部位が虚脱しやすい(出典不明)。
- 右心型 (SUR.401)
- 右心系への還流異常による中心静脈圧上昇 → 頚動脈怒張(クスマウル徴候 ← 顕著には出現しないはずだが?)、肝腫大、右心房圧上昇、下大静脈圧上昇
- 左心系 (SUR.401)
- 心拍出量低下 → 奇脈、脈圧低下、心音減弱、頻脈、呼吸困難、失神 (SUR.401)
症状
- ベック三徴 Beck's triad:静脈圧上昇、血圧低下、心拍動微弱
- 心拍出量低下 → 血圧低下、奇脈
検査
- 胸部単純X線写真:心拡大
- 心エコー:心嚢水貯留。右房、右室の虚脱。
治療
- 心嚢穿刺、開窓術による心嚢内血液除去
- 支持的療法:(軽症例の場合のみ。だたし、循環動態のモニターをしながら)輸液(血液、血漿、デキストラン、生理食塩水) (参考2)
やってはいけない治療
- 静脈還流量を減じる治療 → 利尿薬(サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬)、ニトログリセリン、陽圧換気人工呼吸、カルシウム拮抗薬?
- 血圧を下げる薬物投与 → ヒドララジン
- 105C031
参考
- 1. [charged] 心タンポナーデ - uptodate [2]
- 2. [charged] 心嚢液貯留の診断および治療 - uptodate [3]
国試
[★]
- 英
- pulse
- 同
- 脈
- 関
- 脈拍数
大きさ
- 脈拍の大きさ:収縮期と拡張期の間の動脈壁の動きの幅 → 脈圧を反映
1. 大脈(large pulse)
2. 小脈(small pulse)
速さ
- 動脈壁が上下に動く速さ → 血圧の上昇、下降の急峻さを反映
- 速脈---大脈で、遅脈---小脈
その他
1. 二峰性脈(double apical pulse)
- 脈拍の大きさが交互に変化する
- 心筋梗塞や心筋炎など心筋障害があるときにみられる。
- 心拍出量が一定しない重症心不全の徴候
呼吸による変化
- (吸気時)拍出量が減る → 駆出時間短縮 → 脈拍の間隔短縮 → 脈拍↑
- (II音のページより)吸気時には、肺静脈が拡張 → 左房・左室への血液還流量が減少 → 左室を充満する血液量減少 → 一回拍出量減少 → 駆出時間の短縮 → A弁の開放時間が短縮
成長と脈拍(SPE.50)
[★]
- 同
- 呼吸性動揺 respiratory fluctuation
- 関
- 心音、奇脈
- 関
- 呼吸性不整脈
1
- 吸気時に収縮期血圧が低下し、心拍数は増加する。
- 吸気→↑静脈還流量→右室拡張→心室中隔を左方圧迫→↓左室駆出量→↓血圧
- 拡張終期左室容量が減少するということなので、左室の血液を駆出するのにかかる時間も短くなる。この結果、心拍数は上昇する。
|
静脈還流量
|
収縮期血圧
|
心拍数
|
吸気
|
↑
|
↓
|
↑頻
|
呼気
|
↓
|
↑
|
↓徐
|
2
- 別の解釈として、吸気時に静脈還流量が増加すると、迷走神経が抑制され、肺表面が進展される。この結果、交感神経が刺激されて心拍数が増加する。
臨床関連
- 呼吸性変動の消失 → 右心系に容量負荷がかかっている。
- 著明な呼吸性変動 → 右心系の前負荷が低下。循環虚脱。
[★]
- 英
- Kussmaul sign, Kussmaul's sign
- 同
- クスマウル Kussmaul
- 関
- 頚静脈怒張
- 吸気時に観察される頚静脈拡張。中心静脈圧、右心房圧の高度の上昇による ← 健康な状態では吸気時には心房に血液が流れ込んで頚静脈は虚脱するはずなのに
原因疾患